NO.152

2004年 11月15日 
アクセス教育情報センター

目次

学校情報

学校情報 公開模試情報 教育情報 その他
栄光学園

鎌倉学園

明法中

神奈川学園

フェリス女学院

森村学園

首都圏模試11月

日能研模試11月

三模試学校別志望者数抜粋 (10月度)

秋季入学制を議論

小学校の道徳授業

奉仕活動を必修へ

進学塾の歴史的曲がり角

入試問題に挑戦第132回

学校情報

栄光学園  秋季関東高校軟式野球大会で優勝
(毎日新聞 11月9日)
慶応  000 000 000  0
栄光  003 000 00×  3
第45回秋季関東高校軟式野球記念大会(関東地区高野連主催、毎日新聞横浜支局など後援)の決勝戦が8日、相模原球場で行われた。7年ぶり2度目の県勢対決となった決勝戦は、栄光学園は白熱した投手戦のすえ、慶応を降し初優勝を決めた。
 栄光学園は3回、3盗から敵失を誘い先制。その後も内野安打などで2点を加点した。序盤から、機動力を生かし積極的な攻撃で優位に試合を進めた。慶応は7回、四球などで2死2、3塁の好機を作ったが、あと1本が出ず及ばなかった。「同じ相手に二度は負けられない」。相手は県大会の決勝で負けた慶応。栄光学園の主戦・前田善博投手は、7日の夕飯にトンカツを食べて気合を入れていた。しかし、連投の疲れか本調子では無かった。7回表、四球などで2死2、3塁。この試合初めてのピンチを迎えたが、緩いカーブを見せ球に、得意の外角への直球で投ゴロに打ち取ってのりきった。
 前田投手は「調子が悪いなりに抑える技術を覚えたのが関東大会の収穫」と喜ぶ。壱岐太監督も「緩急をつける投球を覚えた」と評価する。2試合連続の完封勝利にも「何試合でも連投できるスタミナをつけたい」と先を見据え、課題を挙げた。
http://www.eiko.ed.jp/index-j.html

鎌倉学園 選抜高校野球、21世紀枠に推薦される
(毎日新聞 11月13日)
 県高野連は12日、第77回センバツ高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)の「21世紀枠」の県内推薦高を鎌倉学園高校に決定したと発表した。同校は十分な練習グラウンドがないにもかかわらず、01年、02年、04年度の秋季県大会でベスト8入りを果たしている。「困難な条件を克服して好成績を収めた」などの理由で推薦された。「21世紀枠」は、高校野球に新風を吹き込もうと第73回大会から実施。都道府県から1校の推薦高が選ばれ、最終的に全国で2校に絞られてセンバツ本大会に出場する。
武田隆・鎌倉学園高野球部監督の話
 推薦されてとても驚いた。内野手の守備練習しかできないグラウンドで選手たちは日々努力してきた。それが評価され、とてもうれしい。選手たちにもこれから励みになると思う。緻密(ちみつ)な野球を目指して頑張りたい。
http://www.kamagaku.ac.jp/

明法中 塾対象説明会報告(04年9月17日)
新校舎建築中。05年3月完成予定。
校地が広いので、現在の校舎を使いながら新校舎の建設が進んでいる。
グランドの一部が建設用の車両が通るために制限されている程度。
1) 校長挨拶 細田先生
塾対象の説明会を参加しやすいように増やして欲しいということで、今日は4回目(7回実施)。
開校40周年と耐震性への配慮から新校舎を建設することに。
新校舎は地下1F、地上4F建てに。
現在使っている中高の校舎の床面積より広くなり、少人数の習熟度別授業や選択科目により対応できるようになる。
建学の精神・・知性をみがき、世のため、人のために尽くせる人間を育てる。
一人一人の能力を最大限に生かすことは教育の基本。
そのためのシステムを作る。
生徒に自信をつけさせてあげれば生徒は伸びる。
そのためには、生徒、保護者、先生の間の信頼関係が必要。
生徒を励ます、ほめることを日常意識している。それにより、生徒一人一人に意欲をもってもらいたい。
中高21名の担任と面談を行い、そこで、担任の考えと自分の考えのすりあわせを行う。
先生方には生徒一人一人にやる気が出るように役割を与えて欲しいとお願いする。
10月から中学で一人一人に役割を与えることを実施する。
高3生と語る機会を持つ。
明法の校長として3年目に。1年目の中学入学者が69名(108名募集)だった。・・外に対してアピールをして来なかったので、理解してもらえなかった。
2年目から教育内容の再構築に取りかかる。・・特進クラスの設置、特待生制度の導入、習熟度別クラスの採用、語学教育の充実、授業参観(年12回)の実施など。カリキュラムの見直しも行う。
明法マニュフェスト
05年大学入試目標 (  )は04年結果
国公立   20名(12名)
早慶上理  20名( 8名)
MARCH  60名(42名)
大学入試結果を見ると、高校入試での同じ偏差値64の他の学校より明法の方がよい。
英語、数学は10〜25名による習熟度別授業。
中3、高1の英会話は1クラスを4分割にして、ネイティブ1人に生徒9人の授業。
高2、高3はネイティブによる放課後の英会話教室。
中1から高1までに13000ページの読書。
高2での論文作成。論文は冊子の形にして永久保存。
プロの奏者5名の指導による中学生各学年でのオーケストラ演奏の実現。何か一つ楽器を身につける。楽器は学校で用意。
生徒指導に際しては、短を捨て長を採る姿勢であたる。
2) 明法の教育について 大谷先生
中高一貫を3つのステージに分けて行う。
中1・中2・・学習、生活の基本の確立
中3・高1・・学習も学校生活も広く、深く、積極的に
高2・高3・・夢と希望にチャレンジ
中1、中2のクラスは均等分けの3クラス編成。
中3から、特進コース1クラス、普通コース2クラス。
特進コースは中2の時の成績をもとに。
英語、数学は全ての授業を習熟度別に。特進コースは1クラスを2分割、普通コースは2クラスを3分割にして習熟度別授業。
高1は高校からの入学生があり4クラス編成に。1年間は内進生と高入生とは別クラス。
英語、数学は4クラスを2クラスずつに分け、それぞれに特別選抜コース1クラスと普通コース2クラスをおく。
高2から特進コース1クラス(文理混合)と文系進学コース、理系進学コースで3クラスに。
特進コースは1年ごとに入れ替えを行う。
高2、高3では放課後に週2回、希望者対象の英会話教室を設置。
実力養成講習を平常と長期休業中に行う。
平常講習は中3から。
中3・・7時限(16:00〜17:00)を週2回。英語・数学
高1・・7時限(16:00〜17:00)を週3回。英語・数学・国語
高2・・7時限(16:00〜17:00)を週3回。英語・数学・国語
高3・・7時限(16:00〜17:00)を週3回。国語・社会or理科・数学
土曜日(11:50〜12:40)を週1回。英語(高3の土曜日の授業は3時限まで)
夏休みの講習を高1、高2は2週間。
平常講習は火曜日、水曜日を中心に行う。中高で一緒に活動しているクラブが多いので。
クラブ活動は施設、設備が整っているので、全てのクラブが同時に活動できる。グランドや体育館を曜日毎に交代で使わなければならないということはない。
中1、中2は基礎学力向上補習がある。
朝学習を8:30〜8:40の間で実施。
中1、中2・・朝読書
中3・・・小テスト(英・数・国)
理科棟が独立してあり、4つの実験室、4つの講義室がある。
医・歯・薬系への進学者がここ5年間で67名いる。
3) 05年入試について 下田先生
04年入試と比べ大きな変化はない。
1回 2月1日午前 男子70名 2科4科
    2月1日午後        2科
2回 2月2日    男子30名 2科4科
3回 2月5日    男子 8名 2科
主なポイント
@ 2月1日の午後は14:30集合、15:00開始。
A 午後入試は本校会場の他、JR立川駅北口前「パレスホテル立川」でも実施。
B 特待生を各回で発表。国・算の2科目の合計点で判定。
  A特待・・得点率95%以上が目安
  B特待・・得点率92%以上が目安
手続期間を延長
2科4科の合否決定は、まず全員を2科目の得点で比較し、合格予定者の80%を決定。残りの20%を残った4科目受験生の中から。
複数回受験生は、2月5日の入試が3回目の受験になる人を対象に、ボーダーラインのときに考慮する。
同時出願の場合は1回分の受験料で何回でも受験が可能。
立川駅からバスを利用すると約25分で明法学院前に着く。ほとんど渋滞もなく遅れることはあまりない。駅が始発なのでほとんどの場合座れる。
メールマガジンを月1回発行。ホームページから登録できる。
入試問題の傾向と内容(04年入試の例・・・学校配布資料より)
【国語】
出題のねらい
基礎的言語事項、文章読解力、表現力を中心に小学校で学習した事項の理解度をみる
出題傾向 
文芸的文章、論理的文章からそれぞれ一題と作文を出題 
出題内容
◎基礎的言語事項を問う問題・・教育漢字の書き取りと読み(30点程度)。語句の意味、接続詞など。
◎文芸的文章・・人物の心情や人間関係の把握
◎論理的文章・・指示語の内容、部分的内容把握、文脈の流れに関わる問題、全文の要旨に関わる問題
◎作文・・第1・2回・150字・15点程度、第3回・400字・30点程度
【算数】
出題のねらい
基礎知識と計算力、および数学的な思考力をみる          
出題傾向
小学校算数学習指導要領の範囲で出題。但し、発展的内容を含む
出題内容
◎計算問題(約20点分)
◎基礎知識をみる小問題(約25点分)
◎思考力をみる問題(3〜4題)
【理科】
出題のねらい
理科についての基礎的な知識、科学的な思考能力を問う。また、身のまわりでの理科的な事柄についての関心をみる 
出題傾向
小学校理科学習指導要領の範囲で出題。物理、化学、生物、地学の4分野から均等に出題
出題内容
◎理科についての基礎的知識をみる問題
◎実験や観察から思考していく問題     
◎理科的な考え方をみる問題            
【社会】
出題のねらい
社会科を学習するために必要な基礎的な知識が身についているかどうかをみる
出題傾向
小学校社会科学習指導要領の範囲で出題。地理、歴史、公民の3分野から均等に出題
出題内容
◎地名、人名、用語など社会科の基礎的な知識をみる問題
◎地図や年表・資料などを見て考える力をみる問題
◎最近の社会的な出来事について問う問題
http://www.meiho.ed.jp/index.html

神奈川学園 新世紀拓く教育
(全私学新聞 11月3日)
 神奈川学園中学校・高等学校(池田征矢雄校長、横浜市神奈川区、女子校)は、新しい時代に向けた教育改革に取り組み、2001年度から新カリキュラム「21世紀教育プラン」を展開している。きっかけは、週5日制の導入に伴う授業時間数の減少だった。全生徒が進学を希望する同校で、生徒たちの夢をかなえるために、学力を落とさない工夫が必要だったからだ。
 その1つとして設置されたのが選択制の多種多彩な土曜講座である。ステップアップ講座や受験講座、おもしろ講座のほか、今年度は中学3年生のオーストラリア研修の準備講座も設けるなど、全部で115講座を設置した。
「21世紀教育プラン」の2つめの柱となるのは情報教育と国際教育である。情報教育では、操作方法やアプリケーションの使い方だけでなく、プレゼンテーション能力の育成、マナーやモラルなど、「ネット社会の中でどう生きるのか」ということも含めての情報教育を行っている。
 国際教育では、中学3年生全員が参加するオーストラリア研修が大きな位置を占める。春休みの13日間(現地泊10間)、1人1家庭にホームステイしながら、午前中は交流校で英会話の授業などを受け、午後は小学校や高齢者施設などを訪問するアクティビティーを体験する。異文化の中で交流できたときの喜び、さまざまな出会いと経験は、どの生徒にも大きな自信をもたらし、自立への大きな節目となっている。
「21世紀教育プラン」では授業改革にも取り組み、授業の量・質ともに高めるために、毎年、生徒たちの声を聞いてそれを授業に反映させてきた。同時に、生徒自身に問題意識やテーマ性をどう持たせるかは、6年間の学校生活の中でもとても大事なことと考え、「人と出会い、社会と出会う」ことを改革のもう一つのテーマに掲げていろいろな人に出会わせてきた。
 中学でもさまざまな人との出会いがあるが、高校になると、1年次には大学訪問を行い、大学の先生と出会い、大学の講義を体験受講する。
 高校2年次には、フィールドワークが課され、生徒たち自身でテーマを設定し、研究し、レポートにまとめる。行き先は希望によって4つに分かれ、戦争と平和を考える沖縄、公害問題と地域の再生を学ぶ水俣、日本のアイデンティティーを問いなおす奈良・京都、環境を考える最後の清流四万十川である。このフィールドワークの中で生徒たちは社会で活躍している人たちに出会い、社会の動きを肌で感じて、感動や痛みや問題意識を抱えて帰ってくる。
 そして高校3年生では「現代評論」(3単位)の授業が行われる。1クラス約20人の進路別選択授業である。
 そこでは、現代社会の抱えるさまざまな問題や課題を取り上げながら、精読、ディベート、小論文など、多様な形態で授業を行う。国語科・社会科・理科・家庭科の8人の教員が交代で担当する。生徒たちから見ると、1年間で4つのテーマを4人の教員と共に学ぶことになる。「現代評論」の中心となっている国語科の佐藤道子教諭は、「文章を精読できる力と大学入試の現代文を読み解く力をどうつけるか、両方の統一を目指しています。そのためにはまず、生徒の心を動かす授業を行うよう心がけています」と話す。佐藤教諭の授業では、テーマは生徒たちへのアンケートを基に決める。例えば、今年、取り上げたテーマの一つ「報道の自由と個人のプライバシーについて」の授業では、まず佐藤教諭が、田中眞紀子さんの長女に関することを『週刊文春』が掲載した問題や、松本サリン事件などの事例を挙げ、その概要や報道のされ方について解説し、基本的人権についても説明した後、「報道の自由と個人のプライバシーの問題をどう考えるのか、具体的な事例を挙げてレポートせよ」という課題を提起した。例えば「週刊文春」問題に取り組んだ生徒は、図書室やインターネットで、田中さん側のコメント、文春サイドのコメント、裁判の判決などを調べて、それを自分がどう考えるか、レポートにした。少年犯罪についてまとめた生徒もいた。生徒のレポートは、クラスの中で発表してもらう。その際、佐藤教諭が、それぞれの事例について、不足しているところ、さらに考えてほしい点について補足説明を行った。また良くできているレポートについては、コピーして全員に配った。「全体的な傾向として、プライバシー保護を重視する傾向があり、報道の自由を守ることが、実は自分たちの人権を守ることにつながるのだと説明しました。一見、対立しているものをどう止揚するか、二者択一ではないのだということを、現実の事例で示しながら、そうした問題を考えつづけてほしい≠ニいうメッセージを伝えようとしています」と佐藤教諭は言う。とはいえ、レポートを読むと、自分の意見がきちんと述べられているものや考察が深まったものも多く見受けられ、生徒たちが一生懸命、誠実に取り組んだ様子がうかがえたという。授業の最後には、「メディア社会の現代」と題する大学入試問題を生徒たちと一緒に解いて、佐藤教諭のこのクラスの授業が終わった。
 湊谷利男教頭は、「生徒たちが、分野を超えて1つのテーマを解明しようとすれば、必然的に専門性が求められる。その専門性を究めようとすれば、基本に立ち返って、単語を1つでも多く学ばねばならなくなる。そういう循環をわれわれは目指しているのです」と話す。
http://www.kanagawa-kgs.ac.jp/

フェリス女学院 学校説明会報告(04年11月13日)
1) 教育方針等について 中村校長
今日の説明会では、フェリスの教育方針や入学試験について説明させてもらう。
フェリスに対して学校を過大評価、あるいは誤解されている方がいらっしゃるのではないか。ご自分の目と耳でよく確かめて、ありのままの姿を知って欲しい。
フェリスは日本で一番古い女子校。創立134年に。
その間キリスト教を基にする建学精神を貫いてくる。
震災の被害を利用した詐欺事件等のニュースを聞くと、物質的には豊かになったが精神的には貧しくなっている。心の教育がなされていないから。
聖書の中に自分のことだけでなく他のために注意を払いなさいという言葉がある。
他のために=他人のために(FOR OTHERS)
毎朝礼拝がある。
聖書の授業も全学年に1時間ある。
キリスト教を強制することはない。
フェリスは学問も大切にする。・・人生を生きていく上で必要な知識、判断力を身につけるために。
しかし、学校の評価を高めるための受験指導のようなことはしない。
成績だけが大切なものではないと言っている。
主体的な学習を行うために図書館が充実している。
机に向かう学習だけでなく、体験学習や講演会も用意されている。
各個人の能力、資質は神からのたまもの。それぞれのたまものを磨き、他人のために役立てるために学ぶ。
他人の良いところは学ぶ必要があるが、他人と比較はしない。
フェリスでは成績順位を公表することはしない。
入学するまで成績順位や偏差値に慣れた生徒や保護者は拍子抜けするかもしれない。
生徒一人一人の人格形成のために学習する。個人個人にふさわしい学習をすればよい。
講堂のステンドグラスには良き羊飼いの姿が描かれている。
迷える一匹の羊を探し、その羊を抱えるイエスの姿。
私たちも同じような気持ちを持って教育を行っている。
1923年に大震災で消失した校舎を再建した際、1929年にアメリカの篤志家から送られてきたもの。2年前、新校舎になった際にここに設置する。
多くの卒業生がこのステンドグラスを見てきた。
神の前に人間価値は誰も同じ。生徒一人一人を尊重し、その自主性を重んじる。
何が必要か、何が求められているのか、フェリス生としてどうふるまうのか自分で考えるように指導している。
専門のカウンセラーが生徒や保護者の相談に対応できるようにしている。
6年一貫で高校入試は行わない。
転勤でいったん退学しても、戻ってきたときに再入学を認める。
創立から週5日制、二期制。
土曜日は休みだが、クラブ活動を楽しむ生徒も多い。
2) 宗教教育 野田先生
フェリスはキリスト教に基づく人格教育を第1の柱とする。
1.礼拝を毎日行う。全校生徒が講堂に集まって行う。
校外での行事の時にも礼拝を行う。
礼拝では、キリスト教や聖書の教えに触れる、人間の存在を超えたものの力を知る、他者に目を向け共に生きることを学ぶ。
2.学年に聖書の時間が週1時間ある。
3.宗教的な行事がある。
キリスト教教育週間(6月)・・その中の1日は全く授業を行わずに、外部の人の話を聞いたり礼拝を行う。
奉仕週間(10月)・・1日は感謝祭礼拝。生徒が収穫物を少しずつ持ち寄り、近隣の に配る。
クリスマス礼拝(12月)
卒業礼拝
4.修養会
中1、中2、高1で実施。
日常の学校生活から離れ、静かな環境の中で、聖書を学び、友人と語り合い、自分の生き方を考える機会。
講演やグループ討論、レクリエーション等。
中1・・For Others
中2・・友だち
高1・・生きる意味
中2、高3は夏休みに2泊3日で。
キリスト教に触れたことがなくても心配いらない。聖書の聞き方から教える。
日曜礼拝への出席を奨励している。そのために週休2日を創立以来行っている。
今は規範意識の乏しく、利己主義や競争の厳しい時代。
異なる人間同士が共に助け合い生きるということを、生徒一人一人に学んで欲しい。
そうした学校の思いを知った上で、選択して欲しい。
3) 学校生活について 鈴木先生
フェリスは自由な学校と言われる。
校則はない。生徒心得があるがB5版の紙に収まる程度の内容。
自由というと何でも自分のしたいようにしてよいのかと誤解されるがそうではない。
自覚と責任を持った自由。
自分のためではなく他者ために持ちうる自由。
自分の欲求を抑えてもなすべきことを行う。
自ら考えて、責任ある態度とはを学び取ってもらう。
生徒の考える力を育んでもらうために生徒心得には最低限のことが書かれているのみ。
服装に関しても、「学生らしくあること」の一言のみ。
自分で判断してもらう。もし、自分の服装が注意されたら、自分を振り返る柔軟で謙虚な姿勢を持って欲しい。
校則で生徒を縛るのではなく、内なる規制=自分で考え、行動に責任を持つこと=のできるようになって欲しい。
こうした高い要求に対して生徒が堅苦しく、窮屈な学校生活をしているのでは思われるかもしれないが、生徒は充分応えてくれている。
4) スライドによる宗教教育、学校生活 野田先生、鈴木先生
1.朝の礼拝・・中1も直に賛美歌が歌えるようになる。1100人が声を合わせて歌う。
  クリスチャンの教師が聖書を朗読。
2.創立記念式典・・第2部では卒業生の講演。中1は外人墓地に創立者の墓参に。
3. 養会・・レクリエーションもある。
4. リスマスツリー点灯の集い
5. クリスマス礼拝・・献金を集める
6. 卒業式・・入学式・卒業式も礼拝形式で行う。卒業式は中高一緒。高校生は最後の礼拝に。
礼拝や宗教行事を通して知らず知らずのうちに心豊かに育っている。
7. 生徒心得・・学校と家庭との連絡手帳に載っている。「〜してはいけない」という表現はない。
8. 服装規定・・「学生らしくあること」の学生らしくというのは、学ぶにふさわしいという意味。
9. 投稿風景・・制服は夏服、冬服、準制服の3種類。カバンは自由。
10.石段掃除・・各学年が当番制で。
11.礼拝・・金曜日の礼拝の後は生徒会活動の時間に。生徒会活動も中高一緒。
12.授業風景・・中1の家庭科では聖書のブックカバーを作る。
13.LL教室
14.音楽室・・音楽室は2つある。(音楽も高3まで必修になっている)
15.昼休み・・各自好きな場所でお弁当を食べる。HRの教壇にはお茶の入ったヤカンが置かれている。生徒は自分のコップを用意している。
教室だけでなく、ラウンジや校庭で昼食をとるグループも。
委員会やクラブミーティングも昼休みに行われている。
16.購買部・・お弁当の用意のない人のためにサンドイッチや焼きそばの販売もある。購買部の一番の人気はアイスクリーム。
自動販売機にはジュース、牛乳、ヨーグルトもある。
17.教員室・・生徒はいつでも出入り自由。気楽に入れるのでフェリスの教員室にはドアがないという噂がたったこともある。
18.終礼・・7時限授業の日と6時限授業の日(月、水)がある。
19.放課後・・掃除時間は30分。生徒ホールでアイスを食べたりおしゃべりする姿も。ピアノも置いてあり自由に使える。
20.クラブ活動・・体育館は2面に分けて交代で各部が使用。中高一緒の活動。
21.面談・・昼休みや放課後に担任との面談が行われる。日常の様子を1:1で話す。
生徒の生涯の支えとなる心に残る学校生活を送って欲しい。
5) 学習面に関して 大塚先生
中学は全ての教科が必修。
学習の基本は自分自身の学習姿勢を作ることにある。・・フェリスの重点目標。
新しい知識や真理を知った時の喜びを知ること。
他人との比較のために学習するのではない。
他人との比較になる資料は出さない。
先生の設定した基準に対してどこまで達しているかを見る。絶対評価。
高校で進路別コース制はとらない。広く、深く自主的に学習する。
高3で自分の進路に必要な教科を選択する形になっている。
高2でコース制を採ると、高1の秋には自分の進路を決めなくてはならない。
フェリスは高2の秋に進路を決定すればよい。生徒にとってこの1年は重要。
大学受験の勉強ではなく、フェリスの授業をしっかり学んで欲しい。フェリス独自の特別講座も設定している。
フェリスは受験校ではなく進学校。
その違いは進路指導に現れている。フェリスの進路指導は受験技術や受験情報を提供するものではない。進むべき道を自分で選ぶ手助けをするのがフェリスの進路指導。
一人一人の希望、能力に応じた個別の進路指導。
ほぼ全員が4年制大学への進学を希望。75〜80%が現役で進学。
浪人する生徒はどこかに合格していても第一志望の大学にどうしてもというこだわりのある生徒が多い。
進学先は国公立大が4割、私大が6割。
文系(法、経、政、商)が4割強、(文、語、教)が2割弱、理系(医、歯、薬、工、理)が4割。
芸術系も例年数名いる。
進学先が多様化しているのは好ましいこと。
フェリス女子大への推薦希望はここ数年0名。学部が少ないのと女子大を敬遠する傾向がある。
他大学の指定校推薦の利用者も少ない。例年6〜7名。指定校として来ている大学が生徒の希望と合わないことや、行きたい大学にチャレンジしていく。上智大学はここのところ希望者が出なかったので、今年から指定校推薦がなくなる。
6年一貫教育の観点からフェリスの学びを検討している。
フェリスに入って勉強についていけるかという不安を持たれるが、そうした悩みは当然のこと。そうした悩みや壁を乗り越えていかなければならない。
真理を知る喜びがあれば大丈夫。
中学段階で塾に通う必要は全くない。学習内容も違い、時間も含め二重の負担になるだけ。
理解の遅い生徒には個別の指導を行う。平常時は定期的な制度としての補習はない。
中学生は夏休みに指名制で補習を行う。
クラブは中学生はほぼ100%加入、高校生は80%が加入。高2まで活動。
クラブの他に同好会(有志活動)があり、今年は32グループが活動。サッカーや野球、アニメ、落語、バンド等の同好会ある。生徒が自主的に立ち上げているもので、年によって数が違う。
6) 05年入試について 大塚先生
過去3年間の入試結果(配布資料より)
       02年   03年   04年
志願者   407   429   493
受験者   400   415   460
受験生平均
国語(100) 55    47    60
算数(100) 47    45    50
社会(100) 75    68    69
理科(100) 65    62    75
05年入試要項
2月1日 女子180名 4科 面接
面接は受験番号順にグループをつくりグループ面接。
04年入試では460名の受験生で、15:00前に終了。
05年入試では14:30には終了予定。
面接の早い人と遅い人との終了時間の差は1時間程度。
早い人の方が試験終了から面接まで慌ただしいかもしれない。遅い組の人は、待っている間、保護者と話をしたり散歩をしたりして落ち着いて臨めるのではないか。
面接を早くすませるために、願書受付の際、早朝から並ばれる必要はないのでは。
7:00〜9:00くらいまでに受付に来られた方は受付まで3時間近くかかった人もいる。午後はすんなり受付ができる。
合否は4科目の成績、面接、報告書を総合的に判定し、総合点の高い順から合格とする。
欠員により、繰り上げ合格がある場合は電話で連絡。連絡がつくまで連絡を入れる。
繰り上げ合格は年によりどれだけ出るかわからない。2月20日が連絡のリミット。それ以降は欠員が出ても繰り上げはしない。
願書の写真はデジタルカメラによるものでも可。貼付欄の枠内でできるだけ大きなものを貼って欲しい。
受験料は振り込みの際、志願者本人の名前で振り込む。
報告書Aは小学校で記入してもらう。小学校により、先生により書き方に違いがあることは充分承知している。
報告書Bは保護者が記入。できるだけありのままの様子を記入して欲しい。
報告書の家族状況は、グループ面接の際、不用意な質問をしないための参考にさせてもらう。
フェリスを志望されるにあたり、フェリスに何を求められるのかをよく検討されて欲しい。
進学実績や大学受験のための指導を期待されて入学されると、入学してから失望されると思う。
12才から18才という時期にキリスト教の考え方や信仰に出会うことは大事なことと考えている。
自分の進路は18才になれば自分で決めること。親が道をひくのはよい結果とならない。
7) その他
・説明会終了後、自由に校舎見学あり。教員が要所、要所に立っているので何かあれば問い合わせを。
・相談コーナーを用意。入試等に関する質問はそちらで。
・入試に関して、教職員への個人的な問い合わせは一切お断りしている。
・一緒に来た児童は、説明会の間、図書館で待機。
=例年話されていることだが、今年はくどいくらい、フェリスが大学入試のための受験指導はしていないことや成績による順位を出さないことを強調されていた。そうしたことをわかって学校を選んで欲しいと強調される裏には、最近の入学生や保護者からそうした要望が学校側に陰に陽に出されているのではないか。
スライドによる説明が導入されたり、資料に各教科からのメッセージ「フェリスの学びについて」が追加されたりとフェリスなりに説明会のあり方を工夫されている。=
http://www.ferris.ed.jp/

森村学園 入試問題解説会
日時 12月18日(土)8:30開場 9:00開会
参加資格 小学校6年生
定員 400名(定員を超えた場合は締め切り)
申込 電話、FAX、メールのいずれかにて
受付 12月11日(土)まで
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公開模試情報

首都圏模試11月 統一合判(11月 3日)
前年比2.9%の増加。男子は1.7%の増加。女子は3.9%の増加。
昨年は前年比8.6%の増加だった。
          04年    03年     02年    01年     00年
男子 4科   5835    5566    4960    4914    4478
    2科   1120    1270    1304    1347    1489
女子 4科   5291    4816    3918    3321    2899
    2科   2769    2938    3250    3527    3986
合計      15015   14590   13432   13109   12852

日能研模試11月 合格判定テスト(11月7日)
前年比4.5%の減少。男子は5.4%の減少。女子も3.4%の減少。
昨年は前年比6.0%の増加。
          04年    03年     02年    01年     00年
男子 4科   7944    8306    7804    7277    7227
    2科    710     844     657     949     971
女子 4科   6523    6470    5851    5200    5252
    2科   1412    1746    1974    2564    2803
合計      16589   17366   16286   15990   16253

三模試学校別志望者数抜粋 (10月度)
三模試の学校別志望者数抜粋をアクセス教育情報センターの会員のページに掲載しております。
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男子  女子


教育情報

秋季入学制を議論 国立大学協会
(日経新聞 11月6日)
 国立大学協会(会長・佐々木毅東大学長)は5日、金沢市で総会を開き、今後の入試制度の在り方などについて協議した。総会では、一部の私立大が実施している秋季入学制度を国立大も導入すべきかどうか、来年6月の総会までに方針をまとめることを決めた。国大協が秋季入学制度について議論するのは初めてで、2008年度入試からの課題と位置づけた。
 国立大の秋季入学は大学院入試や帰国子女の受け入れなどで採用しているが、一般入試で制度化している大学はない。国大協は「高校を3月に卒業する学生を大学が4月に迎え入れる過密な日程が現行の入試制度の制約になっている」と指摘。「高校と大学の双方に合理的な日程の設定が求められる」としている。
 現在の高校1年生が受験する07年度入試については、抜本的な見直しは見送り、06年度入試の方針を踏襲することにした。国大協は昨年、06年度入試で面接などによるアドミッション・オフィス(AO)入試や推薦入試で相当数を募集すれば、2次試験の後期日程をやめて前期日程に絞ることをも容認。ただ一部に完全一本化を求める声が出ていることもあり、時間的制約から見送ることにした。
 また中山成彬文部科学相が10月、教員養成の専門大学院の設置を中央教育審議会に諮問したことを受け、この問題を審議する特別委員会を設置することを決めた。
 このほか、11月末で一橋大学長を退任する石弘光副会長(67)の後任に相沢益男東京工業大学長(62)を選んだ。任期は12月1日から06年6月の総会まで。

小学校の道徳授業 初めて年間標準時間を超える 
(朝日新聞 11月8日)
 小学校の道徳の授業時間が全国平均で初めて年間標準の35時間を超えたことが1日、文部科学省が5年ぶりに実施した「道徳教育推進状況調査」で分かった。02年春に国が一律に配布した冊子「心のノート」は小中を通じて使用率は9割を超えた、としている。 
 調査は全国の国公私立小中学校計約3万4000校を対象に、昨年10〜12月に実施した。道徳の授業時間は、小学校で前回の33.9時間から35.3時間に、中学校は31.0時間から33.6時間に増加した。学校教育法施行規則は、標準を35時間とすると定めている。 
 重点を置いて指導している内容を20余りの項目から5つ選ばせたところ、「生命の尊重」などを5割前後の学校が挙げた。「国を愛する心」は小学校で12.5%、中学校で6.2%だった。 
 「心のノート」は、97.1%の小学校と、90.4%の中学校が道徳の時間に教材として利用していると答えた。自然に親しんだりボランティア活動をしたりする体験活動を道徳の時間にとり入れている学校は、小中とも9割を超えた。

奉仕活動を必修へ 都立高校が07年度から 
(朝日新聞 11月11日)
 東京都教育委員会は07年度から、すべての都立高校に「奉仕体験活動」を必修教科として導入する方針を固めた。05年度は単位認定などに関する研究校20校を指定する意向で、新年度予算で300万円を財政当局に要求した。学校教育での奉仕活動を巡っては、森首相当時の私的諮問機関「教育改革国民会議」で義務化が検討されたが、「自発的でないと意味がない」などの反発で義務化を見送った経緯がある。 
 都教委によると、都道府県立高校全体で奉仕活動を必修化するのは初めて。1単位(35時間)を、卒業に必要な単位として設定する予定だ。 
 「奉仕体験活動」は学習指導要領に教科としては位置づけられていない。このため、各校が独自に設ける「学校設定教科・科目」として導入する。現在、希望者によるボランティア活動を単位に認定している都立高校は15校ある。新年度はこのうちの10校に新たに10校を加え、研究指定校にしたうえで、07年度から全校に広げる予定。 
 都教委は昨年度、高校改革の一環として「ボランティアの日」を設定。各校で工夫して、車いすの修理や水害に備えた土嚢(どのう)作りなどに生徒が取り組んだ。 
 奉仕活動は、戦後教育の見直しを目指した教育改革国民会議で浮上。自主性を基本とするボランティアと異なり、共同生活の中で義務付けるものとして検討された。 
 都教委幹部は導入の狙いについて「内容はボランティア活動と変わらない。生徒がいろいろな人と交流し、活動を通してより広いものの見方ができるようになることを期待する」と話している。 
 一方で都教委は、「ボランティア」でなく「奉仕」と呼ぶ理由について、「自主的・自発的に行うだけでなく、他教科と同じく教育課程に組み入れて必修化するため」と説明する。


その他

《連載6回》
進学塾の歴史的曲がり角 
〜日能研と私の「罪と罰」〜  
海風荘主人 三渕衡一
 (元日能研取締役・前センター通信社代表)
6  「合格相談」の発行
 新代表の方は父親と違って「左翼的」なものにかなり寛容だった(彼自身、学生時代にある私大で「全共闘運動」にちょっと関わったらしい)。そして「麻布戦争」の大勝利によって広報(部)活動の重要性を再認識したらしく、にわかに広報部員を「2人→10人」に急増させた(「大敗北」したTAPがその「敗因」をめぐって「広報が敗因」とするS氏(教務)と「教務が敗因」とするK氏(広報)が対立し、K氏が敗れて退社し、アメリカに行ってしまったという噂が伝わっていた。以後TAPは迷走し、数年後分裂を起こしてS氏らが「SAPIX」を創設する)。
旺文社と「共同編集」で「合格相談」を作る話を持ち込んできたのも代表である。新しく総務から移ってきたA氏に受験データの収集と分析の総括を頼んだら、彼は持ち前の行動力でその仕事をたちまち企画部から全部横取りしてしまった(企画部は代表が大導入したコンピュータシステムをテスト処理だけでなく、会社業務全体に拡大するために、そのソフト開発等に専念した)。
それをも含めて「合格相談(月刊)」はデータ、データ分析、学校取材、入試情報分析、論評等の中学受験総合誌として「情報とデータの日能研」の看板となった(「取材協力」とは名のみで、原稿は全部こちらが書き、版下制作と一部取材・執筆は下請けのプロダクションがやる。旺文社は印刷して納品するだけだった)。
「論評」については中曽根の臨教審にうまく対応できなかった。「教育の自由化」論には「臭い」と思い同調はしなかったが、それが日教組破壊・教育破壊・国家主義教育へつながっていくと見抜けなかった。中曽根が当時、同時並行ですすめていた国鉄民営化とそれに対する反対闘争をよく研究していれば、そんなことはなかったと思う。ただ最後に答申で突然(ほとんど議論なしに)「日の丸・君が代の推進」が打ち出されてきた時には、「何だ。結局はこれが狙いだったんじゃないか!」と「批判」した。
しかしその直後から文部省がマスコミと一体となって始めた私立中高入試問題に対する「学習指導要領逸脱」とか「難問・奇問」だとする非難キャンペーンの悪質さとデタラメさはすぐにわかった。その攻撃の弱点も見て取れた。何しろこのテーマは進学塾たるこちらのホームグランドでの闘いなのである。日頃から私立中高を見下し、塾など無視・黙殺してきた文科省にとっては不慣れなアウェーの闘いで、初歩的なミスを連発していた。以後5年近く、「合格相談」の「論評」はひたすらこのテーマが軸となった。
「反論」の論理構成は「@私立中高は学習指導要領など遵守する義務はないAしかも攻撃された入試問題は指導要領を遵守しており、その『応用・発展』にすぎない」というものである。@はある私学人から教えられ、教育基本法・学校教育法・私立学校法等をにわか勉強した。驚いた。学習指導要領の「法的拘束力」など私立校は無論のこと、公立小・中・高にさえ及ぶのかどうか怪しいのである。こんなことは敗戦直後の私学人には「常識」だったが、80年代にはそれを知らない私学人(校長・教頭)がすごく増えていた。Aはほとんど奇弁に近いような強引な「こじつけ」である(例えば湘南白百合がアフリカのガーナの国名を答えさせて攻撃されたことには「多くの子どもはロッテ・ガーナ・チョコを知っている」と反論した。駒東がまともに南北朝内乱を取り上げ非難された時には、地元関西の教科書会社の大阪書籍が取り上げていることを突き止め「検定教科書に出てるじゃないか」と主張した。当時の駒東のK校長はもと北海道の公立高校長で「小学校教科書が全教科で4月は『桜の花』がらみでスタートするのはナンセンスだ。北海道では4月には桜はまだ咲いておらず、沖縄ではすでに散り果てている」と言っていた)。「強引なコジツケ」だろうが「奇弁」だろうがかまわない。「敵」が何の法律的・教育的根拠もなしに無茶苦茶な「コジツケ」や「奇弁」を展開していた。それに対抗するためには許される。そう考えた。私立中高関係者はキャッキャと喜んでくれた。
この「反論」キャンペーンによって、何よりも私立中高の日能研に対する信頼が圧倒的に前進した。これはこれ自体四谷大塚に対する重大で決定的な勝利だった。多くの私立中高は腹の底から文部省に対するすごい怒りを持っていた。しかし「私学助成」を受けている関係上、それを公然と口には出来ない。そこへそれを凶暴に代弁してくれる動物的な塾があらわれた。それが日能研である。これは「私学の番犬」として文部省に対する「かませ犬」として使えるということだった。故高木会長は「塾は私学の寄生虫」と唱えていた。私はこれで日能研をかなり原始的な虫類から相当に高度な哺乳類(犬)にレベルアップすることに成功したと思った。感無量だった。
もう1つ、この「反論」キャンペーンは塾生・父母に全面的に支持された。生徒が日頃取り組んでいる中学入試問題に関することなので親にも理解できるし、理解しなければならない。大人(親)向けに書かれた論文なのに、多くの(特に優秀生の)父母はこの論文を直接子どもに読ませた。子どもらはゲラゲラ笑い、勉強にはずみがついた。重要なことは、これで生徒・父母がいわば「主流派意識」を持ったことである。もはや四谷大塚やTAP(SAPIX)は問題ではない。我々が「主流派」だ。塾生の退塾等は大幅に減少した。1983年の日能研の優秀生と父母の多数が「麻布受験」にビビリまくっていたことに比べれば、わずか数年間での劇的な変化だった。
7 中教審とそれによる日能研への攻撃
 こういう流れはその後、麻布などの著名進学校自身による文部省の「難問・奇問」非難攻撃への正面からの全面反論闘争として高揚していく。これに手を焼いた文部省は、中教審委員に2人のファシストを登用し、私立中高一貫校を「受験偏重教育」だとする大政治攻撃に出た。「2人のファシスト」とは1人は西尾幹二氏(電通大教授、独文学者でヒトラーに心酔、のちの「新しい歴史教科書をつくる会」会長)と村ア芙容子氏(精神科医、「カイワレ族の偏差値日記」の著者)である。
この2人はタッグを組んで、中教審の議論を牛耳り、文部省の支援のもと89年ごろ私立中高一貫校に対するデマに満ち満ちた「中間報告」(西尾氏執筆)を発表した。これには全国の私立一貫校がほとんど例外なく激怒。私立中高連、東京私立中高協会等が中教審に乗り込むなどして大反撃した。慌てた文部省は「中間報告」から「毒気」を抜き取った答申を出し、中教審を解散した。「切られた」形になった西尾氏はそれを恨み「文部省批判」と称して月刊誌に泣き言をエンエンと並べた。一方では、私立中高の入試問題非難もこれを機にトーンダウンし、2〜3年で事実上消滅した。文部省と私立中高一貫校の歴史的激突の初戦は、私立中高の側が完全勝利したのである。文部省はこのあと「偏差値追放」キャンペーンによる公立高校入試の全面破壊に転じ、その延長上に私学への「雪辱」を探るようになる。
 この最中、日能研の高木幹夫代表と河合塾のN氏が中教審から「参考人」として呼び出され意見を述べろと言われた。名誉な話である。実際には「意見を聞く」どころか、文部省の狙いは当時の予備校・塾で最も「反文部省」的だったこの両者を呼び出し、西尾・村ア氏にボコボコに叩かせることにあった。ますます名誉なことだが、こちらは甘く考えてそこまで読み切れず、高木代表の「助言者」には企画部長(取締役)が同行し、私はノンビリ日常業務をしていた。
ところが「賢い」河合塾は最初から屈服的に出て、あとはノラリクラリと逃げ回った。ところが「愚かな」日能研は攻撃に対してまともに反論した(私が「助言者」としてついていたら、やはり「そうしましょう」と「助言」したろう)。おかげで高木代表はたった一人、西尾氏・村ア氏をはじめとする中教審委員たちから罵詈雑言の集中砲火を浴びた。終わってから河合塾のN氏は高木代表にコッソリ言ったらしい。
「あなたは文部省とそれを取り巻く連中の私学や予備校・塾に対する憎しみの深さ、攻撃の陰険さ・複雑さ・激しさを知らない。ちょっとおだてて舞い上がらせ、そこをボコボコに叩いてくる。そこの辺りをもう少し勉強した方がよいですよ」
しかし私は高木代表が「怖いもの知らず」で集中砲火に一歩もひかず、愚直に「塾の立場」を言い抜いたことは、彼の日能研代表としての20年間で2番目に素晴らしいことだったと思う(「1番目」は卒業式で「君が代斉唱」をやめたこと)。これは90年春のことだったから、平成天皇の「大嘗祭」が労働者人民によって粉砕される1年前のことだったと思う。
そしてこの時、村ア芙容子委員の高木代表攻撃のネタになったのが「合格相談」の「中学受験はみ出し読書室」に載った彼女の「カイワレ族の偏差値日記」への書評(評者・三渕)だった。彼女はこの中で高校受験に直面して「偏差値」が伸び悩む息子を自分で教えるが、かえって親子対立が深まってしまう。そして息子がついに暴力的決起に立とうとしたその瞬間、彼女は強力な精神安定剤(専門医しか持っていない)を息子に飲ませて危機を脱する。彼女はそれを誇っていた。当時は勝新太郎がハワイから大麻を「パンツの中に隠して」持ち込み逮捕されていた。「肝心な時にヤクに頼るなんて。これじゃ勝新太郎と変わらないじゃないか」と私は書いた。これがこの中教審委員女史を激怒させたのである。彼女はその日の中教審聴聞会を終えると、その足ですぐに近くの東京地裁に駆け込み、あらかじめ用意していた書面を提出して「合格相談」発行元の旺文社と日能研と私の三者に「著作権法違反」で損害賠償各200万円を請求して提訴した。私が議論の公正を期すために原文を長々と引用して読者に判断を求めたことが逆用されたのである。相手の弁護士は新聞記者に「崇高な裸婦の名画を猥褻な春画に『引用』されたようなものだ」と語っていた。「著作権」で勝てば、すぐに「名誉毀損」の民事訴訟に発展させ、それも勝てば「名誉毀損」の刑事告発に訴えるぞという脅しだった。
発行元の旺文社はすぐ「和解」した。日能研も確か2〜3回の公判で「和解」路線に転じた。私は抵抗したが、結局は屈服して会社の方針に従った(和解金はそれぞれ70万円)。これは麻布のO校長から「日和見主義」として猛烈に批判された。実は私一人でも訴訟を継続することを考え、友人の弁護士と相談したり、証言してくれそうな人を秘かにあたっていた。O校長は「ああいうタイプの母親が子ども(生徒)を殺す」と言い、証言に非常に積極的だった。その数年前の麻布生の自殺事件の母親が村ア氏とソックリだったらしい。
日能研にとっては「和解」で十分だった。中教審とそれに引き続く訴訟を新聞は三段抜きくらいで何回も報じた。日能研は「反文部省」の進学塾のチャンピオンとなった。宣伝効果は抜群だった。そもそも89年〜91年にかけての文部省の私学に対する「学習指導要領逸脱非難」=「中教審の攻撃」に対する闘いは主として私立中高一貫進学校の側の大反撃によって圧勝していた。塾としてはその闘いと勝利に連帯し、ついて行けばよいだけのことで、それ以上出しゃばることはないとも考えられた。おまけに、これは後になって分かったことだが、日能研生と父母は、日能研の「中教審→訴訟」の闘いを新聞等で知り、圧倒的に支持していた。
そして麻布戦争(85〜86年)の勝利を引き継ぐ「600人作戦」(後述)の成功と組み合わせて、これが日能研生(父母)の中にある種の「主流派」意識を一気に拡大した。もう四谷大塚もTAP(SAPIX)も眼中になかった。(つづく)

入試問題に挑戦第132回

<問題>
 ある道路に沿って図書館と学校があります。その道路をA君は図書館から学校に向かって,B君は学校から図書館に向かって同時刻に出発すると3分後にすれちがいます。A君は出発してから7分後に学校に着きました。B君は出発して【  】分【  】秒後に図書館に着きます。
(04年芝中)

入試問題に挑戦第131回解答編
第131回の解答は、次号で第132回と一緒に掲載致します。