NO.138

2004年 6月25日 
アクセス教育情報センター

目次

学校情報

学校情報 教育情報 入試情報 その他
世田谷学園

西大和学園

星美学園

東横学園

武蔵野女子学院

八雲学園

穎明館

関東学院

青稜中

広がる学力テスト

教員給与

最高裁見学

早大商学部

教育基本法改正

  寄稿

04年入試総括

入試問題に挑戦第118回

学校情報

世田谷学園 塾対象説明会報告(04年6月9日)
1 校長挨拶  林秀穎先生
@学園の歴史
 学園の前身は、曹洞宗吉祥寺の学寮(のちに旃檀林(せんだんりん))として創始。412年の伝統がある。中国唐代、永嘉玄覚(ようかげんかく)大師の『証道歌(しょうどうか)』の一節「旃檀林に雑樹なし。鬱密深沈(うつみつしんちん)として獅子(しし)のみ住す」に由来して、生徒を旃檀林(せんだんりん)の獅子児と称する。
A建学の精神
 世田谷学園の教育理念は、釈尊の言葉「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」。これは「あなたには、あたなにしかないかけがえのない価値がある。」という意味であり、同様に、「私だけではなくすべての人々にその人だけが持っているかけがえのない価値がある」とお互いに認め合っていくことが平和につながる。これを英訳し、国際的にも通用する概念としたのが「Think&Share」。
Bあたりまえのことをできるようにする学生生活
 曹洞宗の本山である永平寺の開祖・道元禅師が、中国に留学し、帰国されたときおっしゃった言葉「眼横鼻直(がんのうびちょく)」。「目は横に、鼻は縦についていることがわかった」という意味で、要は「あたりまえのこと」。生活の上で大切なのは、この「あたりまえ」のことをいかにきちんと実践できるか。これを学生に置き換えるならば、あいさつがきちんとできるか。また、相手に悪いことをしてしまった場合、きちんと謝れるか。そんな「あたりまえ」を実践する生活を送ることが平常心のレベルを高く保つことにつながる。
C充実した課外活動
 4月に入学した225名の新入生も学習、クラブ活動ともに生活が軌道に乗り、活気にあふれている。中学生のクラブ活動での活躍は目をみはるものがあり、吹奏楽部のアンサンブルコンテストは2年連続金賞受賞。その他、テニス・卓球・空手・剣道など各部も活躍している。
D学習環境
・二期制、4ブロック、70分5時限授業、6日制
 生徒自身が発信できる授業へと、さらなる実践工夫をこらしている。
・国際交流
 1983年より実施。中3の3月にニュージーランド。ホームステイでの異文化交流。
 高校2年には、カナダへ。ビクトリア・バンクーバーなど3班に分かれ、英語研修。
・シラバス・進学の手引き
 主体的に学ぶことのできる人間への成長を目指す。自己完成のために。
2 学園生活・学習指導について  広報部副部長 北原透先生
(パワーポイントをつかったスライド上映を交えての説明)
@多様な生活活動
 校門のところにあるラインで立ち止まり、一礼。校舎内にいる人、およびお釈迦様に敬意を払うつもりで一礼をして、一日が始まる。下校時も同様。仏教を根底に置いた人間教育。
A70分授業
 授業時間が長いぶん、コミュニケーションが充実。授業の展開に広がりで出る。
・カナダ人ネイティブと日本人教師のチームによる英会話のチームティーチング授業。
・PC一人一台の環境。エクセル・ワードからパワーポイントの操作までをレクチャー。
B昼食
 教室でお弁当、または300席の食堂利用。食堂は一年生から利用が可能。
C課外活動
 中学生1〜2年生のクラブ活動参加率は90%。図書室には自習室が併設してあり、そこで復習して帰る生徒もいる。
D行事
・1年生サマースクール(福島県相馬)
 理科社会の総合学習として位置づけ。3泊4日。
・2年生サマースクール(本年は黒姫高原を予定)
 土器作りや山登りなどの体験授業。高山植物の観察など。
・獅子児祭(10月)
・創立記念弁論大会(11月)
 各クラス一人の弁士を代表として選出、その後、熾烈な予選が行われる。
・ギャラリートーク
 名画や芝居、映画の鑑賞。意見交換。
・臘八摂心(ろうはつせっしん)
 12月の一週、希望者による早朝一時間座禅。
・スキー教室
 蔵王へ。中学生の希望者。
・カナダ姉妹校との交流
 中3になる春休みに全員でニュージーランドを訪れ、ホームステイ。
 高校1年時に3ヶ月間カナダの姉妹校との交換留学も行う。
E世田谷学園のモットー
・明日を見つめて今をひたすらに
 目標に向かって一生懸命努力をする。高い目標を持つ。
・違いを認めあって思いやりの心を
 学力がついてくるプロセスも子どもによりいろいろである。
F前期・中期・後期の学習期間
・前期「自立した学習者になるための準備」
 中1・2→70分授業をフル活用し、勉強がおもしろいと言わせる工夫を。
 さらに、家庭での学習習慣の定着を目指す。
・中期「主体的な学習ができるように」
 自分で解決できるような、課題の出し方に工夫する。
 進路志望などを含め、学習の動機づけを図る。
・後期「高校3年・受験期」
 大学入試を一つの学習形態と位置づける。
 演習を中心に、得点力をつける。
G特進クラス
 特進クラスは全5クラスの中の1クラス。
 特進クラスには家庭で積極的に学習ができるような課題の与え方をする。
 ただし、高2〜3年で伸びる子も多い。ほか4クラスではきめ細やかな指導(補習など)。
 クラス分けは、進学クラス特化ではなく、成長度合いによる形態の違いと考えている。
・本年度東工大現役合格者3名のうち、特進クラス以外から2名合格。
・本年度早稲田大現役合格者56名のうち、特進クラス以外から34名合格。
3 16年度大学入試結果について  高校3年担当 大石隆先生(数学)
@モチベーションの高さ
 もと都立で10数年教鞭を執っていたが、都立の生徒が浪人を前提として学習しているに比べて、本校の生徒は現役で志望校に合格する意欲が高い。199名の卒業生で、398名の総合格数。
A現役主義
 いかに時間を有効に使うかを意識させる指導。
・特進クラス以外でも合格する
 東工大の生徒を例に取れば、理数科目が好きだというその特性を認めたことが大きい。
 知的好奇心をいかに発奮させるか。
Bピラミット型の受験体制
 第一志望校を頂点に、幅広い選択を示唆する。東大を目指しても、MARCHを併願。
・戦略的受験シフト
 第二志望以下、基礎を固める合格をつかみながら、本陣(国立校)を攻める。
・雰囲気作り
 学校全体として受験へ突き進む雰囲気作りをする。
・面談などのフォロー
・生徒の望む大学に行かせてやれるかどうかが、受験校としての意義。
4 入試問題について  各教科主任
(1)国語  高橋先生
@出題傾向
 文芸(50点)・評論(50点)の二分野からそれぞれ出題。2、3次は1次より文章がやや長い。
A問題内容
 漢字、語句、接続語、指示語といった読解基礎に、暗喩や文脈理解、行間を読む、全体把握、主題といった 応用読解をくわえたもの。記述問題は、配点8点なら、8/5/3点というように3段階の評価とする。
(2)算数  原田先生
@出題傾向と内容
 1〜3次まで同じ書式、同じ解答用紙での出題。
・大問1は、枝問を配した計算問題。解答用紙に計算する。
・大問2・3は、面積移動・等積変形・場合の数など。とてつもなく難しい問題は出題しない。
・大問5・6は、記述式の問題。面積図などを用いて答えを導き出すタイプ。10点の満点で、国語同様部分点も与える。あきらめずに、少しでも書いて得点につなげる心がけが大切。
A基本の大切さ
 大問1の計算は、基本だが、ここで大きな差が生まれているのも事実。
               1次     2次     3次
 受験者正答率(%)  57.7   70.7   66.0
 合格者正答率(%)  72.8   85.0   83.1
(3)社会  舘野先生
@出題内容
・多角的観点に立った基本的な問題 → 4択・正誤・論述
・出題分野の割合(1〜3次) 65点満点(本年より理社は別のテスト)
地理 20〜25点
歴史 25〜30点
公民 10〜15点
・記述式問題
30〜50字の論述を1〜2題出題。4,3,2,1の4段階、または4,2の2段階の途中点採点。
・理社のテストが別々になることにより、問題数は若干少なくなる予定。
A出題傾向
・歴史→重要単語(年号・人名・大きな事件など)
・地理→日本地理(都道府県の形・都市・地図・統計資料の読み取り)
・公民→時事(新聞・ニュースに留意)
Bアドバイス
・漢字指定がある場合、ひらがなで書いたり、誤字のあるものは×。
・漢字指定以外で誤字がある場合は×。ひらがなでも可だが、基本的な漢字は書いてほしい。
・因果関係をきちんとつかんでおきたい。
 歴史ならできごととできごとのつながり。地理であれば、気候と地形の関連した特産物など。
・文にならない記述も見受けられる。書く練習を。
・時事問題に関しては、問題作成の都合から9月以降のできごとは出題しにくい。
(4)理科  山本先生
@出題内容
・基本→身近な自然
・実験からの考察
・数値計算(分数での解答は×) 
・語句を問う問題(漢字で書くようにしたい)
・記述式問題(漢字のミスは減点対象)
A出題傾向
 1次   → 物理・化学・地学・生物の4分野からの出題
 2・3次 → 物理・化学・生物の3分野からの出題。
Bアドバイス
・差のつく問題
 短答式の語句を問う問題に差は生じないが、数値計算を伴うものは30%の差。
 パターン問題は良くできているが、複雑な思考を要する問題で差がつく。
5 平成17年度入試要項について  教頭・横倉孝行先生
@入試の変更点について
・募集人員 180名 → 200名  (2・3次→各10名ずつの増員)
 帰国入試をとりやめ、その分の定員を一般入試に振り分ける。
 1次        60名
 2次  90 → 100名
 3次  30 →  40名
・理社のテスト形態
 理社合わせて70分  →  理科30分  社会30分
Aその他
・各教科の足切りはなし。複数回受験での考慮はない。
・1次不合格で2次合格   →277名中8名
・2次不合格で3次合格    →70名中17名
・1次、2次不合格で3次合格 →なし
【雑感】
(授業見学)
 見学ができたのは中学1、2、3年と高校1年のそれぞれ一部。見学フロアが2・3階だったため、主に中2・3年の授業見学だった。授業見学といっても、定期考査明けのはじめの授業が多かったようで、テストの解説や、ふり返りのための自習を行うクラスもあった。70分授業のうち、見学できたのは40分足らずだったので、事実内容よりも印象の記述が多くなることをご了承下さい。
(男子校の生活スタイル)
 床に転がった靴とカバン。報告者はいわゆる「典型的A型」なので、教室は雑然としていてきたない、という印象を持った。ただし、廊下や教室の掃除は行き届いていて、トイレもきれいである。つまり、ここは「男の子の部屋」なのだ。彼らは、見学者がいることもさほど気にするでもなく、じつに普通にふるまっている。見学会の時だけ生徒がきちんとふるまっているという様子はないようだ。私語をしたり、落書きをする生徒もいる。ただ、その授業態度はだらしないものではない。自然体なのだろう。授業のそのものは、一方的ではなく対話しながらきちんと進んでいるし、生徒の反応も悪くない。近隣に住む当塾職員によれば、登校下校のようすはきちんとしたもので、そこはきちんとした躾がなされているようだ。生徒の方でも、学校外での態度の使い分けと、学校内での居場所としてのリラックス感を心得ているというところだろうか。
(先取り授業と補習体制)
 中3で、高校・数学Tを教わっているクラスがあった。単項式と多項式を基本から非常にていねいに学習している。世田谷学園版シラバスである「コンパス」を拝見すると、教科書を通常に進めることで生じる中3内容と数学T内容の重複や齟齬が、きれいに整理されている。といっても、重複内容を単純に切り捨てているのではなく、関連づけがおこなわれている。前期2ブロックのうち、第1ブロックがおもに中3内容。そして、第2ブロックが高1レベルに相当する数学Tの内容なのだが、第1ブロックの内容の発展編として第2ブロックの内容が存在している。仮に第1ブロックで理解に達しなかったり、つまずいたとしても、重複内容があるぶん、定期考査後の「ステップアップ講習」なる指名補習が機能的に使えることになる。紙面での見た目はかなりハードな先取りだが、土曜日の0校時での指名補習もあるわけだから、すくい上げる網の目はもっと細かいことになる。
(報告 A.Og)
http://www.setagayagakuen.ac.jp/top.html

西大和学園 05年東京会場入試
1月10日 男子220名(本校入試と合わせ) 4科
試験会場 早稲田大学西早稲田キャンパス15号館
04年東京会場入試結果
 応募者数   223
 受験者数   219
 合格者数   165
 入学者数     3
 合格者平均
 国語(150) 83.3
 算数(150) 74.0
 社会(100) 76.9
 理科(100) 81.0
 合格基準点 275
入試説明会
 日時 10月31日 10:00〜11:30
 場所 早稲田大学西早稲田キャンパス14号館
http://www.nishiyamato.ed.jp/ny/

星美学園 05年入試要項
1回 2月1日午前 女子50名 2科4科 面接
2回 2月1日午後        2科4科 面接
3回 2月2日午後 女子20名 2科4科 面接
4回 2月5日    女子20名 2科4科 面接
入学手続は各回とも2月8日17:00まで。1回を第一志望で受験した人は2月2日12:00まで。
面接は受験生の個人面接。
http://www.jsh.seibi.ac.jp/

東横学園 新世紀を拓く教育
(全私学新聞 6月13日)
 今年2月28日、東京・大手町の日経ホールほかで開催された「日経エデュケーションプログラム作品発表会」に、東横学園中学校・高等学校(矢島了子校長、東京・世田谷区、女子校)の中学3年生1チームと高校1年生2チームが、優秀作品賞に選ばれ出場した。開会式では協賛の日産自動車のカルロス・ゴーン氏が講演するなど、企業トップも出席。作品発表は、出場した38チームがテーマごとに各会場に分かれて行われた。プレゼンテーションで与えられた持ち時間はわずか10分間。緊張したものの「悔いの残らない」(中3・田丸麻起子さん)発表を行った。日経エデュケーションプログラムは、平成15年度から開始された中学生・高校生対象の学習教材。協賛企業からのミッションを実践する「コーポレートアクセスコース」と先人の生き方を学ぶ「私の履歴書コース」がある。初年度の参加企業等は、コナミ株式会社、積水化学工業株式会社、日産自動車株式会社、野村證券株式会社、ブックオフコーポレーション株式会社、株式会社吉野家ディー・アンド・シーの6社とヤマト福祉財団だったが、全国37校6千人がこのプログラムに取り組んだ。
 優秀作品賞に選ばれた東横学園の3チームは、いずれも「コーポレートアクセスコース」で、企業の出すミッションを、生徒たちがその企業の仮社員となって計画立案し、プレゼンテーションするというもの。それぞれのミッションは、中3BCチーム(4人)が積水化学工業の「夢のマイホームを提案せよ」、高1Bチ一ム(3人)は野村證券の「20代の個人投資家が増えるような広告案を提案せよ」、高1Cチーム(4人)は日産自動車の「100万台日産の車を売るにはどうすればいいか」だった。
 ミッション「夢のマイホームを提案せよ」の中3BCチームは、家族構成を両親・祖母・中学生と小学生程度の姉弟という5人家族と設定。パソコンソフトのパワーポイントを使って平面図を描き、模型も作った。室内はバリアフリーとし、ホームエレベーターを設け、それぞれに個室を作り、環境に優しい太陽光発電機を備えた家を設計した。積水化学工業からは、お母さんのためのワークスペースがいいと評価が高かった。
 「20代の個人投資家が増えるような広告案を提案せよ」の高1Bチームは、若者受けのするかわいいカエルのキャラクターを作り、そのカエルの大きなイラストと「株でお金が返る、そして日本がよみがえる」というコピー入りの新聞全面広告案を提案。野村證券の評価は参加チームの中ではトップだったという。
 「100万台日産の車を売るにはどうすればいいか」の高1Cチームは、トイレも気軽に借りることのできるコンビニエンスストア風の販売所作りというユニークなアイデアを提案。イラストを描いて紙芝居風にコンセプトを説明したあと、それを自作自演したコマーシャルビデオも上映、会場を沸かせた。日産自動車からは「面白いね」とほめてもらった。
 東横学園中学校高等学校が日経エデュケーションプログラムを導入したきっかけは、平成14年度にモデル校になったことだった。このプログラムが本格的に始まった15年度は、中学3年生66人と高校1年生101人全員が取り組んだ。協賛企業6社からミッションが来たのは15年6月。各自興味のあるミッションを選ぴ、中学生は18チーム、高校生は24チームが編成され、それぞれテーマに沿って活動を始めた。すぐにインターネットなどで企業研究を行い、9月に入るとアンケート調査や企業訪問などのフィールドワークを行った。12月になると、提案のため資料作りに入った。翌1月に行われる校内発表会に向けてのプレゼンテーションの練習も始まった。1チームの持ち時間は10分。それだけに簡潔で十分な説明と説得力が要求され、冬休み返上で取り組む生徒も多かった。16年1月、校内発表会が行われた。評価は、論理性、調査力、表現力、独創性に各5点ずつを配点し、満点は20点。評価も生徒たちが行った。校内発表会の後、全チームの報告書を主催の日本経済新聞社に送った。2月18日、その返事がメールできた。優秀作品賞に選ばれた3チームヘの、「日経エデュケーションプログラム作品発表会」の招待状だった。生徒たちは跳び上がって喜んだ。興味深いのは、この3チームが、校内発表会で高得点を取ったチームとは別のチームだったことだ。
 大手町で行われた作品発表会が終わって、高1Cチームの畠山みどりさんは「将来、私たちは社会の中心になります。そのときに日経プログラムでの経験は私たちに大きな力を与えてくれることでしょう」(抜粋)と感想を書いている。
 同校は総合的な学習として日経エデュケーションプログラムのほかにも、スウェーデン大使館と連携した福祉学習(中学2年次・高校2年次)やプレインターンシップ(中学3年次)などの活動をしており、総合主任の飯田公彦教諭は、このプログラムに取り組んだ生徒たちの様子を「ユニークなアイデアが飛び出したり、街頭インタビューしたり、とても活発です」と話す。平成16年度も日経プログラムを実施する。中3年生は昨年度と同じ内容だが、高校1年生はモデル校として日経メディア探求プログラムで新聞製作を行う。実際に日本経済新聞社の輸転機で新聞を刷ってもらえるため、どんな紙面ができるのか、今から楽しみだと飯田教諭は語る。
http://www.toyoko.ed.jp/

武蔵野女子学院 05年入試要項
1回 2月1日 女子140名 2科 面接
2回 2月2日 女子 30名 2科4科 面接
3回 2月4日 女子 20名 2科4科 面接
入学手続きは各回とも2月5日19:00まで。
第1回の成績上位者10名を特待生として1年間の授業料免除。
http://www.mj-net.ed.jp/

八雲学園 05年入試要項
1回 2月1日 女子45名 2科4科
2回 2月2日 女子55名 2科4科
3回 2月4日 女子25名 2科4科
4回 2月5日 女子21名 2科4科
各回の4科目受験生の中から特待生を選抜。(10〜15名)
特待生は入学金、施設維持費、授業料(合計832,000円)免除。年度毎に審査あり。
受験料は20,000円で何度でも受験可。合格者が特待生を目指して何度受験してもよい。
入学手続きは各回とも2月11日16:00まで。
05年より中1からHonorsクラス(1クラス)とAdovancedクラス(3クラス)編成に。
Honorsクラスは特待生と4科受験の成績上位者で編成。年度毎の入れ替えは考えている。
http://www.yakumo.ac.jp/

穎明館 05年入試要項
1回 2月2日 男女100名 4科
2回 2月4日 男女 60名 4科
オープンスクール
日時 7月31日(土) 10:30〜11:30
対象 小学校5・6年生およびその保護者
申込 児童指名、学年、保護者氏名、住所、電話番号、希望講座名を記入して7月10日までに、葉書またはFAXにて。
講座(抜粋)
 言葉で知ろう日本の四季
 N進法の算数
 三角形の不思議
 草木染め
 クレープを作ろう
 英語で遊ぼう
学校説明会
  9月15日(水) 10:00〜12:00
 10月16日(土) 10:00〜12:00
 11月17日(水) 10:00〜12:00
 12月15日(水) 10:00〜12:00
http://www.emk.ac.jp/

関東学院 05年入試要項
入試日が2月1日、2日、4日から下記に移動。
A日程 2月1日 男女 2科20名、4科60名 2科4科
B日程 2月2日 男女 2科30名、4科90名 2科4科
C日程 2月5日 男女20名           2科
http://www.kantogakuin.ed.jp/

青稜中 05年入試要項
1回A 2月1日午前 男女40名 2科
1回B 2月1日午後 男女60名 2科
2回A 2月2日午前 男女30名 2科4科
2回B 2月2日午後 男女50名 2科4科
3回  2月4日    男女20名 2科4科
各回とも入学手続きは2月15日16:00まで。2月28日までの延納可。
各回の入試の成績上位者を特待生として選抜。全体で約20名。入学金、授業料を免除。次年度以降は成績で再審査。
新校長インタビュー (全私学新聞 6月13日)
 青稜中学・高等学校(吉村睦人校長、東京都品川区)は昭和13年、青蘭商業女学校として創立、その後、普通科、商業科を設置。平成3年には中学を併設、7年に名称を現在の校名に変更するとともに、商業科を廃止し、男女共学・中高一貫教育をスタートさせた。
 「本校は教育の根底を人間教育に置いています。そのために各部活動などの活動をしっかりさせるとともに、進学のための勉強も今まで以上にきめ細かに対応し、実績を上げていくつもりです」4月に同校に赴任した吉村校長は、生徒の自主的な諸活動と、進学のための学習を重視する。そのために、「質問の日」「習熟度別授業」「英語早朝学習」「放課後講習」(少人数ゼミ、サテライト講習)「キャッチアップ講習」「基礎講習」「八ヶ岳自然教室」「ボランティア活動」など、さまざまな、きめ細かい試みが実践されている。
 最も特徴的な試みの1つが全校を挙げて行われる「質問の日」だ。試験の前の毎週月曜日の放課後、約1時間、教員全員が生徒の疑問・質問に答えるのだ。この日は各教室に割り当てられた教職員のもとに生徒が自主的に訪れ、自分のしたい質問をする。教職員はこの時間はすべての校務を中断して個別指導に当たることになる。「英語早朝学習」は、中学生が外国人講師に英会話を学ぶために朝7時30分から行われている。「キャッチアップ講習」は、英語が苦手な生徒が夏休みに参加する講習で、今年の夏休みから実施される。
「これらは、勉強が進んでいる生徒はさらに実力を伸ばすため、また遅れている生徒はその遅れを取り戻すために行っているのです」(吉村校長)「八ヶ岳自然教室」は同校の青蘭寮で集団生活における基本的なルールや、人に対する思いやりなどを学ぶ。中学1、2、3年、高校1、2年で実施する。環境・農林業体験、山歩き、進学、スキーなどテーマ別の研修を進めている。
 吉村校長は19歳でアララギ派の土屋文明氏に師事、平成10年「新アララギ」創刊に参加、選者となり、編集委員も務めてきた。平易な文章で分かりやすく表現するのが信条だ。
http://www.seiryo-js.ed.jp/


教育情報

広がる学力テスト 独自実施が8割超す 文科省まとめ 
(朝日新聞 6月13日)
 子どもたちが学校で習った内容をどれくらい身につけたかを調べる学力テストを独自に実施する都道府県・政令指定都市の教育委員会が、全体の8割を超えたことが文部科学省の4月現在のまとめでわかった。年を追って数が増え、規模も拡大している。文科省によると、今年度中に学力テストを実施するのは全60教委のうち51教委で、前年度に比べて4教委増えた。子ども全員を対象とするのは29教委で、前年度よりも10教委多くなった。残りは対象者を抽出したり希望者だけに実施したりしている。 
 テストの対象は小学1年から高校2年まで幅広いが、小5から中2が中心帯。国語と算数・数学を、いずれも45教委が実施。次いで英語42教委、理科30教委、社会29教委となっている。 
 テスト結果の公表を決めているのは35教委で、14教委が公表を検討していた。また、30教委がテストに合わせて勉強への意欲などを調べるアンケートも実施する。 
 学力テストは、02年度から小中学校で新しい学習指導要領が導入され、学校週5日制が完全実施されたことをきっかけに急速に拡大した。保護者らの「学力低下」への不安や懸念が高まったことから、学習の成果を正確に把握しようとする狙いがある。 
 文科省も全国単位で抽出による大規模な学力テストを実施しているが、自治体間の競い合いの過熱などを避けるために全国単位の集計結果だけを公表している。そのことが、地域単位の実態をつかもうとする各自治体の取り組みを促している面もある。 
学力テストの実施教委(文科省調べ) 
《全員を対象》 
青森、岩手、宮城、秋田、福島、茨城、群馬、東京、新潟、石川、福井、山梨、京都府、和歌山、広島県、徳島、香川、愛媛、長崎、大分、鹿児島、沖縄、仙台、さいたま、千葉市、川崎、京都市、広島市、北九州 
《抽出や希望で実施》 
北海道、栃木、千葉県、神奈川、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、奈良、福岡県、佐賀、熊本、宮崎、名古屋、神戸、福岡市、高知(市町村や学校が決定) 
《実施方法が未定》 
兵庫、鳥取、札幌、横浜 
《実施しない》 
山形、埼玉、富山、愛知、大阪府、島根、岡山、山口、大阪市

教員給与 成果主義を導入、埼玉県教育局方針
(毎日新聞 6月16日)
 埼玉県教育局は、県立の高校や盲・ろう・養護学校など188校の一般教員(約1万人)の給与制度を見直し、成果主義を導入する方針を固めた。給与面から教員のやる気を引き出し、教育現場の活性化を図るのが狙いで、実施時期や具体的な方法の検討に入った。東京都は既に教頭に次ぐ立場の「主幹」制を導入し、結果として給与面で優遇措置を取っているが、学校での実績など「成果主義」に基づき一般教員に対する給与の差別化を図るのは全国の県立学校では初めてとなる。同局総務課によると、現在の給与制度では、教員の能力に関係なく年齢などに応じて支払われ、成果を上げた教員と、処分を受けたり能力が劣る教員との間に差はない。給与体系の見直しについては現在の予算内で実施し、現場での成果によって教員に再配分する方向で調整している。同課は「教員が頑張れば報われる給与体系にしたい。それが児童・生徒の視点での教育にもなる」とし、今後関係機関と教員の評価方法などについて協議を進める。

最高裁見学 夏休みにいかが、法服着て法壇で写真もOK 
(朝日新聞 6月17日) 
 裁判官の気分を親子で味わってみませんか? 最高裁は7〜8月の4日間、「夏休み親子見学会」を開く。約2時間をかけて、大法廷や小法廷をじっくり見てもらう。裁判官が着る実物の黒い「法服」を着て、法壇の裁判官席に座って記念撮影もできる。裁判のしくみをビデオ上映などでやさしく解説し、5年後に運用が始まる裁判員制度についても、リーフレットを用意して説明する。 
 親子見学会は00年に始まった。5回目の今夏は、裁判員制度法の成立を踏まえ、国民の司法参加や裁判への理解を深めるため、内容を充実させた。普段は見られない戦前の法服や法冠(帽子)の展示も用意して「夏休みの自由研究のテーマに」とPRしている。 
 7月28日、8月3、18、20日の各午前10時からと午後2時からの計8回で、定員は各回150人。小、中学生と同伴の保護者が対象で、1グループ5人以内。申し込みは7月2日までに、往復はがきで(1)希望日時(2)小中学生の氏名と学年(3)同行する保護者名と続柄(4)住所、電話番号(5)合計人数(6)何を見て申し込んだかを記入し、〒102・8651 東京都千代田区隼町4の2 最高裁判所広報課へ。詳細は最高裁ホームページか、電話(03・3264・8111)で。 

早大商学部 高校既卒者の9月入試・入学を導入
(毎日新聞 6月22日)
 早稲田大商学部は22日、日本の高校既卒者(大検取得者も含む)を対象とした「9月入試(入学)」と、「最短3年半での卒業制度」を柱とする入試改革を発表した。早大によると、一般入試の形で9月に入学し、最短3年半で卒業できる両制度を導入した学部は全国初という。少子化傾向が強まる中、「進取の精神」で優秀な人材確保を狙う早大の取り組みが功を奏すか、注目される。新システムの入試は、高校卒業から半年で再チャレンジできる9月と、従来型の2月実施の2本立てとなる。05年度は、9月入試の定員が50人、2月が04年度入試比40人減の460人となる。9月入試の試験科目は英語と国語が必修で、数学(文系)または小論文のいずれかを選択する。また、3年半卒業制度は、入学後の学業成績が非常に優秀な1〜3%の学生に認める。
 会見した辻正雄学部長は「3年半卒業により、9月入学の大学院や秋学期入学が標準の海外大学院への効果的な進学が可能になる。二つの新制度をリンクさせることで、優秀な人材が早く社会で活躍できる機会も促進されるはず」と述べた。

教育基本法改正 改正促進議連が大綱案 「愛国心の涵養」明記
(毎日新聞 6月11日)
 超党派の議員連盟「教育基本法改正促進委員会」(亀井郁夫委員長)は11日、教育基本法に「愛国心の涵養(かんよう)、道徳性の育成が重要」との文言を新たに盛り込むことを柱にした改正大綱案をまとめた。宗教教育については(1)宗教的情操の涵養(2)特定の宗派教育に偏しないよう配慮−−との規定を新設している。同法改正をめぐる与党協議に反映させるため、与党幹部への働きかけを強める方針だが、与党協議は自民党が「愛国心」の盛り込みを主張しているのに対し、公明党が難色を示している。同議連は自民289、民主45、無所属1の衆参両院議員335人。3月から10回余の勉強会を経て大綱案をまとめた。

関連記事
教育基本法改正 自公愛国心で溝埋まらず(毎日新聞 6月12日)
 自民、公明両党の幹事長、政調会長らによる「与党教育基本法改正に関する協議会」は国会最終日の16日、これまでの議論を踏まえた中間報告をまとめる。「愛国心」をめぐり、盛り込みを主張する自民党に対し、公明党は「国を大切にする心」にとどめるべきだと主張。溝は埋まっていない。両党は妥協点を探ってはいるが、参院選前で支持層の反応を重視せざるをえない。譲歩しにくいテーマであり、中間報告がしこりを残すことも想定される。
 「国を愛する心を入れるのは、当たり前のことだ。安易な妥協をしてはならない」自民党の安倍晋三幹事長は10日、東京都内で開かれた神道政治連盟の会合で、教育基本法問題にわざわざ言及した。
 今年1月設置の与党協議会は、当初から「愛国心」と「宗教教育」で両党が対立した。宗教教育については、自民党が公明党の支持母体の創価学会の意向に配慮。基本的に現行法を踏襲し、国家による宗教教育の余地を残さないことで合意した。それだけに、安倍氏の発言からは「愛国心だけは主張を通す」との意思が感じられた。自民党幹部は「300議席以上の自民党が何十議席の公明党に相当譲歩してきた。これ以上は譲れない」とまで言う。教育問題は同党本来の支持層である保守層が重視しており、参院選前に妥協を続けるわけにはいかない事情がある。
 9日の前回協議会は、「国とは国土、国民のことで、統治機構は含まないことを首相答弁などで明らかにする」という点では一致した。しかし、表現では自民、公明両党がそれぞれ「国をいとおしむ心」「国を大切にする心」との妥協案を提示したものの、折り合わなかった。自民党内には「『大切にする』と『愛する』は同じ」(文教族)と公明党案を受け入れる意見もある。しかし、自民党幹部は「ここで譲ってしまっては参院選が戦えない」と語る。愛国心がかつて軍国主義に利用されたとして、支持層に拒否反応が強い公明党も事情は同じ。党内には「両論併記しかないのでは」(幹部)などと、一本化は参院選後に先送りすべきだとの考えが広がっている。 「両論併記では参院選で訴える材料にできない。『愛する』と『大切にする』の中間の言葉はないものか」。自民党幹部はこう漏らすが、答えは見えていない。
=彼らの言う愛国心は「お上の決めたことに文句を言わないこと」に他ならない。=


その他

寄稿 「学校に自由の風を」6.12大集会・参加報告
 海風荘主人(KM)
 6月12日(土)の「君が代処分反対」の大集会(「学校に自由の風を!」中野ゼロホール)に参加しました。1300人の参加で2階席までギッシリ。すごい盛り上がりでした。以下はその感想等。
1 「君が代処分反対闘争」そのものが多種多様です。つまり敵の攻撃がそれだけ長期にわたり重層的かつは広範であり、わずか4〜5年のうちにその攻撃の質が急激にエスカレートしている。だからそれに対する闘いも重層的かつは広範になる。@「国旗・国家法」制定直後(00年)の国立市等における「りぼん闘争」(都教組三多摩・島しょ支部、その他独立教組)A02年ごろの公立小・中の音楽科教師の伴奏拒否に対する処分反対闘争(裁判闘争はすでに高裁まで進んでいる。)B03年の秋の各校の「周年行事」での「不起立」への処分反対闘争C04年1月の200名余の高校教員らによる「予防訴訟闘争」D04年3月の卒業式での不起立へ大量処分(都立高と養護学校教員等約180人の一次処分)E4月の入学式での不起立への処分(二次処分約50人)F「生徒の不起立」の「指導責任」を問う処分(三次処分約30人)
 そして、これらの闘争は教職員労組(連合系の高教組、連合系だが日本共産党の影響力が強い?都教組、共産党系の全教)執行部の闘争放棄に抗して、個人であるいは数人の仲間と決起し、処分に対しても「反対する会」を作ってバラバラに闘いはじめた。それが一同に会して事実上集会を主催し、新しい「ネットワーク」の形成に動き始めた。
2 「ママさんパワー」が爆発した。これに(孫のことを心配する)ババさまパワーが乗っかってすごい人数。司会はママさんなので、何やら「お行儀のよさ」を求める雰囲気があり、集会の妨害・破壊をおそれる気持ちはわかるのだが、「異議なし」などの賛同の声さえにらみつける。休憩時間にロビー等に出た参加者のもどりがおくれると「早く着席してください」と叱る。もっとも私の隣席の老女は(ヨメの注意など完全に無視してか)「そうだ!そうだ!」とか「けしからん!」とか男言葉で発言にいちいち大声で反応していた。
 圧巻は集会最後のシンガー・ソングライター定塚才恵子さんの歌。彼女は4年前、「日の君」がエスカレートした年にわが子の小学校卒業を迎え、しかもPTA会長をしていた。そこで式の「PTA会長祝辞」で自作の歌をギターでひきつつ卒業生たちに歌った。その歌の再現。「こんなに立派になって卒業してくれてありがとう。これからは自由にのびのび生きなさい。お母さんもそうします。他人のいうことは、たとえお母さんや先生のいうことであってもそれにとらわれてはいけません。自分で考えて生きるのです。そうであれば何をしてもいいのよ」
3 高校生が決起した。彼らはすでに卒業式闘争に決起していた。それがこういう「全人民集会」に出て来た。大変なことだ。卒業生がほぼ全員着席した高校(板橋高校か?)の女生徒が弾圧を警戒し匿名で幕の蔭から証言。「2〜3人が『不起立』をやろうよと言い出し、さかんに周囲に働きかけた。『面白い、面白い』『最後に学校をあわてさせてやれ』と賛同者が増えた。不賛同者までが『みんながやるのなら私(僕)もやる』と輪の中に加わって来た。当日、その瞬間は校長と都教委からの来賓が顔を真っ赤にして壇上に立ち「たちなさい!たちなさい!」と怒鳴りつづけた。怖がって立とうとする生徒もいたが、服を引っ張って立たせなかった。本当に面白かった。生徒同士は別に正式な『話しあい』や『討論』はしていない。しかし多くの生徒は『国旗・国歌って何なのよ?(何なんだ?)』と相当真剣に考えた。そして2〜3人のずつであらゆる場所であらゆる時間にそれについておしゃべりし合った。それを東京都教委は『先生が生徒たちを扇動した』と言って先生を処分した。全く失礼な話だ。これは私達生徒には『考える力』など全くないという立場で出されている。絶対に許せない」
4 全体をリードしたのは大学の教官たちでした。「呼びかけ人」の小森陽一氏や高橋哲哉氏(たしかふ2人とも東大教授か助教授)それに三宅晶子氏(千葉大教授)、西原博史氏(早大教授)らは2年前の「つくる会教科書」採択反対闘争の時から全国の市民団体や労組の「学習会」等に精力的に出かけて大奮闘している。昨年12月23日の「教基法改悪反対」の歴史的集会(5千人集結)も彼らが「呼びかけ人」だった。今回の集会にはこれに都立大(石原知事の無茶苦茶な「統廃合」の攻撃と闘う)教官たちをふくむ市民団体が合流し発言した。
 集会冒頭、小森氏は「この集会は、国家権力とその戦争拡大に対して真正面から闘うものだ」と宣言し、石原知事を「ファシスト」と罵った。次の大闘争(8月14日、全国集会とデモ)に向け、彼らは活動家の「交流会」や「合宿」まで提起している。教基法改悪粉砕の闘争陣形はこの延長線上に作られようとしている。
5 集会の内容は何よりも国際的視野が強く打ち出されたのが画期的でした。2つの発言が大反響。1つは「前駐レバノン特命全権大使」の天木直人氏。イラク参戦反対を小泉首相に直言しクビになった人。一時はマスコミの寵児となり本もよく売れたが、早くもマスコミは手を引き忘れたフリ。それとともに周辺の圧力が強まったようで、かなり疲れた表情で初めて「人民の集会」に参加した。講演(20分)の話し方もヨレヨレに近かったが、内容は力強い。彼は「不起立処分」を受けた現場教師たちと自分は「全く同じ立場」だと強調した。そして急速な孤立化と増大する「圧力」の中で、くじけそうになったが、未知の読者からの多数の激励の手紙に後押しされ、この集会に参加した。私はイラクやパレスチナの人々の深い悲しみと怒りを1人でも多くの日本の人々に知ってもらいたい。そのために闘いつづける。大拍手。とくにママさん、ババさんたちの「黄色い歓声」がすごかった。
 もう1つの発言は、在日朝鮮人の高卒生(19才?)のもの。彼女はいきなり自民党の参院選向けのTVコマーシャル「日本に生まれて良かったと思いたい」を取り上げ「笑ってしまった」と嘲笑した。「私は19年間生きてきて、そんなことを1回も感じたことはありません。多くの在日朝鮮人の人たちもそうです。何かあれば最初にクビになるのは私たち、最初に逮捕されるのも私たち、そして最初に殺されるのも私たちだ、といつも感じて生きてきました。さきほど発言者の1人が『参院選でがんばろう』とおっしゃいましたが、私たちには選挙権さえ与えられていません。どう闘えばいいのでしょう?ところが最近は私たちに加えられて来たのと全く同じ攻撃が多くの日本人に拡大されるようになって来た。こうなれば一緒に闘いましょう。何十年かかってもよい。実は私だって一生に一度でよいから『日本に生まれてよかった』と思いたいのです。ともにガンバリましょう!」。満座は水を打ったようにシンとした。
6 発言の中心はやはり現場の教育労働者(被処分者)でした。
 伴奏拒否で処分された音楽教師はいう。「一審の東京地裁判決はピアノ伴奏は『外形的表現』だから『内心の自由』を侵害したことにはならない」と言った。この判決に都教委が大喜びしあちこちで宣伝している。とんでもない話です。音楽は心をこめて演奏するものです。だから人々の心の中に入って行く。こんな判決は絶対に許せません。徹底的に闘います。」
 「一次処分」を受けた体育教師はいう。「私は37年間、都立高校で生徒たちにスポーツの楽しさ、すばらしさを知ってもらおうと夢中でやってきた。いろいろな教育研究会に出かけて、他の先生の話を聞き、自分の授業法も必死で改善した。いくつかの運動部の監督もした。定年まであと2年。一応満足できたので静かに引退するつもりでいた。ところが今回の『職務命令』はそういう私の『37年』を全面的に否定するものだった。これは従うわけには行かない。私は『静かな引退』をとりやめた。どうせ裁判は長期化するだろう。私が60才をすぎて『教員』の身分を失っても、私は『教員』としていつまでもどこまでも闘いつづける。」
 生徒の不起立の「指導責任」を問われた教師はいう。「私は高校で『生徒会』の担当をしている。その生徒会から『卒業式について説明をしてくれ』という要望を出してきた。私は校長に頼んで『説明会』を開いた。校長は学習指導要領がどうの、都教委通達がどうのという退屈な話をした。私はそれを補足して『この問題では世論は賛成・反対に割れて激しく対立している。自分たちでよく調べて考え、行動しなさい。君たちには憲法で『内心の自由』が保障されている』と述べた。これは多くの都立高の卒業式で昨年まで『司会』が喋っていた内容と全く同じである。生徒たちは何もいわずに引き下がった。しかし生徒会を中心にかなり討論したようだ。式当日はかなり多数が不起立をした。それで私のこの時の発言が問題視されたようだ。といってもこれは私の推論で、むこうは私の『指導』のどこが『不適切』なのか一切答えない。それでいて、これを『適切』なものに戻すためと称して『研修』を打ち出してきた。『どんな研修をするのか?』と問うても答えない。見え透いている。被処分者をバラバラにして密室で責め、1人でも2人でも思想的に屈服・転向させようというのが狙いだ。生徒をこんな風に扱い、教員をこんな風に扱うのが「教育」といえるのか?石原知事や都教委の「指導」こそ全くもって「不適切」なものなのだ。彼らの方にこそ『厳重注意処分』を課してやらねばならない」。(爆笑・拍手)
7 「国家主義」反対と「学力破壊」反対がついに統一されました。この点で口火を切ったのは(何やら不良っぽい雰囲気の)都立高(男子)卒業生。「オレ達の高校ではこの春、生徒は何もしなかったよ。板橋高校などの一部の高校の生徒は色々やったけど、他の大多数の高校では何もおきなかったんだ。これが大勢ですよ。皆さん、そこをわかってほしいんだ。なぜ何もおきなかったのか?大多数の生徒は『日の丸・君が代』になんて無関心だからさ。『自分に関係ない』と思っている。なぜそう思うのか?誰も教えてくれないから、何も知らないんだ。『日の丸・君が代とは何か?』『なぜそれをめぐる対立はこんなに激しいのか?』『日の丸・君が代の歴史はどうだったのか?』。こういうことオレ達は学校では全く何も、本当に何一つ習ってない。だから先生たちが今回闘ったのは立派なことだと尊敬するけどさ、俺達にして見れば、1年に1回『式』の時だけ闘っても、ほとんど全くピンと来ない。もっと普段の授業でだなあ、今言ったようなことについてキチンと教えてくれよ。1回か2回の授業でサラリと表面的にやるだけじゃ足りないと思うよ。ジックリと時間をかけてあらゆる角度から考える。じゃないとみんな理解できない。そのくらい無知なんだ。大事なことは生徒全員が理解することだと思う。『1人1人にキッチリと理解させる』。それが俺達から先生たちへのお願いだ。がんばって下さい」
 これを受けてジャーナリストの斉藤貴男氏が最後に「講演」(20分)をして現行学習指導要領の「ゆとり教育」がまさに戦争拡大のために行われていることを暴いた。現行課程の原案をまとめた教育課程審議会会長の三浦朱門氏(作家)とのインタビューのナマナマしい報告。三浦氏は「ゆとり教育」の本質は「1%の天才・秀才児」への「教育投資」(とくに知育)の集中と「99%の非才・無才児」への教育(とくに知育)の切り捨てにあると明言した。ノーベル物理学者の江崎玲於奈氏は、小学校入学前の全児童の血液検査(DNA鑑定)を唱え、小1からの「エリート教育」と「非エリート教育」の分離を提言した。最近では松山で開かれた教育改革に関する「タウン・ミーティング」で宇宙飛行士の毛利氏がこの江崎提言に大賛成し、一般市民を相手にそれをアジった。
 一方で国会内では自民党と民主党が教基法改悪に向けて議員連盟を作った。その初会合で民主党の西村真悟氏(極右白色テロ集団「刀剣の会」最高顧問)は新教基法の狙いを「国のため戦争で死ねる人間の育成」にあると演説した。参加した100人前後の与野党議員は誰も反対しなかった。マスコミはこういう無茶苦茶なアジテーションや演説をホンのわずかしか報道せず、大幅に隠している。

04年入試総括 および神奈川の入試状況
(神奈川未来の会第10回セミナーより抜粋 アクセス教育情報センター)
1. 04年入試結果分析
 04年入試状況に関する入試報告会はあちこちで行われていますので、既に先生方は何回かお聞きになっていることと思います。私なりのまとめ方での数字、あるいは今年の入試で実はどんなところに注目していたかなど「資料」に沿ってお話を致します。
(1) 続く応募者増…首都圏の受験率は15%へ
 先ず第一のポイントは、昨年に続いて今年も首都圏の受験生が増えたことです。テスト会によっては5%あるいは6%増加の数字が出ています。こちらも推定ですが、資料1の2ページ目の「首都圏受験者推移」に載せてあります。今年の首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の小学校卒業生数が29万人弱に対して、募集定員が40,749名となっています。募集定員が昨年から急激に増えていますが、これは昨年まで入れていなかった茨城の定員を今年から含めたためです。実際は新設校もなく、学校数・定員数等は去年とほとんど変わっていません。これに対して受験者数が、42,100名から43,800名へと去年に続いて伸びています。表の2月1日の応募者数をご覧ください。入試年2004年度欄が2段になっています。下の段51,387名が午後入試も含めた総応募者数です。上段の41,590名が午後入試を除いた午前入試だけの数です。約9,700名が午後入試の応募者ということになります。去年の午後入試は約7,000名でしたので、今年はまたさらに増えているということです。午後入試の応募者は一昨年でピークかなと思いましたが、今年も午後入試が増えたということです。首都圏の受験者数43,800名の卒業生数に対する割合(受験率)は約15%です。ただ、受験者数は茨城を含む数字ですので、一都三県の受験率は14.8〜14.9%の間ぐらいだと思います。
(2) 千葉・埼玉地区の応募者増…神奈川地区の低迷
 第2のポイントは、千葉・埼玉地区の応募者が非常に目立って増え、神奈川地区が低迷していることです。資料2の「地区別応募者数」の表をご覧ください。東京・神奈川ともに女子がサンデーショックの関係で2月1日と2日で学校が入れ替わったりしていますので、今回は1日2日の両日で人数の推移を去年との比較が出来るように作ってみました。東京の2月1日は男子校・女子校・共学校の総応募者数が去年との比較で2,013名増えています(ただし午前のみの数字の比較)。前年比で言うと106.7%です。2月2日は116.6%。これに対して2月1日の神奈川は98.9%と減少しています。2月2日は全体では105.9%と増加してはいますが、男子校・女子校の応募者数は減っています。千葉・埼玉地区は1月中の応募者数比較となっており、同じ学校が複数回入試をやっていたりしているので厳密な数字ではありません。ただ数字の取り方は去年と同じにしてありますので、単純に比較してみると1月中の千葉の総応募者数は去年より3,008名増えています。たぶん千葉地区の生徒が1月中に3〜4校の出願をしているであろうことと、去年と同様に都内から試し受験をしている生徒もいるであろうことを勘案すると、実数としては千葉地区で700名ぐらいは受験生が増えているだろうと推定されます。同様に埼玉地区の1月中の総応募者数は4,728名増えています。埼玉も一人4校前後の出願をしていると見て、埼玉では1,000名ぐらいの増加であろうと思います。前述のように、首都圏では1,700名ぐらい応募者数が増えていると推定していますので、増えたのはほとんど千葉と埼玉での増加の分ということになります。今までは、どちらかと言うと東京の千葉・埼玉地区寄りの学校は千葉・埼玉地区が1月中に試験をやるので生徒を取られてしまうと言われてましたが、逆にこれだけ千葉・埼玉の受験生が増えて来ると、千葉・埼玉に隣接している東京の学校の方が実は生徒募集にとって有利になって来ているのでは感じます。神奈川地区が果たしてこのまま、受験生が停滞していくのか、盛り返していくのかが来年度入試に向けての興味のあるところです。最後に、1月中に東京入試を行っている寮の学校についてですが、東京入試を行う学校数が増えたのと寮の学校を試し受験で使う生徒が相当増えています。後で触れたいと思います。
(3) 国立附属の応募者増…背に腹は代えられない
 次に特徴的だったのが国立大附属の応募者が増えているとうことです。これは資料3をご覧ください。98年からの「国立大学附属中学校の応募者数推移」をご覧ください。東大附属だけが途中から入試の仕方がちょっと変わりましたので外してありますが、それ以外の東京・神奈川・千葉・埼玉の国立附属の応募者数を見ると98年の出願が全体で7,997名でしたがそれが去年は5,648名と出願の段階での志望者数が減っていました。これは、2002年の学校週5日制や新学習指導要領の導入、また、国立には完全中高一貫校が少ないことなどによる、いわゆる“国立離れ”という現象で説明されて来ました。今年はそれが6,441名で前年比114%と盛り返しました。これは多分、都立高校が土曜講座をやったり、また、都立の中高一貫校の話題が出たりで、「公立でも大丈夫ではないのか」ということが一つの理由で、もう一つは中学受験の層の問題が理由かと思います。ある会で教えていただいたことですが、地域の小学校での親同士の人間関係が嫌で、「近くの公立中学校ではない学校に自分の子を行かせたい」層があるということです。中学受験をする層に2002年問題を考えて、「きちんとした学力をつけてくれる学校」として私学を選んでいる親の層でとは異なる層があるということです。そういう保護者からすれば学校選択は別に私学でなくてもいい訳です。費用の面からも国立大附属が魅力的に映ったのではという気がします。ともあれ国立の人気が少し回復して来ています。大方は費用の面で国立を選んでいるのだろうとは思います。
(4) 有名校志向…中身より名前
 4つ目は有名校志向です。今年はサンデーショックの影響で、女子が強気で受けられるという話もありましたが、女子だけではなくて男子もそういう傾向がはっきりと出て来ているということです。資料4の「難度別応募者数」をご覧ください。東京と神奈川の学校を取り上げて作った表です。これは、日能研・四谷の偏差値で60までの学校を難度1、55までの学校を難度2、50までを難度3、50以下を難度4という形で、大体の目安として難度1、2、3、4に学校を分けて、応募者数がそれぞれどれだけいるかを去年と対比してみました。網がけが今年の数で、下が去年の数です。2月1日、男子の難度4、午前のところを見ていただきますと、去年より115名増えています。男子全体では2月1日午前では876名増えていますが、その増えた分のうち115名が難度4のところで増えているということです。女子の場合はもっとはっきり出ていて、女子は2月1日午前の増加が456名ですが、難度4のところはマイナス285名となっており、この層は減っています。この傾向は女子の2月2日ではさらに顕著で、難度4の午前はマイナス1,157名にもなっています。この層は出願者自体が相当少なくなって来ているということが、数字としてはっきり出てきています。次のページの共学校は3段に分かれていますが、上段が全体の数、中段が男子の数、下段が女子の数です。その難度4で見ると、2月1日の応募者は今年が2,534名で去年が2,622名でしたから88名の減少です。この表を見ると、偏差値50前後のところから上の学校への志望者は増えていますが、50から下のところでは志望者が減って来ていると言うことがお分かりいただけると思います。偏差値表の位置だけが保護者の学校選択の基準ではないと思いますが、やはりその影響が相当大きいと思われます。「偏差値表でそこにあるから受験生が少ないのか」、「受験生が少ないから偏差値表でそこになってしまうのか」ということはありますが。何故受験生が少ないのは、受験するだけの魅力をその学校に感じなかったからですが、魅力を感じなかったのは偏差値表でそこにあることが大きなポイントなのか、それとも別のことで魅力を感じないから受験生がいなくて偏差値表でその位置になっているのかということです。そこを学校としてはっきりつかんでおかないといつになっても「うちは偏差値表でここにあるから受験生が来ないのだ」というだけになってしまうと思います。実は、この10年間にいわゆる偏差値40前後のところから50前後のところまで上がった学校があります。ただし、3校でした。そこに行かない学校の方が圧倒的に多いわけです。4ぺージの表を見ていただきますと、男子では、表の欄外に39%と書いてあります。2月1日の午前中に入試を行っている学校が男子校では33校あって、そのうち難度4に入っている学校が13校あるということです。だから学校数としては39%を占めていますが、受験生は2月1日の男子の全受験生に対する割合でいうと10.2%です。学校の率から言うと1/4しかいないということです。同じように女子も2月1日に入試を行っている学校数91校に対して、難度4には54校が入っていますのでその割合は59%です。それに対してそこへの受験者は全体の応募者の17.8%です。先ほど申しましたように、「偏差値表にそこにあるから受験に来ないのか」、または「そこに来るだけの魅力がないから結局偏差値表のそこになってしまっているのか」をよく突き詰めて考えておかないといけないと思います。
(5) 入試問題の変化…思考力、表現力は国語から
 思考力・表現力が試される出題傾向がここのところ強まってきています。その傾向が今年は一層強くなり、ポイントは国語力ということになって来ているのではないかと思います。小学校でも英語の導入が言われ、その英語をやることを売り物にする公立の小学校等も相当出てきていますが、それより国語力を鍛えることを本当は小学校のうちにやっておいた方が良いのではと思います。多分、入試問題に私学としてのそうしたアピールが出始めてきたように思います。これはうがちすぎかもしれません。私どもの深読みなのかも知れませんが、そう感じられる入試でした。これは国語の問題だけではなくて、理科の問題、社会の問題でもそうだということです。いわゆる自分で考えて自分の考えを表現する、自分でまとめて表現する力を見るようになって来たと思います。ただ、入試問題のねらいも各学校によって異なっていて構わないと思います。みんな何も同じ方向に行く必要はなくて、「そういう層の生徒が欲しいんだ」と言う学校もあれば、そうではなくて「基礎の力を持っていればうちに入って来て大丈夫だよ」と基礎的な問題を並べ、それで力を見る学校でも構わないでしょうし、また、「粘り強い力があればいい」とねばり強さを試す問題を出す学校があってもよいと思います。学校として、どういう生徒が欲しいのかが学校の主張として出てくるような問題を作ってらっしゃるかどうか、問題を作るときにそこを意識されているかどうかということだと思います。
(6) 午後入試の応募者増…午後増えて午前減る
 次は午後入試の受験生が相当増えて来ているということです。これは先ほどの資料4「難度別応募者数」の難度4のところを見ていただくと、午前の男子は大して増えていませんでしたが、今年の午後入試の応募者数は、去年の1,344名に対して1,535名でした。女子も午前は前述のように減っているのですが、午後入試では去年の2,305名に対して、3,426名と応募者が増えています。しかし、午後入試をやることによって、確かに午後に受験生は来るけれども、逆に午前の受験生の数を減らしているのではないかと思います。午後入試をやらないで午前でやったほうが、実は、午後入試ほど数は来ないれけども、ある程度固定層というかその学校に来たい生徒に受けてもらえるのではないでしょうか。午後入試をやったために本来午前に受けるような生徒が別の学校を受けに行ってしまったとすると、本当に午後入試がその学校のためになっているのかということです。
 多くの学校が手続き期間を延ばしている中で、早めに生徒を確保しておきたいということから最初から合格者を多めに発表しています。手続きを締め切ってから繰り上げても、2月の中旬を過ぎてからでは多分なかなか来てくれないだろうということで、最初のから合格者を多く出しています。(ところが合格者の手続き率がよく、入学者が定員を超え非常に苦労した学校が今年もたくさんあります。)そういう中で午後入試をやったために、本来受験してくれるはずの受験生が午前は他の学校に受けに行って、そこで受かってしまいます。本来その学校が午前入試で午前に受験に来てくれればその学校に入学したかもしれない生徒が、午後入試を導入したために他の学校を受けに行って受かってしまう状況があるわけです。午後入試を行うメリット、デメリットを勘案して、午後入試が本当に学校にとって良いのかを考えなければいけないし、そこまで考えたうえで午後入試をやっていく覚悟がないと駄目だろうと思います。
(7) 千葉・埼玉地区の受験者増の影響・・・大手塾神奈川地区の受験結果の悪さ
 これは先ほどの千葉・埼玉の1月入試とも絡んで来ますが、やはり今年千葉・埼玉で受験生が増えて、その受験生のうち千葉・埼玉で合格をした生徒は相当強気で東京の学校を受けたのではと思います。そこで受かる生徒もいれば、強気で受けて失敗する生徒も当然います。千葉・埼玉の学校は当然ある程度の抜けを予測していますから多めに合格を出しています。都内からの試し受験の受験生もいますから。ところが、強気で東京の学校を思い切って挑戦して東京の学校に受かった生徒は東京の学校に行きますが、落ちた生徒は千葉・埼玉にそのまま留まることになります。強気で受けに行っていますから、千葉・埼玉に留まってしまう生徒も多く、千葉・埼玉の学校は多くが結果的に受け入れる生徒が相当多くなっていたということです。1クラスなり2クラスも増やさなければいけない学校が相当出て来ているようです。
 逆に、千葉・埼玉の生徒が思い切って東京の難関校を受け、受験生増加の割合に応じて、例年以上に受かっていますので、東京や神奈川の受験生で東京の難関校を受けた生徒が受からない状況が出たように思います。2月1日に東京の学校を受けて、2日は神奈川の学校を受けて、3日も神奈川の学校を受けて、それで神奈川の学校に合格はしたものの、東京の学校に受からないというケースが多かったようです。例年だったら2月1日の東京の学校に合格して抜けていっているのに抜けないので、聖光学院や浅野中の繰上げがほとんどでないまたは非常に少ないという結果になったのだろうと思います
 具体的な数字はちょっと出せないので言葉だけにします。ある資料を見ていると、いわゆる神奈川の大手塾は東京の難関校にトータルでは去年とそんなに変わらない合格者数を出しているのですが、地域別に見るとその難関校の合格を稼いでいるのほとんどが埼玉地区なのです。一方神奈川地区の塾生は惨憺たる状況です。何人が受験したかは分かりませんが、目標数何名に対して何人受かったかという数字が入った表があります。それを見ると、神奈川地区の教室ではある学校に6人の目標に対して1人しか受かっていないとか、5人目標だったのが1人しか受かっていないとかという結果になっています。そんな教室が5教室もあると、合格予定数と合格している人数は全体では30人近く違ってしまうわけです。いわば、同じ塾同士で合格を相当食い合ってしまったのではという感じです。
(8)二極化…親も子どもも学校も
 学校も親も生徒も塾もすべて二極化が進行しているように思います。先ほど申しましたように受験生が集まる学校と集まらない学校がハッキリしてきています。また、伸びる可能性を感じる学校と完全に下降線に入っている学校とがはっきりと分かれて来ていると思います。受験生の保護者もそうです。先ほど申しましたように、2002年問題を念頭において「しっかりした学力をつけてくれる」「しっかりした教育をやってくれる」学校を選ぼうとされている保護者と、付和雷同的に学校選択をされている保護者とに分かれているように思います。子供に対する態度でも保護者の違いが出て来ています。子どものための受験をしている保護者と、自分のための受験を子どもにさせている保護者がいるということです。さきほど有名校志向が強いという話をしましたけれども、結局自分の子がどこの学校を受けて、受かったら自分にとって勲章になるというような思いで子どもの受験を考えているのではないかということです。
 受験生の二極化というのは、塾に通ってきちっとした勉強をする姿勢が身についた受験生と、塾に通ったけれどもただ点数をとる勉強しかしなかった受験生とに分かれているように思います。これは実は受験生の問題ではなく、塾の二極化の問題です。塾が生徒に対してどういう指導をしているか、中学に入って役に立つ指導をしているのか、それともとりあえず点数さえ取れるようにして、合格を取らせればいいという指導をしているのかの差だと思います。これは学校の先生方の方がはっきり感じられているのではないかと思います。入ってくる生徒を見ておられて非常に点数にこだわる、答えだけにこだわる生徒が非常に増えているという話をお聞きします。こちらが申し上げる以上に先生方の方がそのことに関してはもうお感じになっているのではないかと思います。塾というのは本来的には儲からないものだと思います。だから、儲けている塾っていうのは、保護者が払ったお金を子供に還元しないで、どこかに消えている塾だろうと思います。あんまり言うと良くないのでこの辺で抑えておきますけれども。
 塾の二極化は入試応援のパフォーマンス化にもつながっています。入試の際に学校の前で塾の人間が入試応援している風景が以前からもあったと思います。以前はせいぜい腕章をしているぐらいでした。ところが、ここのところ腕章だけではなくて、横断幕を持って来たりとか、旗を持って「ここの塾の人間はここにいるよ」という具合に存在を主張しています。本来、自分の教えた子供を少しでも応援してあげたいというつもりであればあんなものはいらないはずです。小さい塾は必ず子供とのフェイストゥーフェイスがしっかりしていますから、腕章も何もいらないわけです。ところが子供との関係が希薄な塾では、何か目印になるものがないと受験生がわからない、または受験生が塾の先生を見つけられないということです。
 しかも、それから一歩進んで、今はその入試応援の場を塾の宣伝として使おうという感じです。入試応援の風景をビデオに撮影して入試報告会で放映しています。(余談ですが、実はあの入試報告会で一番評判のいいのはあのビデオなのですね。入試風景のビデオがなかったら、全く魅力のない入試報告会になってしまいます。やはり入試では受験生が主役なのだと思います。だからあれはやめられません。)最近は別の塾もやっています。ビデオカメラを脇に置いて他の受験生の邪魔にならないように配慮しているのならまだしも…。今年は2月1日に麻布中に塾のビデオカメラが2台入っていたそうです。私は麻布の応援に行っていませんので聞いた話です。自分の塾の生徒が来ると、その後ろをずーっと細い通路の真中を通って追いかけていくわけです。他の受験生の邪魔になるなんてことは何も考えていません。後でその映像を自分達の入試報告会に使うためにどれだけ見栄えのよい映像を撮るかしか考えていないわけです。塾の宣伝に使うためにそれをやっているとしたら大きな間違いではないかなと思います。
 次に今年の入試が始まるにあたっての注目点がいくつかありました。
2. 04年度入試の注目点
(1) サンデーショックの影響は
 各学校とも98年のサンデーショック、またはその前のサンデーショックを経験されて来ていますし、今は以前と違って難関校といわれるところも複数回入試をされています。だから入試日を動かしたりとか定員の配分を変えたりとかという形でほとんどの学校がサンデーショックに巻き込まれたとい状況ではなかったと思います。だからサンデーショックによる影響というよりも、その学校に対するもともとの受験生からの評価で応募者が増減したほうが多いのではと思います。ただ、たとえば白百合のように2月2日に1回しか入試を行っていなかった学校が、他の学校が移ってくるのにその入試日を変えず、それで応募者を減らしたということはあります。それでも、白百合としては「うちはそれで来てくれる子でいいんだ」という気持ちがあれば全然問題ないわけです。入試は「何人集めなければならない」というものではありません。あるところの入試報告会では「今年一番応募者を減らした学校は○○校だ」と言って、その学校の名前を出して話をしたそうですが、「応募者が減っても構わない」と思って入試日を2月1日に移しているのであれば全然問題ないはずです。そんな批判に対しては学校としては何にも心配する必要はありませんし、「うちはこれだけ受験生が来てくれれば十分なんだ」または「数は減ったが受験生の質が入試問題に対して全然落ちてない」とはっきり言えればいいだけのことです。
(2) 受験者増とその影響は
 これは先ほど申しましたように、千葉地区が増えた影響が神奈川地区にも出ていたという点が一つです。もうひとつは、この受験生増の影響として、直前の駆け込みが非常に多かったことです。資料5に「直前の申込者抜粋」を入れておきました。とりあえず男子の表だけです。表を説明しますと、2月4日以降に入試を行う学校についての表です。2月4日に入試を行う学校は大体2月3日までが受付ですから、その前日にどのぐらい応募者が増えているかを見る数字です。入試日からあとは同じ数字がずっと続いていますが、数字が変わったところがその前日だと思ってください。これを見ていただきますと、神奈川地区の下の段に鎌倉学園が入っています。鎌倉学園の3次は2月5日が試験日ですから2月4日までの受付です。2月3日から2月4日のところを見ていただきますと、614名から710名になっており、96名が直前に出願されているということです。この96名は710名の応募者に対しては13.5%です。ただし、実際に3次を受けに来る受験生はこんなにはいません。最初に願書を出しておいても他に受かってしまう、あるいは鎌倉学園の1次で受かってしまっているという受験生が当然いる訳です。学校の発表数では3次の受験生は444名でした。直前に出願した生徒は多分ほとんど受けにきているはずですから、444名に対して96名は21.6%です。つまり、5人に1人は直前に出願した受験生ということです。先ほど申しましたように、割合、安易な気持ちで強気に受けていて1日決まらない、2日決まらない、「さあこれまずいぞ」ということで、本来は願書を出してあったのかも知れませんが、急遽受験校を変更せざるを得なくなった受験生が多かったのではないでしょうか。そういう受験生が、たとえばサレジオ学院のB試験ですと(試験日が2月4日で2月3日までの受け付けです)直前に145名が出願に来ています。その下の聖光学院2回も903名から1,112名へと直前に209名が出願しています。聖光学院・サレジオ学院というところでさえも直前にたくさん出願しているということです。その率が一番高かったのは逗子開成の3次です。入試日が2月5日で受付は2月4日までですが、167名から360名へと193名増えています。逗子開成の出願は最終的には360名ですが、実際の受験生は281名ですから受験生の68.7%が前日に出願しているわけです。如何に土壇場で保護者の方が慌てていたかということです。千葉・埼玉地区で1,700名受験生が増えた影響がここに出ていると思います。
 さらに、直前応募者を学校ごとではなく、東京と神奈川の地区毎に分けたのが資料6です。神奈川のほうで見ていただきますと、2月2日までの出願者が全部で12,083名いましたが、2月3日の段階では13,656名になっています。その中で男子が受験できる学校14校で1,141名増えています。女子が女子が受験できる学校は17校で432名増えています。男子で見ていくと2月3日の段階で1,141名が出願し、2月4日では1,274名が出願していることになります。女子と比べるとやはり男子の方が行き場がなく、直前の出願人数が多いことがこの表でお分かりいただけると思います。
(3) 03年入試で入学者の多かった学校の動向は
 資料には入れていませんが、去年取り過ぎた学校に注目していました。やはり相当合格者数を絞っています。2年続けてクラスは増やせないということだと思います。その学校の最後の入試はもう惨憺たるものです。たとえば、去年1クラス増になった学校として世田谷学園があります。今年の合格者数は1次、2次入試とも去年とほぼ同じ数でした。これだと3次は相当合格者数を絞らざるをえないのではと思っていました。そこに、直前の申込者数抜粋でご覧いただいても分かりますますように、受験生が殺到しました。去年は176名の受験生に対して106名の合格者を出していました。ところが、今年は451名の受験生になってしまいました。それに対して学校としては「今年は去年のことのようなことが出来ない」ので合格者を70名しか出しませんでした。世田谷学園の3次で決まらない受験生の方が圧倒的に多い訳です。そうするとその受験生は、次の日には桐蔭に桐蔭に出願して桐蔭を受けに行き、それでも決まらないから今度は武蔵工大を出願して武蔵工大を受けに行くというような流れで、玉突きで受験し続けたということです。
 今年の入試結果で入学者が予定より多く、クラスを増やした学校は来年合格者数を絞らざるを得ないと思います。学校に教室がたくさんあって、先生がたくさんいる学校ならばいくらでも増やせるのでしょうけれども、なかなかそういう学校は多くはありません。1クラス増やすと週30数こま授業時間が増えますから、その分を持つ先生の数を確保しなければならないわけですから。また、今年は千葉、埼玉地区の学校が相当取りすぎています。来年、それらの学校が合格者数を絞ってくると東京へのしわ寄せが相当来るのではという気がします。市川中の入試結果を見ると、1月中の入試で合格者を出し過ぎている状態です。2月4日に2回目の入試を行っていますが、男子10名女子10名の定員に対して、出した合格者が男子11名女子10名です。受験者は男子405名、女子199名ですから倍率は男子40.5倍女子18.1倍です。学校としては「とりあえず募集定員を公表しているからその分だけは合格者を出さなければ」という合格者数です。本当ならば2回目で合格者を出したくなかったということだと思います。
(4) 6日制に移行した学校、移行する学校の動向は
 去年6日制に移行した学校には今年もまた応募者が多かったです。今年4月から6日制に移行する学校として、神奈川地区では森村学園と神奈川大附属、東京地区では女子美大附属と共立第二がありますが、女子美大附属だけが応募者を増やしました。女子美大は絵の好きな子に来て欲しいという学校ですが、そこが6日制にしたら増えたというのは6日制になるからではなく、説明会の内容が違ったからだと思います。女子美大附属の良さが伝わる説明会に変わったから志望者が増えたのだろうと思います。後の森村学園と神奈川大附属はほぼ横ばいで、6日制になるからということで急に受験生が増えるということはありませんでした。ただ去年5日制から6日制になった学校は世田谷学園をはじめ本郷、芝浦工大附属も応募者が増えています。受験生から見て進学校という評価を得ている学校は、5日制から6日制にしたほうが応募者が増えるということでしょう。ただ、必ずしも6日制でなければいけないということではないと思います。学校がなぜ5日制なのか、または土曜日をどう使っているのかがしっかり説明されていれば問題ないと思います。しかし、そこが説明されていないと公立と同じような5日制と受け取られてしまうのではということです。
3. 神奈川地区の注目点
 神奈川地区の学校で、今年の入試が始まるにあたって注目したいくつかの学校についてお話いたします。
(1) 2月2日 栄光学園、聖光学院の志望者は
 今年は完全に栄光に志望者が流れました。去年の応募者は、栄光学園が669名で聖光学院が867名と200名近く聖光学院のほうが多かったのですが、今年は志望者の段階で栄光学園が762名と93名増やしたのに対して、聖光学院は779名と88名減らしてほぼ同じになっています。これはひとつには、去年、聖光学院が難化し、栄光学園のほうが入りやすいのではないかという印象が強かったこと、もうひとつは、去年の春の大学進学実績で栄光学園のほうが数字的に見栄えのいい数字が出ていたことではないかと思います。
(2) 2月3日 鎌倉学園、逗子開成、森村学園の参入は
 今までは2月3日は浅野中の独壇場だったのですが、そこに鎌倉学園・逗子開成・森村学園が参入してきました。浅野中は、応募者は去年の2,334名から2,447名と増えてはいますが、受験生は去年の1,952名から1,859名へと93名減っています。これはとりあえず出願はしておいて様子を見て最終的に決めようという受験生が増えたからだと思います。しかし、3校が参入してきたことからすれば93名の減少は非常に小さな減少ではないかなと思います。2月3日全体で見ますと、参入してきたこの3校で937名の応募者を集めています。2月3日神奈川の男子全体の応募者は418名の増加ですから、他の学校で去年と比べて519名減っているということになります。ではどこで減っているのかと言うと、先ほどの浅野の93名と桐光学園、あとは山手学院が転出していますからその分で大体その数になっているということだと思います。
(3) 藤嶺学園藤沢の2月1日午前入試設定は
 藤嶺学園藤沢は、去年2月1日は午後入試だけでした。午後入試で去年応募者が296名いました。今年は午前入試を設定しました。午後入試の応募者は265名で31名の減少しています。これに対して午前入試に139名の応募者がいました。午前入試をやったことによって午後入試の応募者数は若干減りましたが、実質的には2月1日の受験生はだいぶ増えたということです。逆に藤嶺学園藤沢は2月2日では、去年は午前午後とやっていました。去年はこの午後入試が339名で、午前入試も190名の応募者でした。今年は午後だけにして、312名の応募者なので午後はほぼ横ばいですが、午前入試の分がそっくり減っています。これは1日に応募者が移ったということもありますが、やはり午前入試で勝負したほうが学校としては実は受験生を確保できるのではないでしょうか。
(4) 女子校の2月1日・2日の入れ替えは
 従来は2月1日の入試日なのに2日に変更した学校としてフェリス、横浜共立、横浜雙葉、清泉、捜真などがあります。去年、これらの学校への応募者が1,482名でした。これに対して、今年2月1日に移って来た学校として、鎌倉女学院、湘南白百合、洗足学園等があります。この3校への今年の応募者は1,091名ですから約400名ぐらいの差があります。その400名分が2月1日で日本女子大、神奈川学園、聖園の応募者が増えた原因ではないかと思います。同じように2月2日にはフェリス、横浜共立、横浜雙葉等が移って来ていますから、それらの学校の去年の応募者約1,500名がこちらに移って来たことになります。2月2日の受験生の去年との比較では、女子全体で556名多くなっていますが、2月2日に移ってきた学校が約1,500名分を集めていることを考えると、他の学校は約1,000名受験生を減らしていることになります。慶應湘南、神奈川学園、洗足学園、桐光学園、森村学園等が受験生を減らすことになりました。
(5) カリタス女子の午後入試は
 神奈川地区の女子の受験で今年一番注目された点だと思います。「カリタスが午後入試をやってどれぐらい集まるのだろう」ということです。応募者651名、受験者621名でした。確かに数的には相当集まりました。今年のカリタスは応募者全体でこの午後入試も含めて1,403名、受験者が990名でした。去年の総応募者497名、受験者336名と比べると、受験者・応募者を相当増やした形になりますが、1日の午後入試を除いた残りの2回で比べると実は増えているのは33名だけです。午後入試分がそっくり増えたということです。その午後入試で187名の合格を出し、手続きが24名でした。午後入試に対する周囲の印象は、「午後入試は相当きつかった」、「カリタスは難しい、受けても仕方がなかった」という印象を与えたのがひとつ。それと、インターネットでの合格発表でしたが、多分カリタスのテスト処理能力を超えていて、発表時間が相当遅れてしまったというのが2つ。3つ目として、在校生、または受験生の親御さんからの反響として「カリタスが午後入試をやるのですか」という評価これが3点目です。これらを考えると、651名分の受験料は増えましたが、それに見合う形で本当に良かったのかということです。周囲が感じた印象の3点との兼ね合いでどうだったかということになると思います
(6) 清泉女学院の2回入試は
 去年から清泉女学院は2回入試になりました。去年の第2回は面接を行いませんでしたが、今年は面接を実施しました。今、中学受験の傾向としては、受験生ができるだけ受けやすくと考え面接をなくしていく傾向にありますが、面接を実施したことによって清泉の応募者がどうなるのかが注目されました。、去年の2回目の応募者数は353名でした。今年の2回目の応募者数は、同じ入試日でありながら464名と増えました。受験者も去年の208名から238名に30名増えています。多分清泉という学校は、受験生からすれば「面接を行ってこそ清泉らしさが維持できる学校」という評価をされているのではと思います。だから今年面接をしたことが逆に受験生からすると安心感が出て来たのではないでしょうか。
(7) 橘学苑の共学化8回入試は
 先ほど会場の入り口でお会いしたとき「今年の入試はどうでしたか」とお聞きしたら、「大変でした」というのがご感想でした。確かに8回も入試を行うのは大変だろうと思います。外部から見ていて一番大変だろうなと思いましたのは入試問題を8回分作るということです。そのためにどのぐらい時間を割かれたのかということです。今年の大変さを経験されて来年どうされるのか興味のあるところです。
(8) 桐光学園男子の4科入試移行は
 2科4科選択から4科目入試に移行し、やはり、2科目受験の受験生分がそっくり減りました。ただ、男子の4科生だけの比較で行きますと、それほど減らしているわけではありません。これで完全に4科目入試の学校として認知されたのではないかと思います。2回3回4回全部あわせても4科目受験生の減少は56名でした。来年、受験生数が増加するのであれば思い切って4科に移行してよかったのではないかと思います。
 最後のほう駆け足になってしまいましたが、一応私の用意したレジュメに関しての説明はここまでにいたします。

 

入試問題に挑戦第118回

<問題>
 A君、B君、C君、D君、E君の5人が一列に並ぶとき、次の各問いに答えなさい。

(1) 5人が横一列に並ぶとき、A君とB君がとなりどうしにならない並び方は、全部で何通りありますか。 

(2) A君の身長が最も高く、A君、B君、C君、D君、E君の順に身長が低くなっているものとします。5人が縦一列に並ぶとき、正面から見たときに、5人のうち2人の頭だけが見える並び方は、全部で何通りありますか。(前から順に、E君、D君、C君、B君、A君と並んだ場合は、「5人の頭が見える」とします。)

(04年西武文理第1期)

 

入試問題に挑戦第117回解答編

<問題> 
問題一(04年 横浜雙葉) 
 次のそれぞれの問いに答えなさい。
 問一 次の下線のカタカナの部分を漢字に、漢字の部分をひらがなに直して答えなさい。

  1  ホウヨウリョクのある人。
  2  科学技術のカッキテキな発明。 
  3  秋はコクモツの取り入れの時期だ。 
  4  研究にジュウジする。 
  5  新しい技を会得する。 
  6  貸し借りを相殺する。 
  7  すさまじい形相になる。 
  8  弘法大師の直筆の書。 

 問二 次の1から4のグループには、意味や内容の異なるものがそれぞれ一つずつあります。それを選んで、記号で答えなさい。 

  1  ア 手数がかかる   イ 下積みが長い   ウ 造作もなく   エ 骨折る   オ 四苦八苦 

  2  ア 伝統的な   イ 古式ゆかしい   ウ 年輪を重ねた    エ 時代遅(おく)れの   オ 古典的な 

  3  ア 花冷え   イ 風光る   ウ 山眠(ねむ)る   エ 山笑う   オ 水温(ぬる)む

   4  ア 嘘(うそ)から出た実(まこと)   イ 鳶(とび)が鷹(たか)を生む   ウ けがの功名 
      エ 泣きっ面に蜂(はち)   オ 瓢箪(ひょうたん)から駒(こま) 

問題二(04年 雙葉)  
 次の〔   〕の中に、下の{ひらがな語群}からもっともふさわしいことばを選び、正しい漢字に直して書きなさい。(同じものを二度つかっても良い) 

  A  1 人間の欲求は〔    〕がない。 
     2 彼にはピアニストの〔    〕がない。 
     3 最近の流行には〔    〕がない。 
     4 最近はカセットデッキの〔    〕がない。 
     5 彼らを助ける〔    〕がない。 

     { かんしん そしつ しゅだん たいさく さいげん じゅよう } 

  B  1 サンフランシスコに向けて〔    〕する。 
     2 主語と述語がうまく〔    〕する。 
     3 友だちの考えを全面的に〔    〕する。 
     4 国宝を人々に〔    〕する。 
     5 部屋の中で熱帯魚を〔    〕する。 
     6 宇宙の真理を〔    〕する。 

     { しじ ていきょう かんしょう ついきゅう こうかい こおう }

<解説>
 解説というよりは、問題を通しての保護者の方へのメッセージです。今回は、特に4〜5年生の保護者の方向けです。
 問題一 問一・問題二 A B
 中学受験の国語の問題で知識問題が占める割合を、全体問題数や記述式問題の観点、および配点を発表してくださる学校の資料から推測すると、20〜30%が平均というところでしょうか。たしかに、教科書で習うことをきちんとくり返し学習するのは、その延長線上に英語の基礎学習などが透けて見えるわけで、その意味で基礎知識の定着を見るのは、その子の素養や勉強の姿勢を推し量るにはうってつけなわけです。
  漢字にはじまる基礎知識をどのように学習するかは、さまざまな塾や教材会社で種々の方法論が試されています。アクセスでも「試験に出る順」という、大学入試やTOEIC・TOEFLの英単語学習と同じ発想を六年生二学期では取り入れています。しかしながら、これは本質的な学習ではないとも考えています。「出る順」は追い込みの時期の総復習を効率化するために役立つわけであり、それ以前は漢字辞典や国語辞典をつかって、字そのものの意味や熟語の用法などを会得してもらう方法をとっています。それでも「短期の暗記(答えの漢字のみを何回か練習する、漢字テスト前に解答をながめる、など)」=「時間がかからない」=「楽な学習法」と割りきって(?)勉強する生徒も多いので、上記の横浜雙葉の書き取りのように「包容力〈四年・五年・一年〉」「画期的〈二年・三年・四年〉」「穀物〈六年・三年〉」「従事〈六年・三年〉」と比較的易しい(=良心的な)出題でも満点が取れないという事態が出来します。(〈  〉内は学年配当) 字義を考えない、例文との関連を無視する。誤答の原因はそのように典型的ではあるのですが、習う漢字の「形」をおぼえるのみの「低学年型漢字学習」スタイルをいかに発展させることができるかが、中学以降の学習効率にも影響を及ぼすのは言うまでもありません。雙葉中の問題は字義・用法、さらに同音異義語の区別などの要素も入っています。参考までに学年配当は、A1際限(五年・五年)2素質(五年・五年)3関心(四年・二年)4需要(中学漢字・四年) 5 手段(一年・六年)、B1航海(四年・二年)2呼応(六年・五年)3支持(五年・三年)4公開(二年・四年)5観賞(四年・四年)6追究(三年・三年)です。「需」は、むかしは六年生で習った漢字ですが、今は中学生で習います。「同じものを二度使ってもよい」はひっかけでした。

 問題一 問二
  4のことわざは、問題集などをつかって事前学習を積めば解決できないこともありません。しかし、1〜3は、単純に「問題を解く」ことをくり返しても確実に得点できるというものではないでしょう。ここにはもちろん107回で申し上げた「教養=ふだんの生活から得る知識」の要素が色濃く出ています。読書のみではなく、ふだんの大人との会話の果たす役割も大きい。ただし、「大人が、こんなふうに子供に接すれば」という方法論のみでは試験に向かえるだけの教養は身に付かないと思います。「これはどういう意味だろう?」「これって、なに?」という子どもからの疑問や知識欲がなければ、定着はしませんし、そもそも吸収もしないものです。3で「山眠る」「山笑う」という対照的な選択肢が出てくるわけですが、季節を表すこの語の擬人表現に「これってどういうこと?」と好奇の目を向ける子もいれば、自分なりに独自の(ときに自分勝手な)解釈する子もいるでしょう。また「アリエネェ、わけわからん」と放り出してしまう子どももいることでしょう。解決に一定の方法論はないとは前述もしましたが、大人からのアプローチとして、性急に定着を狙わない、まちがっても怒らない、笑わない、泣かない、わかったらほめるというのが、特に学年の低いうちほど必要なのだと思います。

 ちなみに、1では「めんどうくさい」の意味のなかに「手間をかけることなく、たやすく」が一つ混じっています。2では「古いものに価値がある」の中に「古いものに価値がない」が混じり、3では「春を感じる」中に「冬を感じる」ものが一つ混じっています。「花冷え」は桜の咲くころに再び冷えこむことをさしますが、天気予報で聞くことができます。4では「良いことが起こる」中に「悪いことが重なる」が混じっています。

<解答>
問題一
  問一 1 包容力 2 画期的  3 穀物  4 従事  5 えとく 6 そうさい 7 ぎょうそう 8 じきひつ
  問二 1 ウ  2 エ  3 ウ  4 エ

 問題二
  A 1 際限 2 素質 3 関心 4 需要 5 手段
  B 1 航海 2 呼応 3 支持 4 公開 5 観賞 6 追究