NO.284

2008年 9月 5日 
アクセス教育情報センター

目次

学校情報

学校情報 教育情報 教育情報 その他
聖学院

西大和学園

洗足学園

三輪田学園

合同説明会 情報五輪

職員会議採決禁止

国公立大学入試

全国学力テスト

新指導要領 名言・迷言・冥言

夜スペに揺れる塾

大学教員残酷物語

受験生から保護者へ

学校情報

聖学院 09年入試要項概要
1回 2月1日 男子90名 2科4科 面接
2回 2月2日 男子50名 2科4科 面接
3回 2月3日 男子20名 2科4科 面接
4回 2月6日 男子20名 2科4科 面接
英語選抜 2月1日 男子若干 英語 面接
面接は受験生個人面接。一人5分程度。英語選抜は一人20分程度。 
http://www.seig-boys.org/

西大和学園 東京会場学校説明会
日時 11月30日(日) 14:00〜15:30
場所 早稲田大学大久保キャンパス 
http://www.nishiyamato.ed.jp/ny/

洗足学園 オープンキャンパス
日時 10月18日(土)
   1時間目 8:30集合 8:40〜 9:40 19講座
   2時間目 9:50集合10:00〜11:00 18講座
   3時間目11:10集合11:20〜12:20 18講座
申込方法 専用の申込書に記入してFAXか郵送。またはホームページから。
申込期間 9月1日〜10月10日
その他  3時間全ての参加も可能。
      児童だけの参加も可能。
      入試相談コーナーを設置。
      車での来校は不可。 
http://www.senzoku-gakuen.ed.jp/

三輪田学園 教育懇談会(08年6月24日)
校長 西先生
 説明に熱のこもる西先生

こうした形での出張説明会は、皆さんのホームグランドで、少人数で話が聞けて質問しやすいのではないかと思う。
私学選びの5つの基準をとおして、三輪田学園の教育について説明していきます。
1)私学選びの5つの基準
@ 6年一貫カリキュラムの考え方はどのようなものか
6年後の出口の保証のために、学力形成を第一にしているのか、一歩一歩基礎学力、総合力を確かめながら段階的に力をつけようとしているのか。
学力形成を第一にしている学校では、クラブ活動を制限したり、下校時間を早めたり、高2までに高校課程の学習内容を終わらせて高3は演習にという授業になっていたりする。
三輪田学園のカリキュラムの特徴
・中高時代の過ごし方でその人の生きる姿勢や勉強のスタイルが決まる。卒業生のほぼ全員が大学に進学していく。その意味では進学校だが、高3の1学期まではじっくり、しっかりを意識したカリキュラムヲ組んでいる。
・高2から選択が入ってくる。中1から高1までは全員共通の教養を身につける。全員が同じ教科を履修し、基礎基本の確立を目指す。
1学年4クラス編成。教科によっては習熟度別授業を行う。
英語の週当たりの授業時間は中1−5時間、中2−6時間、中3−7時間。中2、中3は英会話が週1時間入る。英語は中学の3年間1クラスを2分割にして授業を行う。
中学3年間、リーダーは教科書を暗記して書けるようにする。
国語は語彙力をつけるため、中1から高2まで各学期に漢字テストを行っている。
英語、数学は各学年の2学期後半に次学年の内容に入っていく。
中3の11月から高校課程に内容に。高校課程では授業内容が高度になるので、中3の11月から高1の3月までかけて高1の内容を扱う。高1の内容が高校課程の学習の基礎であり、センター試験でも重要ポイントになる。そこにじっくり時間をかける。
高2,高3で選択科目を導入。
高2・・選択により文系選択クラス、理系選択クラス。
選択科目は少人数でも実施。受講者4、5名の科目もある。
A 隠れたカリキュラムはどうか
三輪田学園は創立121年。建学の精神である、明治20年代の日本における女子教育を今の社会にあてはめて具現化したのが、「高い学力の育成と人間教育の充実」という教育理念。
「と」・・・お互いにと言う意味。両者を統合する教育を目指す。
人間性はいいのだが仕事を任せるのは心配。逆に、仕事はできるが一緒にやりたくないということでは困る。
学力の形成が人間形成につながる、人間性の育成が学力を深めることにつながる授業を行う。
* 道徳の授業の例
人として大切なことは何かをじっくり考える。中1から高3まで、それぞれのテーマ、ねらい、授業方法が確立している。
全学年とも、金曜日の5時限目が道徳、6時限目がLHRの時間割になっており、必要に応じて2時間続きの授業が行える。
道徳・HRの流れ
1. 学校生活・家庭生活の確立
基本的な生活習慣、学習習慣を身につける。
2.現代社会の諸問題と自己とのかかわり
現代の諸問題はなかなか結論が出ないが、解決の道を考えることを通して自己と社会の結びつきを考える。
平和・・人間存在の基礎
福祉・・人に迷惑をかけなければ何をしてもよいというが、実は迷惑をかけている。人に迷惑をかけないから一歩進んで他者の尊重へ。
環境・・次世代(=未来の他者)の尊重、自然の尊重
3. 進路を考える
20年後、30年後に自分はどうししていたいのか。
* 読書指導を含むカリキュラム
中1は国語の時間に週1時間読書の時間がある。その時間を使って年6冊読む。
中3は社会の時間に週1時間を読書の時間に。5つのブロック(思春期の心理・人間の生き方、戦争・原爆・核問題、公害・自然環境問題、人権・民主主義・近代思想、国際協力・ボランティア・福祉)の課題図書の中からそれぞれ1冊以上読んでレポートを提出。その中からテーマを決めて卒業論文を作成。
本を読んだことを抽象化してまとめることにより、自分なりのものの見方や価値観を育てていく。
読書により、読む−考える−まとめる−表現するという経験ができる。自分と向かい合う時間が持てる。読書の習慣が身につく。
B 学習環境・校風はどのようなものか
学校独自の空気というものがあり、子どもなりに感じる。それは直感として大事。
・大規模校か小規模校か・・大規模校は大集団での学校生活が味わえる。三輪田学園は1学年180名4クラスの規模。卒業までに全員と知り合うことができる。生徒同士、教員と生徒の関係が密。
・郊外の学校か都心の学校か・・郊外の学校は敷地が広く緑が豊か。三輪田は都心の割に静か。交通の便がよい。金曜日の午後の2時間を使って、校外学習に出かけて帰ってこられる。
・共学校か女子校か・・子どもの個性で選ばれたらよい。女子は中2くらいまで男子と発達のスピードが違う。現代文を読んでも心情の読み取りに差が出る。女子校では男女の分業がなく全て自分たちで行う。
C 卒業生の特徴はどうか
三輪田の卒業生は人生に前向きで感じがよいと言われる。在校中の友人や先生とのつきあい方がそこに出ている。
また、卒業生の進路が多岐にわたっている。それは自分進路を考える機会が多いから。
D 入試問題は子どもに受けさせたい問題か
入試問題は建学の精神に基づいて、教員がこんな力をみたいという問題を工夫して作成している。学校の教育理念、教育の方向性が感じられる問題か。
1.三輪田の入試問題の傾向
国語・・長文(説明文、随筆文、物語文のいずれか)を必ず出題する。じっくり読めば読み取れる内容。
長文でポイントをつかむ力を見る。筆者の意図や登場人物の心情は必ず問われる。
漢字の読み書きを15〜20問出題。100点満点の中で漢字の比重が高い。
漢字問題で7割以上取れる受験生は読み取り問題の点数も高い。
家庭学習では文章を朗読させて、何が書いてあるのかを聞いてみるとよい。
算数・・大問が4〜5題の構成。
大問1 一行問題−文章題の基礎基本、表・グラフの読み取り
大問2 計算問題3問
大問3 応用問題
大問4 応用問題
応用問題は式と答えを要求する。部分点を与える。
グラフや点の移動を読み取る問題がよく出題される。
社会・・地理、歴史、公民の各分野から出題する。
社会は統計資料の読み取りがよく出題される。文章からの読み取りも。
理科・・物理、化学、生物、地学の各分野から出題する。
中学では2時間に1時間は実験、観察の授業。小学校4年から6年の教科書の実験、観察をもう一度見なおしておくとよい。
試験勉強に際して、9月、10月頃から受ける学校の過去問題を3〜5年分やっておくとよい。同じ教員が同じ方針で作成しているので、問題の傾向に慣れることができる。
入学試験はケアレスミスとの勝負。
2.09年入試概要
1回 2月1日 女子80名 2科4科 面接
2回 2月3日 女子60名 4科   面接
3回 2月5日 女子30名 4科   面接
帰国 12月20日 女子若干名 作文・算数 面接
2回を2科4科から4科に。
面接、成績表は参考程度。
繰り上がりを出す場合は2月6日の合格者保護者会から2月11日の制服採寸の間に。1回からの繰り上がりは成績順に。(08年入試では4名いたが、結果的に複数回受験生だった)2回・3回からの繰り上がりは複数回受験者を優先して繰り上げる。(08年入試では2回から7名、3回から3名繰り上がったが全て複数回受験生)
保護者との面接は必要だと思っている。面接は保護者と学校の思いがぶつかるところ。面接を行うかどうかにも学校の入試に対する姿勢が表れる。
ただし、面接結果が合否を左右することはまずない。
2)その他
年2回(6月と11月)、1週間から10日間の生徒面接週間がある。面接週間では担任が生徒一人と15分くらい話し合う。教員は聞き役。教員の側から質問や成績の話は持ち出さない。生徒が担任に自分の存在を知ってもらえるという安心感を得る機会になっている。
校長室の窓や学年通信をそれぞれ年4〜5回、保護者に発信している。子どもが学校で何をしているのかについて関心を持って欲しい。保護者会も年に4〜5回実施。できるだけ参加して欲しい。
家庭教育に関しての懇談の場として教育サロンを希望者対象に開催し、保護者の経験を伝え合う場になっている。 
http://www.miwada.ac.jp/

合同説明会
私立中高合同相談会
日時 10月14日(火) 10:00〜14:30
場所 杜のホールはしもと8F  JR橋本駅駅ビル内
参加校 穎明館、桜美林、大妻多摩、共立第二、工学院大附属、東京純心

東京私立中高池袋進学相談会
日時 10月19日(日) 10:00〜16:00
会場  池袋サンシャインシティ 文化会館2F 展示ホールD
     池袋駅徒歩10分
参加校 東京の私立中学・私立高校
内容  各校の展示・個別相談 など

全国寮制学校合同説明会(横浜会場)                 
日時  11月19日(水) 13:00〜16:00
会場  横浜エクセルホテル東急3階(「横浜駅」西口徒歩1分)
内容  各校の展示・個別相談 など    

全国寮制学校合同説明会(東京会場)                
日時 11月20日(木) 13:00〜17:00
会場 御茶ノ水ガーデンパレス2階(JR・地下鉄「御茶ノ水駅」、地下鉄「新御茶ノ水駅」徒歩5分)
内容 各校の展示・個別相談 など


教育情報

情報五輪 日本の高校生4人が金銀
(朝日新聞 8月23日)
 エジプトで開かれた国際情報オリンピックで21日、日本代表の4人が金1、銀1、銅2の4個のメダルを獲得した。高校生らが高度なコンピュータープログラム作りの能力を競う大会で、73の国・地域から283人が参加した。受賞者は次の通り。金メダル 保坂和宏さん(東京・開成高2年)▽銀メダル 副島真さん(東京・筑波大付属駒場高2年)▽銅メダル 滝聞太基さん(同2年)、松元叡一さん(同3年)

職員会議採決禁止 意見聞いて
(毎日新聞 8月29日)
 東京都教育委員会が06年4月に出した「職員会議で教職員の意向を確認する挙手・採決を行わない」との通知を撤回するよう都立三鷹高の土肥信雄校長(59)らが求めている問題で、元都副知事で都教育委員の竹花豊氏(59)は28日の都教委定例会で「現職の校長先生が言われていることは重く受け止め、無視するのではなく本人の意向を聞き返して対処すべきだ」と述べ、土肥校長の意見を文書で提出させるよう都教委に求めた。竹花氏は「対立ではなく、常識ある大人としてきちんとお互いに認識し合うことが大事」と主張。国際基督教大の藤田英典教授(教育社会学)や教育評論家の尾木直樹氏らが土肥校長の主張に賛同している点にも言及し、「(識者には)何が問題でどうすべきか、率直にご指摘をいただきたい。都教委に閉鎖性があり、耳を貸さない体質だと発信されるのは非常に心外だ」と話した。他の委員も同調した。
 土肥校長は昨年11月にあった都立校長会から、都教委の通知について、「職員会議で活発な議論がなされなくなった」などとして撤回を求めている。

国公立大学入試 AO入試、過去最多の64大学が導入
(毎日新聞 8月30日)
 文部科学省は29日、来春の国公立大の入試概要を発表した。面接や論文などで選考するアドミッション・オフィス(AO)入試を実施する大学が過去最多の64校(前年度比4校増)に上り、実施率は41・0%(同2・3ポイント増)と初めて4割を超えた。新たにAO入試を導入するのは弘前大や北九州市立大など5校。一方で、一橋大は廃止する。また推薦入試を実施する大学は145校(同3校増)で、実施率は過去10年間で最高の92・9%(同1・3ポイント増)となった。

全国学力テスト 調査結果公表
(毎日新聞 8月30日)
 文部科学省は29日、小学6年生と中学3年生を対象に今年4月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。基礎知識をみる問題の平均正答率は、中学数学で参加校の約2割が70%以上を確保した一方、40〜50%台の学校が約3割もあるなど、学校間格差が鮮明に浮かんだ。知識の活用力をみる問題の正答率は小中とも5〜6割で、43年ぶりに実施した昨年度に引き続き課題が見られた。全国の小6と中3のほぼ全員にあたる約224万人が参加。国語と算数・数学それぞれについて、基礎を問う「知識」(A)と応用力をみる「活用」(B)の2分類を出題した。生活習慣や学習環境の調査も実施した。
 中学数学Aは平均正答率が63.9%だったが、学校ごとにみると▽70%台1749校(参加校の16.5%)▽60%台4921校(同46.6%)▽50%台2763校(同26.1%)▽40%台501校(同4.7%)−−とばらついた。小学国語A(平均正答率65.6%)でも、正答率70%台の学校が22.4%ある一方、50%台の学校も19.1%で、基礎学力に学校間で大きな格差があることが分かった。
 分類別の正答率は、小学算数Aが72.3%で、中学国語Aは74.1%。A問題4分類の正答率は昨年度より8.1〜16.1ポイント下がった。B問題4分類は50.0〜61.5%で、10.5〜12.3ポイント低下。文科省は「過去の調査で課題が見られた内容を多く出題したため、昨年度より難しくなっている。昨年の正答率と単純には比較できない」としている。
 平均正答率の都道府県間格差(公立校)は、最大の中学数学Aで22.5ポイントあり、最小の中学国語Aでも10.8ポイント。8分類中5分類で昨年度より差が拡大した。秋田が5分類でトップで、福井、富山も多くの分類で上位。沖縄は全分類最下位で、大阪や北海道、高知などが多くの分類で下位だった。上位層と下位層の顔ぶれは昨年度とほぼ同じだった。
 昨年度と同様、就学援助を受ける児童生徒の割合が高い学校は、正答率が低い傾向が見られた。学習環境などの調査では、国数や総合学習を「役に立つと思う」と答えた児童生徒の割合が減った。
関連記事1
図表の活用苦手、基礎知識も定着せず(毎日新聞 8月30日)
 29日公表された今年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果からは、これまでも指摘されてきた「知識の活用が苦手」という課題が改めて浮かんだ。昨年度より問題が難しかったこともあり、基礎的な知識でも一部に定着不足が判明。テレビの視聴やゲームをする時間の長短と成績の相関関係も明確に表れた。
◇面積イメージ、感覚つかめず−−小学校
 算数、国語とも、グラフや図表から情報を読み取り、分かったことを基に説明する力の不足が目立った。算数では、面積の数値から「実際にどれくらいの大きさか」をイメージする感覚が身についていないなど、基礎学力の課題も浮かんだ。
 基礎を問う算数Aでは、7割超の児童が整数や小数の四則計算などはできていた。しかし「面積が150平方センチであるもの」を選ぶ問題の正答率はわずか17・8%で、「教室のゆか」と誤答した児童が30・6%もいた。
 平行四辺形の面積を求める問題では、底辺と斜辺の長さ、高さを示して出題した。正答率は85・3%で、底辺と高さだけを示した昨年度に比べて10ポイント以上も下がった。
 活用力をみる算数Bでは、児童の6年間の身長変化の折れ線グラフを一つ、学年ごとの身長の伸びを表した棒グラフを四つ示し、折れ線グラフがどの棒グラフに対応するかを尋ねたところ、正答率は28・2%にとどまった。棒グラフと円グラフそれぞれから読み取る情報を結びつけて考える力を探った問題では、正答率が小学校算数で最低の17・6%しかなかった。
 国語Aでは、「勢い(読み)」「予防(書き)」など漢字の読み書きは正答率が過去の調査を上回った。しかし、「開場」と「会場」を書き分ける問題の正答率が低かった。
 国語Bでは、開館日時や読書時間調査の結果などが書かれた「図書館だより」から情報を取り出し、自分の意見を書く問題の正答率が33%と低迷した。自分の体験を基に意見を書く昨年度の問題では正答率が75・4%で、資料の情報を基に意見を書く訓練の必要性が浮かぶ。
◇数学Bで無解答率58.5%−−中学校
 資料の情報を基に自分の意見を書くことが苦手なのは、小学校と同じ傾向だった。日常的な事象を数学的に解釈し、説明することなどにも課題がある。
 数学Aでは、グラフで示した反比例の関係を式で表す問題の正答率が37%と低かった。「3a+4b」という式を具体的な事象と結びつける問題の正答率が低いのも目立つ。
 数学Bでは、富士山周辺と山頂の6地点について、標高と8月の平均気温を示した表とグラフなどを基に、6合目(標高2500メートル)の気温を求める方法を考える問題の正答率が13・3%と数学全問の中で最低だった。この問題は無解答率が58・5%に上るのも特徴。問題解決のために数学をどう活用するかを指導する必要がある。
 国語Aでは「年頭」の意味を選ぶ問題の正答率が38・3%で「上に立つ者」と誤答した生徒が50・1%いた。話し合いの流れをとらえ、どのような発言をすればいいか考えて記述する問題は正答率91・6%だった。
 しかし、国語Bで、「全然」という言葉の使い方について辞書やデータを基に意見を書かせたところ、正答率は54・3%にとどまった。
 国立教育政策研究所は「昨年度より難易度を上げたことで、(学習の)つまずきの状況や、知識の定着状況をきめ細かく把握することができた」と分析している。
◇学ぶ意欲減退、くっきり
 読書よりテレビ、ゲーム顕著に 小学生「ネット2時間以上」7%
 生活習慣や学習環境についての調査では、昨年度よりも読書時間が減る一方、テレビやゲームに費やす時間が増えていることが分かった。インターネットを「1日2時間以上する」と答えた小学生も約7%に達した。「学習が将来役立つと思う」と答えた児童生徒が大幅に減るなど、学ぶ意欲の減退がうかがえる結果となった。
 学校の授業以外の学習時間(平日1日当たり)は、小中学生ともに「1時間以上2時間未満」が最も多かった。「3時間以上」と答えた割合は、小学生が中学生を上回り、傾向は昨年度とほぼ変わらなかった。
 国語の学習について「将来、社会に出たときに役立つと思うか」と尋ねたところ、「当てはまる」と答えた割合は小学生が52・4%(昨年度比8・8ポイント減)、中学生が39・5%(同10・5ポイント減)と大幅に落ち込んだ。算数や数学、総合的な学習の時間についても同様の傾向が見られた。
 読書をする時間は小中学生ともに減少した。しかし、「読書が好きだ」と答えた児童生徒の割合は昨年度とほぼ変わらなかった。一方、携帯電話で通話やメールを「ほぼ毎日している」とした割合は、小中学生とも2ポイントほど増えた。テレビやDVDを3時間以上見る割合は、特に小学生で大幅に増加。テレビゲームを3時間以上する小学生の割合は11・8%に達した。テレビ、DVDの視聴時間やゲームをする時間が短い児童生徒の方が、長い生徒よりも各教科の正答率が高かった。学習塾に「通ってない」と答えた小学生は昨年度より3・5ポイント減って51・2%。中学生も4・3ポイント減って36・2%だった。
==============
正答率の低かった問題の例(カッコ内はその選択肢を選んだ児童生徒の割合)
▽小学校算数A=正答は2
・約150平方センチの面積のものを、下の1から4までの中から一つ選んで、その番号を書きましょう。
1.切手1枚の面積(1.3%)
2.年賀はがき1枚の面積(17.8%)
3.算数の教科書1冊の表紙の面積(49.2%)
4.教室1部屋のゆかの面積(30.6%)
▽中学校数学A=正答はア
・下のアからエの中に、3a+4bという式で表されるものがあります。それを一つ選びなさい。
ア.1辺aセンチの正三角形と1辺bセンチの正方形を、それぞれ針金で1個ずつ作ったときの針金の全体の長さ(32.7%)
イ.3人がa円ずつ出し合ったお金で、b円のりんごを4個買ったときの残った金額(13.7%)
ウ.3グラムの袋にaグラムの品物を入れ、4グラムの袋にbグラムの品物を入れたときの全体の重さ(36.4%)
エ.3分間にaリットルの割合で水が出る蛇口と、4分間にbリットルの割合で水が出る蛇口から、水を同時に1分間出したときの水の量(16.3%)
==============
◇公立学校の都道府県別正答率
      小学校                   中学校
      国語A  国語B  算数A  算数B  国語A  国語B  数学A  数学B
北海道  60.5  46.4  66.4  47.7  72.7  59.0  60.3  45.9
青森   70.8  55.0  77.2  53.8  75.3  61.7  65.0  50.2
岩手   67.8  53.3  73.9  51.8  74.3  60.6  58.1  45.8
宮城   64.2  49.2  71.3  50.4  73.8  61.8  61.4  49.1
秋田   74.4  62.9  80.7  58.9  78.6  66.8  70.1  54.7
山形   68.1  52.0  73.6  51.2  76.7  64.6  65.5  51.9
福島   66.4  50.4  73.0  50.1  74.4  60.8  61.4  48.3
茨城   65.9  49.8  71.9  50.7  74.0  62.4  63.8  48.1
栃木   64.3  49.5  71.4  50.7  73.7  60.8  62.4  48.5
群馬   66.2  50.0  72.7  50.8  75.6  63.6  65.4  52.1
埼玉   66.2  51.8  72.3  52.5  73.2  61.1  61.1  47.8
千葉   66.7  51.4  72.8  55.7  73.5  61.4  62.6  48.9
神奈川  65.1  50.7  71.7  53.0  73.2  61.1  62.6  48.6
新潟   67.0  50.7  71.9  51.1  73.6  61.3  62.8  49.3
富山   68.8  54.3  76.0  55.1  78.0  67.1  69.8  55.2
石川   67.6  55.2  74.7  54.8  76.0  64.2  66.4  53.1
福井   70.5  57.5  71.4  51.0  74.7  62.1  62.3  50.0
長野   66.5  51.2  72.1  51.2  74.3  61.3  63.2  50.3
岐阜   65.0  53.2  70.4  52.1  75.7  65.3  66.9  52.9
静岡   65.6  52.1  72.0  51.4  75.4  64.1  67.0  52.7
愛知   64.4  49.9  71.9  51.9  74.5  62.1  67.0  53.0
三重   62.9  47.1  70.9  49.7  72.6  59.4  63.7  49.3
滋賀   62.3  47.8  75.3  53.3  73.5  61.0  64.1  49.5
大阪   62.7  47.0  71.2  49.9  70.5  55.2  60.5  45.2
兵庫   66.1  50.8  73.0  52.2  73.3  59.6  65.3  50.2
奈良   66.2  51.5  73.0  52.4  74.6  62.3  66.3  51.5
和歌山  64.3  47.4  72.7  48.9  71.9  57.0  64.3  48.8
鳥取   68.0  51.7  73.3  52.2  75.5  61.3  64.4  50.9
島根   63.2  48.6  70.6  49.9  75.2  63.1  62.1  50.6
岡山   63.5  48.9  69.5  49.3  73.2  58.8  61.7  47.7
広島   67.8  53.3  74.3  53.6  74.1  60.9  64.1  48.7
山口   63.4  47.5  69.2  48.7  74.2  60.7  63.3  50.0
徳島   65.6  50.3  73.9  50.7  73.6  59.5  66.7  51.2
香川   67.2  53.8  74.1  54.3  75.7  62.7  68.0  52.6
愛媛   64.7  50.3  71.2  50.7  74.1  60.9  64.9  51.5
高知   65.0  47.7  72.6  49.3  70.0  54.7  54.5  41.5
福岡   63.9  47.4  71.1  49.2  73.6  60.0  61.1  48.2
佐賀   65.4  47.8  72.8  49.4  72.8  59.1  61.6  49.1
長崎   62.6  47.5  71.0  49.4  73.6  60.6  62.6  49.9
熊本   66.6  50.4  74.0  51.2  74.1  62.1  63.4  50.7
大分   62.5  48.0  72.0  50.0  73.4  60.0  62.5  47.0
宮崎   66.9  48.9  74.0  49.1  74.8  61.5  64.8  50.5
鹿児島  66.2  50.1  72.8  49.0  73.0  59.5  61.4  47.3
沖縄   57.5  45.1  66.3  45.5  67.8  54.0  49.6  38.0
平均   65.4  50.5  72.2  51.6  73.6  60.8  63.1  49.2
※単位は%
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連覇秋田は生活重視(毎日新聞 8月30日)
 秋田はトップ、大阪と高知はまたも低迷……。文部科学省が29日公表した全国学力テストで、成績上位県と下位県の顔ぶれは昨年とほぼ同じだった。低位の府県では、家庭の状況と学力の関係を指摘する声もあり、ボランティアや退職校長も動員した地域ぐるみの取り組みも始まる。
 2年連続で好成績の秋田県。根岸均・県教育長は会見で「一抹の期待と不安があったのは正直なところ」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。昨年脚光を浴び、各地の教育委員会や議員らが県教委を視察した。秋田の特徴は規則正しい生活習慣。小学6年で「授業の復習をしている」が79・7%(全国平均43・4%)、「普段午前7時以前に起きる」が90・3%(同75・0%)に上る。比較的小規模な学校が多く、学校ぐるみの熱心な指導も特徴だ。潟上市立東湖小学校(児童数141人)。6年生は月3回程度、5人の班に分かれ習熟度別の少人数授業を受ける。教頭や他学年の教員も指導に加わる。岩野ひとみ教諭は「全児童に目が行き届く」と話す。
 一方、昨年同様、中学校でワースト2位の高知県。県民所得(05年度214万円)もワースト2位で、「生活に精いっぱいで教育に目が届かない家庭もある」(50代の中学教諭)との声も。小中学校での不登校や暴力行為が発生率で全国ワースト1〜2位にもなった。県教委は学力を11年度までに全国水準にするため、退職校長や地域ボランティアも学習指導に加え、本腰を入れる。
 大阪府は2年連続で全国平均を下回り、中学数学Bなどは45位と低迷した。府教委は昨年の結果を受け、学力向上担当教諭の各校配置などを提案。だが取り組みは市町村教委や各校に委ねられている。
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動かぬ学力順位、なぜ
(朝日新聞 8月30日) 
 全国平均を大きく上回った、または下回った都道府県の顔ぶれは変わらない。29日に発表された全国学力調査の結果だ。だが、なぜそうなったのか、分析は不十分と専門家は見る。発表が早まったことには学校から歓迎の声があがっているが、調査自体について与党から疑問視する意見も出ている。 
秋田―「少人数学級の効果」、沖縄―「すぐ向上無理」 
 秋田県は今回も小6の全科目で1位だった。前回の結果から、国際調査で上位のフィンランドになぞらえて「日本のフィンランド」と呼ばれ、20都道府県から視察を受けてきた。「01年度から始めた少人数学級や02年度からの全県テストの効果も考えられる」と県教育委員会はみる。中3の3科目で1位の福井県。「少人数学級を強化し、地域ボランティアが指導した成果では」と県教委。 
 下位県の顔ぶれも変わらない。昨年に続いて全科目最下位の沖縄県。この1月から、中学の数学で、県内30校に退職教員ら「学力向上サポーター」を派遣。今春、小中学校に入学した子どもには「家庭学習の手引」を配り、家庭で学習習慣の定着を目指す。「取り組みは始まったばかり。すぐ得点アップとはいかない」と県教委は話す。高知県も中学で昨年同様全国平均を大きく下回った。7月の補正予算で、特に結果が悪かった中学数学で小単元ごとにテストをする対策を盛り込んだ。県教委職員が秋田県を視察し目にした。 
 今年もすべての科目で全国平均を大きく下回った大阪府。「2年連続でこのざまは何だ。最悪だ。民間なら減給は当たり前」。橋下徹知事は29日夕、報道陣を前に教委と現場を激しく批判した。9月から始まる府内の約半数の小中学校での習熟度別授業や、公立小中学校で地域の学生や退職教員らが授業をする放課後学習などを挙げ、「僕が全部提案したことだ。教委はなぜ自分たちで対策を考えないのか」と怒った。 
 上位・下位が大きく変わらないことについて、各自治体の社会経済的な背景を指摘するのは志水宏吉・大阪大大学院教授(教育社会学)だ。大阪府の学力調査の分析や学校のフィールド調査で、就学援助率の高さなど地域の経済的環境の影響を感じた。「文科省は検証を都道府県に丸投げしているきらいが強い。下位層をどう底上げできるかを研究しなければならない。それこそが国の役割ではないか」 
*発表早まり「ありがたい」 
 調査から結果発表まで約4カ月。昨年は半年かかり、「遅すぎる」と批判されたが、今年は2カ月早まった。山形県米沢市立第四中学校の金俊次校長は「ありがたい」と話す。県、市が実施する学力テストはなく、全国学力調査は、全国との比較に使える貴重な物差し。昨年より指導に反映できそうだ。名古屋市立明倫小学校では早速、保管してある問題用紙を使って、再度、問題を解かせるつもりだ。吉田亘校長は「返却が早まった分だけ、児童の弱いところを丁寧に教えることができる」。 
 採点の混乱などがあった昨年の反省をいかし、文科省は今回、準備期間で解答類型の洗い出しに時間をかけ、採点を派遣社員ではなく請負企業が自社で雇った人が行うよう指導。目標だった「8月中の結果公表」にこぎ着けた。 
 もっと早くという声もある。大阪市立堀江小学校の崎谷善朗校長は昨年、結果を分析した上で6年生を集め、児童たちが苦手だった設問について考え方や解き方を説明した。「2学期に結果をもらっても遅い。調査のすぐ後に速報結果を出してくれれば、弱点をもっと丁寧に教えることができるのに」と話す。 
*調査不要の声に文科相「続ける」 
 特定学年の全員に対する調査を毎年する必要があるのかは、専門家から疑問が上がっており、自民党のプロジェクトチームも調査について「今のままなら不要」としている。これに対し、鈴木文部科学相は29日、「長期的な教育投資を考えていく上でのデータは必ず必要。(全員に対する調査として)続けていくべきだと思う」と話した。 
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国私立・公立の差は拡大傾向に
 (朝日新聞 8月30日)
 調査結果を公立、国立、私立に分けて比べると、昨年と同様に「知識」より「活用」で公立と国立・私立の差が開く傾向にあり、昨年より差が広がった科目が多い。また、中3では国立と私立の差が昨年より開いている。 
 公立と国立の差が最も小さかったのは小6算数Aで公立の正答率72・2%に対し、国立84・6%と12・4ポイント差。昨年の10・0ポイント差より広がった。昨年は公立と国立の差が8・3ポイントと最も小さかった小6国語Aは公立65・4%に対し、国立と私立がいずれも81・6%で、16・2ポイント差になった。昨年と同様、最も差が開いたのは中3数学Bで、公立が49・2%に対して国立が75・6%の26・4ポイント差。07年は22・9ポイント差だった。 
 中3の国立、私立を比較すると、07年は2・1〜5・9ポイント差だったが、08年は4・2〜10・7ポイント差に広がった。国立は07、08年ともに全校が参加しているのに対し、私立は参加率が約6割から約5割に低下。文科省は参加している学校や、今年見送った学校を明らかにしていないが、影響している可能性もある。 
国公私立校の平均正答率(%) 
 <小学校> 
    国語A  国語B  算数A  算数B 
公立 65.4  50.5  72.2  51.6 
国立 81.6  69.3  84.6  68.0 
私立 81.6  67.0  84.4  65.7 
 <中学校> 
    国語A  国語B  数学A  数学B 
公立 73.6  60.8  63.1  49.2 
国立 87.7  82.9  87.1  75.6 
私立 83.5  74.9  78.5  64.9 
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学力調査の結果開示める動き
 (朝日新聞 8月30日)
市町別、学校別の結果開示をめぐる動き
 全国学力調査の市町村や学校ごとの結果について、情報公開を求める動きが全国で起きている。文科省は過度の競争や序列化を防ぐため開示しないよう通知しているが、鳥取県では情報公開審議会が「開示」を答申。だが県教委は今月、序列化を懸念する声を重視し開示を見送った。開示、非開示のいずれが教育の改善につながるのか。どの自治体でも検討すべき課題となっている。鳥取県教委は昨年10月、地方紙記者から市町村と学校別の結果の情報公開を請求されたが、文科省通知に従い非開示とした。この処分に異議が申し立てられ、県情報公開審議会は今年7月、処分を取り消すべきだと答申。中永広樹教育長は開示に前向きな姿勢を見せていた。ところが、県教委の委員6人は意見が割れ、いったん結論を持ち越した。意見聴取のため開かれた校長会や市町村教委、保護者との意見交換会では「不必要な競争に追いやる可能性がある」などと開示に反対の声が多数を占めた。県内外の団体から非開示を求める要望書が届いた。県教委は今月11日、結果が独り歩きする恐れがあることや、市町村や学校側は非開示を前提として学力調査に臨んでいたことを理由に、非開示と決めた。異例の採決だったが、最後まで開示を支持したのは中永教育長だけだった。ただ、来年度以降の学力調査の結果を開示するかどうかは、今後の検討課題とした。中永教育長は「教育関係者だけでなく、みんなが情報を共有することが大切だ」と訴えた。「結論によっては不参加もありえる」と表明する市町村もあったといい、来年度の実施前には結論を出す必要がある。 
 埼玉県にも昨年10月に情報公開請求があった。非開示としたが、異議申し立てがあり、県情報公開審査会が審議中だ。大阪府枚方市では、市民が2月、学校別の結果を非開示とした市教委の処分の取り消しを求めて、大阪地裁に行政訴訟を起こした。同じ市民が市の独自テストの成績開示を求めた訴訟では、二審の大阪高裁が昨年1月、一審判決を支持して開示を命じ、確定している。 
 全員が参加する全国学力調査をめぐっては、学校や自治体間の競争過熱を招き、64年度を最後に中止されたという経緯がある。お茶の水女子大大学院の耳塚寛明教授(教育社会学)は「どの自治体もひとごとと思わず、公開することも一つの選択肢として検討していくべきだ」と話す。ただ、公開にしろ非公開にしろ、最も問われるのは結果をどう活用するかだ。「公開するなら、公開がどんな効果をもたらすかとともに、公開した上でどんな改善策を準備しているかを明示する必要がある。非公開の場合も、教委が結果をどう使っているかを十分説明しなくてはならない」

新指導要領 現場に不安
(朝日新聞 9月1日)
 全日本教職員組合(全教)などが主催する教育研究全国集会が21〜24日、京都市で開かれた。小学校での英語や道徳教育など小中学校の新しい学習指導要領で重視された項目について、多くの意見が交わされた。小5、小6では2011年度から、週1コマの「外国語(英語)活動」が必修となる。移行期の09、10年度に前倒しで始めることもできる。新指導要領をテーマにしたシンポの会場からは不安の声が相次いだ。 
 滋賀県の小学校の教師は、英会話学校の講師を招いた研究授業の様子を紹介。文法などは教えずに、ゲーム形式で児童らに言葉のシャワーを浴びせる進め方に、「安易では。高学年の児童たちは白けていた」と疑問を投げかけた。現在の制度では、小学校教員に英語の指導能力は問われない。同僚と英語指導の研修会を開いている和歌山県の小学校教師は「小学校の担任に任せるのは無理がある」と話した。一方、外国語教育をテーマにした分科会では、これを好機ととらえ、世界の多様な文化や異なる生活習慣などを学ぶ場にするべきだといった考えが多く出た。 
 道徳教育は「学校の教育活動全体を通じて行う」と明記された。シンポで埼玉県の小学校教師が各校に置かれる「道徳教育推進教師」に触れ、「各教科にどのように盛り込んだかチェックするという。教員評価に反映されないか心配だ」と述べた。パネリストの一人、京都橘大の碓井敏正教授(哲学)は「戦前の修身科の復活につながりかねないが、モラルや規範といった市民道徳を教える機会にしたい」と話した。 
 改正教育基本法にある「伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する」ことを重視したことも新指導要領の特徴だ。国語の分科会では、札幌市の道立高校の教師が地元文学の鑑賞を採り入れた実践例を報告。極端な郷土愛を芽生えさせないかという心配に触れ、「和人の侵略などの負の歴史や、アイヌ民族の文化や歴史も紹介するよう心がけている」と話した。 
 新指導要領では、自分の考えや思いを話したり、他人の意見を聞いたりする「言語活動の充実」も掲げられた。東京都江戸川区の小学校教師は、文科省の担当者による生活科のモデル授業を紹介。手作りおもちゃの作り方を十分説明せず、子どもたちがつまずいてもほったらかしな一方、感想を発表するよう強く求めたことを挙げ、「言語活動が先にありきのような本末転倒な授業が増えるのでは」と疑問を呈した。


その他

名言・迷言・冥言
(野茂投手 引退に際して)
悔いのない野球人生だったという人もいるが、僕の場合は悔いが残る。
(福田首相 辞任会見で)
私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです。

夜スペに揺れる塾 不公平、生徒取られる
(朝日新聞 8月26日)
 東京都杉並区立和田中で、塾講師が生徒に教える「夜スペ」は、塾側にも変化をもたらしている。対象を希望者全員に広げたことで、進学塾が補習にも本腰を入れ始めた。その宣伝効果で他校への参入も成功しつつあるが、塾業界からは戸惑いや疑問視する声も上がっている。 
 和田中では夏休み中も学期中と変わらないペースで、進学塾「サピックス」の講師が授業を続けている。ただし、夏休みに入り、習熟度別の3クラスに分かれた。1月末の開始時から参加する18人と、5月から始めた23人とでは進度に違いがあるからだ。学校側は当初、ついていけないと感じる生徒には「家庭教師のトライ」による個別補習も検討。だが、「サピックスを受けたい」という希望が多く、二つの企業でどう分担するのかなお検討が必要なことから夏休みはサピックスだけに任せたという。サピックスはもともと入塾に試験を課す難関進学塾だ。だが、夜スペでは全員参加を受け入れ、習熟度別クラスのために派遣する講師を3人から6人に増やした。さらに、和田中から電車で30分ほどかかる三鷹市内の校舎に和田中生用の夏季講習特別クラスもつくった。希望した生徒が、午前中に塾生と同じ料金で夏季講習を受けている。同社企画営業部は「できない生徒を切り捨てるわけにはいかない。全員、合格まで面倒を見る」という。サピックスにとって夜スペは大きな宣伝材料だ。実際、私立中高11校から問い合わせがあり、うち6校で授業を始めている。費用は和田中のほぼ倍、それでも直接通うより安い。公立中高からも3校、問い合わせがあるという。 
 一方、トライにも杉並区内に住む小学生の保護者から数件問い合わせがあった。 
いままでに仙台育英学園秀光中など全国の私立中高7校に講師を派遣してきた。和田中でも実績を出せば今後の事業展開に役立つと考え、派遣する講師は選定済みだ。森山真有専務は「どんな形になるのかわからないが、生徒の性格や学力に合わせてきめ細かい指導をする準備をしている」と話す。和田中には、ほかにも数社の塾があいさつに来ているという。 
 一方、こうした動きにはくみしないと言い切る塾もある。大手の栄光ゼミナールの横田保美広報部長は「学校で安く塾の授業をすると、すでに塾に通っている生徒には不公平になる。学校で塾の宣伝をするべきではない。和田中のなし崩し的な取り組みは、ほかの学校や塾に、ある意味迷惑だ」という。 
 個人経営から会社組織まで約650の塾が加盟する全国学習塾協会には様々な声が寄せられている。「どうやったら学校に売り込めるのか」「こうした塾に、塾生を取られてしまうのではないか」……。稲葉秀雄専務理事は「落ちこぼれや、(学校の授業では物足りない)噴きこぼれ対策に学校が困っているなら、制度を作って塾を活用すればよい。ただ、いまのような値段では請け負えない。ほかの公立中に急に広がるとは考えにくい」とみている。

大学教員残酷物語 高校詣でも仕事
(毎日新聞 9月1日)
◇私立大定員割れ47% 激しい学生争奪戦
 今春の大学入試では、私立大(4年制)の半数近い47%が定員割れをした。教授や准教授の大学教員は夏から秋にかけて、受験生を確保するための高校訪問や大学を開放するオープンキャンパスなどで大忙しだ。「高校訪問の地方出張が多すぎる」「教員本来の仕事ではない」などの嘆きも聞こえる。受験生確保に奔走する大学教員の姿を伝える。18歳人口が減少する中、私大が生き残るには三つの要素が必要だという。有名大学などが持つ「ブランド」、都会など交通に利便性のある「立地」、理系と文系に複数の学科がある「総合大学」。もちろん例外はある。
 大学による受験生確保の方法の一つは、推薦入試で一般入試より前に入学者を決めてしまうことだ。私大の推薦入学者の割合は年々増え続け、今春は45・9%と過去最高を記録した(日本私立学校振興・共済事業団調べ)。そんな数字も大学間の「学生争奪」の激しさを物語る。
 佐藤功さん(仮名)は30歳代の私大准教授。勤務する大学は首都圏にある、いわゆる「中堅大学」。定員割れはないが、大学の立地は悪い。路線バスを利用すると最寄り駅から30分はゆうにかかる。私大生き残りの3要素に当てはまるのは、「総合大学」ということだけだ。佐藤さんはこの夏、20校以上の高校を訪問した。首都圏はもちろん、首都圏以外の関東や甲信越、東海地方へも足を運んだ。主に訪ねるのは大学関係者が「固定客」と呼ぶ指定校推薦の高校だ。佐藤さんは高校訪問の際、かばんに「訪問マニュアル」を入れている。大学がコンサルタント会社に依頼して数百万円かけて作成した。A4判数ページのマニュアルには「予約の入れ方」「事前準備」「訪問時の注意」などの項目が時系列に並ぶ。「訪問時の注意」には「服装を清潔に保ちましょう」「笑顔で訪問しましょう」など基本的なことが記されている。また「高校の進路指導室に直接出向く前に、受付であいさつすると人脈が広がります」との記載もある。「企業の新人研修みたいですが、大学教員は関係者以外と接する機会が少ないのでマニュアルが必要です」。佐藤さんはこう説明した。マニュアルには「予想される質問」の項目もあった。高校の担当者から「最寄り駅からは遠いですね」と大学の弱みを突かれた時はこう答える。「自然に囲まれた落ち着いた空間ですので、学生は勉学に集中でき、伸び伸びと学生生活を送っています」。さらに、他のどの大学が訪問したかを探るため、高校の窓口にある訪問者名簿には目を通す。高校の進路指導室では、他の大学より目立つように大学のポスターを張るよう試みる。いずれも目標が達成できれば、大学への報告書に誇らしげに書くのだという。
 ただ、佐藤さんの大学のように首都圏は、他の地域に比べまだ恵まれている。東京は全国13地域別のうち大学の入学定員充足率は116%で1位(私学事業団調べ)。南関東(埼玉・千葉・神奈川)は充足率109%で2位(京都・大阪と同率)だ。では、他地域はどうなっているのか。充足率102%で実数で東北地方に次ぐ全国6位の東海地方を訪ねた。
 浜本健太郎さん(仮名)は40歳代の私大准教授。この大学も定員割れはしていない。浜本さんが勤める大学は7月下旬、オープンキャンパスを2日間行った。他の学部には高校生ら約50人が集まったものの、浜本さんの学部のコーナーを訪ねたのはわずか4人だった。1日平均2人。「うちの学部は毎年この程度しか集まりませんよ」。浜本さんは無力感を漂わせた。ここ数年は毎年のことだが、あまりの人の少なさに、模擬講義などを手伝ってくれた現役大学生に申し訳なく思う。浜本さんも、もちろん高校訪問をする。予約を入れ、片道2時間かけて自家用車で向かった。ところが、高校の担当者からは「パンフレットを置くだけでいいですよ」と冷たく言われた。滞在時間はわずか10分。追い打ちをかけるように、自家用車のガソリン代も実費精算ではなく、この原油高騰のおり1リットル100円で精算させられている。
 首都圏の佐藤さんは、高校訪問には懸命だった。しかし、東海地方の浜本さんの大学では、近隣の大学も似たような高校訪問をするのでほとんど効果がない。浜本さんの大学を受験する高校生らは、推薦入学で早めに進路を決めるのではなく、一般入試まで「ブランド」「立地」などを満たす大学を目指し続ける傾向にある。受験生を多く集める大学と、少ない大学との「二極化」が進むが、少ない大学では推薦入試でも学生の確保が難しくなってきている。
 大学教授や准教授自らがなぜ高校を訪問するのか。かつては大学職員がその役割を担っていた。浜本さんはこう背景を説明した。「18歳人口の減少によって学生が減るとともに大学の収入も少なくなる。私の大学では経費節減のため、半分以上の職員を派遣社員にした。だから、本来は大学職員の仕事だった高校訪問が大学教員にも課せられるようになったのです」
 受験生確保は、来春の入試で大きな山場を迎える。大手予備校「駿台予備学校」(東京都千代田区)によると、18歳人口は09年度に2・5万人減少し121万人となり、その後の約10年間は約120万人で推移する。各大学は来春の入試で多くの受験生を確保しようと設備改修などを進めており、今後の経営安定につなげたい考えだという。教授や准教授の仕事のうち「受験生集め」が大きな比重を占めることに批判もある。「大学崩壊!」などの著書がある法政大学理工学部の川成洋教授は強い言葉で語った。「受験生集めは大学教員の本来の仕事ではない。そんなことでは、研究者の誇りもプライドもなくなる。大学はもともと知を発信する場所だったはず。学生を指導する教育や国際競争力をつける研究などにもっと力を注いでほしい」。耳の痛いことばではある。

受験生から保護者へ これから入試へ向けて
受験生から保護者への要望です。これから入試までを一緒に過ごす上での参考にしてください。
・成績をあまり気にしないでほしい。
・点数をそんなに気にしないでほしい。
・理科のチェックテストですべて満点を取ったのでほめて欲しい。
・家の中がうるさくて集中できないことがある。
・テストの結果次第で喜んだり、悲しんだり、おこったりするのをやめてほしい。
・1回のテストの結果で、自分の行きたい学校を受けるのをやめろというのをやめて欲しい。
・入試までに気分が落ち込んだり、暗い気持ちになったときに、少しだけでも励ましてくれるといいです。
・入試に向けて、あまりたくさんプレッシャーをかけないでもらいたい。
・テスト結果が悪くても、グチを言ったり、他人と比べないでないでほしい。
・兄弟で区別しないでほしい。
・兄弟や友だちと比べないでほしい。
・他の人と比較しないでください。
・会話の中で、社会や理科に役立つことを話してほしい。
・テストがあるたびに、きつく怒らないでほしい。次に向けて、入試に向けてのことを多く言ってほしい。
・テストのできを聞かないでほしい。
・テストの結果に一喜一憂してほしくない。
・すぐに文句を言わないでほしい。
・成績でいちいち嫌みを言わないでほしい。
・成績の悪いときは何か言ってほしい。
・同じせりふを何回も言わないでほしい。余計なことは言わないでほしい。
・やる気がなくなるような怒りかたをしないでほしい。
・ため息をつくのをやめてほしい。
・次から次へといろんなことを言うのはやめてください。
・否定的なことばかり言わないでほしい。
・家の手伝いをできれば免除して欲しい。
・勉強しているときに話しかけるのはやめてほしい。
・いやなことはいわないでください。
・テストの点数が悪くても鬼にならないようにしてください。
・あまり感情的にならないでほしい。
・少しくらい休みの時間が欲しい。
・受験する学校を男子校にして欲しい。
・勉強しているときにテレビをつけないでください。
・勉強の厳しさのことを何回も言わないでください。
・「受験をやめろ」とは言わないでください。
・苦手な問題をやっているときに「できないんでしょ」というのはやめてほしい。
・ちょっとしたことで怒らないでほしい。
・全く関係ないことを入試の合格、不合格につなげて言わないで欲しい。
・「無理」「ダメ」「第一志望あきらめなさい」などのやる気をなくす言葉を使わないでほしい。
・同じことを何度もしつこく言わないでほしい。
・「その学校はダメ」と勝手に決めつけずに理由を言ってほしい。
・勉強に集中しているときに「早く風呂に入れ」などと言われる。
・塾で教わっているやり方に沿ったアドバイスをしてほしい。
・もう少し早く寝かせてほしい。
・弟を静かにさせてほしい。
・あまり勉強に干渉してほしくない。
・勉強するときに何をやるかとか時間は自分で決めているので、口出しして欲しくない。
・勉強しているときに話しかけてこないでほしい。
・志望校を親だけで勝手に決めないでほしい。
・集中しているときに勝手に部屋に入ってきて話しかけないでほしい。
・気がちるので、あまり家に人を呼ばないでほしい。
・自分にできないことを押し付けないでください。
・あまり問い詰めないでほしい。
・成績のことは自分でわかっているので、細かいことまで言われたくない。できるだけ言わないで欲しい。
・アクセスの先生と話をしに来てほしい。
・アクセスの問題集以外の問題集はしなくてもよいと親に伝えてほしい。
・勉強に対するアドバイスを家の人に伝えてほしい。
・志望校の下見に行かせてほしい。
・学校の体験授業に行かせてください。
・僕ばかりに気を使わないで、普通にふるまってほしい。
・自分でやることはしっかりやります。しかしときどきは協力してください。
・今までどおり自分の勉強を見守ってください。
・受験が終わるまでこれまでどおり応援してください。見守っていてください。合格すると信じていてください。
・お弁当を作ってもらうなど、受験のためにいろいろ支えてもらっていますが、これからもお願いします。
・弁当や送り迎えをいつもありがとう。いつも僕のことを考えてくれてありがとう。やる気パワーを全開にして勉
強に励みます。
・美味しいごはんをこれからもお願いします。
・これからもいろいろなことでよろしくお願いします。
・これからも支えてください。
・ぼくも頑張るので良いところを見てほしい。
・いつも協力してくれていて助かります。だから私も頑張ります。
・これから頑張るから心配しないでください。
・入試前は健康に注意してください。