NO.81

2002年 11月 25日 
アクセス教育情報センター

目次

学校情報

教育情報 教育情報 公開模試情報 その他
桐朋中

大妻嵐山高等学校

神奈川学園

共立女子

雙葉中学校

教育基本法

埼玉県1

埼玉県2

大学生の補習授業

都立高で英才教育

青山学院大学 四谷大塚11月

11月三模試合計

都立高校のカリキュラム

入試問題に挑戦第61回

学校情報

桐朋中 学校説明会報告(02年10月5日)
司会・・榎本先生
会場が体育館で冷暖房の準備がありませんがご辛抱ください。
昨年のアンケートで時間が長いという指摘があり、今年は90分に収まるようにする。
椅子が固いという指摘もあったが、それはご容赦を。

桐朋の教育方針 校長・・小柳先生
説明会会場の体育館はコンクリートの打ちっ放しで何の飾り気もないが、床は特別仕様で生徒が運動をして膝を痛めないようになっている。
この体育館が桐朋の特徴――見た目の華やかさはないが実質を重んじる――を表している。
入試問題は学校からのメッセージ。どんな力の生徒が欲しいのか。入学後どういう教育を行うのかをあらわしている。
桐朋では次のように考えて入試問題を作成している。
第一に基礎・基本になる知識をしっかり身につけているか。
第二に基礎・基本の知識をもとに、一定の条件、道筋に添って自分の頭で考えることができるか。
この入試問題の考え方はそのまま桐朋の教育のありようをあらわしている。
桐朋はどんな学校かと言われたら次の三点をあげたい。
1 自然に恵まれたのびやかな雰囲気の中で、生徒一人一人の自主性、自由の精神を培う学校。
自由とは生徒一人一人が自立し、人に依存、従属しないということ。
様々な状況の中、自分で判断し実行する自己責任を持つ。
あるべき自分に向かってたえず自己変革をしていく。
2 自分のやりたいことを深くやれる学校。
毎日の生活の中心は授業。
専門性を備えた教員が工夫した自主教材を使いながら、生徒の興味を引き出す授業を行う。
生徒は好奇心にあふれ、自分が納得するまでやる。
昨年9月11日の事件の翌日、JR国立駅の売店から英字新聞がなくなる。・・桐朋の生徒が買ったため。
学校も勉強だけでなく、クラブ活動、委員会活動との両立を奨励している。
3 一人一人の生徒に豊かな人間性と確かな学力をつけさせる学校。
桐朋の教育のあり方を見て、私学らしい私学と言ってくれる人もいる。
現在、週6日制を実施している。それは自分たちの教育を行う上で必要だから。当分の間、このままで5日制に移ることはない。
正月に卒業を控えた高3生全員に年賀状を出している。
02年は自分で進路を切り開けという思いで、「静かなる力満ちゆきバッタ飛ぶ」(楸邨)と書いて送る。それに対して「春風や闘志いだきて丘に立つ」(虚子)と返して来た生徒がいた。
21世紀の桐朋の教育として、これまでの伝統の上に、新しい生き方をする若者、スケールの大きな人間を作っていきたい。桐朋の教育に期待して欲しい。
近隣の大規模高層マンションに関して、町並みにふさわしい建物をと建築計画の変更を求めてきたが聞き入れられず係争中。学校の姿勢についてご理解いただきたい。

ビデオ・・桐朋歳時記
中学生の1年間の様子をまとめた教員の手作りビデオ。ビデオを流しながら先生が解説を行うが残念ながら音声がはっきりききとれなかった。
入学式・・自由には責任が伴うという在校生の挨拶、グランドでの記念撮影。
授業風景・・各教科の授業の様子。
自由研究発表・・夏休みの自由研究発表。今年の展示会は11月19日〜22日。
学生食堂・・400席。昼食は20メニュー。定食380円、ラーメン250円。
中1の4月から利用できる。
図書館・・45000冊の書籍。司書が常駐。
休み時間・・ボール遊びをする生徒。教員室に質問や遊びに来る生徒。
放課後の清掃
クラブ活動・・活動日はクラブにより異なる。
       中学のサッカー部は都の私立大会で準優勝。
遠足
桐朋祭
林間学校
運動会
修学旅行・・中3は東北へ
音楽会
中学卒業式

学校生活・・神本先生
1 よろず相談室(カウンセリング室)に2名のカウンセラーが月4回在室。
中1の4月にカウンセラーの講演を行い、気軽に行ける雰囲気を作る。
保護者の利用も可。
2 コンピューター室
中1は週1時間コンピューターを使った授業がある。
3 自由=自分で考え行動していくことが学校生活のいたる所で求められる。
中学は制服だが高校は私服。基準は清潔簡素にして華美に走らない。自分で判断する。
逸脱した場合は生徒との対話の中でじっくり考えさせる。
行事は生徒の手で行われ、教員はバックアップする。
遠足は各クラス2名の委員が下見をして当日の案内役に。
運動会、スポーツ大会も同じ。
中1 林間学校 尾瀬
中2 林間学校 志賀
中3 修学旅行
高1 林間学校 3000メートル級の山の登山
高2 修学旅行 関西方面に。1日はクラス別行動、2日は全体行動。
クラス旅行 クラス内の話し合いによって宿泊先を決める。旅行委員が交渉する。
教員も生徒と一緒に行事を楽しむ。
4 クラブ活動
中1での加入率は99%。中3でも84%。
中1で懸垂を行うと半数以上が0回。他の種目も全国平均以下。
施設の充実、本人の努力、各クラブでの活動によって体力をつけていく。

学習面・入試について・・住谷先生
中学の定員は中学からの入学者190名と附属小学校から90で280名。高校で50名が加わる。
中学は1学年6クラス、高校は1学年7クラス編成。
中高ともクラス分けは偏りのない均等割。中学からの生徒、小学校からの生徒、高校からの生徒を同じ割合で各クラスに配分する。
成績順やコース別のクラス編成はない。
高2から高3は同じクラス。
中学・・基礎力の充実。じっくり考える姿勢を作る。
 全員同じ教科を履修。
 新学習指導要領になるがこれまでの内容を確保していく。
高校・・進路に合わせた専門化。
 選択授業で各自のコースが設定される。
 段階別授業・・英語総合は2段階に、数学は各学年3段階に。生徒の希望で選べる。
 学校の授業だけで大学入試は間に合う。
数学・・中1幾何の三角形の合同で、高校レベルと同じ仮定、結論、証明を要求する。
問題の解き方を学ぶ数学ではない。
独自教材を使用して授業を行う。
英語・・中3までプログレスを使用。Book3まで。
理科・社会・・プリントの自主教材を使用。プリントにしているのは差し替えがきくように。
体育・・週3時間。1時間毎に教員が変わる。各教員の専門を生かせるように。
補習・・3学期制で試験が5回あり、結果の悪い生徒に対して補習を行っている。
中学は補習中心。英語は指名制で早朝補習を。
休み時間や放課後の個別指導や追試も行っている。
夏休みには英語、数学の補習も。中3は古文、化学の補習も入る。
高校は講習中心。補習は担当者の判断で。
高2は夏休みに数学、英語を6日間。
高3は夏休みに数学、英語、国語を6日間、社会、理科を6日間実施。
授業は学年の教員(クラス担任6名+学年主任+学年担当4〜5名)が中心になり、他の学年や高校の先生が加わることも。
一人の生徒を立場の違う先生が見ている。
クラス担任と学年主任は持ち上がりで継続指導を行う。
中高で84名の専任、27名の非常勤講師がいる。うち女性は3名。
高校へは校長の推薦で進学できる。
中2の学年末に保護者対象の進学説明会がある。
進路指導は生徒の自主性を尊重する。
 生徒の希望
 平常授業・・平常授業が進路指導
 面接・・年2回、担任がクラスの生徒全員と面接を行う。
     学習の話が中心だが人生相談もある。
     その他随時実施。
     保護者とも年2回、6月と11月に面接を行う。
 OBの話
高1は30代の卒業生に職業について話してもらう。・・・職業を考える
高2は大学で研究職に就いている卒業生に話してもらう。・・・専門を考える
高3                             ・・・大学を考える
03年入試
出願の際、入試当日の注意事項を渡す。
受験番号は関係ないので、出願はゆっくりどうぞ。
問題は小学校で習うことの応用を出す。・・応用力の重視。
知識を自分のものとしているかを確かめる。
教科による足切りはなく、合計点で判定。
(報告 A.A)
http://www.toho.ed.jp/

大妻嵐山高等学校 中高一貫で聡明な女性を
(全私学新聞11月13日)
 緑と清流に囲まれた美しい自然を背景に、大妻嵐山高等学校(小林節校長、埼玉県比企郡)のキャンパスが広がっている。同校はそのキャンパスに来年から中学生を迎え入れる。今年、高校の教育改革を終え、いよいよ来年度は長年の念願だった大妻嵐山中学校が開校、中高一貫教育を始める、目指す中高一貫教育は、建学の精神、「学芸を修めて人類のために」(Arts for Mankind)の基に「聡明な女性の育成」だ。
 @「知的好奇心を持ち、進んで行動できるA「他人を思いやりながら、自己表現できる」B「広い視野を持ち、自分の判断で行動できる」 この三の教育目標を実現するために、さまざまな新しい試みを実践する。
 中学教育で最も特徴的なのは、理数系の履修の重視だ。小林校長はその理由を「社会に出ても家庭でも論理的な思考力と実践力が非常に重要で、中学で『「科学する心』と『表現するカ』を養うためです」と説朋する。
 特徴の一つ目は体験学習の重視だ。同校を取り巻く豊かな自然環境は格好の体験学習の材料となる。「実際に体験する」とが知的好奇心を刺激し、それが学習意欲につながっていくと思います。国チョウであるオオムラサキの飼育・観察などのプログラムを通して、自然との触れ合いを深めます。近隣の資料館や博物館をフルに活用し、理科、社会、総合的学習などを含め、体験学習を実施していきます」と小林校長。
 また、「エポック学習」は基礎学カを高めるために英語・数学・国語を一定期間集中的に学習し、英単語カコンテスト、計算カコンテストなどを行う。この期間は生徒が集中できるように他教科では大きな宿題などを課さないようにエポック学習に協力し、全校的に取り組むことになる。
 「学校週六日制」を採用し、土曜日にも正課授業を配置する。授業時間は英語が標準時間数の二倍、国語が一・四倍、数学が一・七倍にもなっている。
 一方、高校は中学開校を見据えて、今年から生徒の幅広い希望に対応するためにカリキュラムをはじめ、新しい多くのシステムを取り入れている。基礎、応用、進路への対応と発展的に学ぶことができる中高一貫制を導入するためだ。高校一、二年までに大部分の必修科目を修了、三年で受験の準備に集中できる体制を組んでいる。
 総合進学クラスのほかに、進路の多様化に対応した特進クラスの設置は、大妻女子大学以外への進学にも積極的に挑戦するためだ。
 一年を前期・後期に分ける「二期制」を採用したため、授業数や部活動などの時間も確保した。土曜日は特進クラスでは土曜ゼミを、総合進学クラスでは英検・パソコン検定などの資格取得や基礎力の充実を図る土曜特別講座(選択制)を設定している。大妻女子大学教授の特別授業なども盛リ込まれている。
 また、表現する力と思考力を深めるために毎朝二十分の「朝読書」や、基本知識の徹底を図るための「朝学習」が行われている。
 小林校長自身は、の可能性を伸ばすために、コミュニケーションセミナー「母と娘の豊かな関係を築くためのレッスン」を実施している。対象は小学校高学年と中学校女子の保護者で、四回のレッスンでは「勉強嫌いにしないために」、「友達づくりの上手な子にするために」(スキルトレーニング)、「励まし方と叱り方」(ロールプレイを通して)、「親と子のいい関係」(カウンセリングマインド)となっている。

03年入試要項
1回 1月12日 女子50名 2科4科
2回 1月19日 女子20名 2科4科
3回 2月 5日 女子10名 2科4科
1回・2回は2月4日16:00まで手続を延期することができる。
繰り上げ合格が生じた場合は2月6日15:00〜19:00までの間に電話で連絡。
大妻嵐山中学校の教育の特色 
(1) “科学する心”の育成 
科学する心とは、誰もが信じているような普遍的事例に対してさえ、なぜだろうという疑 問をもち、それを解き明かしていく心です。そこには知的好奇心を満足させ、未知の世界を 知っていく学びの楽しさがあります。理科系の授業だけでなく、すべての授業において“科  学する心”を育てることを目標にします。
 実践
 @理科の授業時数は中学3カ年合計14時間。標準8.3時間。
 A実験・実習を重視する。 
 B総合的学習及び教科を通して、レポート作成の習慣をつけ、3年次には卒業研究 を行い、発表する。
(2) “表現する力”の育成 
コミュニケーション能力は、発信する能力とともに、相手の発信を受容する能力が必要になります。“言葉は魂を鍛える”表現する力を育成することは、豊かな人間性を育成するこ とに つながります。
 実践
 @週5日の朝読書を中心とした読書指導で年間50冊の読破を目標とする。
 A国語における表現学習の重視。
 B討論、ディベート、プレゼンテーション。
(3) 野外学習の重視 
本校の恵まれた自然環境を活かし、教室での座学だけでなく、さまざまなフィールド・ワ ークを行うことで、知識を書物の中だけのものでなく、自らの体験を通した生きたものに していきます。
 実践
 @オオムラサキの飼育、観察等のプログラムを通して、自然とのふれあいを深める。
 A博物館や美術館等の見学を通して、郷土や地域への理解を深める。
(4) 国際理解の教育プログラム 
国際化した社会で自立した女性として行動できるために、国際的視野を身につけ、異文化に対する理解を深めることをめざし、まず、世界共通語としての英会話の習熟に努めます。
 実践
 @少人数による英会話クラスを設ける。
 Aスペリング、レシテーション、スピーチ等の校内コンテストを行い、校外でのコ ンテストに積極的に参加できるようにする。
 B高2までにTOEFL550点以上をめざす。
 C中2の英会話合宿(国内)、短期留学、セメスター留学、1年間の長期留学など、 6年間の語学習得のプログラムを計画。
 D多様な国の人たちとの交流会を実施する。
(5) 情報教育の充実 
情報化社会に対応できる力を養成するために、コンピュータを道具として使いこなせるだ けでなく、情報の分析、処理の方法を学びます。
 実践
 @情報の処理、分析にとどまらず、情報を正しく認識し活用できるようにする。 PC講座を開講する。
 Aレポート、自由研究はコンピュータで作成できるようにする。
 B各教科でコンピュータを活用した授業を行う。
http://otsuma-ranzan.ed.jp/toppage8.htm

神奈川学園 四万十川の環境学ぶ
 横浜市神奈川区の私立女子高、神奈川学園高校(斉藤忠充校長)の2年生33人が13日、中村市具同の四万十川学遊館などを訪れ、環境保護などについて学んだ。
 同校は総合的学習の一環として、昨年から希望者が四万十川流域を訪問。今年は11日に来県、西土佐村に2泊して森林を歩いたりカヌーや釣りを体験した。
 この日、学遊館を訪れた生徒たちは、中村市で釣具店を営む岡田光紀さんに四万十川の伝統漁法の話を聞いた。続いて「トンボと自然を守る会」常務理事、杉村光俊さんに世界各地のトンボの特色などについて説明を受け、熱心にメモを取っていた。このあと屋形船に乗り同川河口で川漁師の仕事を見学。14日は佐賀町でカツオのたたき造りを体験し空路帰郷する。
http://www.kanagawa-kgs.ac.jp/

共立女子中学校 学校説明会報告書(02年11月1日)
 11月1日の共立女子中の第2回説明会に参加した。会場の共立講堂に6割ほど埋まる参加者。当日は雨だったので、多少参加者の足を遠ざけた感はある。ビニール製傘袋も用意された丁寧な準備がなされていた。
(1)校長挨拶 蟹谷先生(概要)
 1886年(明治19)、当時の四年制義務教育(小学校)の就学率が男子四割、女子一割という現状に、34人の篤志家が女子職業学校を設立。1947年に中学を、1948年に高校を設立した。建学の精神として「女性の自立」「社会に有為な人材の輩出」、そして教育基本法第一条にもあるように「人格の投与」という面をふまえて、誠実・勤勉・友愛が諸活動の基調を成している。
 時代の変化に反映して、昨今では国際化・情報化への対応が求められている。本学ではこういったことがらに対して、自ら主体的に対応できる女性を育てることを目標にカリキュラムづくりを行っている。よって、前提として大学教育を受けるための基礎学力の養成に重点が置かれており、週6日制34時限、国・数・英の時間数を傾斜させて多くする構成になっている。
 1クラス人数は45人、いわゆる大規模校だが、教師はいかにきめ細かく対応し、意欲を持たせるかに心を砕いている。学習面では、(蟹谷校長は国語の先生)国語でいえば、文法や古典のオリジナルテキスト、80%の合格点に達するまで徹底的に追試を行う漢字テストなど。
 進路指導においては、卒業生の講演会を高校生と中学生の希望者を対象に開く。女子教育に携わって久しいが、男子に比べ、女子は具体的な将来を考えはじめると俄然真面目に勉強をする。これが大学進学実績につながっていると考えている。
 生活指導の一環として、小笠原流の礼法を道徳の時間に取り入れている。礼法をやったからといって、現代っ子のふだんの立ち居振る舞いがしとやかになるとは思わない。ただ、正式な場でのマナーは、習得したもののみが実践できる教養である。
 講堂(共立講堂)は情操教育の場であり、特別活動実践の場でもある。昨今ではウィーン少年合唱団を招聘、鑑賞の後に中学生たちが共演させてもらった。また、映画鑑賞会なども行う。最近の上映は「千と千尋の神隠し」。
(2)進路指導について 教頭・平野先生
 説明会第2回(全3回)の今回のテーマは、6年間の教育と進路指導。
社会や大学の多様化(分化)に対応できるカリキュラムを作る。中学では英語のコマ数を増やし、高校は新課程となる。大学は少子化の波を受けてエリート育成の方向と一般的な教養大学への方向へと分化していくわけだが、本校では高度な学術または高度な職業人養成を行う前者への対応を推し進める。
中学・高校とも二期制をとるが、定期考査は年5回。三期制の長所を活用する。
高校からは単位制(32×3年)、コースによって学ぶことは異なる。
習熟度別クラスは高校から。数学は高1の6月、英語は9月からスタート。コース分けは高2からで、A(数学を必要としない私立文系)、B(数学を必要とする私立文系および国立文系)、C(国私理系)の3コースに分かれ、高3ではCが国立・私立の理系コースに別れ、T、U、V、Wの4コースとなる。
 適性・能力・関心を見極め、進路指導は、中学から意識させる。総合的な学習を通して、中学生なりに「自分を知ること」「自分の将来の仕事とは」などを考えさせる。「夢−現実=課題」ということで、やらなければいけないことが見える。
 よい学校とは社会のために役立つ人材を育てる場所である、というのが共立の考え。なお、中学・高校での教員の交流はあるが、中・高はそれぞれ専門の先生がやる。専任率は高い。
(3)保護者登壇 司会 新藤先生
 クラス役員から人選された6人の保護者(母親)が登壇。2回目の説明会ということで、学校側としては、作為なしに共立の真実を語ってもらいたいという趣向とのこと。卒業生の保護者3名と在学生の保護者3名という構成。
 会場からの質問を募ったが、最初は挙手がなく、広報に寄せられるもっとも多い質問ということで「大規模校であることへの不安は?」という内容に言及された。
 保護者の回答を要約すると「1学年380人という人数に当初は不安だったが、本人には合っていたようだ」「やはり当初は1クラス45名・女子校ということに違和感はあったが、クラス・学年のまとまりがあり、保護者間のつながりが緊密なのでよかった」「友達関係を勉強できる場になった」「(ご自身も卒業生の母)昔は一クラス60人だったが楽しかった。保護者同士の交流も盛んで、悩みを共有できる温かみがある。友達の幅が増え、生涯を通じてつきあえる友達ができる。」 この後、授業参観後の茶話会の話に発展し、会場は和やかなムードになる。人数の多さは生徒間であっても保護者間であっても、情報交換の場でもあり、情緒交歓の場でもあって、円滑な人間関係を形成するスキルが養成されるという内容だった。
 この後、会場からも質問が寄せられる。それに対する回答も併せて要約を記す。
@ 遠距離通学になるが、学校外での友達交流はどうなのか?
友達は、通学のグループ、部活の仲間、近所の友達、クラスの友達と、そのシチュエーションによってつながりはさまざまなよう。
A 規則はどうなのか?
買い食いや寄り道は禁止。染髪、ピアスの類、携帯電話も一切禁止。一見きびしいようだが、生活習慣の問題なので、子どもは受け入れているようだ。
B 通塾は?
単一の予備校ということではなく、教科によって通う塾を換えているよう。親の薦めと言うより、子どもの間での情報交換で塾は決まる。通塾は高校2〜3年から始めている。
C 個性的な子ども居場所はあるか?
(卒業生母)集団に順応できない「個性的な」娘であったが、「こんないいところがあるじゃないですか」と言ってくれる教員のことばに、初めて自分の娘を客観的に見ることができたような気がした。学校側は本人の興味の対象であるパソコンに目をつけて、高2の時にパソコン部の発足に協力してくれ、本人もそれをきっかけに自分の方向性をつかんだようだ。現在は大学の物理学部に在籍している。
(4)入試に関して 渡辺先生
変更点 
@ 帰国子女入試の新設(10名) これにともない、A80→90名、B230→220名、C50→40名の募集定員となる。
A 入学願書受付 →ABC日程とも1月20日(月)〜1月28日(火)
B C日程入試  2月4日(火)4科目へ
C C日程手続き 2月5日(水)
D 入学説明会  2月6日(木)
帰国子女入試に関して
 保護者には事前面接がある。試験内容は国語・算数・作文・本人面接。国・算の試験内容は一般試験と同じ準備をしてほしい。作文は、100字程度の文章を読んで、600字の作文をする。(質問をしたところ、日本語能力を試すものではないとのお答え。場合によっては英語で書くことも可能とも。大切なのは、600字を書く努力をすることと、自分の考えを述べること) 面接は5分程度。
一般入試に関して
 出題形式は、例年通り。塾の模試の偏差値に一喜一憂するのではなく、過去問をよく勉強してほしい。過去の問題の合格最低点などはホームページ上で公開。
 AB日程は、2科4科選択制なので、まずは受験者全員から2科目で約8割の合格者を決定、残り2割を4科目上位生から決定。(C日程は4科目。いずれ、AB日程も4科目に移行したいとは思っている)
 合格発表は、当日発表で、インターネットでも公開しているが、必ず合格書類を受け取りに来てほしい。なお、繰り上げは手続き〆切後に電話による連絡を行う。携帯電話でもいいので、必ず連絡のつく番号を明記しておいてほしい。
 繰り上げ発表の時間
A・B日程 2月3日 12:00〜13:00ごろ
C日程  2月5日 12:00〜13:00ごろ
(報告者 A.Og)
http://n2.kyoritsu-wu.ac.jp/~chugaku/

雙葉中学校 学校説明会報告(02年10月31日)
学校の教育方針等・・校長 下山先生
学園の歩み
明治5年(1872年)
サンモール修道会(現幼きイエス会)会員5名がフランスより来日、布教と教育慈善活動を横浜で開始
明治8年(1875年)
東京築地に「築地語学校」を開校し、語学等の教育と同時に孤児や身よりのない老人の世話等のボランティア活動も開始。この語学校が雙葉学園の前身。
明治42年(1909年)
初代校長メール・セント・テレーズが私財にて現在の地を購入。フランス風の優雅な木造2階建ての校舎を建築。「雙葉高等女学校」創立。
明治43年(1910年)
「雙葉女子尋常小学校」「同付属幼稚園」設立。
昭和20年(1945年)
第二次世界大戦の空襲により全校舎完全消失。
昭和22年(1947年)
学制改革により「雙葉中学校」となる。
昭和27年(1952年)
本建築による鉄筋4階建て校舎完成。
平成11年(1999年)
校舎全面改築に入る。
平成12年(2000年)
12月地下1階地上7階の本校舎と講堂が完成。
現在の雙葉学園
学校法人雙葉学園は、雙葉小学校、同付属幼稚園、雙葉中学校、雙葉高等学校を経営。
雙葉中学校の定員は180名(雙葉幼稚園40名→雙葉小学校80名卒業生と入学試験の合格者100名。)雙葉高等学校は、内部進学者のみで、外部募集は行っていない。
人間・人格形成の重要な時期ととらえ、中高6年間一貫教育を実施。
国内の姉妹校・・・田園調布雙葉学園、横浜雙葉学園、静岡雙葉学園、福岡雙葉学園
7年後には、創立100周年を迎える。
教育方針と、指導方針の柱
校訓「徳においては純真に、義務においては堅実に」
「良き母親」「良き社会人」「良き国際人」としての基礎を築くこと。
学校は人格形成の育成の一つの場であると考える。有名大学進学のためだけの進学校ではない。また、そのような進学の勧めも行っていない。
高校3年の12月までの時間をかけて、高校の学習範囲を修了させている。高校3年を進学指導の1年するようなことはしない。
3本の柱
@ 人間の存在の偉大さ、その価値を認めること。
神に与えられた生命の尊厳、その神秘、不思議に感謝する。
A キリスト教的人間形成
命の尊さを知り、人間の使命を果たすべく、個々の「独自性」「相互性」「自由性」を尊重し、互いを認め合い助け合う。
B 地球社会の一員であることの認識。
平和を愛し、地球を愛すること。 
教育の特色
宗教
教育課程内に宗教をおき、どの学年も週1時間宗教の時間がある。信仰は強制せず。ただし、年数回、宗教行事に参加する。
ボランティア活動
社会の(国際社会の 恵まれない人に心をかけることを忘れずに、ボラティア活動を大切にしている。「手伝ってあげる」のではなく、「手伝わせていただく」気持ち。
語学教育
語学教育に力を入れ、雙葉小学校では英語を正課としている。そのため中学1年では、小学校より進学した生徒と、入学試験を経て入学した生徒とは別々に授業を行い、1年間で進度を調整。中学2年からは一緒に授業を行う。 
中学校からの入学者には、必要に応じて、放課後等に補習を行っている。(今年度の場合は、10月末の時点で、英語力の差はなくなっている。)
中学3年でフランス語の授業が必修。高等学校では、第一外国語が、英語選択またはフランス語選択となる。
生徒の自主性
生徒会活動、クラブ活動、運動会、校内球技大会等が、生徒の自主的な運営により活発に行われている。
「徳育」「知育」「体育」どれにも偏ることなく、バランスのとれた指導を行うことを目指し、実行している。

教育内容について・・教頭 和田先生(多少、校長先生と話の重複する箇所あり。)
       雙葉幼稚園 小学校 中学校・高等学校
新入学者   40名    40名   100名
在籍者    40名    80名   180名
教員  専任52名 講師32名 (内男子教員11名)
カウンセラー(週1回)
教員は、幼稚園、小学校、中・高等学校で、違う。
英語教育について
雙葉小学校では、英語の授業がある。中学校1年の英語だけは、雙葉小学校卒業生と、入学試験合格者とで、クラスが別。1週間1回の補講で補っている。十分、追いつけるので、中学入学前の英語学習の必要はない。
中学3年の2学期から高校の範囲に一部入るが、急いで学習するのではなく、必要だから学ぶ。学習の順序に工夫をしている。教科書は、「PROGRESS」NO.1〜NO.6を高校3年の12月までに修了。
数学も、中3の5月には高校の範囲に入るが、英語と同じように、徒に急いで学ばせているのではない。6年間を縦に平均化し「学ぶ順序」の工夫を凝らしている。
宿題、テストについて
宿題は確かに多い。テストも中間、期末考査以外にも、それぞれの教科でテストがある。各教科、個々人の理解度、到達度をはかるために、テストを行う。理解不足が認められる生徒に対しては、各担当教員が、個人的に呼び出し、学習の指導をしたり、補習を行ったり、ケアーに努めている。
体育について
「徳育」「知育」「体育」それぞれバランスよく、満遍なくと考えている。特に「体育」には力を入れている。
球技大会 (中学校、高校それぞれ別に実施)
バレーボール、バスケットボール、卓球のそれぞれに1クラス2チーム編成。全員がいずれかに参加。
運動会 中1年〜高校3年まで合同。各学年対抗。
いずれの大会も、校庭が狭いので、東京体育館において実施。
狭い校庭にもかかわらず、生徒たちは精一杯練習に励む。
クラブ活動について
以下の活動のいずれか一つに入る。
脚本研究班、化学班、ダンス同好会、バレーボール部、英語研究班、天文班、PM愛好会、卓球部、フランス研究班、バスケットボール班、数学研究会、陸上同好会、歴史研究班、 バレーボール班、 漫画研究会、テニス部会、料理班、卓球班、映像研究会、手話の会、手芸班、新聞部、将棋同好会、点訳奉仕会、書道班、英語演劇部、茶道会、聖歌隊、美術班、演劇部、創作同好会、理科班、音楽部、 映画研究会、
生物班、管弦楽同好会、 バスケットボール部
生徒の自主的活動について
雙葉祭、ボランティア活動・・・ボランティア委員中心、クリスマス施設訪問、赤い羽根共同募金(全員)、 その他、支援・募金活動(アフガン支援等)
施設
新校舎完成後丸2年が経過。(午後説明会では校内見学あり。)
1F 調理室、試食室等
2F 化学室、地学室等
3F 教室、生物室、物理室、面談室、進路資料室等
4F 教室、書道室、聖堂(定員1クラス分約50名)、面談室等
5F 教室、美術室、面談室等
6F パソコン教室、LL教室、仏語室、被服室、教室等
7F 音楽室、視聴覚室、図書館等
地下1F 体育室、ホール
体育館
食堂はない。原則として毎日お弁当。パン販売は行っている。
プールがない。したがって、水泳指導は行っていない。
掃除の徹底
1人3週間に1回30分程度の清掃当番。
授業と同じ扱いと考えている。
「自分の使う空間は自分で清掃」→身の回りへの気づかい。
躾について
校則はあるが、世間で言われているほど厳しく指導はしていない。ある程度、自主性に任せている。検査で厳しくチェックして厳罰に処したりはしていない。「品位を保つように」と指導している。
費用について
14年から15年にかけて、据え置き。
入学手続時納入
入学金    240,000円
施設維持費 156,000円
合計      396,000円
       4月納入   9月納入   1月納入   合 計
授業料   220,500円  176,400円  132,300円  529,200円
後援会費  30,000円   24,000円   18,000円  72,000円
合  計  250,500円  200,400円  150,300円  601,200円
上記以外に雙友会(生徒会)費 年額3,500円
入学後納入
制服(夏服・冬服) 65,000円位
体育着(上履き等) 35,000円位
教材費 50,000円位
夏期学校費 50,000円位
学債はないが、賛助寄付金 1口5万円 3口以上をお願いしている。(必ずしも、強制ではない。)

ビデオ上映(5分間)
共同募金、運動会、文化祭風景
入学試験関係
通学時間  普通の交通機関を使って90分以内(新幹線利用等は不可)
授業開始時間
夏時間 午前8時5分
冬時間 午前8時20分
ホームルーム修了3時頃であるが、クラブ活動などで原則下校時刻4時。
届けを出せば5時まで認められ、また、部の付くクラブ(上表参照)は、対外試合などの関係でさらに午後6時までが認められている。
家庭環境
入学時に両親のどちらかと同居が条件。
入学後、両親が転勤等で移動の場合、学籍は高校2年の3月まで確保。
この場合、簡単な試験有り。その結果で、高校2年を再履修か、3年再入学かを決定。

入学試験
4教科+体育実技+面接
体育実技・・・前後転、ドリブル、反復横とび、ボールパス等
注意力や、前向きな姿勢の有無を見る。
体育着、上履きが必要。
体育実技も面接も、入学試験で行うものなのだから、当然、合否の判定基準となる。
必要書類 「学習の記録」のコピー(B4版で)
前期・後期制の学校では前期のみ、3学期制の学校では1,2学期の分をコピー。
備考欄に志望利用を書かないこと。(多くの人が空白であるはず。)
定員は100名だが、110名前後発表で、補欠はなし。
合否は全員の教員で判定している

教育課程について・・教務主任 堀越先生
中学校教育課程
科 目     中一 中二 中三 
国 語     5   5   5
社 会     4   4   3
数 学     4   4   4
理 科     3   4   4
音 楽     2   1.5 1
美 術     2   1.5 1
保健体育   3   3   3
技術家庭   2   2   3
英 語     6   6   5.5
仏 語             2
宗 教     1   1   1
総合的学習  2   2   2 
特別活動   1   1   1
合 計    35  35  35.5
創立以来、宗教(必修)、語学を重んじている。
総合的学習のうち1時間は、中1・2では夏期学校関連、中3では広島修学旅行関連を、残り1時間は講演会、必修クラブ等。
週6日制。毎週土曜日(午前中)は普通授業を実施。クラブ活動、左記のカリキュラム、始業時間の関係から、週5日制に移行することはない。
高校2,3年から、選択授業の開始。
選択授業は文・理系選択ではなく、自主的に選択できる、いわばアラカルト形式。
2003年度入試に対する各科目の注意点
国語・・・新課程指導要領をもとにした漢字の出題。
文章を読みとる力、文章を味わう力、自分の言葉で表現する力を見る。
算数・・・新課程指導要領を重視。
計算は従来通り。途中式を見る。
社会・・・いくつかの分野を結びつける力が必要。
たとえば、歴史分野では単に知識の有無を問うのではなく、時代背景をもとに、その現象の因果関係の把握したり、地理分野では、グラフや表を読みとる力などを見る。
旧課程も重視。
理科・・・実験器具の取り扱いなどでは、方法、知識だけではなく、経験を重視したその内容や必要性を理解し、説明することを求める。与えられた条件で、記述させ、その論理性や、考察力を見る。新課程にはとらわれない幅広い出題範囲を考えている。
03年入試要項(説明会資料より抜粋)
2月1日 女子100名 4科 面接・体育実技
応募資格
1.小学校第6学年卒業見込み者。
2.入学後保護者と同居ができ、通学に要する時間が通常の交通機関を用いて1時間30分以内の者。
カトリック信者で、経済的理由により願書を躊躇しておられる方は、奨学金制度がありますから、事務室に手続きをお尋ね下さい。

感想
女子御三家にあっても、「進学校にあって進学校にあらず」という一種独特な雰囲気を醸し出した説明会。学校発表の進学実績を見ても、学部には一切拘らず、国立私立を分けたくらいの分類で、防衛医科大合格者も、学校案内には「東工大その他」の分類へ。雙葉での6年間、多感な少女時代を有意義に過ごし、将来、社会に役立つ人間として、キリスト教の教えのもと、「良き母、良き社会人、良き国際人」を目指す基礎を築くための学園でありたいとの校長先生のお話通りの姿勢であると感じられる。
受験勉強のみで、偏った知識を持つよりも、世間一般の常識と豊かで無理のない知識を持ち、そのことを基礎として、自分の力で考え、自分の言葉で表現できるような子供が求められているのであろう。
「合格最低点は?具体的な勉強方法は?」などの話は一切なく、各科目のワンポイントアドバイス程度(正味5分)で、「雙葉とは?」という話に終始した。これも、93年の歴史と実績に裏打ちされた自信であろう。
自分の考えを自分の言葉で自信を持って表現できる、しっかりした子、決して1教科のみに秀いで他教科が努力不足にならないような子が、雙葉にはピッタリなのではないか。
(報告 A.S)
http://www.futabagakuen-jh.ed.jp/

教育情報

教育基本法 基本理念に「愛国心」 初改正へ中間報告 中教審 
(毎日新聞 11月14日)
 教育基本法の見直しを検討してきた文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」(鳥居泰彦会長)は14日、同法の改正を求める中間報告を遠山敦子文科相に提出した。現行の教育基本法は「新時代を切り拓(ひら)く日本人」を育成する理念や原則が不十分だと指摘し、基本理念として公共心や道徳心、郷土や国を愛する心を盛り込むよう提言した。国民から意見を求め、来春をめどに答申をまとめる方針で、戦後教育の理念を支えてきた「教育の憲法」が、初の改正に向けて大きく踏み出す。
 教育基本法は国家主義的思想を含む教育勅語を否定し、民主的で平和的な社会を築く教育を実現するため、1947年に制定され、55年間、国の教育の理念的な柱となってきた。
 中間報告は、現在の日本で若者が夢や希望を持ちにくく、社会の構成員としての責任意識の欠如などが目立つと指摘。一方で、経済のグローバル化によって世界規模の競争が激化し、日本社会が危機に直面しているとの認識を示した。日本人の潜在力を呼び覚まし、自信を持って新時代に立ち向かう力を与えるため、教育にも根本的な改革が必要だとして、基本法の改正を求めた。
 新たな教育目標として「新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい日本人」の育成を掲げ、基本理念に「伝統、文化の尊重」「郷土や国を愛する心」を持つこと、「公共」に主体的に参画する意識、生涯学習社会の実現などを加えることを求めている。
 一方、「個人の尊厳」「真理と平和」「人格の完成」など、現行法の理念は尊重するとし、伝統、文化の尊重や国を愛する心も、国家至上主義や全体主義的なものでないとくぎを刺した。
 このほか、教員の使命感や責務、家庭の果たすべき役割や責任、学校・家庭・地域の連携協力について新たに規定することも求めた。
 また、「教育重視のメッセージを国民に伝え、説明責任を果たす」ため、政府が教育目標などを「教育振興基本計画」として策定するよう提言。これを基本法の中に位置づけるよう求めた。基本計画は計画期間を5年とし、いじめや校内暴力の半減や高校卒業段階で英語で日常会話ができることなど、具体的な政策目標を例示した。
 文科省と自民党は、教育基本法改正案を来年の通常国会に提出したい考えだが、公明党が慎重なため、与党内調整は難航も予想される。

関連記事
教育基本法 中教審報告こそ見直しを(毎日新聞 11月15日)
 中央教育審議会の中間報告は、教育基本法について、「見直しを行うべきであるとの意見が大勢を占めた」と集約した。しかし議論は未消化のままで、説得力に欠ける。何より問題なのはなぜ見直しが必要なのかが、依然はっきりしないことだ。
 教育基本法は、憲法とともに戦後教育の背骨となってきた。教育の理念を「法律」で定める例は世界でも少ないが、基本法には戦前の理念との決別を宣言する意味合いがあった。それを変えるのであれば、それなりの理由が要る。
 中間報告は、「子供はひ弱になり、将来の夢や目標を描けぬまま規範意識や学習意欲を低下させ、教育現場は、いじめ、不登校、学級崩壊など深刻な危機に直面している」と分析。「教育の在り方を根本にさかのぼって見直さなければならない」と述べる。
 その通りだが、この現状認識は教育改革の必要性には結びつくにしても、基本法改正の理由にはならない。教育の荒廃が、基本法に特定の規定があるために、あるいはないために起きているとの論証がないからだ。
 中間報告は基本法について「個人の尊厳」「真理と平和」「人格の完成」など憲法の精神にのっとった普遍的理念は大切にしつつ、「重要な教育の理念がなお不十分」だから見直しが必要とする。
 そして不十分なものとして「家庭の教育力の回復」「『公共』に関する国民共通の規範の再構築」「日本人のアイデンティティ―(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)の視点、国際性の視点」などを掲げる。
 しかし、基本法に規定がなければできないことは何もない。多くは随分前から取り組まれている。この1年の議論は広がりも深まりもしなかった。各委員の言いっぱなしに終わった印象が否めない。熱意に欠けた。
 なぜ改正なのか。自民党の麻生太郎政調会長は先日、「基本法には日本というものが抜け落ちている」と述べた。「日本国に対する忠誠心がどこにもない」(56年、清瀬一郎文相)など、制定直後から出ている改正論の眼目はその点にある。憲法改正を求める声と重なる論理であり、憲法、基本法が排除した理念の再評価を目指す、政治的、イデオロギー的な狙いが透けて見える。教育の現実から出てきた議論ではない。
 結局中教審も、古色蒼然(そうぜん)たる「初めに改正ありき」の政治的な思惑を引きずった。中間報告は当初「見直しを行うべきだとの結論に至った」との表現だったが、異論が出て「大勢を占めた」になった。生煮えのまま無理やり見直しの道筋を描いたように思われる。
 審議の過程で委員から、「政治が教育を作るのではなく、よき教育がよき政治を作る。古代ギリシャはここをはき違えて滅びた」という哲学者、故田中美知太郎氏の言葉の紹介があった。基本法は、教育の視点で考える問題であって政治が作るべきではない。「よき教育」のために取り組むべきことは、たくさんある。

教育基本法見直し・中間報告 わずか1年、議論不十分(毎日新聞 11月15日)
 ◇「愛国心」明記など、民意問わぬ文科省
 中央教育審議会は14日、戦後半世紀以上にわたって日本の民主的な教育の理念を支えてきた教育基本法の見直しを求めた。だが、審議期間はわずか1年。委員にも「議論が尽くされたとは言えない」と不満が強い。法改正は教育現場にどう影響するのか。「愛国心」などが盛り込まれるまでの審議の経過を追った。
 ◇疑問も出たが
 中教審は今回、見直しの視点として「伝統、文化の尊重」や「郷土や国を愛する心」の重視を挙げた。国際社会を生きるには日本人としてのアイデンティティーを固めることが必要で、国を愛することが同じ思いを持つ他国の人々を尊重することになるという理屈だ。
 教育基本法に愛国心などの視点が欠けているとの指摘は1950〜60年代からあった。当時の文相や自民党は再三、見直しを求めたが、憲法改正とセットで語られたため「戦前回帰」への懸念などから実現しなかった。
 しかし、左右のイデオロギー対立の時代が終わり、学級崩壊などで教育への危機感が高まったことなどから、故小渕恵三首相が発足させた「教育改革国民会議」が00年、「新時代にふさわしい教育基本法の見直し」を提言。遠山敦子文部科学相が昨年11月、中教審に見直しを諮問した。
 「愛国心」は今年3月、3回目の部会審議で明記されることになった。事務局作成の資料では「自国の伝統や文化を尊重する心」と表現されていたが、委員の一人が「『国を愛する心を育てる』と書いた方が良い。国をどう考えるかは人間としての基本。遠慮せず正面から書く時期にきている」と述べ、そのまま中間報告に入った。審議の終盤で「基本法に『国を愛せ』という徳目を入れることがなじむのか」と疑問も出たが、反映されなかった。
 ◇年明けに答申
中教審は、諮問からわずか1年で報告をまとめた。現在の委員の任期が切れる来年1月までに答申するためのスピード審議だった。
 「議論はしたが言いっ放しで、意見が集約されたとは言えない。文科省に都合のいいところだけ書いている」と部会委員を務めた市川昭午・国立学校財務センター名誉教授は振り返る。
 今年7月の部会では、黒田玲子委員(東京大教授)が「もっと若者や教員の意見を聞いた方がいい」と指摘し、賛同する意見が相次いだ。しかし、文科省は「時間的制約がある」と国民に広く意見を求めなかった。
 中間報告については、手紙やファクス、電子メールで意見を募集し、今月末から来月中旬、全国5カ所で公聴会を開く。有識者や教職員組合などからもヒアリングする。
 しかし、公聴会の参加申し込みはまだ100人程度。多様な意見が出ても、答申に反映されない恐れもある。
 ◇何が変わるか
 「国を愛する心」を持つことは、すでに小中学校の学習指導要領で道徳や社会科の目標になっている。学校では子供に奉仕体験を推奨することになっており、「公共」の意識を育てる活動も事実上始まっている。このため、法改正は実践の追認にすぎないという意見もあり、教育現場には「改正されても現場とは関係ない」と冷めた見方が強い。
 しかし、ある文科省幹部は「法律になれば、より国の意思が強くなる。日の丸・君が代も『強制ではない』とされながら、法制化後は学校で『指導しなければならないこと』になった」と別の見方をする。
 基本法に詳しい立正大の浪本勝年教授(教育政策)は「極端なことを言えば、校門に日の丸を掲げて毎朝礼をさせるということもあり得る」と懸念する。
 ◇教育勅語に近づく恐れ−−大田尭・東京大名誉教授(教育学)の話
 中間報告は日本の国益を守るために「愛国心」や「公共」を軸に国民を集中させようとしている。見直し推進派は、個人の尊厳を尊ぶ現行法が不都合なのだろう。性急に狭いナショナリズムに向かっていると思う。「愛国心」などは人の価値観にかかわることで、法に入れれば、人の価値観を支配した教育勅語に近づく恐れがある。
 ◇危険視する方が問題−−高橋史朗・明星大教授(教育学)の話
 戦後教育は個人の能力を伸ばすことばかり強調し、国民を育成する視点が足りなかった。両方を明記した中間報告は評価できる。「国を愛する心」の尊重も、国際社会の動きも押さえており、偏狭なナショナリズムにはつながらない。極端に「国を愛する心」を危険視する人の方が固定観念にとらわれているのではないか。 
 ◇日教組は「反対」
 日本教職員組合(日教組)は14日、「郷土や国を愛する心や伝統の尊重などは、個人の内面の自由に関することで法律に規定することは誤りだ」として、中教審の提出した中間報告に反対する見解を発表した。

埼玉県1 全県立校に自己評価システム
(毎日新聞 教育メール)
 埼玉県教委は、学校の教育活動を保護者や地域代表らが点検する「学校自己評価システム」の概要を固めた。来年度から1〜2年間、研究推進校で試行して評価方法などを検討し、2006年度までに全県立学校で導入する。
 埼玉県教委によると、各校校長が、保護者や地域代表、有識者らによる学校評価懇話会(仮称)を設置する。同会が年間教育計画に基づき、生徒・学習指導、家庭との連携などの分野で、各校独自の評価項目を設定する。目標達成度を評価し、評価結果は保護者や地域住民に公表し、結果を今後の学校運営に生かす。
 文部科学省は今年度から、小中学校設置基準の努力義務として「学校運営状況を自己点検・評価し、その結果の公表」を策定した。県教委は7月に検討委を設置して導入を議論してきた。すでに三重、福岡県は全県立学校で導入。同省初等中等教育企画課は「税金で運営されている公立校には、保護者や地域住民に説明責任がある」と話している。

埼玉県2 県立高特色化企画に校長からアイデア 埼玉
(毎日新聞 教育メール)
 埼玉県教委は来春、県に予算要求する「県立高校特色化企画事業」を具体化するにあたって、校長にプレゼンテーション(面接)させる手法を初めて導入。「生徒がインターネット上に商店を開く」(商業校)、「1年間、特定の芸術家を講師に招きたい」(芸術系校)――など、県立高全155校のうち55校から88件の提案が寄せられている。県教委は来年2月ごろ、認めたアイデアに対し、1校あたり数万〜数百万円を割り当てる方針だ。
 企画案は7月上旬までに寄せられた。現在、書類選考とプレゼンテーションが行われ、県教育局幹部を前に各校の校長が身ぶり手ぶりでPRしているという。「旧大宮市出身の宇宙飛行士、若田光一さんのような著名な技術者を講師に招く」などユニークな提案もあった。
 県立高校の予算は、学校の規模や生徒数に応じて県教育局が配分案を考えており、人件費や雑費以外の自由になる予算が少ないのが教育現場の悩みだった。高校教育課は「やる気のある学校には多く予算を割り当てる。競争で県立高校の活性化につながれば」と話している。
  県内では人口に応じた学校統廃合が十分に進んでいない。直近の高校進学希望調査では、県立高7校の普通科普通コースでも、競争率が0・29〜0・16倍と極めて低かった。
 文部科学省初等中等教育企画課によると、同様の取り組みは東京都、秋田県、高知県などで既に行われているという。

大学生の補習授業 4分の1の大学が高校授業の補習を実施
(毎日新聞 教育メール)
 全国の4年制大学の6割が学生の高校時代の履修状況を調べ、ほぼ4校に1校が高校の教科の補習を実施していることが、文部科学省の「大学における教育内容等の改革状況」調査で分かった。
 調査は、国公私立の663大学を対象に、昨年度の授業内容などを調べた。学生の高校での履修状況に配慮をしている大学は58%(386校)にのぼり、国立では82%(78校)、公立26%(19校)、私立58%(289校)だった。 
 高校の教科の補習も国立で63%(60校)、公立16%(12校)、私立20%(99校)が実施し、大学全体の実施率は26%(171校)だった。例えば、鳥取大は専門高校の出身者と履修を希望する学生を対象に教養基礎科目(英語、数学、物理学、化学、生物学)を開設。北海道薬科大は、学力不足の学生に数学や生物学などの演習授業を行っている。
 全体の13%にあたる89校は、大学の授業を理解するのに必要な教科を高校で勉強した既習の学生と、それ以外の未習の学生を分けて授業していた。高校教員と定期的に意見交換をしている大学も249校(38%)あった。
 一方、英語などの外国語による授業を実施しているのは256校(39%)。ボランティア活動を授業に取り入れているのは192校(29%)。学生による授業評価は513校(76%)が実施していた。広島大では、障害がある学生に対して授業のノート取りや図書館での文献探し、パンフレットの点訳など具体的な支援を教授らの指導で行っていた。

都立高で英才教育 目指せリーダー
(読売新聞 11月16日)
 東京都は15日、都立高3年生の中から50人を選抜して“英才教育”を行う「東京未来塾(仮称)」を2004年春に開設すると発表した。都では「日本の将来を担うリーダーを育成したい」としており、塾生は所属する高校に通いながら、第一線で活躍する社会人や大学教員などが行う特別講義を受ける。 
 卒業生には、望めば無試験で都立大の入学資格が与えられる。 
 塾生になると、平日の午後に週2回と、土曜や夏休みの計約100日間、塾に通うことになる。講義内容は、「クローン技術と生命倫理」「地震予知と都市防災」など、科学技術や都市問題などのテーマが予定され、各分野で活躍する社会人や有識者を講師に招く。塾での単位は、高校や都立大の単位に振り替えることもできる。 
 都立高は201校(全日制)で、3年生は約4万4000人。塾生の選抜方法は検討中だが、都では、成績優秀者のほかスポーツなど一芸に秀でた生徒も選ぶことにしている。 
 現在の都立大は都立科学技術大などと統合し、2005年4月に「新都立大」が誕生することになっている。 

青山学院大 共通教育システム「青山スタンダード」開始
 青山学院大学(東京都渋谷区)は来年4月、相模原キャンパスの開設に併せて新しい共通教育システム「青山スタンダード」を始める。学部・学科に関係なく、一定水準の技術・能力と一定範囲の知識・教養を持っていると社会的に評価される学生を、青山学院大学の卒業生として輩出することが目的だ。
 青山スタンダードのプログラムは「フレッシャーズセミナー」「コア科目」「テーマ別科目」の3つに大別される。「フレッシャーズセミナー」は、さまざまな学部の新入生が少人数クラスで学ぶゼミ形式の授業で、視野を広げ、自己表現能力を養う。 
 「コア科目」は教養科目と外国語、情報科目。1つのテーマを追って、複数の学部の教員がリレー式で講義する総合科目なども開講する。知識を増やすことを学習目的とせず、社会とそこに生きる人間、そして自分を探求・発見することを目指す。
 「テーマ別科目」では、これらの科目で学んだ教養や技能の発展とグレードアップを図る。今日的なトピックを多数取り入れながら、各学部・学科の専門領域へと有機的につなげ、壁や段差を作らずに、専門学習に移行できるような内容となっている。
 青山スタンダードは単なるカリキュラム改訂ではなく、科目評価のシステムや運営組織などを含め、全学にわたる抜本的な教育改革になるという。学問の広がりや大学で学ぶ面白さを理解し、体験する21世紀の大学教育を目指す新しい教育プログラムだ。

公開模試情報

四谷大塚11月 合不合判定(11月17日)
前年比12.4%の増加。首都圏だけでは12.0%の増加。男子の10.6%の増加に対して、女子は14.7%の増加。11月は前年比で日能研と首都圏模試が微増だったのに対して四谷大塚の参加者が増える。
          02年    01年     00年
男子 4科   8076    7173    7579
    2科    796     852     974
女子 4科   5657    4364    4722
    2科   1792    2133    2684
合計      16321   14522   15959

11月三模試合計
11月度の三模試合計では前年比5.5%の増加。男子は4.8%の増加。女子は6.3%の増加。
7月度の三模試合計は前年比4.1%の増加。9月度は前年比6.2%の増加。10月は前年比5.8%の増加だった。
          02年    01年     00年
男子 4科  20840   19364   19284
    2科   2757    3148    3434
女子 4科  15426   12885   12873
    2科   7016    8224    9473
合計      46039   43621   45064

その他

都立高校のカリキュラム 都立日比谷高と都立戸山高のカリキュラム
両校の説明会等で配布されたパンフレットより
日比谷高校 
 本校は、前期・後期の2期制をとっており、3大行事の体育大会、合唱祭、青陵祭はいずれも前期に行われ、後期は教科学習に集中します。
 年4回の定期考査、休業の時期は次のようになっています。(略)
 学校週5日制のもと、標準で年間授業日数は35週、週30時間ですが、本校においては39週、1日7時間制を採用し、週35時間の時間割を組んでいます。授業時数は、6時間制より週5時間、3年間通算で約5OO時間多くなります。
 授業の1単位時間は45分ですが、2・3時間目は連続90分授業になります。選択科目、問題演習の多い数学や理科、体育、芸術などの実習・実技科目でも90分授業を実施します。
 右の表(略)は1年生の時間割例です。8・9時間目は自由選択科目の「数学T特講・入試問題演習」(後期のみ1単位)を学ぶことができます。
 本校の教育課程は、生徒の将来を見すえ、基礎学力の充実を怠ることなく大学進学へも対応するものです。
〈教育課程の特徴〉
1・2年では、全教科を共通に学習します。3年では、進路希望に応じて、文類型か理類型かを選び、さらに科目を選択して学習します。
〈豊富な自由選択科目〉
各学年に生徒の興味・関心や進路希望等に応じ、自由に選択できる科目があります。
3年の午後の授業は、すべて自由選択科目です。大学受験科目や興味・関心等を考え選択します。
2年の自由選択科目には、通年で学習する講座と前・後期別にも学習できる講座があります。1年には、後期のみに自由選択講座があります。
〈到達目標別少人数多展開授業〉
 2年の数学の5単位では、生徒の到達日標(習熟度)に応じ、2クラスが3グループに分かれて学習します。各講座20人〜30人の少人数によるきめ細やかな指導を行います。

戸山高校
 戸山高校は、部活動やホームルーム活動を保証しつつ、最高の学習効果をあげることを目指して、カリキュラムを編成しました。戸山の伝統は、戸山が大好きで、授業も一生懸命、放課後も一生懸命な生徒と、そんな戸山生が大好きで、指導に情熟をもって臨む先生との信頼関係です。
 その伝続を維持しつつ、週5日制、新しい学習指導要領、大学入試改革などの時代の変化に対応したカリキュラムです。
 戸山高校の使命は、生徒に人間としての成長の場を数多く提供しつつ、目指す大学への進学を実現させることです。小・中・高の公立学校教育を先頭で支えるという責任を強く感じています。
く本質をつく授業〉
 「一流大学に進学するなら中高一貫の私立ヘ」という宣伝文句があります。しかし、戸山高校では、公立中学出身のたくさんの生徒が、毎年優れた進学実績をあげています。しかも、部活動・文化祭など、私立とは比較にならないほどの自主活動と両立させてのことです。そのわけは、戸山が学習の面白さを伝え、学習の本質をつく深みのある授業を続けているからです。これは今後も変わらぬ戸山の伝統なのです。
〈月〜金で50分の授業を週30時間〉
 週5日制でも、高校での学習内容は減らないし、大学入試のレベルも下がりません。だから、今年度も戸山は、今までの授業を45分に詰め込むのではなく、50分の丁寧な授業を行っています。
 また、戸山の生徒は、昼休みや放課後も実にアクティブで、先生に質問したり、部活動や委員会活動に走り回っています。こうした活動が戸山の生徒の人格を大きく成長させているのです。
 戸山の伝統であるこのような生徒の自主活動と学習活動とを両立させるために、1週間の内、ホームルームのある水曜日だけ7時間目を設置し、他の曜日は従来通リ6時間目までで、週30時間の授業を行っています。
 <生徒の信頼に応えるカリキュラム〉
 週5日制に対応して現1年生から新しくしたカリキュラムは、センタ一試験の科目増(5教科7科目)を想定し、すべての生徒の進学に充分対応するものです。新しい学習指導要領が適用される新入生のカリキュラムも、科目の名前は変わりますが、中身は、現1年生と同じものです。
 [基礎学カの充実]
 1・2年は、授業にしっかり参加していれぱ、充分な基礎学力が身につくカリキュラムになっています。1・2年の国・社・数・理・英の授業時間は週5日制になる前と同様に、充分確保されています。
 [2年生で選択科目]
 2年生では、日本史B、物理T、化学Tの中から、2科目を選んで履修します。これは、現1年生から本校でも初めて導入したもので、2年生までにいくつかの科目でセンター試験の範囲を終えておくのが望ましいからてす。1年生は、何を学ぶかは1月始めまでじっくり考えて決めます。
 また、希望者は、金曜日の7・8時間目にドイツ語、フランス語の授業をとることができます。
[3年での選択科目]
 3年では合計17単位が選択科日となり、50種ほど用意された開設講座の中から、3単位の科目を3講座、2単位の科目を4講座履修します。1・2年の学習内容の発展や課題研究、問題演習などの多彩な講座で、個々の興味・関心に応じて選べます。勿論、多方面の大学入試に対応しています。
 戸山のこの選択制度は、いわゆる文系理系分けとは全く別のシステムです。2年で取らなかった科目も3年の選択に「パックアップ講座」が用意されています。たとえば、理系のつもりで2年で物・化を取ってから文学部がいいと考え直しても、3年で日本史5単位をごく自然に取れるカリキュラムです。
(3年でも全員、毎日6時間の授業)
 戸山でぱ3年生になっても、自由選択(希望しなければ授業を受けずに帰ってよい時間)はありません。それは、第一に、授業を受けることを大切にしてほしいからであり、私たちはそれに報いる自信があるからです。第二に、クラスの仲間といる時間、文化祭などの活動を大切にしてほしいからです。3年進級時にクラス替えがないのも、持ち上がり担任のきめ細やかな進路指導を図ると同時に、クラスの活動を期待しているからてす。
〈総合釣な学習は選択授業の形式で〉
 戸山では、総合的な学習は3年生の選択講座です。各教科の選択講座と同様に、2単位講座を2つ選択履修します。内容は総合1から総合5まで大きく分けていますが、その中にもさらに内容の異なる講座がいくつもあります。語学や数学の演習講座、古典の講読講座、理科の課題研究など、従来から戸山にあった選択科目の中身を継承しながら、従来以上に個々の興味関心に対応して、広い視野を持った学習内容を生徒と教師の協カのもとで創りあげていくものてす。
<土曜日の活用>
 教師の土曜活用委員会と生徒の話し合いによって、土曜の活用が企画されています。今までに、自習室の開設、卒業生による最先端科学技術や弁護士の仕事の紹介、授業の補習、等々、色々な講座が開設されました。今後も様々な企画が可能です。土擢日に登校して何を学びたいか、あなた自身の意見で創りあげていくのが戸山の土曜日です。
<戸山は3学期制を続けます〉
 授業を大切にするのが戸山ですから、授業の成果を確認する定期考査も大切にします。夏休み前に学んだことは7月にテストし、正月の前に学んだことは12月にテストする。そして、自分の学習の成果はすぐ確認して次の学習につなげる。それが、戸山の他の進学重点校のように2学期をとらない理由です。

入試問題に挑戦第61回

<問題>
下の図の円の半径は5cm、四角形の頂点はずべて円周の12等分する点である。この四角形の面積は【  】平方cmである。(02年灘)

 

入試問題に挑戦第60回解答編
<問題>
 次の図のように同じ大きさの正方形の紙を2枚並べた図形があります。対角線ABの長さが10cmのとき、この正方形の紙1枚の面積は【  】平方cmです。(02年専大松戸)

<解答>
 下の図のように正方形を9個ならべて、ABを1辺とした正方形を書くと、この正方形は小さな正方形の面積の5倍にあたる。

  10×10÷5=20(平方cm)