NO.79
2002年 11月 5日
アクセス教育情報センター
目次
学校情報 |
教育情報 | 教育情報 | 公開模試情報 | その他 |
鴎友学園 | 公立高学区緩和 | 教育費負担 | 三模試志望者数前年対比(10月度) | 小柴昌俊さん |
学校情報
鴎友学園 学校説明会報告(02年10月21日)
タイムスケジュール
@10:30 学校長挨拶 校長:北野早苗先生
A10:55 教育と進路 教務主任:吉野明先生
B11:35 入試について 教頭:清水哲雄先生
1 挨拶−−学校長
『慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造と』の校訓のもと
中学1年は5〜6月に浅間追分山荘へクラス(40人)単位で合宿を行う。教員は4名が随行し、生徒と教員、生徒と生徒のふれあいを大切にしながら、お互いの関係を密にしていく。この合宿では、聖書講話の時間もある。鴎友はキリスト教を教育の基盤としているが、宗派にこだわるようなことはなく、自由にキリスト教の精神に触れることを通じて、他者を思いやるやさしさを育てている。 また、毎月その月に誕生日を迎える生徒を集めて校長主催の誕生会を開いたり、12月に全校でクリスマス会を行うなど、人と人との関わり合いを大切にしている。
『週5日制は当分実施しない』
集団の中で生活して行くには、人と関わっていく力を必要とするので、学校行事や委員会・クラブ活動を奨励し、集団の中での自分の役割を理解し、実践しながら個性を伸ばしている。そのため、生徒同士、生徒と教員の人間関係がとてもうまくいっている。ただ、行事等を大切にしていこうという方針から、時間が確保できないために「週5日制」は当分の間やらない方向で考えている。実際に、週5日制を3週間行ってみたところ、クラブ等の時間不足などを理由に、上級生を中心に多くの反対があった。
『生徒、家庭、学校の3人4脚』
教育には、自学自習をするものと他者から学び取るものがあり、後者については「学校」が最も適した場所である。教員は生徒の良い点を引き出すために教員間の研究を通じて指導力をたかめている。そして、常に信頼される学校であり続けたいので、これからも生徒、家庭、学校の3人4脚でいきたいと考えている。
2 教育と進路−−吉野先生
(1) アイデンティティの確立の援助
生まれた時から与えられた能力を「誠実」に伸ばすことにより「独自性」を養うことを横軸に、人と人との関わり合いの中で相手のことを考え、他人のために力をつくし、共に生きる力を育成すること、「慈愛」あふれる人となることを縦軸にして、この2つを併せたものが創造性(社会の中で一人ひとりが自分の能力を精一杯発揮し、自信と責任を持って生きていけるようになること)です。
独自性を引き出す指導
国語:表現学習、感性(物語的文章)−理性(説明的文章)
数学:自作問題集、複線的思考
英語:使える英語(読む、聞く、書く、話す)
→学問の伝達手段として、全員が基礎力を充実させる。
書道、音楽、美術:さまざまな表現
家庭:”生活者”の育成 ←→良妻賢母
体育:リトミックで身体性の育成
園芸:生命を育み、環境を考える
→知性と感性、精神性と身体性を身につける。
裾野の広い統合力で、トータルバランスのとれた人間を創造する。
(2) 学問への出発点
理科 生徒を研究者の立場に立たせる。
理科の実験を行うとき、危ないことはやらせない、先生がやるのを見ていなさいというようなことはなく、事前にレポートを提出させることで入念なチェックをした上で、危険なことも安全対策を十分とった上で、生徒に自ら実験させるようにしている。時には失敗するようなこともあるが、そのようなことも含めた体験を通して新しい発見をさせていくという姿勢は、将来の研究者・科学者の立場に立たせたいという鴎友の基本的な立場で、大学進学時に自然科学系への進学を希望する生徒が多くなっている。
高校でコース分けされる時には、理系3クラス、文系3クラスとほぼ平等になっている。
社会 テーマを決め、調べ、論文・レポートを書き、発表し、討論・ディベートをする。
社会では、現行の新学習指導要領による絵本のような教科書は使用せず、オリジナルのテキストを使用して、テーマを決めて、それについて調べ、レポートを書き、論文にまとめて発表・討論するという「知の技法」を実践している。株式購入のシュミレーション等を通して現代の社会の動きに興味を持たせ、社会科学系への志望も増えている。
(3) 社会性を引き出す指導
クラブ数37、中1の参加率99%
委員会・生徒会も活発な活動
校外学習: 中1 クラスごとに追分山荘
中2 3クラスずつスキー合宿
中3 今年から沖縄修学旅行
高1 学年全体で御殿場研修
高2 学年全体で関西修学旅行
クラブや委員会等に積極的に参加し、同年代や上級生、下級生、また先生などとも時にはぶつかり合いながらも、協力して一つの目的に向かって頑張るという経験を通して、自分の社会の中での位置づけや行動の仕方を学んでいくことができます。
このような時間を大切にしたい、委員会や行事も含めて放課後の生徒の活動時間を確保するためにも、週5日制を導入するのは難しいと考えている。
ホームルーム 中1 自分レポート/環境
中2 福祉/ボランティア体験
中3 進路・職業/職場訪問
高1 国際/適性検査
高2 学部・学科/大学訪問
高3 大学入試に向けて勉強
一人ひとりに将来の夢を描かせ、それを実現するために努力するという姿勢を作り出していける。
(4) 大学合格状況
早慶上智国公立大への合格者数
1991年 32名
1992年 44名
1993年 42名
1994年 59名
1995年 89名
1996年 88名
1997年 113名
1998年 106名
1999年 107名
2000年 174名→この年の生徒から中1募集時に、2科から4科へ一部変更
2001年 170名
2002年 →この年から、4科入試がメインに … (期待大)
進路状況
国公立が18%を越えた反面、浪人も25%になった。ただ、浪人の多くはチャレンジ浪人で、いずれかの大学には合格したものの、より上位を目指して浪人している状態。
系統別では、社会35%、人文19%、自然36%、総合16%とバランスがとれている。
指定校推薦校
国際基督教大学教養学部、上智大学文学部or国語学部、早稲田大学第一文学部、早稲田大学商学部、慶應義塾大学商学部、東京理科大学理工学部他、全体で100名以上の枠があるが、実際に利用するのは5〜6校のみで、あとはみな国公立を中心とした一般入試にチャレンジしている。
(5) 2002年問題
新学習指導要領は学力崩壊につながる。特に教科書は最悪であり、鴎友ではオリジナルのテキストを多く使用していく。入学段階(入口)での生徒の学力低下に対して、大学進学(出口)では5教科7科目や理科3科目等の多くのが課せられるため、このギャップを埋める必要がある。そして、鴎友の教育理念を実践していくことを考える上で、できるだけ週6日制を維持し、現行カリキュラム・シラバスを維持していく。また、入試問題に於いても、現行のレベルを維持し続けることで、鴎友の教育の質を維持していく。
(6) 2003年新カリキュラム
中学−−基礎力の充実(入口対策)
中1 数学+1時間
中2 数学+1時間、英語+1時間
中3 国語+1時間
高校−−合格力の向上(出口対策)
高3 選択枠 5→7 …理科3教科への対応
補習授業枠の新設 …予備校等へ行く必要がなくなる
3 入試について−−清水先生
2002年度入試結果一覧(抜粋)
1次 2次 3次
応募者数 263 561 678
受験者数 238 469 265
欠席者数 35 92 413
合格者数 68 313 119
実質倍率 3.4 1.5 2.2
入学者数 49 127 66
合格最低点 256 229 249
合格平均点 273.2 265.3 275.6
各年度とも、応募者数1500人→受験者数1000人→合格者数500人という数字になっている。
実際の入学者は250人位なので、合格者数のほぼ半数、標準的な数字。
合格最低点は、240点位になるが、1次はやや高め。
また、4科の合計で合格を判定するが、各科目ごとに科目の平均点を60点に換算して、30点未満の得 点が1科目でもある場合は×にする。ただ、近年これに該当した例はない。
2003年度入試問題について
国語
説明文+物語文+漢字
説明文(理性)…一貫した論理をもって組み立てられたやや短めの文章
物語文(感性)…文学的文章。人の気持ちを理解できるか?
漢字 …問題の最後に配置。5〜6問、10点前後。 → 必ずやるように!
算数
比・比例・割合+図形+新しい法則
(1)途中式の記述…1ページに1問ずつで、途中過程に加点していく。
(2)比と割合 …合格者と不合格者の差が出るのが「比・割合」。
(3)最後の問題まで…問題数が少ない上に、途中点もつくので、諦めずに全部やる。
(4)読解力と分析力
社会・理科
社会は地理・歴史・公民から1題ずつ、理科は物理・化学・生物・地学からバランスよく出題。
カラー印刷の問題を続ける。
日常生活の中の疑問点を追求。
時事問題の背景(なぜ・どうして)
情報を自分で整理し、解決して表現する能力…記述・論述問題が多く、自分の言葉で書く。
2003年入試概要
1次 2月1日 女子 80名 4科
2次 2月2日 女子110名 4科
3次 2月4日 女子 30名 4科
受験料は1回受験25,000円、2回受験40,000円、3回受験55,000円(予定)
変更点
・各試験ごとの募集人員
・報告書または通知表のコピー → 自己申告書
・発表は当日深夜11時(12時)。ただし、掲示のみ翌日7時。
・手続締切は、3回とも2月14日(金)
・入学説明会を2月8日と15日の2回実施。参加はどちらでも可。
・設備費納入は手続き後、また辞退者には入学金全額返金する。
2003年入試対策説明会等日程(今後のみ)
2002年11月1日(金) 10:30〜12:00 学校説明会(保護者対象)
2002年12月7日(土) 14:00〜15:30 学校説明会(保護者+受験生対象)
2003年1月11日(土) 14:00〜3回 入試直前体験(6年生対象)
その他の情報
算数の問題添削
2002年度の入試問題に限り、レポート用紙に答案を作成し、返信用封筒に切手を貼ったものを同封して、鴎友学園数学科宛に送ると、添削をしてもらえる。
入学後の転学
入学後に保護者の転勤等で、転学した場合は復学可能。詳細は要相談。
<雑感>
激しい雨の中、ホールの1、2階と隣の学習室が満員で、ホールの通路に椅子を追加で並べなければならない程の盛況ぶり。説明会の進行も、最近はやりのパワーポイントを使用しているが、早くから導入していることもあって、華美なところもなくわかりやすい出来だった。2月1日→2日→1日と入試日を移す「バイパス作戦」の成果で、今年もかなりの受験生を集めそう。理系に力を注ぐ教育内容は、桜蔭等の上位校の併願校としても十分な位置づけを確立しつつある。常に新しいことに挑戦し続けている先生方の姿勢は、この後のさらなる発展を期待させてくれる。
ただ、説明会全体の構成としては、前置き(宣伝)がやや長い気がする。前半で時間が押して、後半を割愛するようなところがあったが、2003年度入試についての時間をもっと確保して、じっくり聞かせて欲しかった。
また、国語の入試問題について、「漢字は最後にありますが、合否を左右する大切なところなので、必ずやるように注意してください」という話しがあったが、わざわざその様な言い方をするならば、漢字の問題を始めに持ってくれば良いのではないか?という疑問を持ったのは私だけだろうか。
(報告 A.Or)
http://www.ohyu.ed.jp/
京華女子 校長インタビュー
(全私学新聞 10月23日)
京華女子中学校・高等学校(廣瀬和昭校長、東京都文京区)は百余年前、創立者磯江潤氏によって、西欧文化を見据えた質の高い教育を志して創立された。その精神は現在も受け継がれているが、廣瀬校長は「基本的には生徒一人ひとりの持ち味を発揮できるような人格教育を目指しています。女子生徒を育てるにはどんな教育がふさわしいかを常に考えています」と説明する。教育方針は「二十一世紀に活躍できる自立した女性の育成」だ。同校が目指す「自立」には、「女性が一生を送るとき、職業観を十代のころから持っていると、生きていく中でふりかかる様々な苦難にも、しっかり立ち向かっていける勇気と自信が身に付く」という意味が込められている。この考えは同校の教育カリキュラムのきめ細かい生徒指導に生かされている。生徒会活動では、つとめて生徒の自主性に任せて、決めている。教職員は一歩引いて、ヒントを与え、フォローするだけだ。生徒は悩んだリ、失敗をしたりするが、この過程が大切だ。
「例えば、球技大会の打ち合わせでも生徒たちは議論し、お互いの役割を調整しています。大会が終われば苦労しながら達成できた感動が大きくなるのです。責任感、信頼感が生徒同士、生徒と教職員の間で出来上がるのです」
学校、生徒そして家庭の三位一体重視は「家庭学習報告書」「交換ノート」によく表れている。
「家庭学習報告書」は家庭学習の時間、内容、方法などを自分なりに反省し、担任とのコミュニケーションを図るために記入は毎日実施されている。「交換ノート」は生徒たちが考えていること、興味、自分自身の悩みなどを担任と考えるために行われている。勉強の動機付けをしっかりさせることが、将来の職業観を植えつけるために必要との認識のもとに、「キャリアプランニング」は女性としての生き方、将来の職業について考えさせる目的で、卒業生を本校に呼んで講演を聴く機会を設けている。
「教員は教える立場であっても生徒たちから学ぶところが大きい。生徒は日々成長していますので、教員が様々な工夫をしていかなければ生徒が納得できるような指導はできません。重要なことは一人一人の生徒が考えていることをわれわれが共有することで、指導の判断が的確にできるようになります」と、廣瀬校長は生徒一人ひとりの考えを大切にする。
http://www.keika-g.ed.jp/
公文国際中等部 学校説明会報告書(02年10月25日)
午前10時開始だが、すでに午前9時20分の段階からバス停には学校説明会参加者の列ができている。数分後シャトルバス(通常はスクールバスとされるものらしい)が到着、約6分で学校に到着。公文公(くもんとおる)の銅像が学校の正面にある。それを横目に正面玄関から入り、案内に従って二階のホール(320名収容)へ。正面にはビデオプロジェクター。時間があるので、洗面所に立つ。来客用トイレは、高等部のものが使用されており、非公式ながら道すがら高等部の授業を垣間見ることができた。制服はなく、私服の子どもたちの授業態度はなかなか熱心。黒板ではなくホワイトボードを前に教師が熱心に授業を展開。高校生だが、私語はほとんどないようだ。
10時ちょうどに石黒副校長が壇上にあがり、説明会開始。以下、概要を記す。
(1)説明会次第
1 ビデオ上映
2 学校長挨拶
3 国語・算数の入試問題傾向
4 推薦入試に関して
5 一般入試の補足
(2) 小山校長挨拶
公文公の遺志を継ぎ、以下の二点に重点を置き、学校教育の柱としている。
1「自由」という校風
我が校の考える自由とは、まさに子どもたちそのもの伸びやかさ、そして考える上での発想の柔軟さや可能性のことであり、気ままさやわがままなことではない。こういった「自由」の本質を守ること真の校風として根付けば、「〜しなくてはいけない」「〜してはいけない」という規制の必要はなくなる。これは保護者・教員の共通の願いであり、授業、クラブ活動、委員会活動、寮生活といった実践の場を通して培われるものだ。
2 国際社会に生きる人材育成をめざして
「国際」の名を冠しているように、本校には多数(6人にひとり)の異文化体験のある帰国生や外国籍のある生徒が在籍している。将来の国際社会での対応には、多種多様なちがいの中に生きる姿勢が必要だ。よって、互いに学び、理解し合い、許し合う心の育成が目標となる。そのためにはまずことばが大切になる。指揮者の小澤征彌は「ことばができなくて、何が国際理解か」といっているが、まさにその通りである。本校では7人のネイティブ教員が指導に当たっており、本年、日本初の高校生による模擬国連(オランダ・ハーグで開催。ディベートを行う。)参加も決まった。また、調べ、まとめる「表現する力」への取り組みの集大成がきたる11月2,3日に開催の「表現祭」(文化祭)である。「情報教育」は文部科学省の推進するIT教育の流れもふまえて、情報環境の整備と個別化学習に取り組んでいる。来年、設立10周年の寄付(入学後のもの、事前ではない)をお願いすることになるが、それを活用していきたいと考えている。
本校は男子寮・女子寮を有しており、正規寄宿生のほか、中学一年生にも4ヶ月間の寮体験を課している。収容人数に制限があるので、4月生と9月生に分かれるが、この寮生活を通して、友達の輪を深め、親の子離れを促すことで、子どもたちを本質的な意味で自立させることを助長している。
授業は1コマ70分で毎日英語がある。時間割は2パターンあり、A週とB週という具合に週ごとに組み替えていく。また、授業の発展として個別学習がある。朝は7時30分から学習が可能だが、公文式の学習は放課後。中学1〜2年の数学は必修(無料)。場合によっては中3まで学習させる場合もある。
進路は、子どもたちの多様さを反映しているように思う。学力低下が喧伝されているが、重要なのは、先生から生徒が何を学ぶかであり、生徒が毎日学校へ来たくなる学校づくりが教師の大切な仕事だ。
(3)入試問題傾向について
(国語)
出題の基本的な方針
「自国の文化を大切にする=ことばを大切にする」というコンセプトで、日本語の「知識」「理解」「表現」の力を入試問題で問う。中1から古典(俳句や百人一首)の音読を取り入れるなどの先取り学習を行うが、入試の問題では受験生が答えられないような難問・奇問を出題することはない。漢字なども小学校で学習する1006字の中から出題する。
出題の基本的な内容
2003年度の入試より出題の形式を変更
長文読解問題は、「説明的文章」と「文学的文章」の二問(昨年までは韻文の大問を含んで三題だった)へ。大問一題の文章の長さが長くなったり、記述の量が増えたりするかもしれないが、作問方針に変わりはなし。説明的文章・文学的文章ともに、過去の問題などを参考にしてほしい。問題全体の長さは約7000〜8000字。
「知識」「理解」「表現」について
「知識」=語彙力。具体的には、漢字・慣用句・ことわざなどの知識。語彙力は、「理解」・「表現」の上でも基礎基本になってくるもの。確かな語彙を、豊かに持つことをこころがけてほしい。小学校時代に習った言葉の復習をしてほしい。
「理解」=読解力。具体的には、たとえば、小説中の主人公の心情や説明文で筆者の主張の根拠などを読み解く力。文章を注意深く丹念に読む練習をしてほしい。
「表現」=記述力。具体的には、文章を要約したり、筆者の主張や主人公の心情などを自分の言葉で書くことができる力。(ディベートも含む。)
(学校より参考問題)
こういう問題が当日必ず出題されるということではなく、こういうことを考えるのが好きな人は、公文国際学園に向いているという趣旨。公文国際学園としてもこのようなことを考える人を好ましいとのこと。(『あべこべの論理』(増原良彦著)所収、朝日新聞「青鉛筆」というコラムからの引用部分より。)
「船だ」「いや、船でない」。奈良市の奈良ドリームランドにある「遊覧船」をめぐって、奈良署と運輸省船舶局の間に、珍妙な論争が起きている。
問題の乗り物は明治時代の北大練習船を八分の五の大きさに復元した「おしょろ丸」。エンジンでスクリューを回し、水深2.5メートルの池の中を動くが、底に敷かれたレール上を走る仕組みになっている。5月18目にレールから脱線、船体が傾いて乗客二人が軽いけがをする事故があったことから、どういう法的規制を加えるかが議論になった。
これまでは船舶安全法など船に関する法の適用を除外されており、運転免許も救命具の設置義務もなかったが、「 A 」と奈良署。これに対し、運輸省船舶局は「 B 」と主張している。
問 文中の空欄部分にはそれぞれどのような主張が適当であるか、答えなさい。
「……だから立派な船だ」あるいは「……だから船ではない」という形で答えなさい。
(問いの答え)
A「転覆や浸水の恐れもあるから立派な船だ」
(奈良署は「これまでは船舶安全法など船に関する法の適用を除外されており、運転免許も救命具の設置義務もなかった」のに、つまり「船に関する法の適用を除外」されているから、いままでは「船」ではなかったはずなのに「船」だ、と言っている。理由は「転覆」や「浸水」があるから。)
B「自由に航路をとれないから船ではない」
(「レールの上を走る物は鉄道の一種であって、自由に動ける船とは見なされない」という理屈。)
(算数)
算数・数学は一見抽象的な世界に思えるかもしれないが、心を豊かにすることが発想の原点。自然から見て取れる思考力が大切だと考えている。だが、算数は受験生にとって大変な努力と、毎日の学習習慣が要求される科目。中学受験に対して、塾通いをして一生懸命努力し、受験に臨む社会的環境も生じている。このような状況て苦しくても毎日努力を積み重ねている生徒・保護者の皆様の「熱い思い」を厳粛に受け止め、また、このような毎日の努力に対して、できる限りその努力に応えたいと数学科は考え、中学受験の作問には最大限の注意を払っている。
出題の基本的な方針
難問・奇問は出題しない。生徒が、学校・塾・問題集・参考書による家庭学習などで一度は見かけた、または、見慣れた素材を基にいろいろな角度・視点から独自の作問を心がける。素材は見慣れているが新しい観点から作問を工夫する。
問題レベル
全体を通して、常に易からやや難ヘ、また各問題も易からやや難へのなだらかな配列を守り、途中で難間を配列し、試験中に生徒の心を乱すことはしない。
出題の基本的な内容
1998年度より、問題は大きく分けてA・Bの2つの問題に分類。
A問題は、〔1〕計算問題・単位の換算など。〔2〕いわゆる一行問題と呼ばれる文章題。
B問題は、〔l〕〔2〕〔3〕の大問題3題でここでは、割合・面積・体積・速さ・グラフ・規則性・場合の数など、考え方を重視する問題を出題。〔3〕の1つの小問は記述式。この問題の内容は2001年度以降の問題を参照。
出題全体を通して
正確な計算力とスピードは必要。計算が小学校で学習完結していないのは、状況として「気持ちが悪い」。学ぶべき年齢というのがある。(ただし、子供に個性があるので出遅れた子には公文式で対応する)あまり高度な予備の知識を必要とせず、出来るだけその場で考えられるような問題を心がける。これは受験の時点では、高い知識を必要せず、入学してから真面目にコツコツ努力し、6年間かけて、学力に関しては高度で膨大な知識を身につけ、自分の望む世界へ飛躍して欲しいというものの考え方に立って出題しているから。
2003年度の中学入試の作間方針に変更はなし。1998年度以降の問題を参照。試験問題は小問の数でいうと、若干多めかも知れないが、中1から数学は先取り授業を行うため、その授業について行けるかどうかを意識し、出題している。
(4)推薦入試について
公文国際学園は、さまざまな個性を持った子どもたちに門戸を開きたい。推薦入試は中学版AO入試というふうに位置づけている。1・2・3・4の総合評価で合否を決定する。ただし、3・4には基準点がある。
1 自己推薦書(受験生本人が書く。資格等の客観的な証明が必要。)
自己推薦書(本校所定の様式に記載)の代表例
@中学もしくは高校の数学・英語・国語の課程修了書を添付(学習塾本部(公文教育研究所)の認定書)
A進学塾の3回分以上の2教科または4教科の公開模擬試験結果(小6秋以降の実績)
B英検 準1級・2級・準2級・3級の認定書添付(但し、3級は他の推薦項目も添付)
1級 準1級 2級 準2級 3級 合計 全体
受験者 1(0) 1(1) 11(5) 10(5) 30(14) 53(25) 147(71)
合格者 1(0) 1(1) 7(5) 4(1) 26(12) 39(19) 91(46)
合格率 100% 100% 64% 40% 87% 74% 62%
( )内は内数で女子を表す。2002年推薦入試実績
Cその他、副次的に参考とする事項
・県レベル以上の音楽、美術、作文、スポーツ等に関する活躍の状況
@の認定書については、2科目以上の中学課程修了認定で合格者は5割程度。Aについて、めやすの偏差値は四谷大塚、日能研で二科目62程度、首都圏模試で66程度。三大模試の取り合わせで三回分の提出も可。B英検に関して、準二級や二級よりも三級の合格率が高いのは、英検だけではなく他の推薦項目もウエイトが高かったことによる。
2 小学校の通知表(あゆみ)写し
自己推薦書と学校の通知表写しは、出願書類として入学願書に同封して提出する。
3 作文
制限字数501字以上600字以内(98年迄は401字以上800字以内)で、制限時間30分間。この10年間の作文テーマは以下の通り。
2002年 「家族旅行について」「都市の自然のあり方について」の2テーマから選択して記述する。(参考資料の添付あり)
2001年 「21世紀の中国について」「地球温暖化について」の2テーマから選択して記述する。(参考資料の添付あり)
2000年 「戦争」「冷戦以降の民族紛争と難民」「科学技術の発達」の3テーマから1つを選択し記述する。(参考写真あり)
1999年 「大自然の営みと人間の痛み」(阪神・淡路大震災2枚の報道写真を見て記述)
1998年 「あなたは、学校を卒業して社会に出たとき、どのような職業について、どのような生き方をする大人になりたいと思いますか。あなたの夢や考えを、その職業を選んだ理由とともに、できるだけ具体的に書いてくだざい。」
1997年 「今の自分で一番好きな点をできるだけ具体的に答えて下さい。その上で、中学校生活でそれをどのように生かしていきたいと思いますか。」
1996年 「小学校時代に、あなたに感動、または勇気を与えてくれた人、出来事を一つあげて、そのことについて、あなたの意見や考えをできるだけ具体的に書きなさい」
1995年 「これからの中学生活について」
1994年 「最近のできごとで印象に残ったこと」
1993年 「地球で今いちばん人間が大切にしなければならないこと」「あなたか、21世紀の国際社会で活躍するために必要だと思うこと」の2課題から一つ選択
4 面接 保護者1名と生徒が同席する個別面接で時間は約15分。作文と面接は入学試験日(2月1日)に実施。
(5)一般入試について
2002年一般入試結果
@得点平均
上段がA日程、下段がB日程のデータ
全受験者 合格者 全受験者 合格者 全受験者 合格者
国語 国語 算数 算数 合計 合計
日本人生徒 54.5 68.3 56.9 70.3 111.4 138.6
52.1 63.4 48.3 58.1 100.4 121.5
海外帰国生徒 44.0 55.0 66.5 76.0 110.5 131.0
45.0 46.0 91.0
外国人生徒
39.5 46.0 50.0 66.0 89.5 112.0
52.3 53.5 50.0 57.5 102.3 111.0
A合格者最高点・最低点
国語 算数 合計点
最高 最低 最高 最低 最高 最低
日本人生徒 90 46 87 55 162 127
83 47 77 45 146 112
海外帰国生徒 55 55 76 76 131 131
外国人生徒 61 61 66 66 127 127
57 53 64 55 117 112
*上段がA日程、下段がB日程のデータ。
*海外帰国生徒は、二年以上の海外滞在で、小学校6年生3月時点で帰国2年未満の生徒。外国人生徒は、外国籍で、日本語環境の学習が可能な生徒。いずれも、合格点に配慮(一般生徒よりも約10点低い)
B2教科基準点
A日程 国語 45点 算数 54点
B日程 国語 45点 算数 44点
*補欠、繰り上げはなし。
C辞退者の進学先(51名)
慶応湘南藤沢7名 フェリス8名 慶応普通部2名 慶応中等部l名 麻布3名 栄光4名 桜蔭2名 聖光4名 横浜共立1名 学芸大世田谷1名 その他18名
(6)寮に関して
校長の話にもあったとおり、公文国際では正規寮生以外に中学1年で四ヶ月間の体験入寮生活が行われる。今回の説明会では、校内案内以外に寮の案内もあった。
生活と健康管理
学園敷地内にある男子寮は「槐(えんじゅ)」、女子寮は「こすずめ」。寮内は清潔。中学の間は一部屋の広さが約15〜20平方メートルほどで二段ベッドが二組と机の入った四人部屋で過ごす。対人スキルを学ぶためにね半年に一度部屋替えを行う。高校生からは個室。TVと冷蔵庫は共有スペース(ラウンジなど)にある。食事は三食とも食堂を利用でき(朝夕二食で月額は14000円)、バランスのよいメニューが用意されている。毎日曜日にリネン交換が行われ、洗濯物は外部へ出すが、慣れてくると自分でする生徒もいるとのこと。コンビニ程度のものが買えたり、宅急便の取り次ぎが行える売店もある。常勤カウンセラー・医務室(看護婦または養護教員が常勤)もある。中3までは自己評価や抱負、寮スタッフからのメッセージが記された「寮カルテ」が年2回保護者に送付される。寮の運営には生徒も委員会という形で参加しており、共有スペースの使い方やルールなどを寮スタッフとともに決めていくという。ちなみに、土日の外出は可能。金曜の夜から日曜日にかけて帰省することも可能。
学習支援
放課後には学習タイムというスケジュールが設けられ、卒業生の大学生(東大・東工大・慶應・早稲田が中心)がフォローとアドバイスを行ってくれる。また、高2〜3年を対象に希望者を集めて「講座」を実施もする。中1の学習タイムは学校の教室で教員もアドバイザーとして加わり、自学自習のスキルアップの援助を行っている。
(雑感)
気持ちの行き届いた説明会だったというのが、感想である。ビデオはわかりやすい。寮の説明にしても、もっとも心配な女の子の生活を中心にスポットを当て、あえて寮母ではなく、若い大学生(卒業生・寮生活経験者)をアルバイトスタッフにして、寮長がきちんと監督するという点も安心感を抱いた。公文式は10年前には中心カリキュラムだったような気がするが、今回の説明会では、自宅・自習のサブ教材の位置づけであった。たしかに、新中学問題集などをひたすら課すよりも体系的に整備された公文式で中2までの代数などを学習できるのはおもしろいと思う。そして、今回なによりもいいと思ったのは校長と数学の先生のお話に、学校はシステムではなくて人間が人間に関わる場所であるという考えが直接表れていたことだ。演者の先生方それぞれに人間味があふれていて、予定時間よりオーバーはしたものの、個人的には時間の長さを感じなかった。校内見学の際、70分の授業の終わった生徒たちが思い思いに休憩時間を楽しんでいたが、中には金髪に染めた子もいる。だが、そういった外見の子供特有のつっけんどんさはなく、きちんと挨拶もできる。インターナショナルスクールを連想させるリベラリズムが子どもたちの間にも、土足で活動するために土埃のたまっている廊下にも流れている。書きながら、少し持ちあげすぎの感は抱くが、倍率をうかがうとその感想もまんざらズレてもいないのかなとは思う。
(報告 A.Og)
http://www.kumon.ac.jp/
東京の私学16
山脇学園中高 「健全な人格育成」理念に
中高一貫の女子校で、来年は創立100年。創立者の山脇玄は貴族院本会議で、婦人参政権付与の提案演説を行ったことで知られ、女性の自立・社会的地位の向上を教育目標に掲げてきた。
「健全な人格の育成」を最大の理念に、しつけなどの生徒指導に力を入れる。車の両輪として進路指導も充実させ、来年度からは高1の時点で文系、理系に分けて授業をする。高2から進路を分ける進学校が多いが、折原修教頭は「中学での進路指導を充実させることで可能になると判断した」と語る。
差のつきやすい数学と英語の授業は、習熟度別に少人数クラスで教えるなど、きめ細かい対応も特徴。
84年から「学校6日・教科5日制」を先取りし、土曜日には「土曜講座」を用意している。中学生が将来の進路の参考にするため法学入門講義、経済入門講義などを受講できるほか、「生物学への招待」なども。高校生には難関大を目指すための「特訓ゼミ」が用意されている。
6年間を通じてダンスの授業があり、中1で基本的なステップを学び、中2からは創作ダンスに取り組む。板橋区内に農場を保有しており、中1は土曜日などを利用してサツマイモの栽培・収穫に歓声を上げる。中学の石原雅子教務部長は「6年かけて女性らしい感性を磨きたい」と話す。
ここが自慢−−「お琴」の授業 中1全員が週1回、琴の授業を受け、年度末にクラスごとに発表会がある。ほとんどの生徒にとって琴は初めての体験だが、1年間で基本を身につける。成績はつけず、礼法、華道の授業と併せて礼儀などを学ぶ。
ホームページアドレス
http://www.yamawaki.ed.jp/
※高校の募集なし
立教池袋中高 選択授業も延べ80講座
赤レンガを壁面に埋め込んだ新校舎が、訪問者を静かに迎え入れてくれる。戦後に立教中高となり、その後、高校は埼玉県新座市に移転。2000年4月、立教中は、立教池袋中高として新たな教育に取り組むスタートを切った。中島博校長は「学校行事一つでも教師と生徒が話し合い、新しく学校を共に作り出そうと、力を合わせている」と話す。
1874年、米聖公会の宣教師、ウィリアムズ氏の私塾として始まり、1896年に立教中が誕生した。現在は中学生397人、高校383人が学ぶ中高一貫の男子校だ。
「生き方にテーマを持った人間の育成」を教育目標に掲げ、多様な学習を進める。中1から選択授業が始まり、各国の歌をその国の言語で歌ったり、聖書を学んだりできるなど、延べ80講座が用意される。
大学との連携にも積極的に取り組む。高1では大学教授らを学校に招き、それぞれの高校時代の思い出などを話してもらうことで、生徒は将来の進路選択への動機付けを得るという。
大学での聴講も可能で、今年度からは、高3で大学の講義を受け修了した場合、高校と大学の履修単位として認定することになった。
中島校長は「高校生でも、それなりの成績を修めているようで、他の大学生への刺激にもなっているそうだ」と話す。
ここが自慢−−タイムカプセル 1894年に校内に埋められたタイムカプセルが、1999年に解体中の旧校舎の礎石部分から発見され、成績表や論文なども見つかった。現在の中学生が新しくタイムカプセルを埋め、未来への思いを託している。
ホームページアドレス
http://www.rikkyo.ne.jp/grp/ike/
※高校の募集なし
立教女学院中高 自己表現できる生徒に
正門を入ると、大きく成長した木々や、赤レンガ色の屋根の校舎が視界に入る。1930年に建てられた高校校舎に一歩足を踏み入れると、静粛さに包まれ、都会のけん騒を忘れさせるようだ。
米聖公会の宣教師、ウィリアムズ氏が、1877年に日本の女子の教育に取り組むために設立した学校。現在は中学生538人、高校生514人が学ぶ。
キリスト教に基づく人間教育に取り組み、学校の朝は、生徒が礼拝堂などで祈りをささげることから始まる。卒業式には高2、高3が合唱曲を歌い、クリスマスには中学生がグロリア、高校生がメサイアを合唱している。
ボランティア活動は特に盛んで、学校と縁のある病院での体験ボランティアは毎夏、約200人近い生徒が取り組む。
古くは、1891年の中部地方を襲った濃尾大地震で、同校の教師だった石井亮一さん(後に日本初の知的障害者施設「滝乃川学園」を創設)とともに生徒が被災者を支援。また、1995年の阪神大震災では、3年生有志が活動した。
2000年度から総合学習に相当する「ARE学習」に挑戦している。その総まとめとして、高3は卒論を書く。
杉山修一校長は「自分で問題を明確にしながら、自己表現できる生徒の育成に取り組んでいる」と話している。
ここが自慢−−私服登校 制服がないので、生徒は自分の意志で決めることができる。生徒会でも、服装全体に関する大まかな決まりは作る。実際は、シャツにプリーツスカートなどの定番に落ちつく。卒業式には、少しドレスアップするという。
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http://www.rikkyo.ne.jp/grp/jogakuin/
※高校の募集はなし
立正中高 習熟度別クラス編成も
行動に優れ、勉学にも積極的な情熱を注ぐ。立正中高(大江恒雄校長)は日蓮聖人が説く「行学の二道」を教育目標に掲げる。だが、ほとんどの宗教系の学校がそうであるように、宗教が持つ優れた価値観を、人間性の育成のため大切にしながらも、それを生徒に強要する立場はとらない。
中学(生徒数571人)、高校(同647人)の一貫教育。大学も有する総合学園で、94年から男女共学とし「生徒会でも女子生徒がリードする傾向があり、校風になごやかさも生まれた」と大場一人教頭は言う。?
学習面では大学進学の基礎力を養うため、英語、国語、数学の単位を増やし、独自の教育課程を実施している。習熟度別クラス編成も導入。新年度からはすべての土曜日を登校日とし学力向上などに役立てる。
学習にIT(情報技術)を積極的に活用しており、インターネットで教師が生徒に宿題を出すシステムを採用、教師と保護者、保護者同士の意見交換をオンライン化するなどしている。
国際感覚を磨くため夏休みを利用した英米へのホームステイも実施、英会話能力の向上を図っている。
施設面では、地上5階地下2階の本館、体育館、新教室棟と充実。運動部、文化部を問わずクラブ活動も活発で、男女ともゴルフ部は全国屈指の強豪でもある。?
ここが自慢 師親会 PTA活動が充実。生徒の保護者を対象にして書道、茶道、インターネット、英会話などの各種カルチャー教室を開いている。親にも学ぶ楽しさを体感してもらい、教師と保護者の交流の場にもなっていて好評だという。
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和光中高 自主的な「自由」を基本に
1933年に創立。キャンパス内を私服の生徒たちが楽しそうに行き来する。規則で縛ることを極力避け、自主的に行動できる「自由」を学校生活の基本におく。学校全体がリベラルな雰囲気に包まれている。
カリキュラムでは選択学習の時間が多く、講座は100種類以上。高校2年の秋に3泊4日でフィールドワークを行う。「舞踊研究」で韓国を訪れたり、「基地問題研究」では沖縄の在日米軍基地見学も。森下一期校長は「学外で学ぶことを大事にしている」と説明する。
大学に行くだけが進路ではないとの考えから、自らの将来の目標を見つけ出すことを最大の進路指導の方針としている。高校3年では選択学習で職業に関する分野を体験的に学ぶことができる。例えば「保育・教育」では、付属の幼稚園で実習する。「映像」では映像監督から実際に指導を受ける時間がある。?
森下校長は「自分自身で考え、表現する力を持ちなさいと伝えている」と話す。同校は特別な受験指導をしていないが、生徒たちは、推薦入試やAO(アドミッション・オフィス)入試の面接や小論文などでの自己アピール力を自然に身につけ、大学への現役合格率は高い。
教育方針として「共同教育」も掲げ、ハンディを持った生徒を積極的に受け入れている。それは「学校は社会の縮図」という発想からという。
ここが自慢−−自治活動 学校側は何かを決める時には、生徒に必ず提示する。生徒側の意見をまとめる中心になっているのが生徒会。カリキュラム内容や週5日制導入の賛否などでも、まず生徒の間で議論させ、生徒側が学校に意見を逆提案した。
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早稲田実業学校中高 心機一転、「第二世紀」へ
創立100周年を迎えた昨年4月、新宿区早稲田鶴巻町から国分寺市に移転してきた。今年4月からは早稲田大系列校として初めて男女共学になり、新たに初等部(小学校)を開校。これで初・中・高・大の一貫教育体制が実現した。渡邉重範校長は「不変の伝統の上に新しい地平を切り開いた。早実は国分寺キャンパスで『第二世紀』の第一歩を踏み出した」と語る。
初等部の初年度の受験倍率は10倍を超え、「早稲田人気」の高さを見せつけた。高等部卒業生のほぼ全員が推薦で早稲田大に進学する。
敷地面積は約5・4ヘクタールで、旧キャンパスの7倍。薄いえんじ色で統一された新校舎は2階建てが中心で、圧迫感はない。採光窓を随所に設け、太陽光発電施設を導入するなど自然エネルギーを生かした構造になっている。
情報化時代に対応するため、中・高等部の全教室と理科実験室などの特別教室には50インチのプラズマディスプレーが設置され、インターネットやビデオを活用した視聴覚授業ができる。コンピューター計150台を備えた三つのPC(パソコン)教室ではパソコンを使った授業を積極的に取り入れ、生徒は放課後に自由に使うこともできる。
クラブ活動も盛ん。過去甲子園で全国優勝経験を持つ硬式野球部をはじめ、全国レベルのクラブが多い。
ここが自慢−−OB 756本の本塁打世界記録を達成して初の国民栄誉賞を受賞した王貞治さん(現プロ野球ダイエー監督)や、音楽プロデューサーの小室哲哉さん、陶工の大迫一輝さんら著名人が多い。講堂「小室哲哉記念ホール」は440人収容。正門に王さんの記念碑がある。
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早稲田中高 「人格の独立」を掲げる
早稲田大の推薦入学枠は5割弱。大学側から「もっと増やしてほしい」と要請されているが、「5割を超したくない」と拒み続けているという。
創立者は大学と同じ大隈重信だが別法人。推薦制度は大学から財政支援を仰いだ79年以降から始まったが、「全員が推薦で進むと学校の元気がなくなる」のが理由。
中村秀眞副校長は「進学校として他大学への進学という選択肢を保証したい。高3まで受験に取り組むことで、問題解決能力が身に着く」と説明する。その結果、推薦の基準を満たさず浪人して早稲田大に入る生徒も出るが、中学入学前に方針を説明し理解してもらう。
中高一貫の男子校だが、高校入学時に一定の学力がついていない場合は進学を認めない。約300人のうち毎年3〜4人が対象になるなど生徒の学力に対し厳しい姿勢で臨んでいる。
大学の「学問の独立」に対して中高は「人格の独立」を掲げる。中村副校長は「自分の力で自分の進路を切り開く早稲田らしさがある。昔風の健全さがあり、明るく伸び伸びした校風のファンは増え続けている」と話す。
6年かけて利根川源流から河口の銚子まで約250キロを「目的もなく、ひたすら歩く」行事があるほか、中学の授業では地学にフィールドワークを取り入れたり、公民では法廷傍聴なども。
ここが自慢−−相互ホームステイ 今夏から高1、高2の希望者を対象に豪のグラマー・スクールと交換留学(18日間)を始めた。夏に日本側が留学、冬には豪の生徒が東京を訪れ互いにホームステイをする。「親せきのような付き合いになる」という。
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※高校の募集なし
和洋九段女子中高 情報・国際化教育を充実
地下鉄九段下駅から徒歩3分。靖国神社、北の丸公園にほど近い、都心にありながら緑あふれる環境に校舎を構える。明治初期、東京で漢文と洋服裁縫学を学んだ堀越千代女史が、学校教育への裁縫の導入と、そのための教員養成を思い立ち、1897(明治30)年に創設した和洋洋裁学園がルーツ。今は中高一貫教育の進学校に姿を変え、社会のさまざまな分野で活躍する女性を輩出している。
「先を見て齊(ととの)える」の校訓にもとづき、情報教育と国際化教育の充実に力を入れる。中1と高1で、専任教師による「情報科」の授業が設けられ、パソコンの操作法や、インターネット活用のノウハウを学ぶ。一方、オーストラリアや中国の学校と姉妹校の提携をし、約半月のホームステイや修学旅行で訪問するほか、短期留学生を受け入れている。
91年度には32%だった大学進学率も、01年度には76%に上昇。カリキュラムは中3、高1の国語、数学、英語の3教科で習熟度別授業を実施。また高校から特進コースも設けている。
体操、陸上、テニスなどのクラブ活動もさかんだ。
家弓鐵矢校長は「ペーパーテストの点数がいいだけの生徒は必要ない。自分の幸福を自分で考え、研さんできる生徒を育てたい」と話している。
ここが自慢−−自主活動 6年間、各生徒が与えられたテーマや興味のあるテーマを選び、研究する「自主活動」の時間がある。情報を集め、整理し、文章を組み立てる作業を通し、物事を深く考える力を養う。大学の論文入試対策にも役立つ。
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※高校の募集なし
教育情報
公立高学区緩和 5都県で学区全廃へ
(朝日新聞 10月19日)
全国各地で公立高校の学区を緩和する動きが相次いでいる。朝日新聞の調査では、東京都、和歌山県が来年度から、福井県は04年度から学区を廃止する。群馬、三重両県も廃止の方針を決めている。生徒の選択の幅を広げ、学校同士を競わせるのが主な目的だ。
都道府県教育委員会に聞いた。見直しは、主に(1)学区を撤廃したり、拡大したりする(2)学区外の生徒受け入れを増やす−−の2つがあり、この2つを組み合わせて緩和を図る自治体もある。
来年度入試から全日制普通科の学区制をなくす東京は従来、10の学区(島しょ部は別)に分かれていた。受験生は学区内の高校を選ぶのが原則だったが、「多様な個性や能力を持つ生徒が、自分に合った進路を的確に選択できるように」との理由で積極的に緩和を進めてきた。
和歌山も同様に来年度から学区制を廃止する。福井も4つに分けていた学区を04年度から撤廃する。三重は03年度に緩和したうえ、早ければ04年度から全廃する。群馬は今年2月、時期は未定ながら、全県1学区とする方針を決めた。来年度から入試を前後期の2回にする静岡は前期に限り、学区をなくす。
学区の撤廃までは踏み込まなくても、04年度入試から現在の19学区を広域化して8学区にする岩手のように、数を減らすことで選択の幅を広げる自治体は多い。
青森は隣接学区の受験生の受け入れ率を6%以内から20%以内に引き上げる。神奈川も昨年度入試から、学区外からの受け入れ割合をそれまでの8%以内から25%以内に大幅に拡大した。
それぞれの工夫もある。千葉は昨年度以降、12学区を9学区にするとともに、隣接する学区から制限なく受け入れるように変更。受験生は通学圏にある高校をほぼすべて受験できるようになった。
生徒の選択の幅を広げる観点からの見直しの流れのなかで、総合選抜制度(学校群制度)は姿を消しつつある。
長崎は来年度入試から県内3学区で実施されていた総合選抜制を廃止し、各学校の単独入試とする。福井でも、04年入試から福井市内の2校間で行われている学校群制度が廃止される。
高校の学区は、通学の負担をできるだけ少なくしたり、入学試験の競争が激しくならないようにしたりするために都道府県の教育委員会が規則で設けるよう法律で定められていた。
しかし、規制緩和を理由にこの規定自体が昨年の通常国会で削除された。学区を設けるかどうかも含め、教育委員会の判断にゆだねられたことから、見直しを後押しした。
こうした一連の緩和に対しては、教職員や保護者の間に「現在の学校間格差を拡大し入試競争をさらに助長する」「学校同士の競い合いを激しくし、高校統廃合がいっそう進められる」といった懸念もある。
日本語力低下 「活字離れ原因」との指摘が8割
(毎日新聞 10月26日)
「日本語力低下は活字離れに起因する」と考える人が8割近くになったことが、26日まとめた毎日新聞の02年度第56回全国読書世論調査でわかった。5年前の第51回調査より12ポイントも上昇していた。折からの日本語本ブームだが、母語への危機感は若者層も含めて一層深刻になっているようだ。
「活字離れが原因」と思う人は78%になった。前回調査で70%を超したのは50、60代だけだったが、今回は20代以上の全世代で70%を超え、40代の86%を最高に60代まで3世代が80%以上になった。
10代後半(16〜19歳)でも10ポイント上昇し65%になり、「自分の日本語の力が不足と思うことがある」も前回よりも12ポイントも上昇、32%になった。若者が自身の「力不足」を強く自覚するようになって、「時々ある」「あまりない」が減り、「ある」にシフトしたとみられる。この傾向は、増減幅こそ小さかったが各世代に共通していた。
「何が不足しているか」にも、10代後半の「人と話す力」だけが11ポイントも上昇し、38%になった。「不足部分について何かするか」でも、10代後半は「活字に触れる時間を増やす」が6ポイント増えて35%に、逆に「何もしない」が10ポイント減り35%になった。
早稲田大の細川英雄教授(言語文化教育論)は「受け身の情報過多の中で何が問題かについて判断、解決できないでいる。しかも人と人の意思疎通が難しくなっている不安が活字離れや日本語力の低下という問いに表れた結果」と話している。
都教委が学力テスト 基礎定着を検証
(朝日新聞 10月28日)
東京都教育委員会は、公立小中学校の各1学年の児童、生徒全員を対象に、国語や算数・数学などの学力テストを始める方針を固めた。来年度はまず中学2年(約7万2000人)で実施する。都教委が全員参加型の独自テストを行うのは初めて。教委が学力テストをする動きは全国で広がっているが、大半は抽出した児童、生徒を対象としている。東京の場合は対象人数、教科の多さで最大規模になる見込みだ。
今春からスタートした新学習指導要領で、教える内容が約3割減り、保護者らから学力低下を心配する声が起きているため、全都テストで基礎・基本の定着ぶりを検証することが目的だ。
計画によると、来年度に中学2年で実施し、04年度には小学校の5年生(8万6000人)も加える。各学年とも年1回、3学期を予定。3年目以降は対象学年の拡大も検討している。
テストの教科は、小学校が国語、算数、社会、理科の4教科、中学校が国語、数学、社会、理科、英語の5教科。漢字の読み書き、数式の計算など知識・理解力だけでなく、判断力、思考力、表現力などを多面的に見られるように都教委が独自に問題を作成する。テストと同時に学習満足度の意識調査もするという。
テスト結果は、試験を受けた児童、生徒に伝える。東京都全体と区、市ごとの平均点を都教委がまとめ、公表する。
学校別の成績の扱いなどは各区市の判断にゆだねる方向だが、公表には賛否両論がある。
4・4・4制導入 埼玉の開智学園
(毎日新聞 10月29日)
埼玉県岩槻市で中高一貫校を運営する学校法人「開智学園」(青木徹理事長)が04年度に小学校を新設し、小中高の「6・3・3制」を4学年ごとに区切る「4・4・4制」の導入を計画していることが28日、分かった。「多様性に富んだ教育の実践」が目的。異学年の児童・生徒が一緒に学ぶ異学年学級も開設する。1947年制定の学校教育法の下で、一貫して続いてきた6・3・3制を事実上、変更する全国初の試みで、注目される。
学園によると、小学1〜4年を「プライマリー」▽同5年〜中学2年を「セカンダリー」▽同3年〜高校3年を「サースリー」に分ける。プライマリーとセカンダリーは各8クラスのすべてが異学年学級となり、1クラスは同学年の児童・生徒が約10人ずつの約40人で構成する。
同学級では、学級会や道徳の授業は一緒に行い、年長者は年少者に対するリーダーシップを身につける。算数(数学)・国語・英語などでは児童・生徒が学年に関係なく、8〜16段階の到達度別授業を受ける。
小学校の新設は県私立学校審議会(佐藤栄太郎会長)で審議されているが来年度中には承認・認可される見通し。青木理事長は「現在の同学年による一斉・同質型システムでは多様化する社会の変化に対応できない。現代の子供たちの発達段階を教師としての経験で分けたら4・4・4制になった。特に小学1〜4年までは生活と密着した学習をするのがふさわしい」と説明する。
文部科学省教育制度改革室は「4年間で小学校の勉強が終わるなら学校教育法に触れるが、学習指導要領に基づいた独自カリキュラムを組み、便宜上の区切りをつけるだけなら問題ないだろう」と話している。
教育費負担 年収の3分の1に
(日経新聞 10月30日)
国民生活金融公庫が29日発表した2002年度の家計における教育費負担の実態調査結果によると、高校から大学卒業までにかかる費用は1人あたり993万円と、前年度調査から50万円以上も増えた。世帯全体の収入が4年連続で前年を下回る中、年収に対する教育費負担の割合は33.1%と高い水準に達している。半数以上の世帯が、「保護者のこづかい」をはじめとする教育費以外の支出節約や貯蓄金の取り崩しで教育費をねん出しているようだ。
入学費用をみると、大学で101万8000円、短大で84万4000円、専修・各種学校が81万9000円、高校が48万7000円で、高校以外はすべて増加した。在学中の1年間の費用は、特に私立大学に進学した場合155万円で、国公立大学の約1.7倍と格差が大きい。自宅外通学者への仕送り額は年間119万4000円にのぼるが、前年度調査よりは2万3000円減った。 調査は6月、今年2月に「国の教育ローン」を利用した1万1993世帯を対象に実施し、3939世帯から回答を得た。
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教育費ねん出のため節約・預金取り崩し(日経新聞 10月30日)
節約と預貯金などを取り崩し、教育費をねん出している――。国民生活金融公庫は29日まとめた2002年度の「家計における教育費負担実態調査」でこんな指摘をした。
教育費のねん出方法についての回答(複数回答可)では「教育費以外の支出を削っている」、「預貯金や保険などを取り崩している」が前年に続いて半数を超えた。特に「預金などを取り崩している」は53.2%と前年の調査よりも3ポイント上昇、選択肢のなかで最も高い伸びとなった。
節約している支出についての回答(同)では「衣類の購入費」が58.7%で最多だったが、「保護者のこづかい」が40.7%と前年比9.6ポイントの大幅増になったことが目立った。
調査は今年2月に国民公庫の「国の教育ローン」を利用した世帯に対して6月に実施。統計にまとめた勤務者世帯の有効回答は3036件。在学中の子供1人あたりにかかる1年間の費用は大学で平均145万9000円、高校は同86万3000円だった。
大学院の研究補助 京大が配分最高額…文科省が発表
(読売新聞 10月30日)
大学院の優れた研究計画に補助金を配分する「21世紀COEプログラム」で、文部科学省は29日、先に選ばれた50の国公私立大学の大学院に対する補助金の配分を発表した。総額は約167億円。採択された各大学院の申請総額は約305億円で、支給率は54・8%。
大学別の配分額は、京都大の19億5800万円を最高に、東京大、大阪大、慶応大、東京工業大の順。理工系での採択が多かった国立大が交付額の77・6%を占める一方、私立は19・2%、公立大3・2%にとどまった。
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研究拠点補助、トップは京大の19億円 21世紀COE(朝日新聞 10月29日)
大学の研究拠点を選抜して重点的に資金を援助する「21世紀COEプログラム」で、文部科学省は29日、審査で選ばれた113件の拠点に配分する初年度分の補助金額を決定した。総額は167億4300万円で1件平均は約1億4800万円。大学別に合計すると、最多となる11件が選ばれた京大が19億5800万円でトップ。同じ件数の東大が18億5300万円と続いた。
拠点別の最高額は京大エネルギー科学研究科エネルギー社会・環境科学専攻の3億2300万円。最低額は1100万円だった。
国公私立別の割合は、国立大が77.6%を占める130億200万円(採択拠点数84件)、私立大が19.2%で32億900万円(25件)、公立大が3.2%、約5億3200万円(4件)となった。
同事業は、学校間の競争を促すものとして大学関係者の注目を集めた。拠点に選ばれると、原則として5年間、補助金を得られる。
■大学別の交付額上位10校(文科省資料に基づいて作成。かっこ内は採択拠点数、単位円)
(1)京都大 (11件)19億5800万
(2)東京大 (11件)18億5300万
(3)大阪大 (7件) 12億5600万
(4)慶応義塾大(5件) 9億3100万
(5)東京工業大(4件 7億5100万
(6)東北大 (5件) 7億2700万
(7)名古屋大 (7件) 7億1600万
(8)九州大 (4件) 6億5000万
(9)北海道大 (4件) 5億7900万
(10)早稲田大(5件) 5億6200万
教育基本法見直し 「郷土愛」盛り込み求める報告案 中教審
(毎日新聞 10月30日)
教育基本法の見直しを議論している中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は30日の総会で、「郷土や国を愛する心」「公共に主体的に参画する意識」などを盛り込むように求めた中間報告案を大筋で了承した。11月中旬の総会で正式決定する。
総会では、「徳目を法律に規定することは適当か。効果があるのか疑問」とする意見が出た。また女性委員9人が連名で男女共同参画の視点から部分的な修正を求めた。
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「愛国心」を「国を愛する心」に 教育基本法改正議論(朝日新聞 10月24日)
教育基本法の改正に向けた中間報告づくりを進めている文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・前慶應義塾長)は24日、基本問題部会での議論を終えた。中間報告の素案で使っていた「愛国心」という言葉を「国を愛する心」に書き換えるなどの修正をした。30日に開く総会での議論を経て、来月中旬には成案としてまとめる予定だ。
「愛国心」は、基本理念の説明のなかで1カ所使われていた。中間報告の素案が初めて示された17日の部会で「愛国心との言葉は、偏狭なナショナリズムと誤解される」などとする意見が出たため、書き換えた。
基本法を見直す必要性については、素案は「新しい時代を切り開くたくましい日本人を育成する観点から重要な教育の理念や原則が不十分だ」と記述していた部分を、「心豊かでたくましい日本人」と改めた。「たくましいという言葉だけでは経済的な原理だけを感じる」とする委員の意見を踏まえた。
一部の委員の間には「なぜ改正する必要があるのか」との反対論もくすぶっている。素案では「見直しを行うべきであるとの結論に至った」と記されたが、前回の部会で「決を採った記憶がない」との意見が出た。このため、「理念や原則を明確にする観点から見直しを行うべきであるとの意見が大勢を占めた」と改めた。
文科省は、中間報告の取りまとめのあと、年内に3回の開催を予定していた公聴会を、「より幅広く国民の意見を聴く」ため、急きょ2回追加することを検討している。
早稲田大 タイに留学予備校設置 来年4月開講へ
(毎日新聞 10月30日)
【バンコク竹之内満】早稲田大学の渡邊重範副総長らは29日、バンコク市内で会見し、日本留学を希望するタイ人を対象に日本語学習プログラムを来年4月、バンコクに開講すると発表した。渡邊副総長は「タイをはじめ東南アジアにおける人材育成に貢献したい」と述べた。
同大は、海外で初めてとなる現地法人「早稲田エデュケイション・タイランド」を、タイ最大手のケミカルメーカー、サハ・グループの全額出資でバンコクに近く設立する予定。年間約80人程度を募り、留学希望者への予備教育として1年計画(1日5時間半)で日本語学習、英語による日本政治、経済など日本理解のための講義を展開する。
また、日系企業などで働く社会人向けに夜間コース(1日3時間)も設置、日本語能力の向上を目指す、としている。
留学を目指すタイ人にとっては従来、高度な日本語学習のため学校に通うなど、1年間は日本に滞在する必要があったが、より低いコストで留学を目指せるメリットがある。渡邊副総長は「受講生の中から、年間20人程度は留学生試験に合格してほしい。英語教育一辺倒に傾きつつある東南アジアで、日本語教育の重要性を認識してもらうきっかけになれば」と話している。
公開模試情報
三模試志望者数前年対比 (10月度)
10月度の三模試学校別志望者数前年対比をアクセス教育情報センターの会員のページに掲載しております。
ご覧ください。
http://www.j-acc.co.jp/
その他
小柴昌俊さん この世に摩擦がなければ(毎日新聞 10月31日)
白紙答案が正解――。ノーベル物理学賞の小柴昌俊さん(76)が50年余り前、臨時講師をした神奈川県の中学校で、こんな試験問題を出していた。「やはり“変人”でしたね」と教え子たちは懐かしむ。
東大大学院生だった小柴さんは1950(昭和25)年9月から1年半、神奈川県横須賀市田浦町にあった栄光学園(現在は同県鎌倉市)で中学生に物理を教えた。
「この世に摩擦がなければどうなるか答えよ」。これが小柴さんの問題だった。摩擦がないと鉛筆の先が滑って、紙に何も書けない。だから正解は「白紙答案」。正解者は3人だったと教え子たちは記憶している。
「答えを懸命に書いたが、正解を聞いて驚いた」。栄光学園3期生の鈴木勝久都立科学技術大名誉教授(66)=東京都八王子市=は振り返る。「教師が自由に授業ができた時代だった。考える習慣を教えてくれたと思う」
やはり教え子の技術コンサルタント、飯田喜哉さん(66)=鎌倉市=も「小柴さんは飄々(ひょうひょう)と教えていた。摩擦問題は今でも鮮明に記憶に残っている」と話す。
この日の対談でも小柴さんは当時を懐かしそうに振り返り、楽しそうに笑顔を見せた。
2人によると、小柴さんは生徒の間で「ロクさん」と呼ばれていた。当時、国語の教科書に載っていた小説の登場人物が「ロクさん」。奇行の持ち主だった。小柴さんも突然、丸刈りになって現れるなどしたため、このあだ名が広まったという。
ゆとり教育の検証を 穎明館中学高等学校校長 久保田宏明
(全私学新聞10月23日 論壇より)
ご承知のように文部科学省は二〇〇二年四月、初等中等教育改革の集大成として小学校から高等学校までの完全学校週五日制に踏み切るとともに教科内容三割削滅、そして教科の枠をはずした総合学習の時間を取り入れるなどした新しい学習指導要領の実施に入りました。
しかし、四月実施の直前に文部科学省では「学力低下論」の、あまりにも強い世論を受けてか学力向上の諸施策を次々に打ち出し、学校現場では施策のぶれの大きさに困惑しているのが現状のようです。
先般九月二十一日、各報道機関は自立教育政策研究所のアンケート調査結果を発表し、それによりますと急速に打ち出される施策と現場の認識のずれが明らかになりました。
即ち、全国の公立中学校の二十分の一に当たる五百十三校の校長、教員に対するアンケート調査の結果などですが、九七%が「あまりにも改革と称する諸施策のペースが速すぎて学校現場ではそれらをじっくり考えて取り組む余裕もなく、もっと学校の現実を踏まえた改革なり改善を望みたい」との趣旨の考えをもっていることが分りました。
さらに多くの校長を含めた先生方が改革を「机上の空論」「方針のぶれの大きさ」「上からの押しつけ」(朝日新聞)との改革のやり方に対して批判しているのが目につきます。
完全学校週五日制にそった新学習指導要領などを基本にすえた改革に多くの学校現場が即応できず、特に其後の学力向上対策ともとれる数々の方策に対して、あまりにも変わり身が早すぎると強い不満が今回のアンケートから読みとることができます。
確かに一月十七日の「学ぴのすすめ」を受けて、八月二十二日には小学校算数における理解の進んでいる児童に対する発展的学習を教える際の指導資料の公表、これに対してはそこまで国が面倒を見る必要があるのか、夫々、現場の教師にまかせられないのか、また算数だけをまず出したことなどに対する批判などが寄せられていると聞いています。
そして八月二十八日は「学力向上アクションプラン」が発表され、「学力向上フロンティアスクール」として全国千七百校の小・中学校を、さらに「フロンティア・ハイスクール」の二百校の指定など「学びのすすめ」の具体化が示されました。
さらに八月三十日に発表された「新しい時代を切り拓く、たくましい日本人の育成」には「確かな学力」という言葉が使われ、第一に確かな学力の育成をあげ、「国民の教育水準は競争力の基盤」とまで明言するに至りました。
これらは全て「学力低下論」を受け、今までの「ゆとり教育路線を変更し、ゆとり教育政策の転換を図っているようにも見受けられますが、そのことについては文部科学省も明言をさけており、そのため一層現場では混乱をきたしているのも事実と思います。
四月から新学習指導婁領が既に実施に入っている現状での次々に打ち出される学力向上対策を「ゆとり教育」の方向転換とするならぱ国はそのことを明確にすべきでしょう。
そして、これまで主張してさた「新しい学力観」や「生きる力」が影をひそめ、「学びのすすめ」以降、「確かなる学力」なる言葉が使われていますが、これは言葉の表現だけを変えただけであって、何らこれまでの発想とは変わってはおらず、先のアンケート調査で「現場は実験室でない」などの教師側にいらだちがあるのも当然のことと思います。
そして九月には「教育の課題と今後の基本方向について」の素案が公表されましたがその中の「二十一世紀の教育が目指すもの」についても今まで言い尽くされてきたことの繰り返しで、新鮮さに欠けたものとの見方が多く、これをもって二十一世紀の教育を透視することも、教育百年の計にも程遠く、字句を読む限りでは今更の感が無いでもありません。
特に二十一世紀を「知識社会と位置づけていますが、そこでいう「知識」とはどういうものなのか説明も不足で、相も変わらぬゆとり教育」路線上の「知識」を考えているのでしょうか。現在、多くの国々が「Knowledge Based Society」即ち知識を基盤とした社会を志向し、そのために学力向上対策を教育の大きな柱として国の力を高める取り組みをしている中で、まず、今までの「ゆとり教育」が児童・生徒に何をもたらしたのかという論議が無くして日本の二十一世紀の教育を語るわけにはいかないのではないでしょうか。
文部科学省の「学びのすすめ」以来の諸施策案が「ゆとり教育」の転換と本気で考えているのであるなら率直にそれを認め公表するぺきと思います。
しかし、私学は今まで通リ、自由な発想と(この自由には当然、秩序と責任が前提ですが)確固たる信念をもって二十一世紀の日本の教育の先導的役割を果たすことだと思います。
自由と何ものにも束縛されない教育のあくなき探求こそ、私学の創造性そのものにとって、最も大切なものと思うからです。(日本私立中学高等学校連合会常任理事)
<問題>
次の作品の作者名と、その人物写真を後の語群の中から選び、記号で答えな
さい。
1 坊っちゃん 2 トロッコ 3 山椒大夫 4 走れメロス 5 伊豆の踊子
作者名
a 川端康成 b 森鴎外 c 島崎藤村 d 宮沢賢治 e 志賀直哉 f 太宰治 g夏目漱石 h芥川龍之介
人物写真
ア イ ウ エ
オ カ キ ク
(02年攻玉社)
入試問題に挑戦第58回解答編
<問題>
1,2,2,3,3,3,4,4,4,4,……と数が続いています。数と数の間に×、÷の記号を交互に記入して、計算します。
たとえば4番目の数まで計算すると、1×2÷2×3=3 となります。72番目の数まで計算した結果はいくつですか。(02年穎明館)
<解答>
この様な問題は、規則性を確認したら、ある程度書いてみて何かを見つけていくという解き方がよいでしょう。
まず、数字の並び方の規則は、各整数がその数字の個数ずつ並んでいるというものです。
そこで、72番目までは…、
1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11=66 なので、
1から11までが順にその個数ずつ並び、その後に12が6個並びます。
次に、この数列の各数字の間に「×」と「÷」を交互に入れた式を考えると、
1×2÷2×3÷3×3÷4×4÷4×4÷5×5÷5×5÷5×6÷6×6÷6×6÷6×7÷7×7…
この式をよく見ると、偶数のところについては、「×」と「÷」が同じ個数になるので、計算すると1になります。(12も同様)
1×2÷2×3÷3×3÷4×4÷4×4÷5×5÷5×5÷5×6÷6×6÷6×6÷6×7÷7×7…
また、奇数のところについては、「×」、「÷」が交互に1個ずつ余るかたちになります。
1×3÷3×3÷5×5÷5×5÷5×7÷7×7…
この結果、最後に計算する式は、次のようになります。