NO.176
2005年 7月15日
アクセス教育情報センター
目次
学校情報 |
学校情報 | 公開模試情報 | 教育情報 | その他 |
海陽学園 | 慶応中等部 | 首都圏模試7月 | 慶應義塾大学 |
学校情報
海陽学園 中高一貫校の奨学生資格審査、2大学が会場貸し出し断る
(朝日新聞 7月7日)
トヨタ自動車、中部電力、JR東海が愛知県蒲郡市に来春開校を予定している中高一貫の全寮制男子校「海陽中等教育学校」が10日実施する奨学生資格審査について、「『青田買い』の恐れがある」などとして、2大学が会場の貸し出しを断っていたことがわかった。同校は会場を変更し、予定通り実施する。
会場の貸し出しを断ったのは、大阪会場の関西大と東京会場の明治大。関西大は「実質的な中学入試に当たり、入試時期についての私立中学の申し合わせに抵触する恐れがある」、明治大は「東京私立中学高校協会の求めを受けて中止を判断した」としている。代わりに民間の会議場などを借りる。両大とも付属中学、高校がある。全国6都市で行われ、ほかの会場は予定通り実施される。奨学生資格審査には、全国から500人以上の申し込みがあったという。日本私立中学高校連合会などが入試の前倒しで、教育環境の混乱を招くなどとして、中止や延期を申し入れていた。同校では「奨学生資格審査は入試とは違うと説明したが、大学側の判断なので仕方がない」としている。
http://www.kaiyo-gakuen.jp/
明大明治 塾対象説明会(05年7月1日)
1)理想の大学付属を目指して 吉田校長
明治大学の付属として大学へ進学することを前提にした一貫教育を行う。
大学の付属であることを生かし、知性、感性、体力のバランスの取れた基礎教育を行うとともに、他の学校へ行く学力もつける。
1. 2008年に調布に移転。
移転を見据えた改革を行っている。
@ 男女共学への移行。
男女共同参画時代の到来と男女における人間の価値の平等を身につけるという時代の要請に応えるもの。
A 少人数教育
現在は中高とも1クラス45名規模だが、移転後は中学1クラス35名、高校1クラス40名に。
2. これまでの伝統を堅持
質実剛健、独立自治の教育方針は変わらない。さらにつきつめていく。
質実剛健は、かつては男子向けの言葉だったが、質実剛健の中に含まれる、強さ、優しさ、純粋さは共学になっても通用すると思っている。雙葉の先生から質実剛健は女性にも当たり前の言葉ですと言われ意を強くしている。
独立自治は学ぶことにおける自立を表している。明治は伝統的に、自分で調べる学習を前提にした教育を行っている。
3. 移転場所
調布市富士見町。
今の6.5倍の敷地面積(39,368u)になる。ちなみに早稲田実業が39,314u。かつては野球部が甲子園に出場したこともあるが、移転によりスポーツにもより専念できる。
(司会者補足)
現小6生が入学すると、中3の時に移転することになる。
移転により1学年のクラス数が増え、1クラス人数は少なくなる。
共学による男女比は7:3を目安にしている。学校の活力、校風の維持、部活動の継続等を考えると7:3が適当ではないかと判断している。明治大学の在籍者の男女比率もほぼ7:3。
スクールバスの運行がほぼ確定している。急行停車駅の調布駅から約10分。
2)「ゆとり」をどう生かすか 関根教務主任
今年の高3が新学習指導要領の完成学年なのに、早くも中教審の中間報告で、土曜休み、教育内容削減の見直しを言っている。また、教職員の指導力不足を改善するために教員免許の更新制度を導入することや、専門職大学院に教職大学院を設け実践力、即戦力をつけると言っているが、そんなことで改善されるものではない。
明大明治のゆとりは本来のゆとり。明治大学の直系の付属という環境を生かして、大学入試の枠にしばられず、生徒の将来に対する生きる力や、大学での受講能力をつける。
明大明治のプログラムの三段階
1.新指導要領の是正
基礎教育の徹底、基礎学力の向上
週6日制、34時間授業。三割カットされた分野を従来通りの形で実施。
指導目標の再検討・・年度ごとに改善を加える。
調布移転による少人数授業。
2.ゆとりの現出
付属だからできる本当のゆとりの実践・・英語・情報教育の充実、問題解決型学習の推進。
英語は受験演習ではなく、英語を使って何をするのか=コミュニカティブイングリッシュに取り組む。
対外的な資格である、英検、TOEICを正規の授業の学習目標に組み込んでいる。
情報は多くの学校ではお荷物になっているが、明大明治では大学入学後に必要な力として考え、収集−加工−整理−発信のサイクルを身につけるようにする。発展的な情報教育を行う。
総合学習も形だけの学校が多いが、課題発見学習を通じて本当の力をつける。高2で1単位、高3で3単位設定。高3卒業レポートが集大成になる。
興味を持ったことに対して、調べる−考える−まとめる−表現することを行う。
問題発見や、解決へのアプローチの経験を積む。
3.完成期
明大明治での学習を大学へつなげていく。
高大連携を正規の授業(正課)の中で行う。
@ プレカレッジ・プログラム・・高3の水曜日5・6限に大学の授業を受けに行く。
ここで取得した単位は、高校、大学の両方で認定される。
A 自主選択講座・・大学で講義を行っている先生が高校に来て授業を行う。
大学の授業の入門編。単位は高校の単位として認定。
(司会補足)
基礎学力の向上はあたりまえのようでいて一番難しい。
学習姿勢を全ての生徒につけさせることに苦労している。
中学受験の際に、母親から入学したら6年間遊べると言われ、そのつもりで入学したら勉強が厳しかったという例もある。基礎学力の向上なくして、他のことは成り立たない。
3)明大明治はエスカレーターなのか 田中進路指導部長
幸せを求めるのではなく、自分がどう対応していくかの知恵をつけていくことが学校の進路指導として重要。
明治大学への推薦枠は各学部全部合わせると300名。それに対して、卒業生は年にもよるが215名〜235名。
05年は卒業生235名中
219名・・明大
6名・・国公立大・・5名は明大との併願制度を使って。
6名・・私大・・早、慶、上、理科大等
4名・・未定・・1名は芸大志望、1名は外語大志望。
希望者はほぼ100%が明治大学へ推薦で進学できている。
明大明治は直系の付属校として明治大学とのつながりが強い。
大学と連絡委員会が設置されており、年間15〜20回の会合が持たれている。
これまでの入学者の大学でのGPA評価を各学部から聞いて、在校生の指導に生かしている。
高1・・特別進学講座・・明大8学部の学部長、学科長が3日間にわたり各学部の説明を行う。
高2・・ようこそOB・・社会人OBによる職業講座。年15講座。
高3・・OB講演会・・現役明大生による学校説明。
公開授業・・大学の講義を実際に聴講する。
国公立併願制度は全ての学部の推薦に適用される。
高3の自主選択講座に、調布移転後は全ての学部の講座を設ける。
(司会補足)
就職の明治と言われるように、大学卒業後の就職はよい。
最近は公務員志望の学生が増えている。
移転にまつわる話として
1. 小学校を作るのではないか・・計画はない。
2.
高校募集がなくなるのではないか・・完全中高一貫にして温室育ちにさせたくない。高校からの入学生に刺激される部分もあるので、高校募集を続ける。
3. 跡地はどうなるのか・・たぶん大学の用地として使われるのではないか。
4)出会いを大切に・・入試について 並木広報主任
高3にM君という生徒がいる。成績もよく、行事では中心になり野球部の部長も務める。彼は中学入試の時、他校に合格していながら明大明治に進学してくる。まわりは2月1日に合格した学校(早稲田実業)への進学を勧めたが本人が明大明治にと主張。その理由が、入試当日のフィーリング。入試の際、案内、誘導、監督等を在校生が手伝うが、その様子がよかったらしい。このエピソードから感じることは2点。
@
受験生本人が学校を選ぶことが大事。入学後の学区生活のプラスになっている。
A 入試当日に明大明治の良さを受験生に感じさせるのでは遅い。
入試を行うにあたり以下の点を考慮している。
@ 入試は成績だけではない。人物、意欲をある程度みていきたい。
A 入試は単に合格者を選抜するのではなく、入学後に伸びる生徒を見つけられるものにしたい。
1. 中学入試に関して
a 近年の入試改革について
2002年から2回入試に。・・明大明治に入りたいという受験生に2回チャンスを与えるため。
当初は3日、5日の2回入試。5日の受験生は全滅組かどこか合格してのチャレンジ組が多かった。入試当日に受験生の保護者から学校の説明会を開いてと言われる。入学後も意欲の面で問題があった。
そこで2日、3日の入試日に。2日は大学付属校が競合する中で明大明治を選んでくれた受験生。
b 05年入試を振り返って
1回 2回
定員 90 60
応募者 592 715
受験者 512 464
合格者 143 82
1回の応募者は前年比12%減、2回の応募者は前年比8.5%減。
2回出願した受験生は462名。
追加合格はなし。
05年は応募者が前年比10%ほど減少したが、昨年度の厳しさから安全志向が働いたためと思われる。実際、受験生の層は高かった。
各回とも合格者最低点(350点満点)が昨年を上回っている。
05年 04年
1回 235 224
2回 223 196
今年の入学者のアンケートによると明大明治が第二志望だった生徒の割合が増えている。
第一志望 4割
第二志望 5割
第三志望以下 1割
3年後の調布移転の影響もあり、三多摩地区からの入学者が増える。
入学者通学区域
中1 中3
東京23区 44.5% 59.4%
東京市部 24.8% 11.0%
神奈川 14.6% 14.8%
埼玉 10.2% 9.7%
千葉 2.9% 5.2%
共学化の影響はあまり出ていない。併願校として男子校の割合が5%減り、共学校の割合が5%増えた程度。
c 入学前の指導
早くから明大明治の教育を理解してもらえるように情報公開を意識して行っている。
オープンキャンパス、親子見学会、入試対策説明会も実施。
入学者説明会を今年から2回に。入学者説明会で課題を出したり、図書館の利用案内を配布し入学前から本の貸し出しも行う。
ちなみに、図書館の本の貸し出し冊数が2000年から2003年の間に4倍に。一人平均15冊。新着図書を多く用意したり、司書の先生が作家の所得番付順に本を紹介するなど特集の組み方が上手い。それが生徒の口コミで広がっている。
図書室は読書だけではなく学習センターとしての機能も持っている。
調布移転後の校舎は図書館がメディアセンターとして校舎の中心に位置するようになっている。
d 2006年度入試
1回 2月2日 男子90名 4科
2回 2月3日 男子60名 4科
各回とも入学手続きは2月7日15:30まで。
出願期間を1月27日まで延長。1月入試の結果を見てからでも出願できるようにした。
発表時刻を当日22時から21時に繰り上げる。発表はインターネットの他、電話応答システムもある。
重複受験生には3点までの優遇がある。今年2回受験して2回目で合格した受験生は45名。そのうち8名が重複受験生に対する優遇措置で合格している。
e 08年入試に関して(共学初年度)
募集は男女で約150名。融通が利くように男女別の定員は定めない。
男女比は7:3を基準とするので、女子の合格基準点の方が高くなる可能性もある。
入試では入学後の生徒の対する教育活動を保証することも必要と思うので、7:3のバランスはあまり大きく崩したくない。女子のレベルが高かった場合でも6.5:3.5くらいまでと思っている。
2.高校入試に関して(省略)
http://www.meiji.ac.jp/ko_chu/index.html
鴎友学園 塾対象説明会報告書(05年7月1日)
1) 学校長挨拶・・清水 哲雄先生
@入り口と出口のずれ・・・入り口(入学者の偏差値)と出口(卒業生の進学先)
近年は、入学者の偏差値は変わっていないが、卒業生の進学実績は年々良くなっている。これは、中身の充実ということであり、生徒のレベルが問題ではなく、教員・教育の問題ということ。現在のようになるまでに20年かかった。
A鴎友の教育の理念・・・慈愛と誠実と創造
・「創造」
自由と肯定が必要条件。肯定→フィルターをかけない。ありのままをうけとめる。表出→生徒の良いものを引き出す。
・集団と個
集団の中での社会力(外へ)・・・「慈愛」と、個としての自我の確立(内へ)・・・「誠実」、この2点のバランスをいかにとるかが大切。
2) 鴎友の教育と学校生活・・・大内先生
@集団全体を引き上げる
「みんなで一緒に頑張る」、「支え合い、励まし合い、高めあう」、「達成感を積み上げる」、これらから、「自分はやれるんだ」という自信を持つ。
Aゆたかな人間関係を育むために・・・人と人との関わりがうまくなると、自分の居場所が見つかる。
・入学後は3日に1度の席替え→多くの友達が出来るように。
・オリエンテーション期間でエンカウンター(ゲーム性のあるもの)を取り入れる。
・面接週間を年2回実施。
・家庭との連絡を密にする→学校の敷居を低くする。
・中1は8クラス少人数制(30人×8クラス)→学力低下というより「生活力低下」の対策。
B校外学習・学校行事
・修学旅行
修学旅行は中3が沖縄旅行、高2が関西。中学生の方が遠くに行くが、距離が問題なのではない。中3の沖縄では、戦争をふくめた歴史を学び(中3のHRでは、平和学習もある)、自分たちとはちがった文化などを体験、吸収するねらい。高2の関西では、これまで学習してきた、歴史・文化などを実際に自分の目で確かめることができる。
・生徒会活動
生徒の自主性を育む。生徒会の会議、学校祭、運動会など学校行事の企画・運営は生徒主体で行っている。
・班・同好会→37
活動日の制限は特にない。ただし、下校時間は厳守。
C学習について
・単純な先取り学習は行わない。
・興味関心の幅を広げるさまざまな工夫。
・頭と身体の両方を使う。
・結果よりも過程を大切にする。
・特進クラスを作らず、全体のレベルアップを図る。
D中学生の授業の特徴
・「調べてみよう」、「本物を知ろう」、「やってみよう」、「作ってみよう」
・暗記や問題演習に偏らない、能動的な学習。
・学習の効率を優先するのではなく、学習に必要な時間をかける。
Eやわらかな心を育む教育
・園芸科→生命を育み慈しむ心、体育科→リトミックによる身体性の育成など。
・裾野の広い総合力を培う。
・トータルでバランスのとれた人間に。
3) 中学入試および大学入試に関して・・・吉野教頭先生
@大学合格状況
・05年は、国公立・・・65名、上智・・30名、慶應・・・42名、早稲田・・・62名。
・全体として、右上がりの実績。
・今年は、国公立の医学部合格者が多かった。
A中学入試
・入試の構造
「解き方の方針」→「解くための方法」→「解答の記述」
答えだけを求めるのではなく、過程を大切にする。
・国語
記述力の重視。粘り強く読み、記述式の練習をする(父母→模範解答とてらして、ダメというのはよくない。書けたことをほめることが大切)
漢字の書き→解答欄が大きく、とめ・はね・はらいなどもしっかりとみる。
・算数
単純な計算問題は出さず、比や割合が多く出題される→抽象的な思考をみる。
途中式を消さず、書き残す→部分点、中間点を与える。
・社会・理科
各分野をバランス良く出題。
考える力をみる問題→量より質。
記述問題では途中点・部分点を与える。
※知識=解答ではない。知識を利用して考えることが大切。
B来年度入試に向けて
・基本用語や原理をおさえること→単語をきくのではなく、定義をきく(例→比例代表制とは何か?・・・合格者と不合格者で37%の差)
・グラフや表の内容を理解しながら、問題を丁寧に読む練習をすること。
・身近なことに関心を持ち、過去問に取り組むこと。
※「覚える」から「なぜ?」へという飛躍
C06年度入試について
・試験日→1日、2日、4日。
・定員→100名、100名、20名(これまでより、3次の定員を減らし、1次の定員を増やす)
・出題傾向の変更無し。
・2次の発表を翌朝(午前7次)に行う(インターネットによる発表も同じ)
※1次受験者のレベルが上がっている。近い将来、3次をなくす方向。
4) 後記
学校長の挨拶の、「入り口と出口のずれ」のところで、「生徒のレベルが問題ではなく、中身の充実、教員・教育の問題」といいきれるのは、これまでやってきた事への自負、これからへの自信の表れとみてとれた。「創造」・・・生徒の良いものを引き出す、「表出」させるためには、「自由と肯定」・・・否定をせずに、まず、ありのままを受け止める、というのは、父母のみならず、我々にとっても大いに参考になるところである。翌日から期末試験のため、午前中で授業は終わりとのことで、残念ながら、授業風景は観られなかったが、放課後、教室等を清掃している生徒や、園芸の時間を欠席したために収穫できなかった作物を、雨の中、いとおしそうに収穫している生徒のようすなどから、学園生活の充実ぶりがうかがえた。来年度から3次の定員を減らし、1次の定員を増やすということで、第1志望者には朗報であろうが、これまで、隠れ第1志望者とされてきた受験者にとっては、1日目の受験をどうするか、よりシビアな選択が求められることになるのではないだろうか。
(報告 A.Yy)
http://www.ohyu.ed.jp/
カリタス女子 塾対象説明会報告(05年5月30日)
1.あいさつ・教育方針・新校舎について(校長・村井幹子先生)
2.パワーポイントを使用して、新校舎を紹介(入試委員長・水野先生)
3.05年度入試結果・06年度入試について(同上・水野先生)
4.報告者雑感
1) 学校長挨拶および教育方針について
@校名の由来
2006年4月より新校舎での生活がスタート。新しい校舎で、どのような教育をしていくか。06年をもって、カリタス女子中学校・高等学校は45周年を迎える。建学の精神は、「民族や国籍、宗教や文化の差別なく、隣人のために生涯を捧げる」という聖マグリット・デュービルの生き方に基づく。カリタスの名前は、カナダのモントリオールで創立された「カリタス修道女会」の名に由来している。「カリタス」はラテン語で「愛」。
A自律から自立へ
精神的に不安定な思春期から青年期までの6年間でどのような準備をしていくか。自己中心的な世の中に対して、どのようなことを大切にするかという「心の教育」を行うことが第一義である。心の教育は三つの柱から成る。それらは、自分で自分の成長を見極めること、心にゆとりをもって何が必要なのかを見極めること、そして、他者と共にいかに生きるかを知ること。自らの行いに規範を持ち、成長していく。自律から自立へと成長を進める中で、確かな選択眼としての位置づけが学習である。
21世紀は心の時代といわれるが、創立者の精神、キリストの愛をもって子供達を大切にしていく。周囲の大人に大切にされている実感をもてることが、他者のへの思いやりに繋がっていく。キリスト教では、与えられた能力は個々それぞれであり、個別存在であると考える。その与えられた能力を人のために使うことを教えていきたい。そして、お互いに尊重しあう関係作りを経験させたい。価値観の異なる友人とどう向き合うか。これらを具体的に行うには、教員が生徒と綿密に関わることから生まれてくる。
B自律を促す取り組み
本年度中学1年は210名で5クラス体制(1クラス約42名)。通常は約38名を目安に4クラス体制だったが、本年は手続き者が予想より多かった。来年度からは5クラス設定の予定だったので、これを繰り上げて本年から5クラス体制へ。1クラスを2人の教師で担当。一昨年より専門のカウンセラーが常駐、「人間関係構築プログラム」「心の交流プログラム」など、さまざまなメンタルケアに取り組んでいる。おもに、ワークショップ形式で問題行動を未然に防止していくねらいがある。
C学ぼうとする意欲を育てる工夫
語学(英・仏)や数学は、1クラスを2分割してハーフクラスで行う。また、中学では水曜の7校時に「学習の時間」を設けている。補習、質問、自習ができる場を設けて、教員を配置している。発展内容の講義を行う場もある。
細かくケアするために、中1・2年を基礎養成期、中3・高1を自己確立期とし、高校でのコースわけに先がけて中3で進路選択をさせる。いわゆる「中だるみ」を防ぐ働きをねらう。そして、高2・3は自己開花期になる。
D育てたい生徒像
生徒たちには中高一貫教育の中で「四つの心」をもった人間に育ってほしいと思っている。
・「祈る心」神の前にひざまずくことのできる、謙虚な内面を持った人間。
・「学ぶ心」チャレンジする心で、自分の可能性を開花できる積極性。
・「交わる心」価値観の異なる友人とも分け隔てなく接することのできる寛容さ。
・「奉仕する心」困っている人や弱い立場にある人に手を差し出せる気持ち。
E新校舎の教科センター方式
理想とする教育を実現するための新校舎としたい。自己と他者を落ち着いて見つめることができる宗教的な静けさのある空間としたい。従来のホームルームクラス式の授業形態を教科教室型運営方式へ移行する。生徒は、朝、登校すると、ホームベースという場所に自分の荷物等を置く。ホームベースは、休んだり、談話をしたりする生徒のくつろぎの空間となる。その後、それぞれの教科が行われる教科室へ移動する。また、主体的、能動的に学習に向かわせるため、チャイムで動くのではなく、自分で時計を見て移動する。チャイム廃止はすでに実行済み。ITへの教育対応として教科の連絡事項をPC画面にて確認して自ら動かせる。自律への第一歩。また、学校全体をコミュニケーションの場としての取り組みでもある。
2) 新校舎紹介
(新校舎の全ての完成は07年8月。現在工事中ということで、パワーポイントをつかってイメージ画などがしめされた)
新校舎概観
3) 05年度入試結果と06年入試について
(1)05年度入試について
@応募者数
05年度入試の応募者総数は昨年度比60%。(1回目61%、2回目49%、3回目76%)減少の原因として考えられるのは、昨年度の1回目(午後入試)の合格者数が出願者651名に対して187名ということで保護者に「入りにくい」という印象を与えたため、敬遠されたのではないか。また、2回目の試験の出願数がかなり減少した点に関しては、「2日目が押さえになる」という考え方が変わってきたのではないかと推測している。
A合格者の層
応募者数は減ったが、手続き率が増えた。1回目では、合格者の手続き率は25%(前年13%)に増加。採点状況などから勘案して、学力の高い受験生が入学してきたのではないかと期待。
B重複受験者の優遇措置
「重複受験の優遇」という点では、重複受験者の割合は、2回目で46%(72%)、3回目で61%(73%)と、前年の比率を下回った。(カッコ内は、前年度の割合)
前年は優遇措置がなかったことを考えると「優遇措置」は「応募者増」にはつながらなかった。しかし、希望の強い受験生・保護者にとっては、重複受験すれば明らかに有利。
C繰り上げ
繰り上げは、2月3日に、特に2回目の合格数が少ないことを考えて3名行った。
D新入生総人数とクラス数
2005年度新入生総人数は、1回目54名、2回目34名+3名、3回目36名、帰国3名、内部80名の合計により210名。目標とした180名を30名多い数字。この主な原因は、特に1回目の定着率の読み違いによるもの。結果として、05年度は5クラス編成(1クラス42名)でスタートしている。新校舎使用開始の06年度以降は中学全学年が5クラス編成となるが、1年先駆けて行う結果となった。
(2) 2006年度入試日程
変更点→3回目が2月6日(月)に。「あざみ野会場」でも遅刻者対応を行う。
第1回 2月1日(水)午後
第2回 2月3日(金)午前
第3回 2月6日(月)午前 *帰国生入試は第3回と同日に行う。
2月1日(水)を午後入試は継続する。午後入試はサンデーショックに対応して開始、05年度が2回目。結果を評価をするには、もうすこし時間が必要だと考える。
第3回の日程調整に関しては、全体の試験の日程が2月1日に近づいている現状がある中、「後期日程」を設けることが受験生・保護者の立場から求められているのではという考え方に基づき、なるべく他校との重複を避け上記日程とした。
2月1日の午後入試は、従来通り「中野島本校」と「あざみ野会場」で行う。今年からは、遅刻者対応を「あざみ野会場」でも設ける。
6月中に、「入試要項ダイジェスト」をホームページにアップ。9月1日(木)より入試要項の配布を開始。
(3)新入生アンケートより
新入生の学校生活の満足度を調査。
外部生◇100%:14%、90%台:38%、80%台:29%、70%台:14%、60%台:1%、50%以下:5%
内部生◇100%:10%、90%台:43%、80%台:19%、70%台:14%、60%台:9%、50%以下:4%
おおむね、スムーズに学校生活になじんでいると判断できる。ゴールデンウイーク中の球技大会で、クラスの団結は一層深まり、6月のオリエンテーションキャンプ(2泊3日)でも人間関係構築のための「心の交流プログラム」を実施。
(4)カリタスの教育の特徴とキーワード
@活発な「ボランティア活動」
A「2つの外国語」
B「書かせるカリタス」
C理数教育と「タマロジー」
(5)進学実績について(資料掲載は割愛します。カリタスHPをご覧ください)
(6)広報活動について
@新校舎の「教科センター方式」のもとで展開される授業形態。「ホームベース」に象徴される生徒の「生活の場」「ゆとりの空間」の確保。
Aホームページで情報発信。04年度に行っていた「カリタス紹介シリーズ」は、今年度は「新校舎紹介シリーズ」へリニューアル。そのほか、「リアルタイム修学旅行」や「フロムカナダ」など。
(7)神奈川東部私立中高フェスタ 6月19日(日)・新横浜プリンスホテル
05年度は16校だったが、今年は20校参加。今回は、交通アクセスがよく、雨天に影響されない場所を確保した。日程も中学入試を考慮し6月に。これまでの「欠点」をおおむねクリアしたので、期待できるか。
(8)5校合同説明会「みちしるべ」7月11日(月)・新百合21ホール
東部フェスタの北部5校(カリタス・洗足学園・森村学園・桐光学園・日本女子大附属)が集まり、新百合ヶ丘で合同説明会を行う。競合校、言い換えれば「併願パターン」に組まれる学校が集まるので、受験生・保護者にとっては好都合なのでは。
(9)ミッション8校合同相談会 8月27日(土)11:00〜15:00・聖園女学院(小田急線「藤沢本町」下車)
カリタス、函嶺白百合、湘南白百合、聖セシリア、聖ヨゼフ、聖園、横浜英和、横浜雙葉のミッション8校が、それぞれのブースで相談会を行う。
4) 報告者雑感
@変化していくカリタス
2年ぶりの訪問。素朴な学校らしさが漂う現在の校舎から、来年の4月には大きく様変わりした環境になる。詳細は学校配布のパンフレットをごらんになると一目瞭然だが、オープンスペースや吹き抜けなど空間を広く贅沢に使い、白を基調にして自然の採光を生かした造りは、素敵に明るそうだ。2年前の説明会の際に「生徒が安心して居場所を見つけられる場所作りのための新校舎」と村井校長はおっしゃっていたが、物理的な面ではその通りになりつつあるように思える。学習環境としての「居住性」に関しては、実際に完成してみないとわからないが、「教科センター方式」とともに非常に興味深い取り組みだ。
建築プロジェクト顧問の長澤悟氏(東洋大学教授)は、少子化・情報教育をふまえた新しい学校環境建設の第一人者であり、多くの学校設計に参画されているアーキテクトである。また、学校施設の危機管理に関する提言もされている方でもある。セキュリティー面では、既にカリタスでは、正門に警備員が配されているから、この点の強調は必要ないかもしれない。
Aコミュニケーションの場としてのホームベースが、今後どのように活用されるか
以前は図書館が「メディアセンター」であったが、教科との連携をふくめて科目ごとのメディアスペース「教科センター(仮称)」がつくられるとのこと。掲示によって下の学年が高学年の学習内容を知るというものだ。しかし、単純に掲示するだけではホームルームクラスの壁掲示や廊下掲示との大差ないものになる。また、参考書籍などを生徒に活用をさせるとなると、その管理の問題も出てくるはずだ。教科間の結束や図書室との連携によって問題は解決されると思うが、教員間のより密なコミュニケーションが必要になるだろう。
「ホームベース」やその他の余裕のあるスペースの存在はなかなか魅力的だ。生徒個々人がバラバラになるという懸念を指摘する人もいるようだが、クラスの結束は物理的スペースによって形成されるより、行事などの協力作業によって為される面が大きいはずだ。むしろ、難しさが予想されるのは、消極的なタイプの生徒に対する教師側からのアプローチだろう。授業体制にしても、教員が生徒に近づくのではなく、生徒が教師に近づくわけだから、生徒の自律を促す反面、自立の遅い生徒のフォローは従来の形態よりも重要な課題になる。つまり、通常の学校形態と比較して、教員からの積極的なコミュニケーションのアプローチがなくては機能しづらいという面があることになる。
B見学を終えて
フランス語と英語を学ぶミッション校という特色に加えて、理科的な教育にも実績があり、クラブも比較的盛ん。それを反映するかのように、廊下の壁には英検・フランス語検定などの印刷ポスターにまじって、さまざま生徒手作りのポスターが貼られ、授業のようすは終始おだやか。英会話の授業でははつらつとしたようすも伺える。理数系の授業は、トップ進学校のようなカリキュラム進行の速さはないが、算数が苦手だった女の子に理解しやすいスピードで行われているように思われる。情操教育の象徴であり、キリスト教学校に異質な和の空間を演出している「畳敷きの礼法室」は、新校舎にも設けられるそうである。新機軸を打ち出しても、従来の良さは切り捨てないようだ。新機軸といえば、始業・終業チャイムはすでに廃止されており、在校生は時計で動いている。「当初はやはりとまどったらしいが、一ヶ月で慣れてしまった、子どもの順応性は高い。」とはご案内の先生の弁。教科センター方式の取り組みに対する不安などを尋ねてみたが、理科などですでに特別教室への移動は頻繁に行われているわけで、混乱や授業のスケジュールのズレは心配ないだろうというご回答だった。その心配よりもむしろ教科センターを充実させる利便性やおもしろみについて語ってくださった。話を聞いていると、その前向きさが伝わってくる。システムを動かすのは、こういったやる気にあふれた人なのだという感じだ。
新しい取り組みは、すべて始まってみないとわからない。実験的な要素も幾分かはあるだろうし、試行錯誤が必要ということも予想される。しかしながら、校舎という容れ物やシステムはあくまで「学校」の一部なのであり、「学校」の大方の部分を作り上げるのはもちろん人である。新校舎の落成前という現段階では、ハード面の充実や新機軸の制度の広報が中心になるのは当然。そして、周知が徹底されたあたりで、再び、従来の「人のカリタス」という面での魅力を前面に押し出してほしいと思った。
(報告 A.Og)
http://www.caritas.ed.jp/
慶応中等部 06年入試要項
1次の日程が2月5日から3日に。2次が2月9日・10日から7日・8日に。
1次 2月3日 男子約140名 女子約50名 4科
2次 2月7日・8日 面接・実技
2次は1次合格者に対して。2次の日時は学校側が指定。
2次の合格発表は2月10日15:00。入学手続きは2月13日15:00まで。
http://www.kgc.mita.keio.ac.jp/
西武文理 06年入試要項
1回 1月10日 男女80名 2科4科
2回 1月13日 男女40名 4科 特別選抜クラス入試
3回 1月23日 男女39名 2科4科
4回 2月 1日午後 男女10名 2科4科 特別選抜クラス入試
5回 2月 3日 男女10名 2科4科
特別選抜クラス入試では一般クラスのスライド合格は出さない。
4回(2月1日午後)入試の会場は池袋と新宿。
高校の特別選抜クラスの名称をエリート選抜東大クラスに。
07年入試から全て4科入試に。
=関東でもコース名やクラス名の呼称のインフレ化が始まる。西武文理は中学開設以来、進学者のレベルに見合った進学実績になっていないように思う。呼称より内容の見直しをした方がよいのでは。インフレ名称、出張入試、合格予定者数の事前発表、応募資格に「大学進学をめざす男子(女子)」を記載するなど、某塾に言われるままの入試要項を平気で作ってしまうような学校に主体性はあるのだろうか。=
http://www.seibu.bunri-c.ac.jp/
公開模試情報
首都圏模試7月 統一合判(7月3日実施)
03年から日能研と日程が競合。昨年比8.1%の増加。男子は9.3%の増加、女子は7.3%の増加。
05年 04年 03年 02年 01年
男子 4科 5386 4845 4623 4252 4030
2科 654 679 783 774 832
女子 4科 5310 4606 4084 3552 3041
2科 1529 1765 1925 1988 2200
合計
12879 11913 11415 10566 10103
=7月の日能研模試と首都圏模試の両方をのぞいた人の感想では、日能研は数字以上に参加者が少なかったのではないかとのこと。日能研模試の参加者数は全国での参加者数なので、関西地区やその他の地区の参加者が増えている可能性が高い。首都圏は10%〜15%の減少ではないか。その分が首都圏模試に流れたと見られ、首都圏模試の受験者はもっと増えているのではないかと推測される。=
教育情報
慶應義塾大学 法学部にFIT入試を導入
(Edu Mail 6月22日)
慶應義塾大学は2006年度入試から、積極的に社会で活躍し、発信する能力を評価する「FIT入試」を、法学部で新たに導入する。
筆記試験の得点で学力を計る同学部従来の入試方式とは異なり、学業を含むさまざまな活動に積極的に取り組み、▽文化、芸術、技芸、運動などの分野の優れた成績や成果▽学外活動や課外活動で高いリーダーシップを発揮▽ボランティアや社会的活動に熱心に取り組んだ−−などの実績を示せばよい。
一次選考は志願者調書、自己推薦書、志望理由書、調査書による書類審査で行う。二次選考は、模擬講義の聴講と論述試験、グループディスカッション、個別のプレゼンテーション。募集人員は法律学科、政治学科それぞれ最大30人。現役生だけでなく、浪人生、社会人も出願できる。出願期間は9月1日〜7日、書類選考で80人程度が一次合格となる。二次選考は法律学科10月2日、政治学科10月9日、二次(最終)合格発表は10月17日。
(慶応大学 ホームページより)
新しい方式のスタートです。
法学部ではこれまで、多様な能力を持った学生が集まるよう、入試制度の多様化を図ってきました。 さまざまな能力、経験を有する学生が互いに切磋琢磨しあう環境の中でこそ、法律学や政治学の修得がより実り豊かなものになると考えるからです。このような観点を一歩押し進めて新たに導入されるのがFIT入試です。
法学部では従来、すべての受験生に開かれた入試制度として一般入試でA方式入試とB方式入試を行ってきました。 これらは、高等学校卒業までに蓄えた学力を筆記試験の得点で計ろうとするものです。 これに対して、今回新しく導入されるFIT入試は、同様にすべての受験生に開かれていますが、 リーダーシップや協調性などの、筆記試験では評価しにくい能力をも見極めようとするもので、 選考方法にも従来のものとは全く異なる工夫がこらされています。
FIT入試では、主体性、社会性、創造力、表現力、コミュニケーション能力など、積極的に社会で活躍し、 発信する能力を評価します。どれかひとつ秀でていればよいわけではなく、総合的な能力を要求します。 この入試はいわゆる「一芸入試」ではありません。これまで、しっかりと勉強し、充実した生活を送ってきた、 人間的魅力にあふれる学生を発掘しようとするのがこのFIT入試です。 つまり、この学生を「教えてみたい」という私たち法学部教員と、第一志望で慶應義塾大学法学部法律学科・政治学科で 「勉強したい」学生の良好な相性(FIT)を実現しようとするものなのです。私たちの心をときめかせるような学生、驚くほどの才能が光り輝く学生との出会いを楽しみにしています。
http://www.admissions.keio.ac.jp/exam/ao_hou_about.html
つくる会教科書 栃木県大田原市が採択へ
(毎日新聞 7月13日)
栃木県大田原市の市立中学全7校で来春から使う歴史教科書について、同市教科書採択協議会は12日、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した扶桑社発行の教科書を選定し、同市教育委員会へ答申した。市教委は13日に正式に採択を決める。つくる会によると、同社の歴史教科書は、都立と愛媛県の養護学校など10校と私立9校の計19校で使われている。今回、同市で採択されれば、市町村では初めての採択となる。同市には12日午後5時現在、ホームページを通じて千保一夫市長などに激励183件、抗議103件のメールが寄せられた。また、連合栃木や県教組などの団体が採択に反対する申し入れ書を提出した。
国語世論調査 慣用句は20代以下の方が正しく使う
(毎日新聞 7月13日)
慣用句の「青田買い」や「汚名返上」を使う際、本来の言い方ではない「青田刈り」「汚名挽回(ばんかい)」を選ぶ人の方が多く、全体の4割近くに上っていることが、文化庁が12日に発表した「国語に関する世論調査」(04年度)で分かった。「やばい」「微妙」という言葉が会話の中で、若者を中心に新たな意味で使われている実態も数字で裏付けられた。
調査は今年1〜2月、全国の16歳以上の男女3000人を対象に無作為に実施し、72.6%に当たる2179人から回答を得た。
慣用句の言い方では、会社が学生を早めに採用する際の言い方について、本来の「青田買い」を5.1ポイント上回る34.2%が「青田刈り」を選んだ。失敗を巻き返す「汚名返上」も「汚名挽回」を選んだ人が44.1%。いずれも20代以下の方が本来の言い方を選んだ割合が高く、年代が上がるほど逆の結果に。「青田刈り」は50代〜60歳以上で11〜15ポイント高く、「汚名挽回」では40代〜60歳以上で10〜16ポイント高かった。
言葉の意味を問う設問でも「他山の石」「枯れ木も山のにぎわい」で、本来の意味を選ぶ人は3割程度にとどまった。
最近の会話をめぐっては、「わたし的」を使う割合は5年前より7.1ポイント増の15.6%。「よかったかな、みたいな」と相手の反応を見るような言い方も2ポイント増え、15%に上った。初めて調査した「やばい」は「とてもすばらしい」という意味で使う人が18.2%。本来は、言い表せないような細かい複雑な様子を示す「微妙」を、いいか悪いかの判断がつかないときに使う割合は57.8%で、10代では男女を問わず95%を超えた。不快感などを示す際に「うざい」を使う人は17%だった。
初めて調査した表記に関する意識では(1)ハガキや手紙のあて名(2)年賀状のあて名(3)ハガキや手紙の本文(4)報告書やリポートの文章−−のケースで手書きの有無を尋ねたところ、四つの場合とも「手書き派」が上回り、中でも、(1)と(3)では約4分の3以上の人が手書きをすると答えた。
品川区小中一貫 義務教育を4・3・2年に、来春から
(共同通信 7月13日)
東京都品川区教育委員会は13日までに、すべての区立小中学校計58校で2006年度から、義務教育を4年間(小1−小4)、3年間(小5−中1)、2年間(中2−中3)に分けた教育カリキュラムを導入することを決めた。
中学進学で学習内容や生活指導が変わり、子供たちが戸惑うケースが目立つためで、区教委は「特に小5−中1への指導を工夫したい。市区町村単位でこうした取り組みをするのは珍しいのではないか」としている。
区教委によると、最初の4年間は基礎教育期間とし、国語と算数の授業を増やす。英語教育も小1から行う。次の3年間は、中学校のように教科担任制を導入、子供たちの個性や能力に応じた教育を進める。
(品川区ホームページより)
小中一貫校の教育内容を全ての区立小・中学校で実施します
(教育のひろばNo.63 平成16年4月26日号)
現在、大崎地区並びに大井地区において小中一貫校の開設に向けて準備をすすめていますが、今後は各地区に施設一体型の小中一貫校の開設を目指すとともに、他の全ての区立小・中学校においても、小中一貫校の教育内容を取り入れていくこととしました。昨年8月に品川区は「小中一貫特区」として認定されており、他の全ての区立小・中学校が「特区研究開発学校」となる変更申請を行い、小中一貫の教育内容の実践を進めていく考えです。
なぜ小中一貫教育の全区展開なのか
現在の小学校と中学校は、指導形態や指導方法が異なり、学校間の接続が必ずしも円滑に行われているとはいえない状況があります。そこで、@小学校と中学校の垣根を取り払い、9年間一貫した教育を行うため、施設・学校運営も一体の一貫校の教育内容を具体的に検討していますが、さらに、施設が別々であっても、できるだけ小・中学校のなめらかな接続を図ることができるよう、小中一貫校と同様の教育内容を子どもたちが享受できるようにするものです。A小中一貫の教育内容を全ての小・中学校で実施することで、一貫校と他の学校との間に教育内容の違いがなくなり、B小学校からどの区立中学校に進んでも教育内容に差異がなくなるため、学校選択も、よりスムーズになります。
(下線は編集人による)
小中一貫教育の特徴
○義務教育の9年間を、大きく4年と5年でまとめ、さらに後半の5年間を3年と2年に分け、発達段階に応じた柔軟な教育内容を考えていきます。
○1〜4年生は学級担任制で基礎・基本の学習の徹底に重点を置きます。
○5年生以上は、主に教科担任制を取り入れ、子どもの個性・能力を伸ばす学習を重視していきます。そのための学習として、教科等を選択する「ステップアップ学習」を取り入れます。
○「人間らしい生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力と社会性を身に付ける学習」として、新たに「市民科」を設けます。
○1年生から、英語に慣れ親しむことを目的とした英語活動を取り入れます。
今後のスケジュール
現在、国語科・社会科・算数/数学科・理科・英語活動/英語科・市民科の指導計画を検討・作成していますが、16年度中に全教科の指導計画を作成する予定です。また、今後は連携する小・中学校の組み合わせ等を含め、小中一貫教育への移行計画を策定し、市民科や英語活動などを一部実施しながら、18年度の大崎地区小中一貫校の開設時期に合わせ、全校で小中一貫教育の移行に入る予定です。
=品川区は区立小学校の学校選択制を最初に導入した区で、その後、区立中学校も選択制になっている。その狙いは、区立小・中学校間で生徒獲得競争をさせることによる学校評価(管理職評価)と、生徒が集まらないことを口実とした学校の統廃合にある。品川区の小中一貫には、義務教育を4−3−2に分けることにより、中学受験(私学受験)をやりずらくするという狙いとともに、学校の統廃合をより効率よく進める狙いがあると思われる。品川区には現在40の区立小学校と18の区立中学校がある。それをいきなり18の小中一貫校とすることは通学区域の関係で反対が出るのは明らかなので、当面、小中一貫校は大井地区、大崎地区の2校とし、他は施設を別にしながらなめらかな接続を図ると言っているが、下線@のように、施設を一体とする小中一貫を念頭に置いて4−3−2を考えている。小中で58校ある学校数を18校にするのは収容人数の関係で難しいであろうが、既に小規模の学校もあるので、40校前後にすることは可能であろう。そうすればその分の校地の跡地が区で利用できることになる。
下線Aは当面、小中一貫校と小学校・中学校が併用される間の不満や不平を抑えるための詭弁にすぎない。小中がべつべつの施設でも4−3−2の一貫ができるのであれば小中一貫校をつくる必要はない。下線Bの意味もよくわからい。教育内容に差異がなくなるのならば、学校選択の必要はなくなるはずでは。=