入試問題に挑戦第7回
二 次にあげるのは、いずれも「身」の字をふくむ慣用句です。後にあげる短文1〜5の( )に入れるのに最も適当なものを、それぞれア〜キから選び、記号で答えなさい。
ア 身に余る イ 身が軽い ウ 身につまされる エ 肩身が広い オ 身の毛がよだつ カ 身に覚えがない キ 身の置き所がない
1 落書きをしたのはおまえだなどと( )ことまで言われたのでは、黙っていられません。
2 今回の受賞は( )光栄で、これからいっそう努力を重ねていきたいと思います。
3 君が優秀な研究発表をしてくれたので、君を推薦した私も( )よ。
4 知らないうちに多額の生命保険がかけられていたと知って、私は( )思いがした。
5 ぼくは一人暮らしで( )から、長期の出張も苦になりません。
三 次のA〜Eのことわざの( )には、それぞれ漢数字が入ります。漢数字の大きい順に並べ、A〜Eの記号で答えなさい。
A 岡目( )目 B( )死に一生を得る C(
)の足を踏む D 早起きは( )文の徳 E 親の( )光り
四 ア「あつめる」・イ「そろえる」・ウ「まとめる」の三つの言葉は、たがいによく似た意味があり、たとえば「証拠」という言葉は、「証拠をあつめる」「証拠をそろえる」「証拠をまとめる」といずれの場合にも使えるのですが、言葉によってはア〜ウのどれかと特に結びつきが強いことがあります。次の1〜5の言葉は、ア〜ウのどの言葉と最も強く結びつくかを記号で答えなさい。
1 ガラクタ 2 交渉 3 考え 4 注目 5 足並み
五 日本語には「−−字」という言葉がたくさんあります。次の1〜5の言葉は、後のア〜キのどれと最も関係が深いかを考えて、それぞれ記号で答えなさい。
1 一文字 2 十文字 3 八の字 4 くの字 5 川の字
ア 体 イ 機械 ウ 親子 エ 道路 オ 敬礼 カ まゆ毛 キ 口
六 「会社」という語は前後の漢字を入れかえて「社会」とすると別の語になります。次の漢字群から、そのようにできる漢字の組み合わせを五組選び、答えなさい。(同じ漢字は二度使ってはいけません。)
同、 日、 人、 一、 中、 名、 心、 長、 本、 身
七 次にあげるのは、漢字二字の熟語による「しりとり」です。ただし漢字はつながっていますが、それぞれの漢字の読み方は必ず変わります。 1 〜 10 に入る漢字二字の熟語を答えなさい。
大小−小声−声明−明星−(1)−(2)−間近−近親−(3)−(4)−定石−石工−(5)−(6)− 業腹−(7)−(8)−根本−本歌−歌手−(9)−(10)−水着
(01年灘1日目)
解説
二 エ「肩身が広い」はあまりなじみのない用法ではありますが、「肩身が狭い」という語法ならまったく知らんというわけでもありますまい。そうであれば、このエも解決できない問題ではないと言うべきです(三・四の項で、我々の考えを述べます)。
三 大人には簡単でも、慣用句等の知識修習力が低下している昨今の受験生にはAが難しいかもしれません。しかし、わからなくてもなんとか解決の糸口をさがす努力はぜひ必要で、この場合はどうすればいいのかを、受験生の身になって考えてみることにします。おそらくどの受験生も、B=九、C=二、D=三、E=七まではわかるでしょう。したがって、ここから?→B→?→E→?→D→C→?とすることは可能なのですが、ここまで整理する前に「わかんなーい」と言って投げ出す受験生が、これも昨今、非常に多くなっている気がします。お子さんにやらせてみて、知識の欠如を見出すよりも、この点をチェックしていただきたいと考えるゆえんであります。
四 さすが灘らしい、すなわち、作問者の先生のレベルの高さを感じさせる問題と言えます。ステロタイプな受験生を拒否するものがあります。深読みすれば、この問題も学校の主張とも考えられます。親子の会話・読書・新聞を読むこと等の、日常における言語生活がどれだけ充実しているかにすべてかかっている問題です。
五 解法の一例。三同様、1=キ、2=エ、4=アとし、残りの3をイウオカから選んでカ、5をイウオから選ぶ、というようにやれば、少なくとも、5の間違えを減らすことはできるはずです。
六 も消去法の徹底で、時間はかかるかもしれないが、解ける問題です。
七 「読みが変わる」というのが、ポイントの一です。ポイントの二点目は「しりとり」であるということ。すなわち 1 は「星?」で「星」は「ほし」「せい」、 2 は「?間」で「間」は「あいだ」「かん」「けん」だと確定できるということです。答を誘導するために、わざわざ「工」を「く」「業」を「ごう」と読む熟語が書いてあったりするわけです(「業」を「ごう」と読む熟語を答えさせる問題であれば、それは悪問です)。
解答
二1カ 2ア 3エ 4オ 5イ 三BAEDC 四1ア 2ウ 3ウ 4ア 5イ 五1キ 2エ 3カ 4ア 5ウ 六日・本 身・長 人・名 心・中 一・同 七1星空 2空間 3親指 4指定 5工作 6作業 7腹心 8心根 9手下 10下水