NO.149

2004年 10月15日 
アクセス教育情報センター

目次

学校情報

公開模試情報 教育情報 教育情報 その他
海陽中等教育学校

女子聖学院

横浜雙葉

桜美林中学

芝浦工大柏中学

日能研模試10月

三模試学校別志望者数抜粋 (9月度)

中学校成績分布

子どもにも競争原理を

公立高校改革

スーパー教師制度

東京農工大

高校入学定員配分

センター試験1

教員FA制

修学旅行に異変

センター試験2

進学塾の歴史的曲がり角

入試問題に挑戦第129回

 

学校情報

海陽中等教育学校 入学者選抜方法の検討状況について
現在下記の方針で、入学者選抜の方法についても具体的な検討に着手しております。なお、平成17年秋配布予定の募集要項で最終的に確定した内容をお知らせする予定です。
1、選抜の基本方針
(1) 全国から生徒を募集します。
(2) ハウスでの共同生活に適応しうる生徒を選抜します。
(3) 受験テクニックだけに長けた生徒ではなく、荒削りでも潜在的な能力のある生徒を選抜します。
(4) 学校で生徒を24時間お預かりすることをふまえ、保護者にも充分に教育方針を説明する機会を設けるとともに、ご賛同頂けるかどうかを確認します。
2、入学者選抜の方法
学科試験と面接試験を行います。
(1) 学科試験
4教科(国語、算数、理科、社会)の基礎学力試験を実施します。
基本的な読解力、文字による表現力、計算力、図形空間の把握力、論理的思考を重視し、とくに国語、算数の配点を厚く設定します。
また、潜在的な能力発掘のための記述試験(作文、算数)を実施します。
各教科の配点のイメージは下記の通りです。
国語(読解力) 100
算数 (通常問題) 100
理科 50
社会 50
          基礎学力(300)
国語(作文) 100
算数(記述) 100
          計500点満点
(2) 面接試験
基礎学力試験の集計後、倍率を2倍程度に絞って、本人と保護者両方に面接を実施します。本人には、寮生活への適性を確認し、潜在的な能力発掘を試みるとともに、保護者については、お子様を学校でお預かりするに当たり、学校の教育方針を充分に説明し、ご賛同頂けるかどうかを確認します。
(3) 学科試験会場
生徒を全国から募集することをふまえ、中部地区に加え、関東地区、関西地区などにも会場を設定することを検討します。
http://www.kaiyo-gakuen.jp/

女子聖学院 塾対象説明会報告(04年10月8日)
1.校長挨拶 小倉先生
(1) 新校舎建設
今年、創立99年に。
100周年記念として本館(教室棟)の建て替えを計画。
今の校舎の位置に、2倍の床面積になる。
来年着工。工期は1年7ヶ月〜8ヶ月。
その間、校庭に仮校舎を作り授業を行う。仮校舎になるが、学習環境の悪化をもたらさないように細心の注意を払って行う。
(2)女子聖学院の教育
女子聖学院の教育の中心は、「神を仰ぎ、人に仕う」というモットーに現れているように、聖書に基づく人間教育。各人には各人のかけがえのない賜物を神から与えられている、という前提に立つ。
昨日の礼拝の後、生徒会長が高校生にアピールを行う。
その趣旨は・・最近、登下校のマナーの悪さが近所に迷惑を与えている。生徒会役員や各クラブの部長が話し合い、朝と放課後、通学路に立つことにした。高校生の態度が変われば中学生の態度も変わると思う。高校生がしっかりしなくてはいけない・・・というもの。
自ら発信する子を育てるという女子聖学院の目指す教育が生徒に伝わっていると感じる。
ミッションスクールであるが、偏狭な宗教教育を行うものではない。
自分たちの宗教に確信を持っているが、それを強要するものではない。
2.ビデオ・・軽井沢生活の様子
夏休みに中1は1クラスずつ2泊3日で軽井沢のセミナーハウスにいく。
生徒40名に対して教員4〜5名がつく。
2泊3日で、自己を見つめる=自分自身の存在について考える。
いのちについて・・両親から自分が生まれたときの様子を手紙に書いてもらい渡す。生徒はその時の親の気持ちを食い入るように読んでいる。
賜物について・・星野知弘さんの生き方から生きる力を学ぶ。絵筆を口にくわえて自分で書いてみる。
共に生きるについて・・お互いのいいところ、人にされると嫌なことを書き出す。
クラス目標を作る。
ハイキングやキャンドルサービスも行う。
最後に、自分の将来について手紙を書く。卒業式の時にそれを渡す。
50年以上続いているプログラム。
3.進路指導 進路指導部長 渡部先生
(1) 進路選択
ある記事によると、大学生の進路は就職56%、大学院進学12%、専門学校・留学2%、フリーター5%、ニート(*1)20%ということ。
大学を出て何もしない人が1/5いる。社会への帰属意識が低下している。
また、調べ方をしらない大学生が増えていると言われる。
*1 ニート 
「Not in Education,Employment or Training」の頭文字(NEET)による造語で、学生でもなく、職業訓練もしていない無業者のこと。仕事をせず、就職意思がない点でフリーターと区別される。
そういう時代に中高としてどうすればよいのか。
社会人になる――職業を知る――どの学部・学科で学ぶか――それはどの大学にあるか、というながれを生徒の実情に合わせて、丁寧に行う。
中学1年・・自己を見つめる
中学2年・・自己を活かす
中学3年・・働くことを知る
      生徒の特性をベースにして社会とのつながりを考える。
高校1年・・自分の希望する生き方や仕事を知る
      学部・学科調べ
高校2年・・卒業後の進路を決める
      自分にあった大学探し
高校3年・・希望の進路を実現する
      自分に必要なことに的を絞った学習
職業をえらぶに際して
@ 興味があるか
A 能力があるか
B 価値観を感じるか・・その仕事が自分の生き方とあうのか
が必要。
(2) 大学入試結果
04年大学入試結果(抜粋)
     東芸大 東農工 千葉 東海洋 国公立計
総数   1     2    1   1     5
現役   0     2    0   1     3
     早大 慶大 上智 明治 青山 立教 中央 法政 理科大 日大 学習院 聖学院
総数   4   5   5   5   5   9   3   3   2   19   5    19
現役   3   5   5   3   4   8   2   3   1   11   5    18
卒業生193名に対する東大、早慶上への現役合格者数の割合(A率)は6.7%。
MARCHへの現役合格者の割合(B率)は10.4%。
04年春は193名卒業。144名(75%)が大学に進学。
03年は大学の現役進学が60%とやや下がっているが、自分の生き方にこだわる生徒が多く、他校に合格しても第一志望校にこだわり進学しない生徒がいた。
4.05年入試要項 校長補佐 城築先生
入学後の指導をふまえた入試を行いたいと思っている。
04年入試で各回とも2科4科選択に。
例年の繰り上げ分の人数を正規合格として発表。
2日入試の手続、入学率がよく聖学院小学校からの入学生と合わせ200名募集のところ243名が入学。中1は6クラス編成に。
05年入試で合格者数を絞るようなことはしない。各回とも04年と同じ合格発表数を予定している。
05年入試要項(外部募集)
1回 2月1日 女子50名 2科4科 面接
2回 2月2日 女子80名 2科4科 面接
3回 2月3日 女子20名 2科4科 面接
4回 2月5日 女子10名 2科4科 面接
面接日時は出願時に連絡。本人および保護者面接。
面接は参考程度のもの。学校を知ってもらう場として設定。
1回、2回、3回の入学手続は2月4日15:00まで。
05年より帰国生入試を実施。
1次 2月1日 女子若干名 2科 面接
2次 2月3日 女子若干名 2科 面接
帰国生の問い合わせが増え、昨年は10件以上あった。
5.入試問題について 各教科より
算数
各回とも60分、100点。
出題形式は4回とも同じ。
式や考え方を要求する問題の場合、答えのみしか書いていないものは採点の対象にならない。
対策としては過去問題をやるのが一番よい。
04年入試では1〜3は8割近くの正答率。4、5は6割の正答率だった。
国語
各回とも60分、100点。
大問3題。
05年入試では1の質問の角度が変わる可能性がある。
漢字は小学校6年までの教育漢字の中から出題。
トメ、ハネ、ハライは丁寧に。
こつこつやってきた受験生が有利になるような問題に。
余裕を持って幅広い知識を身につけていて欲しい。
2は小説文。文章の長さ、設問数は各回とも同じに。
字数指定がある場合、9割以上書かないと点数にならない場合もある。
社会
大問6題。設問は45題から50題。
1 、2 地理
3    総合
4 、5 歴史
6    公民
小学校の教科書レベルの基礎知識を問う。
都道府県は1で必ず出題する。
歴史は人物毎にやったことをまとめておくとよい。人物名は漢字で書けるように。
時事問題は原則として出題しない。
地理20点、歴史20点、公民10点の配点。
世界の主な国名と場所は知っておいて欲しい。
1で受験生平均と合格者平均が一番大きく開いている。
理科
大問5題構成。
1 生物分野
2 地学分野
3 物理分野
4 化学分野
5 総合問題
いのちを大切にしている学校なので、各回とも生物が1になっている。
05年も出題形式は同じ。
04年の問題を参考にして欲しい。
火成岩と堆積岩、直列と並列の比較、酸性・アルカリ性と中和の実験について見直しを。
総合問題は各回テーマを決めて出題。04年は、
1回 女子聖学院のキャンパスの中
2回 家の中
3回 北海道
4回 博物館
普段の生活の中で幅広く関心を持って欲しい。
資料の読み取りもできるようになっていて欲しい。
社会と理科は合わせて60分の試験時間。30分の時に30分経過の連絡がある。
女子聖学院では、毎年夏休みに中2から校3の希望者対象に理科見学旅行を実施。また、中1から高2は年1回、理科見学を実施。
理科見学旅行も理科見学もフィールドワークとして30年以上続いている。
〈05年出題方針・・・説明会資料より〉
国語
全体の構成
 [一]言葉についての基礎知識を問う問題
 [二]小説文
 [三]説明文
詳細
 [一]1〜3  漢字の読み書き
    4    四字熟語
    5    ことわざ・慣用句
    6    同義語・対義語
    7〜8  言葉のきまり(国文法)
          主語・述語、修飾・被修飾、基本的な文型、形容詞・形容動詞・副詞の見分け、
          助動詞・助詞に関し、用法が同じものを選ぶ、など。
 [二]漢字書取・言葉の決まりを除き、読解問題のみに限定。
 [三]小説文と同様。
算数
全体の構成
 [1]計算3題  整数・小数・分数の四則演算、虫食いでの逆算、比の虫食いなど。
 [2]小問7題  倍数約数・濃度・速さなどを問う割合に関するもの、面積・体積・角度などに関する
          もの、分数・小数・剰余・整数の性質などに関するものといった基本に忠実な問題。
 [3]小問5題  一般に鶴亀算・流水算・過不足算などといわれている代表的な入試問題を主とし、
          多少工夫を要する問題も含まれる。
 [4],[5]  重なり合ったり移動したりしてできる平面図形の長さや面積・立体図形の内容物の
          体積といった量の変化の様子や数列などの規則的変化の道筋をたどる(推理・追跡)
          問題など、従来から女子聖学院が出題してきた形式の問題から2題出題。
新指導要領に対する対応
  本校では、今春と同様に新指導要領による出題範囲は削減は致しません。
理科
生物、地学、物理、化学の各分野から1問ずつと、総合的な問題が1問の、計5問が出題されます。
〇 生物分野……特にヒトや生物のからだのつくりとはたらきをよく理解し、用語もしっかり覚えてください。
○ 地学分野……地層・火山と岩石、天気の変化、太陽・月・星の動きなどを中心に、その内容について、
         考え方の理解、知識の整理をバランスよく行ってきてください。
○ 物理分野……電気と磁石の性質、ばね・てこ・ふりこの性質などについての考え方を中心に問いますが、
         広い範囲について特に基本的な内容についての問題が出題されます。
○ 化学分野……ものの溶け方・燃え方、気体と水溶液の性質の重要実験に関係した問題が出題されます。
 総合問題では、教科書などに直接は取り扱われていないような事柄を含めて、考える力を問う問題が出題されます。
社会
基本的知識を問う問題を中心に出題します。
○ 地理的分野……都道府県名およびその位置と特徴・地形(山脈・山地・川・平野・盆地)・気候などを
          重視します。
○ 歴史的分野……教科書からの内容を中心にして、基本的な歴史の流れを重視します。
          古代から近現代史まできちんと勉強して下さい。
○ 公民的分野……憲法三原則(平和主義・国民主権・基本的人権の尊重)と政治のしくみを重視します。
          時事問題は原則として出題しません。
また、以上三分野の出題において、世界の国名を問うことがあります。白地図等を使って世界のおもな国の国名と位置を勉強しておいて下さい。
http://www.seig.ac.jp/girls/index.html

横浜雙葉 教育懇談会(04年9月24日)
1 学校紹介ビデオ
ビデオに出てきた、伊豆の山荘は四谷の雙葉、田園調布雙葉と共有している。あの雅子様も泊まったことがある。今回もナレーションは卒業生でアナウンサーの渡辺真理がボランティアで引き受けてくれる。
2 千葉教頭先生
ビデオで見ていただいたように、いい生徒に恵まれたいい学校。
横浜雙葉の創立に関わる二人。
ニコラ・バレ神父
幼きイエスの会は1662年にニコラ・バレ神父がフランスのルアンで学校を始めたことに端を発する。当時、戦争で見捨てられた子どもの教育、特に女子の教育を行う。
国の将来を作るのは子ども達。特に女子は母親になった時、子どもにどういう教育をするかが大事。
それまでも修道院に子どもを受け入れて教育を行うところはあったが、ニコラ・バレは修道院の外に出ていって教育を行った。
マザー・マチルド
1814年生まれ。12歳の時、図書館で日本に関する本を読み日本に関心を持ち、日本に行くことを決意する。しかし、当時の日本は江戸時代で鎖国中。38歳の時にシンガポールの修道院に来る。
その20年後の1872年6月28日に日本に。日本に来た最初のシスター。(日本に来た最初の神父はフランシスコ・ザビエル)その時、若いシスター4人を連れてくる。一番若かった24才のシスターは日本の気候が合わなかったのか4ヶ月後に亡くなっている。
日本に着いたその日から孤児の世話を始める。
5年前まで広報活動は全くなかった学校。2000年の100周年を前に現校長と開かれた学校にしようと少しずつ外に出ていくようになる。
それまで、横浜雙葉は知り合いがいないと入れないとか、筆記試験より面接で合否が決まると言われていたことを知る。そんなことは全くないのにもかかわらず。
今、横浜雙葉が目指しているのは新しい関係性の創造。
教育とは他者との関わり。関わりの中で他人を知るとともに自分を知る。
また、教育は祈り、愛することだと思っている。これは幼きイエスの会にいる教師の基本的姿勢。
中1の授業を持っていて感じることとして、子どもが嫌がることは、親に人と比較されること、ダメじゃないと言われること。子どもは、自分は親が好きなのに親がそれをわかっていないと感じている。
子どもは一人一人がかけがえのない存在で、そこにいるだけで素晴らしい。
無条件で愛されていると実感して欲しい。
子どもたちは幼いイエスのような存在(幼きイエスの会の由来)。親は自分にとってその子が大切な存在だということを伝えて欲しい。
他の国との同年代の子どもの意識調査によると、自分に誇りを持っている子の割合が日本は少ない。逆に、自分をダメだと思うかという質問に対して、そう思うと答えた割合が日本は圧倒的に高い。
これは子ども自身のせいではなく、まわりの大人のせい。
あの人はできるのにどうしてあなたはといった比較や、他の人の子はよく見えるのに自分の子の欠点ばかりを気にするようなことは避けた方がよい。
親や学校が次から次ぎへと高いハードルを設定していく。それに応えられる子どもはよいが、そうでない子どもは疲れてしまっている。
今、親として条件付きで子どもを愛していませんか。
子どもが生まれたとき無条件で愛していませんでしたか。子どもがそこにいるだけで嬉しかったはず。
子どもを励ますつもりが、子どもの気持ちをそいでいることもある。
人と違っていてよい。違っているから価値があるはず。そうして、自分に自信を持てれば勉強も自分でやるようになる。
学校も、生徒が卒業してから、あの学校でよかった、自分はあの学校で受け入れてもらえていたといつか思ってもらえればよい。
学費一覧を9月の説明会から配布する。(05年度納付金予定)
             月額      年額
授業料       36,000   432,000
学園費        5,000    60,000
施設維持費    14,000   168,000
共同購入費     2,000    24,000
生徒会費         400     4,800
父母の会費     1,000    12,000
修学旅行費     3,900    46,800
納付金合計             747,600
入学金                300,000
施設設備費             250,000
納付金は三期に分けて納入。
施設設備費は3月31日までに入学を辞退した場合は返金。
高校進学時に高校入学金200,000円が必要。
これまでも説明会等の後でよく質問されるので、学費の話はしていたが、横浜雙葉は裏金をもらっているわけではないのだから、文書で出した方がわかりやすいと思い一覧にして配布する。
横浜雙葉は学費が高いと思われているようだがそうではない。保護者の方に大手の塾で年間かかる費用より安いと言われる。
横浜山手の三校(横浜雙葉、横浜共立、フェリス)の費用はほとんど変わらない。フェリスは寄附がある分だけ高い。
いただいたお金はできるだけ子ども達のために使う。
サンモール精神というのがあり、使わない部屋の電気は消す、紙も裏表を使う、無駄使いをしないということが徹底している。ケチというのではなく質素。
当初は広報関係の費用も0だった。在校生からいただいたものを、まだ入っていないひとのためになぜ使うのかという思いだった。初めは学校説明会資料も学内で紙の両面に印刷して、先生達が丁合して作っていた。
最近は先生達の時間の使い方も考え、資料も印刷に出せるようになった。また、100周年のビデオも作る。
入学の時、学校債を任意で500,000円お願いしている。卒業時に返還されるので、大学入試の受験料や入学金の一部にちょうど役立つ。任意ですができるだけご協力ください。
説明会資料の通学区域分布にもあるように、横浜市北部(青葉区、都筑区、港北区)から200名近くが通っている。(川崎市からも57名が通学・・・報告者注)
3 東先生(中1担任、生物)
あざみ野からの地下鉄はそれほど混まない。
町田方面の生徒は横浜線の町田始発に合わせて通学している。
アクセスからの入学生に入学しての感想を聞いたところ、「横浜雙葉は想像していたのとは違い元気な子が多かった。それが嬉しかった。」とのこと。
横浜雙葉小学校からの生徒が半分いることを心配される方もいるが、小学校の生徒は2クラス90名でずっと来ているので、新しい友達ができるのを楽しみにしている。
中1の校外学習に行くまではやや距離があるが、校外学習を終えて帰りのバスの中ではとても和やかになっている。
クラスの人数もほぼ半々、クラスの役割分担も公平に割り振る。
雙葉小学校からの生徒は公立の小学校に比べ躾がしっかりしている。ものの受け渡しや言葉遣い挨拶の仕方などが、こちらで指導しなくても、中学から入学した生徒に自然に伝わっていく。これは大きなメリットになっている。
横浜雙葉小からの生徒は、中学から入ってきた生徒はなぜあんなに勉強できるのかと素直に驚いている。お互いにいい意味での得るところがある。
横浜雙葉は学費一覧以外の見えない出費が少ない。修学旅行も制服で行く。
小テストの結果で水曜日の職員会議の前に1時間補習を行う。
中1からこまめにやって勉強の習慣をつけておくことが必要。高3になってからやろうと思っても間に合わない。
校長は先生方に普段から授業を大切にしなさいと言っている。
雙葉の授業を見て欲しい。生徒が真剣に受けている。
学校を選ぶときに、その時の偏差値ではなく入学してから6年間のことを考えて選んで欲しい。(横浜雙葉は6年間で生徒に十分な学力もつけているという意味だと思われる・・・報告者注)
4 その他(質疑応答も含め)
 質問に答える千葉先生、東先生。

元町中華街の駅ができて、石川町の駅から来るのと比べ半分くらいの時間になった。
英語は、雙葉小学校からの生徒もいるが、初歩からやる。なまじっか知っていると安心感で逆につまづいてしまうことがある。小学校にもあまりやりすぎないようにと話している。
雙葉にはLL教室はない。英語はコミュニケーション。機会と向き合ってやるものではないという考え。
大学進学に関しては現役主義。部活や生徒会活動は熱心だが、勉強は後回しでよいという雰囲気にはならない。
最近は自分の志望にこだわり浪人する生徒も出てきている。
センター試験対策も学校で行っている。みんなが一緒なので受験に向けての雰囲気が高まってくる。
中高の6年間をどういうところで過ごすのかによって自分の人生観が決まる。
学校選びは結婚と同じ。入るまでは二つの目でしっかり見て、入ったら片方の目をつむってくださいとお願いしている。
面接はお互いを見る機会。学校も面接で受験生側から見られる。
学校と家庭の両方で6年間生徒を支えていく。学校に任せたと言われるのは困る。
学校は子どもの前で親の悪口は言わない。親は子どもの前で学校の悪口を言わないことが必要。
http://www.yokohamafutaba.ed.jp/

桜美林中学 校長インタビュー
(全私学新聞 10月3日)
校長 本田先生
 桜美林中学・高等学校(東京都町田市)の本田栄一校長は「私学は一人ひとりを大切にすることを使命にしております」と強調する。同校は創立者、清水安三氏の掲げる「キリスト教主義に基づいた国際的教養人の育成」を建学の精神に掲げ、国際社会に目を向け、自分が学んだことを世の人々と分かち合うことのできる人間の育成を目指している。この精神は礼拝を通して学んでいる。学校の礼拝の意義は「@いのちを与えられたことに感謝し、自分がさまざまな人に支えられて生きていることを忘れないことA自分をしっかり見つめること」(本田校長)にある。
 「生徒一人ひとりが自分の目標を見定めて、将来像を思い描くことが必要で、自分がかけがえのない存在として、個としての自覚を持つということです。これが本校の目指す人間像です」本田校長はさらに「異質な人との違いを認め、共に生きなければなりません。本来の意味での国際交流はまず、在日外国人の人々と共生する『内なる国際化』に目を向け出発することだと思います」と続ける。この共生は文化の異なる人々と十分なコミュニケーションをとることができる力を養うことが基本だ。「そのためには、自分で考え、自分の言葉で表現し、伝える力を養う、相手に向き合うことによって得られる経験を大切にしながら自立した個人の育成が必要です」生徒一人ひとりがなぜ学ぶのかを結論を急がずに、じっくりと自分で考えるように奨励している。「学ぶということは、一人ひとりに与えられた個としてのかけがえのない価値を発見することにあるからです」
 同校は、第一ステップ(中学1−2年)は基礎力の養成、第二ステップ(中学3−高校1年)は基礎力の伸長、第三ステップ(高校2−3年)は発展と実践−−の三ステップ制をを導入している。また桜美林大学と連携し、多数の講座を選択することができる。講座終了時には同大学の単位として認定されるのも特色だ。「基本は変わりません。しっかりとした授業を行い、生徒一人ひとりを丁寧に指導し、生徒の質の向上を図ることが大事だと思います」と、生徒の学力向上の面でも一層充実を図る方針だ。
http://www.obirin.ed.jp/hiscl/index.html

芝浦工大柏中学 新世紀拓く教育
(全私学新聞 10月3日)
 今年、7月11日の参議院議員選挙投票日を目前にした8日、9日、芝浦工業大学柏中学・高等学校(佐藤正行校長、千葉県柏市)は、中学1年の希望者と、中学2年から高校3年までの全生徒を対象に、未成年模擬参議院選挙を行った。模擬選挙は、昨年11月の衆議院選挙に続いて2度目となる。中心となって動いたのは、同校の社会科教員と生徒会で、学校側の全面的なバックアップと、未成年模擬選挙を全国規模で実施しているNPO法人(特定非営利活動法人)ライツの協力を受けた。選挙期間中は「投票所」となる校舎昇降口の壁面に各政党のポスターが張られ、付近にマニフェストも置かれた。この模擬選挙では投票用紙に書き込むのは政党名だけだ。投票は、中学生が7月8日、高校生は同9日に行われた。投票箱は昇降口付近に置かれた。投票時間は昼休みと放課後。二重投票のないよう、生徒会の生徒が生徒名簿をチェックしながら投票用紙を手渡した。投票箱は、昨年は段ボール製だったが、今回は実際の投票箱と同じものを用意した。投票用紙を入れる時、本物の投票箱は投票用紙を二つ折りにしなければ入らないといったことも、生徒たちにとっては小さな発見だった。
 社会科公民を教える杉浦正和教諭は、「今回の選挙では、自民党と民主党のマニフェストの違いがいまひとつ明確でなかったため、迷う生徒が多かったようです」と選挙期間中を振り返る。
 開票は、公職選挙法の「人気投票の公表の禁止」にふれるため、11日以降に行われた。投票率は全校で56.4%、有効票総計は623票。各党の得票率は、自民党32.8%(実際の選挙30.0%)、民主党35.6%(同37.8%)、公明党10.7%(同15.4%)、共産党10.3%(同7.8%)、社民党8.3%(同5.4%)だった。実際の選挙と同じく、民主党が最も高い得票率だった。
 ちなみにライツの未成年模擬選挙(全国)の結果は、参加校31校、街頭での投票も含めて投票総数4826票、得票率は自民党34%、民主党31%と、こちらは自民党が辛勝した。今回の模擬選挙参加校のうち、学校全体で取り組んだのは芝浦工大柏中学・高校と埼玉県立岩槻高校だけだった。
 同校が模擬選挙に取り組むことになったきっかけは、日本における若者の投票率の低さだった。武蔵工大高校生意識調査(平成12年)によれば、20歳で選挙に「行く」と回答した生徒はわずか33%。将来的にも若者の選挙への参加は高まりそうにもない結果だ。同校でディベートの授業を行っている杉浦教諭は、生徒たちの社会への関心は決して低くないと感じていた。しかし、それが投票には結びつかない。生徒たちの気持ちの中で政党や政治家、選挙への関心が非常に低いからではないか、模擬選挙をやってはどうかと提案し、社会科教員の間で意見がまとまり、学校のバックアップも受けることができて、全校規模での導入となったのだという。
 「選挙は民主主義の根幹です。なのに、学校教育の中で選挙に行く教育をしていない。学習指導要領には、その意義を教えることになっているが、それだけでは将来の投票行動にはつながらない」(杉浦教諭)
 過去、日本でも学生による過激な政治活動が行われたという記憶からか、「模擬選挙に対して消極的な教育委員会もあります。しかし、選挙管理委員会は概して危機意識が強く、積極的です。生徒たちに、現実に存在している政党を身近なものとしてとらえさせ、選挙に行くこととその能力を育てて訓練することを、学校教育が行うべきではないか。それが、将来、投票率を上げることにつながる。結果として、社会参加意識を高め、スムーズに社会人へ移行していくことにもつながる」と杉浦教諭は言う。
 同校が、昨年、初めて模擬選挙に取り組んだとき、政党名や党首名、党首の顔さえ知らない生徒もいて、まずそこから授業の中で教えていった。
 生徒たちの方はといえば、模擬選挙をイベントの1つとして結構楽しんでいる様子が見受けられた。模擬選挙後のアンケートを見ると、選挙期間中、政党やマニフェスト、党首についての話題が、生徒同士だけでなく、家庭の中でも話されることが多かった、と感想を書いた生徒がたくさんいた。「投票日に、親に選挙に行くよう促した」という生徒もいた。なかには、「自分が参加しなければ日本はだめになる」(高1女子)といった意見も出るほど、意識を強く持つものもいた。
 また、選挙期間中、街頭でマニフェストを配布している選挙運動員に、同校の生徒がそれをほしいと言ったが、もらえなかったということがあった。その生徒も近い将来、選挙権を得る。「若い世代に政治に関心を持ってもらう努力が、政党側にも必要ではないか」と杉浦教諭は言う。
 ライツによれば、世界149ヵ国で18歳選挙権を導入しており、サミット8ヵ国中、7ヵ国が18歳選挙権としている。日本では18歳選挙権導入がまだ表舞台には出てきていないが、世界の潮流は18歳選挙権。今は模擬選挙でも、将来、日本でも高校生が投票所に行く時代が来るかもしれない。
 今年、同校はス−パーサイエンスハイスクールに指定され、新たな取り組みが始まった。付属の芝浦工業大学の学長はノーベル物理学賞の江崎玲於奈氏。科学・工業分野では実績のある学園の中で、「来年は千葉県知事選挙が予定されている。その時はまた、模擬投票を行いたい。そして、未成年模擬選挙を本校の伝統にしたい」と杉浦教諭は話す。
http://www.ka.shibaura-it.ac.jp/


公開模試情報

日能研模試10月 合格判定(10月10日)
昨年比1.0%の減少。
男子は3.2%の減少。女子は1.5%の増加。
          04年     03年    02年     01年    00年
男子 4科   7850    8004    8218    7230    7720
    2科    650     779     599     814     853
女子 4科   6793    6263    6143    5118    5496
    2科   1221    1632    2076    2433    2801
合計      16514   16678   17036   15595   16870

三模試学校別志望者数抜粋 (9月度)
三模試の学校別志望者数抜粋をアクセス教育情報センターの会員のページに掲載しております。
下記をクリックしてご覧ください。
   男子     女子


教育情報

中学校成績分布 神奈川県教委が公表
(毎日新聞 10月2日)
 県教育委員会は1日、県内の3学期制の公立中213校について、各校の3年生の1学期の成績分布を、教育委員会のホームページ(HP)で公表した。「5」や「4」の生徒が占める割合の中学間格差は、昨年と比べてやや縮まったが、数学で「5」の割合が45%の学校と4%の学校があるなど、依然として格差が目立つ。
 県教委によると、全9教科の平均で、「5」の生徒の割合が県平均より10ポイント以上多い中学は、昨年2学期には県全体の9・1%を占めたが今年1学期は3・3%。10ポイント以上少ない学校も、昨年2学期の3・4%から、今回は0・8%まで減った。
 しかし、個別の学校をみると「5」の割合は、理科で40・2%から2・7%までなど、各教科で約20〜40ポイントの幅が出た。
 幅の原因について教委は「評価基準の差か生徒の実力差か、調査が終わっておらず不明」と言う。一方で「公正な成績評価が実現できたとは感じていない」と話し、高校入試に直接反映する3年2学期の評価を少しでも公平にするため、各教科の評価基準例を公表した。ただ、基準例は各教科とも一部の学習項目にとどまっている。
 教委は2学期の成績分布も来年初めに公表するが、公立高の前期入試に間に合うかどうか不明という。HPのアドレスはhttp://www.pref.kanagawa.jp/osirase/gimu/gakuhyo/16kekka/kekka160101.htm

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 県教育委員会は今週末にも、県内の公立中学校3年生の今年1学期の成績分布を、学校名を明示して教委のホームページ(HP)で公表する。絶対評価の導入で中学間の成績格差が拡大し、高校入試で不公平が生じた事実を踏まえ、生徒と親に正確な情報を提供して活用してもらう。公開をきっかけに各中学が成績評価についてきちんと説明することや、他の中学を参考に極端な評価基準を修正することも期待する。
 今回の公開対象は、県内の全416公立中学のうち、3学期制を採用している213校。全9教科について「1」から「5」までの成績がついた生徒の割合を%で表示する。1学期の成績が10月につく2学期制の187校と、横浜市内の3学期制中学4校は、11月半ばに公開する。横浜の4校の公開を遅らせるのは、同市内145中学のうち141校が2学期制をとっており、全市一斉の公開とするため。
 例外として、3年生が1クラスしかない中学12校は分布を公開しない。生徒数が少なく分布に信頼性がないうえ、個人の成績が推定できるおそれもあるためという。県教委はこの12校について「各校が独自に、成績分布について説明することを期待する」と話す。
 この問題では、特定の教科で半数以上の生徒に「5」がつく学校から「5」の生徒がいない学校まで大きな格差があることが、毎日新聞の情報公開請求で判明した。対策として県教委は6月、知識や意欲などを評価した「到達度」を、成績に換算する際の統一基準を発表。各中学に1学期からの適用を求めた。同時に、格差が検証できるよう、各校の成績分布を公表すると約束していた。

子どもにも競争原理を 文科相、学力調査見直しも 
(産経新聞10月5日)
 中山成彬文部科学相は5日の会見で「もっと子どもたちが切磋琢磨(せっさたくま)する風潮を高めたい」と、子ども同士にも競争原理が必要との認識を示した。その上で、文科省が実施している教育課程実施状況調査(学力テスト)について「全体の中で、自分がどういう位置にあるのかを自覚しながら頑張る精神を養うよう検討していったらいい」と、見直しが必要との考えを明らかにした。
 文科相は「前回、政務次官を拝命してから13年がたつが、日本人が外国人に負けていることを痛感した。頑張らないと日本は大変なことになる。これまでの教育は競争しない方がいいという風潮があった」と強調。
 「現実の社会に出ると非常に厳しい競争にさらされる。ギャップを感じ就職しても辞める人もいる。21世紀の日本が世界の中でごしていくためには、競い合う気持ちが大事だと分からせたい」と述べた。

公立高校改革(抜粋) 神奈川県、新タイプ23校計画
(毎日新聞 10月5日)
 県教育委員会は4日、県立高校の統合・改革によって、単位制高校など新しいタイプの高校を、全日制・定時制合わせて23校誕生させる計画を県議会に報告し、統合・改革の対象となる学校名を具体的に示した。
 岡津高・和泉高▽秦野南が丘高・大秦野高(2校とも全日制、定時制双方)▽栗原高・ひばりが丘高は、それぞれ統合され総合学科高校になる。
 上郷高・港南台高▽大清水高・藤沢高▽神田高・五領ケ台高▽相武台高・新磯高の4組は、それぞれ単位制普通高校になる。
 六ツ川高・外語短期大付属高は統合で国際情報高校となり、久里浜高・岩戸高と弥栄東高・弥栄西高の2組はいずれも国際学科などを持つ専門高校に、小田原城東高と湯河原高は総合ビジネス高校に生まれ変わる。
 また大原高と相模大野高の2校はそれぞれ中高一貫校に改組する。
 これらは県教委が進めている県立高改革のうち、来年度からの「後期実施計画」の一環。統合・改革後の新校は、07年度〜10年度にかけて開校する。後期計画の費用は約230億円の見通しという。

スーパー教師制度 大阪も導入検討
(朝日新聞 10月6日)
 大阪府教委は、教科指導などで優れた教員を「スーパー教師」として給与や人事面で優遇する制度を導入する方針を決めた。早ければ06年度に始める。教育現場の昇任制度は校長、教頭などの管理職コースしかなく、現場で教え続けたい教員にとっては「平教員」でいるしかなかった。特別処遇によって「教える専門家」として誇りとやる気を引き出す。同様の制度は広島県が今年度に設置、宮崎県も導入を決めている。 
 優遇する教員は、教科や生活面での指導技術が優れ、模範となる人の中から選び、他の教員への助言役を任せることも検討する。ただ、府教委は06年度から勤務評価を給与に反映させる方針を決めており、教職員組合からは「これまでの評価は納得できないものが多い」と制度の不備を訴える声がある。

東京農工大 教科「情報」を入試科目に
(毎日新聞 10月7日)
 新しい学習指導要領で生まれた高校の普通教科「情報」は2003年度から授業が始まった。2006年度入試は新学習指導要領での試験となるが、大学入試センターは「情報」の試験を行わないことを決め、「高校の教育の実態を十分に踏まえる必要があるため、出題の可能性について引き続き検討する」と実施しない理由を発表した。
 しかし、「情報」担当の高校の教員、情報教育を行う大学の教員の間には、入試を行いたいという声も強い。東京農工大学(東京都小金井市)もそのひとつで、情報の力を持った生徒を取りたいと、2006年度の情報コミュニケーション工学科の入試で「情報」の試験を行うことを決め、準備を始めた。
 情報コミュニケーション工学科の卒業生はシステム開発関係の仕事に進むケースが多い。同大では優れた人材を育成するには、情報科学に興味を持ち、適性のある生徒を受け入れたいと、それに相応しい入試について考えてきた。しかし、旧学習指導要領では、適当な科目がなく、情報科学に相応しい出題がしにくかった。
 そのため出題を工夫し、例えば推薦入試では20年以上前から、論理的な思考力を問う小論文を課してきた。同大の中森眞理雄教授は「今はコンピューターの操作を知らなくても、論理的思考や数理的発想ができる学生が情報科学を学ぶのに適している。これまで推薦入試では、勘定をごまかす『つぼ算』や、酒屋2人がお互いに酒を売り買いする『花見酒』のような落語を聞かせ、矛盾を指摘させるような問題を出してきた」と話す。
 しかし、教科「情報」が高校の必修科目になって、より細かく、より的確に受験生の適性をみる試験が可能になった。でも、どんな問題が「情報」の試験問題として適しているのか。数学や英語などと違って、入試問題を作るノウハウが無いため、同大では、高校生を募って試行試験を行い、問題の検討を始めた。
今年7月末に第1回目の試行試験を行い、プログラミングの基礎となる論理的思考力を問う問題を2問、コンピューターシステムが実社会のどんなところに応用されているかなどの基礎理解を問う問題を2問、出題した。いずれも記述式で試験時間は2時間だった。受験者は、高校2年生25人、教員5人、予備校の数学講師1人。平均点は60点だった。
 中森教授は「最近は、情報というとウエブデザインをイメージする人が多いが、情報といってもいろんな学科がある。試行試験を受けた生徒は、情報科学について認識を改めたのではないか。本番の試験で、できる生徒と出来ない生徒の点差が開くような問題を出題できれば理想的だ。情報科学により適した学生にきてもらえる」と話している。
 この後、12月末と3月末にも試行試験をして、学外の専門家に問題を評価してもらう予定という。また、同大が本格的に入試準備に入る来年4月以降は、情報関連の学会主導で試行試験をしていくことも検討している。
 同学科が求めているのは、プログラミングの発想ができる学生だ。そのために今回の試行試験では(1)情報技術の変化に対してどの程度の関心を持っているか(2)アルゴリズムの考え方を理解しているか(3)日常生活で目にする機器やシステムを、情報処理という観点からどの程度理解しているか−−などをポイントに問題作りをした。
 中森教授は「『情報』の指導要領はかなり漠然と書いてあるので、問題が学習指導要領から逸脱していないかどうかのチェックが一番大変だ。高校で習っていないことを出題して、白紙答案ばかりになっては困る。次回の試行試験では、今回とは違う点をポイントに、問題を作ることになると思う」と話している。

高校入学定員配分 神奈川県私学協、公立高の定員抑制求め提訴
 公立高校と私立高校間の入学定員の配分を巡り、神奈川県私立中学高校協会は7日、同県教委を相手取り、来春の全日制公立高校の入学定員を3万6827人以上としないことを求め、横浜地裁に提訴したと発表した。県教委が12日にも決定予定の入学定員3万8146人は、文部科学省通達に基づき協会と県教委などでつくる県公私立高校設置者会議の合意に反するとして、決定の差し止めを求めている。
 定員問題の背景には、少子化による15歳人口の減少があるとみられる。文科省によると、都道府県教委と私学協会の定員に関する協議が訴訟に持ち込まれるのは「聞いたことがない」という。
 訴状などによると、協会と県教委は76年以降、設置者会議での合意に基づき公私間の入学定員の配分を決めてきた。
 県教委側は02年10月の設置者会議で、03年春の入学定員について、私学枠は前年比600人減、公立枠は同315人増とする計画を提示。協会側は04年春と05年春の入学定員を決める際、前年度からの進学希望者数の減少分に400人程度を加えた人数を公立枠から差し引くことを条件に合意した。協会は「当時の県教育長が合意内容を了承し、双方の担当者が確認した」と主張している。
 ところが、今年7月からの事前協議で、県教委は全日制の定員を減らし過ぎると、定時制にも入れず高校に行けない生徒が増えることを理由に、来春の公立全日制枠を3万8146人と提案。設置者会議の合意がなくても、県教委規則に基づき今月12日にも決定すると通告したという。
 これに対し協会側は、3万6827人が02年10月の合意に基づく来春の公立枠だとの試算を示している。
 同協会の堀井基章理事長は、生徒数の確保が私学経営に欠かせないことを挙げたうえで、「教育長が約束を守らなくてよいのか」と訴えた。
 神奈川県教育庁の清田昭久・総務室企画担当課長の話
 約束は事実だが、公立の定員を減らせば、経済事情で私立にも行けず、高校進学を断念する生徒が増える。今春は全日制公立の定員はすべて埋まり、定時制で100人の不合格者が出た。行き場のない子を出さないため、あえて公立の定員を多くしたいと私学側と交渉したが、理解を得られなかった。

センター試験1 リスニング試行テストの手順
(毎日新聞 10月8日)
 2006年度の大学入試センター試験から英語のリスニングテストが実施される。大学入試センターは実施の参考にするため、9月26日、全国の506大学で試行テストを行なった。どんな機器が使われ、どんな手順で行なわれたか、東京工業大学会場の様子を紹介する。
 時間が来て、監督者が説明を始めた。「問題用紙は指示があるまで開けてはいけない」といった一般的な受験の説明をし、携帯電話の電源をオフにするよう指示した。ほかの試験では、携帯電話をかばんにしまうよう指示するだけだが、リスニングテストではちょっとした音でも、環境の公平性を妨げる恐れがある。受験生は電源を切って、そのまま机上に置く。係員がひとつひとつ電源が切れていることを確認してから、かばんにしまった。
 「ICプレーヤー」などの操作法を記した「受験の手引き」、問題冊子、回答用紙が配られる。続いて「ヘッドフォン」「ICプレーヤー」「音声メモリ」が配られる。「受験の手引き」には「監督者の指示で操作!」と注意書き。3人の係員が配るが結構、時間がかかる。「ヘッドフォンのコードが扱いにくい」という。配布が終わるまで約20分かかった。その間、受験生はおとなしく座ったまま。
 機器や操作法の説明が始まる。「すべて指示の通りにやってください」と注意がある。勝手にやると失格になる。「ICプレーヤー」のメモリ差込口、ヘッドホンジャック差込口についた保護シールをはがし、ヘッドフォンコードを止めたゴムを取る。どれも机上に並べる。
 ヘッドフォンのアジャスターの説明があり、試しに装着するよう指示、受験生は頭に当て、問題ないことを確認してからはずす。
 「ICプレーヤー」に「ヘッドフォン」のジャック、「音声メモリ」を差し込む。音声メモリを引き抜くと失格になる、と注意がある。プレーヤーの絶縁シートを抜き、電源を入れる。保護シール、ゴム、絶縁シートを係員が回収する。
 操作の説明に入る。プレーヤーにはオン、オフのスイッチや「戻る」機能はなく、完全な一方通行だ。
 電源ボタンを押すと緑色のランプが点く。次に音声がきちんと聞こえるかどうか確認する。「確認始め」の指示で、「ヘッドフォン」を着け、「確認ボタン」を押す。動作中を示す赤いランプが点き、2分間、音声が流れる。この間に受験生は音量を調整したり、ヘッドフォンの具合を直したりする。「レシーバーを外して下さい」の指示で、確認は終わり。ここまでの説明、操作時間は30分を超えた。
 いよいよ試験だ。「解答始め」の指示で、再生ボタンを押す。作動中のランプが点く。後戻りは出来ない。音声メモリを抜いたりすると、赤いランプが点滅して、失格になる。音声問題が流れ、解答をマークシートに記入する。問題用紙に解答をメモしてから、あとでシートに書き写すだけの時間はない、という。監督者から「解答やめ」の指示があるまで、解答を続けられる。
 センターでは、試行テストの状況を参考に、最終的な実施方法を決める。

教員FA制 横浜市も来年度導入の方針 
(朝日新聞 10月12日)
 教員の人事異動の自由度を高めることを目的に、横浜市教育委員会は05年度から教員の「フリーエージェント(FA)制」を導入する方針を固めた。教員が自分の得意分野をPRし、受け入れを希望する学校側と協議して異動を決める制度。京都市が今年度から始めている。 
 横浜市教委は、校長が求める教員像を公表して教員を募る「教員公募制」も併せて導入する方針。 
 FA制では、教員経験や現任校での勤続年数など、一定の要件を満たす教員が対象になる。市教委が作る「FA宣言者」名簿を校長が閲覧し、指名する。中学から高校への校種間異動もできるような仕組みを想定している。

修学旅行に異変 大学へ、企業へ、中高で急増
(毎日新聞 10月14日)
 中学高校の秋の修学旅行にちょっとした異変が起きている。首都圏のレジャー施設や繁華街を訪ねる傍ら、訪問先に大学を選ぶコースが増えているのだ。少子化で「淘汰(とうた)の時代」を迎え、受験生の確保やPRに躍起の大学側と、修学旅行を利用して進学を真剣に考えさせたい学校側の思惑の一致が背景にあるようだ。リクエストに応じてキャンパスでは模擬授業や進学説明会などが開かれている。
 「ご覧の通り門がありません。社会に開かれた大学を象徴しています」。9月28日。早稲田大学(東京都新宿区)の大隈講堂前で、マイクロバスから降りたのは、福岡県立鞍手高校(直方市)の2年生37人。学生ガイドの説明を受けながらイチョウ並木を歩き、「冬のソナタみたい」と顔をほころばせた。この日は同じ高校の別グループも国際基督教大や東京理科大などを訪ねた。日程の後半には東京ディズニーシー行きも組まれている。引率した山内省二教諭は「スキーや韓国旅行は楽しいが、進路を考える手助けになるものをと、始まった。見学するとその大学の受験生が増えるのも事実」と語る。
 早大には10月だけで30高校1485人が訪れる予定だ。中学生対象のキャンパスツアーも昨年から始めた。同大は「必ず受験につながるとは考えていないが、キャンパスの雰囲気や生の授業を直接伝えられるのは大きい」と訪問を歓迎している。中央大学(東京都八王子市)でも「今年に入って急に増えた。北海道や沖縄からも申し込みが来ている」と話す。
 修学旅行のレジャー色を一掃した学校もある。群馬県立高崎高校(高崎市)。02年から、従来の京都や広島への旅行をやめて「企業・研究所・大学訪問研修旅行」に切り替えた。2泊3日の日程で商社やシンクタンク、東大、京大、筑波大、早大、慶応大などを訪ね、訪問後にリポートを書かせる。学習主体のため、今年からは「旅行」の名前も外した。同校は「将来を見据えた進路指導をやろうと考えた。親や生徒には好意的に受けとめてもらっている」と話している。
 文部科学省の試算では、07年度には、大学・短大の志願者数が入学者数と同じになる「全入時代」が訪れる。定員割れを起こす大学も増えるとみられている。
 ◇総合学習も影響−−修学旅行の実態を調査している財団法人「日本修学旅行協会」の剣持文彦理事・調査研究部長の話
 修学旅行はこれまで集団観光が多かったが、大学訪問が確実に増えている。少子化で入学生を集めるのが厳しくなる大学側の狙いも大きいのでは。総合学習の一環として大学訪問を修学旅行に組み込みやすくなり、小グループでの訪問も増えているようだ。

センター試験2 出願締め切り、前年比2万1800人減 
(朝日新聞 10月15日)
 来年行われる大学入試センター試験の出願が15日、締め切られた。センターによると、この日の午後5時までに到着した願書は54万3028人分で、昨年の同時点より2万1838人分減った。志願者の内訳は、現役高校生が41万2748人(前年度比6358人減)で、高校既卒者などが13万280人(同1万5480人減)。


 その他

《連載3回》
進学塾の歴史的曲がり角 
〜日能研と私の「罪と罰」〜  
海風荘主人 三渕衡一
 (元日能研取締役・前センター通信社代表)
6 「受験全解」完成(1983年)
@「全解」完成以前の日能研教務
「受験全解」完成以前の日能研の(6年生用の)メイン教材は「力の5000題」(大阪の教学研究社刊)だった。5年生は同じ教学研究社刊のもっと基本的な問題集等だった。
進学塾としての中学受験カリキュラムはかなりまとまったものがすでに存在した。したがって教材(テキスト)の消化とカリキュラム・テスト(日曜テスト)の実施にあたり、毎週の学習範囲は「『力の5000題』の○○P〜○○P」などと指定されていた。だが、その指定は順不同で、その週の範囲が何十ページもとばして2か所以上にまたがっていることもしばしばだった。
「副教材」の主なものは三種類あった。
(A)「小学事典」
同じ教学研究社のもので、4科目それぞれが大判で「力の5000題」の倍くらいのページ数がありハードカバー。これは希望者(主として成績高位生)に「自宅学習用」として大幅な値引き価格で配布されていた(カリキュラム表にもその週の範囲の「小学事典」の該当ページが記されていた)。
この「小学事典」の編纂・執筆者は大学の教育学部の教授や(地方の)国立大付小の先生たちだった。特に算数の編纂者は横国大の教授で、どうやら遠山啓博士(東工大、日教組教研集会顧問講師、「水道方式」の提唱者)のグループの人らしく、「タイルを使った分数計算(とくに割り算)」から面積図を使っての割合(比)の習熟を早くから縦横に展開していた。しかも栄光学園の数学科は明らかに東工大(遠山)系で神奈川県内の私立中高の数学の先生も横国大卒の人が多かった。つまりこれは神奈川の日能研にピタリの教材だった。そして事実カリキュラムは(遠山博士の主張するごとく)「比(割合)重視、特殊算(つるかめ算等)軽視」だった。会長自身算数担当で比(割合)の分野の導入部では小学生に「ノミのキンタマとクジラのキンタマはどちらが大きい?」と問いかけていた。この授業は日能研内では伝説化・神話化され、みんなその方向に従っていた。私が入社当時、この「比」重視は関西でも東京でもエスカレートし難化していた。当時の比の最高峰は「倍数変化算」や「ニュートン算」(ニュートンとは全く無関係)とされ、日能研もそれを追っていた。しかしこれはことさらな複雑さを追うもので、栄光などは絶対に出さなかった。その流行は全国的にやがてすたれた。20年後に関西学院中等部が「ニュートン算」を出した時、阪神地区の著名有力塾は一斉にゴウゴウと非難した。日能研はその後「面積図」の延長上の「速さ」の「進行グラフ」を拡大・深化させていた。これは正しかったと思う。面倒な「旅人算」等に日能研生はかなり乱暴に「進行グラフ」(またはその略図)を書く。そのスピードが他塾生より断然早かった。
(B)「けいさんとじゅくご」
日能研が成長・発展する前の神奈川の進学塾のトップは山手英学院だった。その教務はのちの桐蔭学園の理事長・校長の鵜川昇氏ら、そうそうたるメンバーがそろっていて、高校受験・中学受験とも無敵だった。桐蔭学園の創立(1964年)にともなって、その中枢メンバーはゴッソリと桐蔭に移った。しかしその後もなかなか強くて、日能研は栄光・聖光・フェリスで長い間勝てなかった。そこで勝利したあとも、会長の山手英学院に対するコンプレックスと警戒心は非常に強かった。たとえば1982年ごろになっても、秋に山手英学院が(おそらく栄光・フェリスの合格者名の日能研からの「横取り」を狙って)「栄光・フェリスそっくり模試」を構えて大宣伝した。あわてた会長はその「対応策」を取れと言う。「あんな没落中小塾の悪あがきは放っておきましょうよ」と私が言うと、「お前は本当に山手を『没落中小塾』だと思っているのか?」と真剣に聞き返してくる有様だった(私はむしろ中萬学院の方が怖かった。あまり難しいことはやらずに「基礎・基本」をゆっくりとしつこく積みあげて来るからである。栄光・フェリスはこれで合格するのである)。
その栄光・フェリスで山手英学院に勝った「決め手」が「けいさんとじゅくご」だった。これは何ということはないテキストだった。算数は1ページに計算問題(もちろん入試問題)がランダムに10問で50ページくらいの分量だった。それを毎日、制限時間(たとえば10分)を決めて必ずやれ。全部終えたら制限時間を短くして(たとえば7分)もう一度全部やり直せ。計算途中の数値(たとえば「0.375=3/8」とか「1/2+1/3=5/6」)は暗記せよ。解答を暗記してもよい。この「くり返し」を4〜5回やり、最終的に「5分以内、8問以上マル」をめざせ。
これはいま尾道で校長をしている、兵庫県の山村の公立小の先生らがあみだした「百マス計算」に似ているが非常にちがう。「似ている」のは手を使った計算演習が大脳をすごく活性化させることに注目したことである。最近の臨床医学研究では「老人のボケ防止」に「1ケタの四則計算」が絶大な効果があると報告されている(「サンデー毎日」)。ちなみに会長は受験や勉強で「ネジリはちまき」をすることを「大脳をしめつける」という理由で厳禁していた。関東からの灘中受験志望者(こちらが煽動し、2日間のホテル代と食事代だけ負担した)数十人を連れて行った「灘受験ツアー」で、ある年、当時の算数専任のO氏の提案でホテルで朝食前に会議室を使って計算練習をした。20分くらいで30問「手計算禁止」ですべて暗算。これを2日間やったら合格者が激増した。味をしめて翌年からも続けたら増えた合格者が減らなかった。この「受験テクニック」は全社に流したが、今の日能研現場はそれを父母に広報しているのだろうか?
「非常にちがう」のは「けいさんとじゅくご」がランダムなこと。つまり同じパターンの反復練習がない。重要パターン(「分配法則」などの「計算の工夫」)は回を変えて何度も出てくるようになっていた。
(C)「重要問題集」
これは最新の難問・超難問を集めた問題集で、やはり教学研究社から刊行され、5年に1回くらい全面改訂(問題の総入れ替え)が行われていた。どうしても関西・阪神地区の入試問題が多くなり、日能研関西本部はそれで大満足していたし、関西の他塾生にも人気があった。浜学園も副教材みたいにして使っていたのではないだろうか。同学園生が親の転勤で関東に来ると、塾は四谷大塚ではなく日能研に来る例が多かった。どこで日能研の名前を知ったのかと尋ねると、多くの生徒・父母がこの問題集の名前をあげた。日能研ではこの教材を6年の2学期に成績上位生(「栄冠組」といわれた)に配布し、そこだけで使用した。大教室にはこの「栄冠組」が3〜4クラスもあるところが多く、「栄冠3、4組」になると、ちょっと難しすぎるので教材だけ配ってつまみ食いをするだけ。あとは一般クラスと同様に「力の5000題」を最後までやり続けた。
ここから日能研独特の6年2学期の「応用・発展カリキュラム」が成長していった。これは四谷大塚のカリキュラムが6年2学期が基本的に「まとめ(復習)」として構成され、応用力・思考力・表現力の育成に全く不十分だったことと好対照をなしていた。TAPなどはこの四谷の大弱点を批判し、それにかわるものとして「学校別対策」をさかんに宣伝・実施していた。日能研はその流れにも同調せず「応用・発展カリキュラム」の充実に努めた。日能研が頑固に「学校別対策をやらない」ということは関東の受験生父母には有名なことで非常に評判が悪かった。こちらは「全解」の完成で「あんな薄っぺらな『学校別対策』になど絶対に勝てる」と確信を持っていた。幸い完成1年後の85年入試で麻布中が単日入試となり、神奈川県勢も受験しやすくなった。その状況を利用して日能研は一挙に麻布に「104名」を合格させ、それを証明するとともに「業界トップ」に向けて大発展を開始したのである。
A「全解」の実際の作成
以上の概観から明らかなように「受験全解」はある年に誰かの思いつきなによって出来たものではない。それは日能研のそれまでの25年間くらいの苦闘によって生み出されたものであり、正確に言えば会長の高木知巳氏の「中学受験学習理論」の集大成だった。執筆者は社歴8年〜10年のベテラン本部専任である。本部専任は日曜テストや月例の実力テスト(今日の公開模試)の作問をさせられ、特に実力テストは原稿段階で会長に提出していた。気に入らないと会長室に呼び出され、目の前で原稿をビリビリに破られたうえ、かなりの時間一方的に怒鳴られて作り直しを命じられるなどしていた。おかげで「高木イズム」がいわば骨身にしみこんでいた。だから5月ごろに作業を開始しても、1回だけ8人の執筆者と食事会をしただけで本の内容についてはほとんど口出しはしなかった。たとえば当初テキストのレベルは「『重要問題集』と『力の5000題』の中間」と確認していたのに、作り始めるとグングン難化していく。「統括責任者」の私が心配して「どうしましょう」と相談に行くと、「いいよ、それで」という調子だった。そして会長は何よりも本の名前にこだわり、私を含めた拡大幹部会で延々と議論し、決めるのに確か数週間かかった。それが終わると今度は表紙を(「小学事典」のような)ハードカバーにすることを厳命し、裏表紙を含めたデザインに熱中した。そのお相手は出版元のみくに出版のT部長(のちに社長)がつとめてくれた。秋になると、会長は病気で倒れて長期入院し面会もままならない。12月ごろ退院してきて、「全解」がすでに出稿・校正を終わって「なかなかよいものが出来そうだ」と聞くと、彼はギロリと目を向き「完成したら全国のすべての私立・国立中学校に4科ワンセットを宅急便で送りつけろ」と言った。これが「全解」に関する会長の最後の指示だった。その運送代金だけで確か200万円以上かかった。
私は(「統括責任者」の教務部長なのに)社歴はわずか「8年目」で「ベテラン執筆陣」の間ではむしろ新参者だった。おまけに入社当初から日能研の教務(カリキュラム・教材等)にいくつかの重大な疑問をもっていた(特に社会科と国語)。まず私は四谷大塚のことが気になった。事実上、教務部長の仕事のほかに、のちの広報部長の仕事(宣伝・受験情報・データ分析・偏差値策定・父母会・父母の受験校決定指導等)にも責任を負っていたから、社内では「他塾」のことに最もビリビリしていた。ところが山手英学院のことはあれだけ神経質だった会長が四谷大塚に対しては意外にノンビリしている。「四谷の『予習シリーズ』を参考にする必要があります」と上申すると「あれは迫田君が15年前に作ったものだから、古くて参考にならんだろう」と相手にされなかった。やむなく「予習シリーズ」を4科目2学年分を購入し、各教科に配布して「分析しろ」と指示した。みんな「忙しくてこんなもの分析してるヒマはない。分析はあんたがやってくれ」と突き返してきた。やむなく私は一時期、「予習シリーズ」の全科の「分析」に一人でかかり切りになった。みんな(心の中では「予習シリーズ」を軽蔑していたのだろう)ニヤニヤしながら必死の私をからかいに来る。
「どう?何か参考にするものあった?」
「ないね。全くひどいものだ」
「まあそう言わずに、分析を最後まで続けてよ」
私は腹を立てて全体の4分の1までいかないうちに「分析」の仕事をキッパリと投げ捨ててしまった。
もう一つ、私が意識したのはTAPである。そこは「学校別対策」として麻布・武蔵・雙葉対策を売り物にしていた。ところが日能研の国語科(専任)は四谷大塚に追随する傾向が4科の中で最も強かった。その四谷の国語がTAPの国語に負けているのだから話にならない。私は「全解」の「記述・作文対策編」(60P〜70P分)を私が書くと会長に申し出た。「いいよ、それでやれ」と許可された。これは国語科の面子を完全に潰したことになるから、国語科は激高した。しかし会長が許可したので反対できない。会長が死んだ後、次代表に(追放されていた)幹夫氏が返り咲くと、彼らは集団で三渕の教務部長からの追放を上申し、それはすぐに実行されされることになる。
「全解」の国語「記述・作文編」のまとめ方は他教科と全く同じだった。まず80年〜83年の全国の中学入試国語の記述問題をピックアップする。これは簡単で「解答集」の方を見て答えが文(文章)になっているものに印をつける。その問題を見て「書き抜き」式は全部捨てる。残ったものを切って、適当な分類袋に投げ込んでいく。しかし一人で(おまけに「津田沼戦争」で走りまわりながら)これをやるのは大変だった。6月から8月中旬までに、このピックアップ、分類、それをもとにした章構成、各章のポイントのオリジナル展開、例題・演習問題の選択と配置をすべて終えた。それから1〜3週間で演習問題の解答解説を書いた。まあ粗っぽい作り方だが、やっていてとても面白かった。「予習シリーズ」をはじめ、あらゆる中学受験参考書にはこんなに多量で系統だった「記述・作文対策」はなかったから、これは「受験全解」の評判を高める重要な一因になると確信した。
B「全解」の完成とその後
「全解」の完成と実際の使用開始(84年2月から)の直後に高木知巳会長は死去し、その数週間後に私は新代表によって「教務部長」から追放され「広報部長」となった。だから「その後」のことは、それなりによく知ってはいるが私の責任ではない。「教務部長」在任中に5年生用に「学習全解」、4年生用に「基礎全解」、成績下位生用に各学年の家庭学習用教材「栄冠への道」を作ることを決め、その段取りはとっていた。しかしその内容はつめてなかった。結論から言うと、新代表と新教務部長(M氏)のもとでの「その後」はあまりよくなかった。最大の問題点は彼らが「全解」を天まで持ち上げ、唯一つ絶対のものとして権威を与えたことである。これは「予習シリーズ」を作った迫田教務部長を追放した後に、四谷大塚のトップがやったことと同じである。愚かにも私はその権威主義的(四谷大塚的)やり方に「おかしい」とは思ったが、何か自分が持ち上げられているような気になって、8年間「取締役・広報部長」として、「その後」の悪しき展開に強いて反対しなかった。
 このカリキュラムと教材の「唯一つ、絶対化」(四谷大塚化)が(中学)受験の世界で根本的・原理的にまちがったものであることは、誰でも少し考えればわかる。もともと受験に「絶対」などないし、ありえないのである。仮に入試前に入試問題を盗み出して、それで生徒を特訓しても合格は保証されない。生徒がその特訓を理解できなかったり、理解してもひと晩で忘れてしまったり、あらゆることが起こりうる。いわんやカリキュラムや教材や授業などについて「これさえやれば大丈夫」などということは一定の確率ででしか実現しないことを「100%実現する」と保証するのと同じペテンなのである。愚かな受験生や父母はこのペテンを信じて「安心」したがる。だから塾を大きくして成功させようとすれば、このインチキなウソを出来るだけ拡大し徹底することなのである。四谷大塚の成功例はその典型なのである。だから「全解」の「唯一化、絶対化」も営業的・経営的には大成功し、多くの「準拠塾」やら「ネット」に権威主義的に支えられたさしもの四谷大塚を叩きのめした。
しかし失われたものも多かった。その最大のものはこの「絶対化」が高木新代表やM部長によって教務等の労務管理に徹底利用され、現場から「自由闊達」な雰囲気が大幅に後退したことである。「全解」作成の事実上の立役者だった算数科科長N氏は新代表就任の2か月後に退社し、他塾に行った。その後「退社→独立塾創成」の動きは算数科のY氏・O氏と続き、それが専任だけでなく時間講師にも拡大した。その最後の方に私(当時取締役広報部長・入試情報センター所長・「合格レーダー」編集長)とH氏(当時常務取締役東京本部長・日能研公開模試事務局長)が退社した(92年)。だから今では首都圏の独立中小塾の中では「元日能研」が一大勢力となっている。
 会社に残った人たちもこの流れには必死で抵抗した。しかしその抵抗にもかかわらず、サブテキストはどんどん細かく不必要に膨大なものとなった。つまり「四谷大塚化」の度合いを深めたのである。「けいさんとじゅくご」には四則計算だけでなく、一行問題も入れられた。これは現場では好評だったが、何のことはない。教室現場では成績下位クラス生に6年2学期には「全解」など放り出して、「けいさんとじゅくご」ばかり何回も徹底してやらせ、偏差値的中位校、下位校にガンガン合格させていたのである。全塾生への「同一カリキュラム・同一教材」という日能研のタテマエは事実上破綻した。社会(理科)も「社会科(理科)は暗記科目ではない」と言いながら「メモリー」などというくだらない暗記教材を作った。
高木新代表は「二代目」の常として早く父親を乗り越えようと焦ったのだろうか?「全解」完成後わずか3〜4年で初版の全面改訂に乗り出した。これに教務部内になお残る強大な「全解作成グループ」の「自由闊達」な雰囲気に手を焼いていたM部長が全面協力した。算数は「何でもかんでも図で解く」という代表の思いつきに振り回され、社会科は「環境問題・時事問題」等のカリキュラムへの取り込みを迫られ、歴史の学習を縮小して前倒しにした。これらはいずれも、のちの文科省路線への屈服(00年以後)の伏線となった。
しかし「全解」の基軸的・中心的骨組みを変えることは全く出来なかった。わずかに高木前会長苦心のハードカバーの表紙が廃止された。講師の誰かがそれで生徒の頭を殴ってケガをさせたとかいう理由だった。これはおかしい。私はそんな「事件」のことを聞いたことがなかった。「全解」完成時に私たちは「これで生徒の頭や顔を殴るな」という確認を徹底していた。そんな「事件」は起こるはずがなかった。
再び1983年後半に話を戻すと、「全解」作成中に私たちはその「成果」をその年の6年生(84年入試生)に試したくて仕方がなかった。算数は日曜テストでカリキュラム・テスト(A・B問題)の終了後に「栄冠組生」だけを対象に「C問題テスト」(30分)をやった。A・B問題では80%以上とった優秀生でも「C問題0点」がゴロゴロ出た。みんなパニクった。私も「全解」の「記述・作文対策編」を社の印刷の人に打ち直してもらい、何回かに分けて栄冠組生に配布した。そして1か月に1回くらいテストをした。出来はやはり悪かった。しかし入試のフタを開けてみると、麻布合格者は前年の「28名」から「43名」に増えた。前々年(82年)は「12〜13名」だったから「倍々ゲーム」である。栄光・フェリスの合格者も激増した。(つづく)

入試問題に挑戦第129回

<問題>
 こずえさんとその子さんは、奈良時代から江戸時代までの歴史の学習のまとめとして、各時代を代表する5人の人物を取り上げ、じこ評価カードをつくっています。カードとカードづくりの参考にした7つの資料を見ながらあとの問いにこたえなさい。
 なお、人物名や作品名を答えるときはかん字でもひらがなでもかまいませんが、かん字のまちがいは×となります。

  じんぶつA
   私のまい日はたいへんにいそがしかった。政治をおこなうだけでなく、天皇の宮殿などで行われる節分、ひなまつり、たんごの節句、七夕などの行事に参加しなければならない。また、他の貴族とのつきあいもたいせつで、よく自分のやしきでえん会をひらいたものだ。でもそのかいあって娘を天皇のきさきにすることができた時には、思わず歌をよんでしまったよ。私の政治はわれわれ貴族のはなやかな生活を守りつづけること。だから他の人々にとってはよい政治とはいえなかったかもしれんな。

  じんぶつB
   私のそんけいする人はおじいさまである。だから私の政治はおじいさまのつくりあげた幕府をゆるぎないものにすることである。そのために武士や農民にたいしてきびしい決まりをつくり、私の政治に従わない大名をとりつぶしたりした。少しきびしく感じたかもしれないが、私によって国内は安定し人々は安心してくらせるようになったはずだ。私の政治は100点まん点で90点くらいはもらえると思う。

  じんぶつC
   私は平氏によってなんども命をおとしかけたが、平氏をやぶり幕府をつくることができた。私の政治は御家人の(  )を守り、てがらをたてれば新しい(  )をあたえることによって、御家人が安心して生活できる世の中をつくること。私は今でもその政治が御家人のためになったと自しんをもっていえるよ。

  じんぶつD
   私は全国の富と力をどくせんしていた。私はその富と力によって仏教をさかんにして、平和な国をつくる政治をおこなったよ。たとえば都には東大寺と大仏、地方には国分寺をつくらせることにした。農民どもも作業にさんかしてくれた。これは農民も仏にまもってもらえると思ったからにちがいない。私にとっても農民にとってもよい政治をしたものだと今でも思う。

  じんぶつE
   私はみぶんのひくい武士の子であったので、ずいぶんくろうしたわ。でもいっしょうけんめいにがんばったけっか、天下をとったわ。私の政治は戦いをなくし、農業や商業をさかんにして日本をゆたかな国にすることじゃ。日本中、私の政治をよろこんでくれたと思うが、私が死ぬころにおこなった外国との戦いでは、多くの人にめいわくをかけたかのう。

  【しりょう@】
   そのご恩は、山よりも高く、海よりも深いほどです。ご恩に感じてめいよをたいせつにする武士ならば、よからぬものをうちとり、幕府をまもってくれることでしょう。

  【しりょうA】
   ・大名は、まい年4月にさんきんこうたいすること。 
  ・大きな船をつくってはいけない。

  【しりょうB】
   私は、ほかの人と同じようにこうさくしているのに、ぼろぼろの着物を着て、かたむいた家の中に住んでいる…生活をきりつめて生きているのに、里長はむちをかた手にと口までやってきて、おどして税をとろうとする。

  【しりょうC】
   とりあげた刀などは、京都に新しくつくる大仏のくぎなどにする。村人は仏のめぐみをうけて、この世ばかりか、死んだのちもすくわれるだろう。

  【しりょうD】
   この世をば わが世とぞ思う もち月の かけたることも なしと思えば

  【しりょうE】
   仏教をますますさかんにし、人々をすくうために、大仏をつくる決心をした。国じゅうの銅をつかって大仏をつくり、山から木を切り出して大仏殿をつくる。そのことによって、人々とともに、仏のごりえきをえたいと思う。

  【しりょうF】
   ・朝は早くおきて、草をかり、ひるは田畑をたがやし、晩はなわや米だわらをつくり、気をぬかずにしごとをすること。
   ・酒や茶をかってのんではいけない。

(1) 資料@から資料Fは人物Aから人物Eのいずれかにかんれんする資料です。どの人物にかんれんした資料か、それぞれ番号でこたえなさい。
   (ふく数の資料がかんれんする人物もいます) 

(2) 人物Aから人物Eまでの人物は、奈良時代から江戸時代にかけてかつやくした人物として、教科書で学習した人物です。人物名をそれぞれこたえなさい。 

(7) 人物Bは「私の政治は100点まん点で90点くらいはもらえると思う」とのべいていますが、あなたは彼の政治になん点をつけますか。学校で学習したことや資料をさんこうにしながら、その点数と理由をこたえなさい。 

(8) 人物Dは「農民にとってもよい政治をした」とのべていますが、とうじの農民はそう思っていたか思っていなかったか、学校で学習したことや資料をさんこうにしながら判断し、そう判断した理由をこたえなさい。 

(04年東京学芸大学附属世田谷中・抜粋)

入試問題に挑戦第128回解答編
<問題>
 毎日、私たちの家には新聞が届きます。この新聞について調べてみました。
  まず、昔の新聞と現代の新聞を見比べてみました。明治時代の新聞はふつう2色刷でしたが、今私たちが毎日目にする新聞は、ところどころカラー印刷が施され、写真もカラーで載るようになりました。しかもある取材道具の登場により、最新の写真は新聞社のそばで撮影したものだけでなく、海外のものまで掲載されているのです。フィルムを持ち帰り現像していた手間がはぶけただけでなく、電話や衛星の利用でその場からすぐに写真を新聞社に送れるようになりました。また、新聞に使われている文字もいろいろな工夫がなされていることに気づきました。ある新聞では、第2次世界大戦後のものは1段の文字数が15字であるのに対し、1981年には14字に減らし、現在はさらに少なく11字になっています。このように新聞の変化は、社会の移り変わりや要求をしめしています。
  それでは、新聞を読んでみましょう。新聞の最初のページはその日の大事なニュースが載るページです。見出しが目立ち、読者を誘います。新聞の名前の脇に、数字が印刷されています。「12版」「13版」「14版」と新聞によって違いがありました。よく調べてみると、「12版」は茨城県、栃木県、群馬県、「13版」は神奈川県、埼玉県、千葉県、「14版」は東京都のものでした。(一部地域や緊急時は異なります。)新聞社の所在地も書いてあります。この新聞は東京都千代田区にある新聞社が発行したものです。また、新聞社のホームページのアドレスまで載っていました。

問1 下線部aの名称をカタカナで答えなさい。

問2 下線部bの理由を10字程度で答えなさい。 

問3 下線部cを参考に、東京都で配られる新聞の版数(例14版)の数字が最も大きい理由について30字程度で答えなさい。 

(04年 渋谷教育学園幕張中 抜粋)

<解答>
問1 デジタルカメラ
問2 読みやすくするため(9文字)・高齢者が増えたため(9文字)・高齢化社会となったため(11文字)など
問3 東京都は本社に近いため、最後に発行したものが配られるから。(29文字)
問4 イ、ウ
問5 ア、エ  

通信に関する問題です。
 「IT革命」といった言葉に代表されるように、近年は、デジタル技術の進歩などにより、通信手段、通信方法なども大きな様変わりを見せています。そのような変化は、マスメディアの取材方法にまで影響をおよぼしており、問1は、そのような観点からの出題といえます。フィルムの現像がいらないことから、デジタルカメラとなります。記録、保存媒体のデジタル化とインターネットが結びつき、以前では考えられなかった取材、編集が行われるようになりました。
  問2は、1段の文字数が少なくなっていることから、活字が大きくなっていることに着目し、「高齢者の増加により活字を大きくして読みやすくしている」ということを、指定された字数にあわせてまとめる必要があります。
  問3は、ふだんはあまり気にすることがないと思われる、新聞の版数に関する問題です。印刷物の発行順をしめすものが版数です。第1版(初版)から数字が大きくなるにつれて、より新しい発行のものとなります。したがって本社のある東京都に近い県ほど数字が大きくなり、東京都には最も新しいもの(その日の最終版)が配られることになります。ちなみにハリー・ポッターシリーズの第1作「賢者の石」のイギリスでの初版本は、発行部数も少なかったことから、オークションでは高価な値が付くそうです。
  問4の千代田区は、夜間人口(いわゆる住民)が約4万人で、昼間人口は買い物客などの出入りを含めると90万人とも100万人ともいわれています。その中で、区の環境を守るために、これまでの「ポイ捨て禁止条例」をさらに発展させ、「 路上喫煙禁止条例」を定めました。
  問5にあるように、各新聞社にはそれぞれホームページがあります。子供向けのコーナーを設けているところもあり、新聞社に限らず、いろいろなマスメディアのホームページをのぞいてみるのもよいでしょう。