入試問題に挑戦第2回
ある円の円周を9等分する点を結んで正九角形をつくり、頂点の1つをAとします。次に、同じ円周を12等分する点を結んで、1つの頂点がAに重なるようにして正十二角形を作ります。2つの正多角形の辺で作られる角のうち90°以下のものは何度ものがありますか。角度をすべて書きなさい。(01年大阪星光)
入試問題に挑戦第2回・解答編
この問題は図形の特徴をしっかり捉えること、そして自分で作図しながら考えてみることが大切です。まずは下の図を見てください。点Pを問題の頂点Aとすると、そこから正九角形と正十二角形を描くと、それぞれの辺が交錯し、無数の角度が存在します。ここで面倒くさがったり、あきらめたりしてはいけません。もう一度、図をよく見ると、円周の9等分点●と12等分点▲が、P・Q・Rの3ヶ所で重なっていることがわかります。つまり、円の中心からP・Q・Rに引いた直線でこの図形を3等分すると、どれも同じものになります。実際に調べるのは、PからQまで、全体の3分の1だけでよいのです。
さらに、PからQまでの図形に注目すると、下の図のように直線lについて線対称な図形なので、調べるのはPから直線lまで、つまり全体の6分の1だけでよいことがわかります。
では、全体の6分の1について、詳しく調べてみることにします。90度より小さい角度は、下の図のように5ヶ所ありますが、そのうちCとEところについては、対頂角になるので、角度の大きさは●・■・▲の3種類しかありません。ここで、Aにところの●については、正九角形と正十二角形の1つの内角の差の半分なので、
(150−140)÷2=5度……●
次に、Cのところの■については、下の図のようにBのところを延長したときにできる角度は、正十二角形の1つの外角なので、360÷12=30°。また、この角度は上の図の三角形ABCについて、Bの外角になるので、●+■=30°。これから、
30−5=25度……■
さらに、Dのところを延長してできる角度は、正九角形の1つの外角なので、360÷9=40°。この角度は三角形CDEについて、Dの外角になるので、■+▲=40°。これから、
40−25=15度……▲
以上、求める角度は、【 5度、15度、25度 】の3つになります。
このような問題では、いい加減な作図をすると、そこから図形の対称性を見つけだすことが非常に困難になります。精密な作図は不可能ですが、最低限の図形の特徴が確認できるような作図を心掛けたいところです。